2010/12/29(水) - 13:56
ディーンのDNAを受け継ぐ高いコストパフォーマンス

ディーンRSのデザインは、ディーンのアグレッシブなデザインを目にした後では、随分おとなしくも思える。しかしディーンRSのフロント部分は、空気を切り裂く形状に成型されたヘッドチューブ、「R-Flowジェットフォイル」テクノロジーを搭載したフロントフォーク、そしてフォーククラウン後部に装備されるセンタープルブレーキなど、その仕様はディーンそのものだ。
空気抵抗削減に最も効果のあるフロント周りの構造をノアと共用することで、限られたコストの中で高いエアロダイナミクスを追求している。
ちなみに、この「R-Flowジェットフォイル」テクノロジーは、ディーンRSではフロントフォークのみの搭載となり、空気抵抗の削減値は約6.4%。ディーンよりもわずかに約0.6%少ないに止まっている。そして、微粒子状のテープをヘッドチューブ、ダウンチューブ、シートチューブに貼ることで空気抵抗の削減を狙うもう1のエアロダイナミクス技術「R-Suerface」も搭載し、3.6%の空気抵抗削減を実現している(ディーンの場合4%)。もちろんワイヤ類もフレームに収納されている。
フロントセクション以外はディーンRSのオリジナルデザインとなり、直線的なチューブ形状で構成されている。シートステーはオーソドックスなモノステータイプ。ブレーキキャリパーはオーソドックスにこの部分に装備される。
シートステーのブレーキブリッジから下の部分の外径は細めに成型され、しかも直線的にリヤエンドに結ぶことで駆動ロスを最小限に収めながら乗り心地を高める狙いだ。
さらにトップチューブも横方向に広く、縦方向に薄く成型することで、シートステーを含めたフレームのアッパーラインにしなやさかを与える設計がされている。





そして、シート形状はオリジナルのエアロシートポストを使用し、オーソドックスなセパレート構造を採用している。ディーンに比べると対象ユーザーを広範囲とするディーンRSだけに、サドル高の微調整が容易なこのタイプは堅実な仕様と言えるだろう。また、インテグラルシートポストを苦手なライダーにとっては歓迎すべきポイントでもある。
フレーム素材については、ディーンが50T、40T、30Tのハイモジュールカーボンであるのに対して、ディーンRSは30T、24Tを適材適所に使うことで価格を抑えつつ、ターゲットとするユーザーに対して過度にならないフレーム剛性が追求されている。
また、フレーム重量も1250gと、TTモデルとしては軽量に仕上げられているのも見逃せない。フロント部分以外はシンプルなフレーム形状を採用しているため、ディーンに比べると120g軽量だ。



カーボン製のTTバイクとなると20万円台後半の価格が多いが、RSの価格は25万円を下回る。「R-Flowジェットフォイル」テクノロジーを搭載したフロント部分の作りをはじめ、そのスペックを考えると十二分なプライスパフォーマンスを備えている。ここ最近のトライアスロン人気の高まりに加え、ロードバイカーの間でもにわかにTT競技が注目されている。こうした競技に本格的に挑戦したいユーザーにとって、ディーンRSはプライスパフォーマンスに優れる1台となってくれるだろう。
インプレッション
TTの入門に最適な極めて自然な走行性能
ディーンRSのジオメトリーを見ると、リヤセンターは390㎜、ホイールベースは967㎜(Sサイズ)。したがってフロントセンターはTTバイクとしては比較的長めに確保されると考えられる。フロント部分は「R-Flowジェットフォイル」テクノロジーのフロントフォークをはじめ、ディーンと同じ作りなので剛性感もありハンドリングは軽めだ。長めのフロントセンターに起因する安定感と軽いハンドリングのバランスはよく、シートアングルが78度に設定されるので前乗り気味になるとはいえ、腰高な感覚はなく、操りやすいTTバイクに仕上がっている。

その剛性はディーンほどの逞しさはないものの、それでもタイムトライアルの走りに必要な、ビッグギヤを踏むためのレベルは十分に備えられている。一般レベルのライダーでも脚にストレスを感じることなく、ペダルをしっかり踏み抜ける快適性があるので、必要以上に脚を使わされることなく速度を維持しやすいだろう。

全体的には非常にクセのないライディングフィールで、ドロップハンドルを装備すれば格好はともあれ普通に乗れてしまうほどだ。ディーンも素直な走行性能を持ったTTバイクだが、その血統はディーンRSにもしっかりと受け継がれている。加速方向のスパルタンさを少しばかり控えめにしたのがディーンRSと言える。
ディーンに乗ってしまうと物足りなくも感じるが、ディーンRS単体で判断すれば価格に対する性能のバリューは十分満足ゆくものだ。そして、なによりホビーレベルのライダーにはディーンRSの方が快適性は高いので、結果として速く走れてしまうかもしれない。
また、サドル高の調整がしやすいセパレートタイプのシートポスト、車輪の着脱が容易なロードタイプのリヤエンドといった部分も扱いやすく、TTにこれから挑戦するサイクリストやトライアスロンのロングディスタンスなどにもオススメしたい1台だ。
リドレー DEAN RS

PRICE | ¥249,900(税込) フレームセット |
FRAME | 30ton,24tonハイモジュラスカーボンファイバー |
WEIGHT | 1250g |
COLOR | 1114A |
SIZE | XS,S |
提供:JPスポーツグループ 企画/制作:シクロワイアード