2013/02/04(月) - 13:29
2月3日、中東カタールで第12回ツアー・オブ・カタール(UCI2.HC)が開幕。別府史之(オリカ・グリーンエッジ)や日本ナショナルチームが参戦する砂漠のレースは、初日から風による熾烈な争いに。終盤に集団から飛び出した3名による際どいスプリント勝負に持ち込まれた。
ツアー・オブ・カタールは、世界の強豪チームが顔を揃えるシーズン序盤の名物レース。真っ平らなカタール半島全域が舞台で、砂漠を吹き抜ける風が勝敗を分かつ。
2013年大会には、オメガファーマ・クイックステップやスカイプロサイクリングなど、12のUCIプロチームの他、スイスの新チームであるIAMサイクリングや、カチューシャ、チャンピオンシステム、ネットアップ・エンドゥーラ、バルディアーニヴァルヴォーレなどのUCIプロコンチネンタルチーム、そして日本ナショナルチームが参戦した。
日本ナショナルジャージを着るのは畑中勇介、鈴木譲、清水都貴、佐野淳哉、内間康平、盛一大、西谷泰治の7名。また、オリカ・グリーンエッジからは別府史之が出場した。
初日の第1ステージは、半島東岸に位置するドーハのカタラ・カルチュラル・ビレッジからカタール半島を横断し、西岸のドゥハーンビーチまで。風によって序盤から集団が分裂するタフな展開となり、いくつもの細分化された集団がエシュロンを形成して砂漠を行く。
最終的に50名ほどに絞られたメイン集団からベルンハルト・アイゼル(オーストリア、スカイプロサイクリング)ら4名が抜け出したが、ゴールまで15kmを残して吸収。続いて、ゴールまで11kmを残してマルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング)、グレゴリー・ラスト(スイス、レディオシャック・レオパード)、ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシングチーム)の3名が飛び出した。
先頭3名は30秒を超えるリードを得てラスト5km。しかし、一時的に遅れていたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)をメイン集団に復帰させたオメガファーマ・クイックステップが、人数を揃えて集団を牽引。ラスト1kmアーチを潜り、先頭3名のすぐ後方にまで迫る。
最終ストレートに入ると先頭3名がスプリントを開始。その後方ではカヴェンディッシュやエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)がスプリントで追撃するが、届かない。エルミガーとラストを下し、タイム差無しの集団を振り切ったブックウォルターが勝利した。
ブックウォルターは2006年の全米U23タイムトライアルチャンピオンで、初出場した2010年ジロ・デ・イタリアの開幕8.4kmタイムトライアルでブラドレー・ウィギンズ(イギリス)に次いで2位に入った28歳。そのスピードを活かしてステージ優勝とリーダージャージを手にした。
「(一緒に逃げた)2人とも頭がよく、非常に強い選手だった。ゴール前は『勝てる、勝てる』と自分に言い聞かせていたけど、やっぱり自分のホイールがフィニッシュラインを先頭で駆け抜けるシーンは衝撃的だった。長いあいだ感じていなかったスペシャルでエキサイティングな感覚だったよ」と、プロ初勝利を飾ったブックウォルター。
翌日は14kmのチームタイムトライアルであり、BMCレーシングチームはブックウォルターのリーダージャージとフィニーの新人賞ジャージキープのためにステージ優勝を狙う。チームタイムトライアルのコースについてブックウォルターは「昨日コースをチェックして分かったのは、とても“カタール的”なコースだということ。コーナーとロータリーが数カ所あって、風が強く吹く。でもチームには強力なライダーが揃っている。明日またチームの強さを見せつけたい」とコメントしている。
別府と日本ナショナルチームのメンバーは全員16分02秒遅れの大集団でゴール。別府はレース後に「強風のハードステージ。スタートから非常にナーバスな展開で序盤からエシャロン(横風を使った戦術)に加わって集団のスピードアップに加わりながら走った。レースが動いたのは70km地点辺りで第2集団にいたけど、一瞬の判断ミスで脱落してしまった。でもやっぱりレースは楽しい」とツイートしている。
選手コメントはBMCレーシングチーム公式サイトより。
ツアー・オブ・カタール2013第1ステージ結果
1位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシングチーム) 3h28'47"
2位 マルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング)
3位 グレゴリー・ラスト(スイス、レディオシャック・レオパード)
4位 ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、スカイプロサイクリング)
5位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
6位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
7位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソ・ティンコフ)
8位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)
9位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)
10位 マチュー・ラダニュ(フランス、FDJ)
104位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ) +16'02"
105位 畑中勇介(日本、日本ナショナルチーム)
116位 鈴木譲(日本、日本ナショナルチーム)
127位 清水都貴(日本、日本ナショナルチーム)
130位 佐野淳哉(日本、日本ナショナルチーム)
133位 内間康平(日本、日本ナショナルチーム)
137位 盛一大(日本、日本ナショナルチーム)
138位 西谷泰治(日本、日本ナショナルチーム)
個人総合成績
1位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシングチーム) 3h28'37"
2位 マルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング) +04"
3位 グレゴリー・ラスト(スイス、レディオシャック・レオパード) +06"
4位 ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、スカイプロサイクリング)
5位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)
6位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ) +08"
7位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、BMCレーシングチーム)
8位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング) +10"
9位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソ・ティンコフ)
104位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ) +16'12"
105位 畑中勇介(日本、日本ナショナルチーム)
116位 鈴木譲(日本、日本ナショナルチーム)
127位 清水都貴(日本、日本ナショナルチーム)
130位 佐野淳哉(日本、日本ナショナルチーム)
133位 内間康平(日本、日本ナショナルチーム)
137位 盛一大(日本、日本ナショナルチーム)
138位 西谷泰治(日本、日本ナショナルチーム)
ポイント賞
ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシングチーム)
新人賞
テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)
チーム総合成績
BMCレーシングチーム
text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.
ツアー・オブ・カタールは、世界の強豪チームが顔を揃えるシーズン序盤の名物レース。真っ平らなカタール半島全域が舞台で、砂漠を吹き抜ける風が勝敗を分かつ。
2013年大会には、オメガファーマ・クイックステップやスカイプロサイクリングなど、12のUCIプロチームの他、スイスの新チームであるIAMサイクリングや、カチューシャ、チャンピオンシステム、ネットアップ・エンドゥーラ、バルディアーニヴァルヴォーレなどのUCIプロコンチネンタルチーム、そして日本ナショナルチームが参戦した。
日本ナショナルジャージを着るのは畑中勇介、鈴木譲、清水都貴、佐野淳哉、内間康平、盛一大、西谷泰治の7名。また、オリカ・グリーンエッジからは別府史之が出場した。
初日の第1ステージは、半島東岸に位置するドーハのカタラ・カルチュラル・ビレッジからカタール半島を横断し、西岸のドゥハーンビーチまで。風によって序盤から集団が分裂するタフな展開となり、いくつもの細分化された集団がエシュロンを形成して砂漠を行く。
最終的に50名ほどに絞られたメイン集団からベルンハルト・アイゼル(オーストリア、スカイプロサイクリング)ら4名が抜け出したが、ゴールまで15kmを残して吸収。続いて、ゴールまで11kmを残してマルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング)、グレゴリー・ラスト(スイス、レディオシャック・レオパード)、ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシングチーム)の3名が飛び出した。
先頭3名は30秒を超えるリードを得てラスト5km。しかし、一時的に遅れていたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)をメイン集団に復帰させたオメガファーマ・クイックステップが、人数を揃えて集団を牽引。ラスト1kmアーチを潜り、先頭3名のすぐ後方にまで迫る。
最終ストレートに入ると先頭3名がスプリントを開始。その後方ではカヴェンディッシュやエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)がスプリントで追撃するが、届かない。エルミガーとラストを下し、タイム差無しの集団を振り切ったブックウォルターが勝利した。
ブックウォルターは2006年の全米U23タイムトライアルチャンピオンで、初出場した2010年ジロ・デ・イタリアの開幕8.4kmタイムトライアルでブラドレー・ウィギンズ(イギリス)に次いで2位に入った28歳。そのスピードを活かしてステージ優勝とリーダージャージを手にした。
「(一緒に逃げた)2人とも頭がよく、非常に強い選手だった。ゴール前は『勝てる、勝てる』と自分に言い聞かせていたけど、やっぱり自分のホイールがフィニッシュラインを先頭で駆け抜けるシーンは衝撃的だった。長いあいだ感じていなかったスペシャルでエキサイティングな感覚だったよ」と、プロ初勝利を飾ったブックウォルター。
翌日は14kmのチームタイムトライアルであり、BMCレーシングチームはブックウォルターのリーダージャージとフィニーの新人賞ジャージキープのためにステージ優勝を狙う。チームタイムトライアルのコースについてブックウォルターは「昨日コースをチェックして分かったのは、とても“カタール的”なコースだということ。コーナーとロータリーが数カ所あって、風が強く吹く。でもチームには強力なライダーが揃っている。明日またチームの強さを見せつけたい」とコメントしている。
別府と日本ナショナルチームのメンバーは全員16分02秒遅れの大集団でゴール。別府はレース後に「強風のハードステージ。スタートから非常にナーバスな展開で序盤からエシャロン(横風を使った戦術)に加わって集団のスピードアップに加わりながら走った。レースが動いたのは70km地点辺りで第2集団にいたけど、一瞬の判断ミスで脱落してしまった。でもやっぱりレースは楽しい」とツイートしている。
選手コメントはBMCレーシングチーム公式サイトより。
ツアー・オブ・カタール2013第1ステージ結果
1位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシングチーム) 3h28'47"
2位 マルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング)
3位 グレゴリー・ラスト(スイス、レディオシャック・レオパード)
4位 ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、スカイプロサイクリング)
5位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
6位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
7位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソ・ティンコフ)
8位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)
9位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、IAMサイクリング)
10位 マチュー・ラダニュ(フランス、FDJ)
104位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ) +16'02"
105位 畑中勇介(日本、日本ナショナルチーム)
116位 鈴木譲(日本、日本ナショナルチーム)
127位 清水都貴(日本、日本ナショナルチーム)
130位 佐野淳哉(日本、日本ナショナルチーム)
133位 内間康平(日本、日本ナショナルチーム)
137位 盛一大(日本、日本ナショナルチーム)
138位 西谷泰治(日本、日本ナショナルチーム)
個人総合成績
1位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシングチーム) 3h28'37"
2位 マルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング) +04"
3位 グレゴリー・ラスト(スイス、レディオシャック・レオパード) +06"
4位 ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、スカイプロサイクリング)
5位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)
6位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ) +08"
7位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、BMCレーシングチーム)
8位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング) +10"
9位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソ・ティンコフ)
104位 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ) +16'12"
105位 畑中勇介(日本、日本ナショナルチーム)
116位 鈴木譲(日本、日本ナショナルチーム)
127位 清水都貴(日本、日本ナショナルチーム)
130位 佐野淳哉(日本、日本ナショナルチーム)
133位 内間康平(日本、日本ナショナルチーム)
137位 盛一大(日本、日本ナショナルチーム)
138位 西谷泰治(日本、日本ナショナルチーム)
ポイント賞
ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシングチーム)
新人賞
テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)
チーム総合成績
BMCレーシングチーム
text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.
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