抜群のコストパフォーマンスでエアロ性能が身近に

リドレー NOAH RSリドレー NOAH RS エアロダイナミクスに積極的な取り組みをみせるリドレー。そのエアロロードにおける第2弾となり、2011年のラインナップに新たに加えられるモデルが「ノアRS」だ。その車名からも想像できとおり、ノアの基本設計を受け継ぐ弟分となる。

プロスペックを追求したノアに対し、このノアRSはロングライドやヒルクライムなど、ホビーサイクリストの等身大の楽しみ方にもフィットする、より広範囲な使用用途を目指して開発されている。

そのフレームは、一見するとセパレート化されたシート部と直線的にデザインされたシートステーだけがノアの違いに思えるが完全に別物である。

エアロ形状のシートとダウンチューブ、アーチシェイプのトップチューブで構成される前三角は、その外径がノアよりもかなり抑えられて剛性がコントロールされている。そのレベルにマッチするように、ヘッドチューブは上下共に1-1/8に抑えた一般的な同径タイプが採用される。

そして、使用するカーボン素材も30T、24Tクラスのハイモジュールタイプに抑えている。もちろん、フレームの求められる剛性やしなやかさに応じ、部位によって使用するカーボンを細かく変えるのは、いうまでもなくノアと同じ。こうして素材と形状を見直すことで、ノアとは異なるライディングフィールが演出されている。

当然エアロダイナミクスの追求を忘れることは、ノアの名を冠する以上は許されない。オーバルコンセプトとの共同開発による「R-Flowジェットフォイル」テクノロジーはフロントフォークに搭載され、スポーク部分で発生する空気の乱流を抑えて空気抵抗を6.4%削減。そして、層流を向上させるためにヘッドチューブ、シートチューブ、ダウンチューブに微粒子状の細いテープをコートした「R-Surface」テクノロジーにより、3.6%の空気抵抗削減に成功している。

ノアシリーズの最大の特徴ともいえる「R-Flowジェットフォイル」テクノロジーが高速性能を高めてくれるノアシリーズの最大の特徴ともいえる「R-Flowジェットフォイル」テクノロジーが高速性能を高めてくれる 前後シフトワイヤ、後ブレーキがフレーム内に収納される。エアロダイナミクスと見た目の美しさを実現前後シフトワイヤ、後ブレーキがフレーム内に収納される。エアロダイナミクスと見た目の美しさを実現 翼断面に成型されたシートチューブは、リヤタイヤ形に沿って切り取られエアロダイナミクスに貢献する翼断面に成型されたシートチューブは、リヤタイヤ形に沿って切り取られエアロダイナミクスに貢献する

シート部分は専用のエアロシートポストを装備するセパレートタイプを用いる。軽さだけならインテグラルタイプの方が優れるが、多くのユーザーを対象とするノアRSだけに、サドル高を微調整しやすいオーソドックスな形式を選ぶのはユーザーライクだ。また、インテグラルタイプのシート形状に二の足を踏んでいるユーザーにもうれしい仕様だろう。

そして、シートバンドを見ても、2本のボルトで左右から互い違いでネジ止めする方法は、エアロシートポストにありがちな固定力不足を補い、カーボン製のシートポストに対する力の分散という面からみても有効だ。こうした細かい部分に手抜きがないのも、堅実な製品作りで定評のあるリドレーならではだ。

ノア同様にトップチューブはアーチ状に成型され、横方向に扁平させて乗り心地とねじれ剛性を両立するノア同様にトップチューブはアーチ状に成型され、横方向に扁平させて乗り心地とねじれ剛性を両立する 内側に絞り込んだ形状のチェーンステー。ベンド部分からエンド側は断面積を大きくとり剛性を確保する内側に絞り込んだ形状のチェーンステー。ベンド部分からエンド側は断面積を大きくとり剛性を確保する

ジオメトリーについてはノアと同様。ホイールベースはMサイズで990㎜と十分な長さが確保されており、安定感のあるライディングが期待できる。しっかりホイールベースが確保されているあたりは、ベルギーに多い石畳のコースでもストレスなく走るための設計といえるだろう。特にロングライドなどを目指すホビーサイクリストにとっては、長距離走行でバイクの操作に神経を尖らせなくても済むのは大きなメリットに違いない。

ヘッドチューブは上下とも1-1/8のコラム径を採用する標準的な仕様。形状もいたってオーソドックスだヘッドチューブは上下とも1-1/8のコラム径を採用する標準的な仕様。形状もいたってオーソドックスだ 専用のエアロシートポストを用意して、エアロダイナミクスとサドル高の調整のしやすさを併せ持つ専用のエアロシートポストを用意して、エアロダイナミクスとサドル高の調整のしやすさを併せ持つ シートステーはモノステータイプ。ノアに比べるとボリューム感をダウンさせて前三角との剛性バランスをとるシートステーはモノステータイプ。ノアに比べるとボリューム感をダウンさせて前三角との剛性バランスをとる

上位機種のDNAを受け継ぎながらも、価格を10万円以上抑えたノアRSは、エアロロードの新しい選択肢としてリストアップすべき1台といえるだろう。

インプレッション by 吉本 司

ホビーレーサーにとって等身大のレーシング性能

いい意味でルーズに乗れる懐の深いペダリングフィール(吉本司)いい意味でルーズに乗れる懐の深いペダリングフィール(吉本司) 弟分のノアRSは、ジオメトリーがノアと共通とあって、フロントセンターがしっかり確保され、十分な直進性と低重心を実現している。したがって、ノアの魅力の1つとも言える、安定感に優れる走りはしっかりと受け継ぐ。その上で、ノアRSとノアは異なるキャラクターが表現されている。

剛性感にあふれるノアは、高出力のペダリングをフレームがしっかりと受け止めて推進力に換えるが、ノアRSはペダリングの力を反発させながら走る印象がある。初速の踏み出しはどちらも気持ちいいのだが、それぞれにニュアンスが異なる。ノアは“鋭く”、ノアRSは“軽やか”という言葉がふさわしい。

その軽やかさは、ヒルクライムでも生きてくる。ケイデンスを重視してシッティング走行すればスッと軽い感覚で前に出る。そして、トルクをかけてもしなりが生きてリズミカルな走りだ。ダンシングもトルクをかけやすいので、特に脚が無くなった時に高剛性なフレームで起こりやすいパタパタ感もない。いい意味でルーズに乗れる懐の深いペダリングフィールを持つモデルだ。

平坦路ではノアのように一気加速でライバルを引き離すようなタイプではない。出足で勝負するというより、加速の伸びで勝負するタイプ。したがって、アウターギヤでトルクをかけて時速40㎞前後で踏み続けるような高速巡航が気持ちいい。特にホビークラスのライダーにとっては、しっかりペダルを踏み下ろせる感覚があるだろう。

フレームのエアロ効果はどれ程か分か判断しかねるが、ハイスピードでのスムースな走り、スピードのタレが少なく感じるのは、エアロ性能の影響が無いといったらウソだろう。

快適性については、振動吸収性はレーサーとして文句のないレベルだが、それよりも脚に負担の少ない剛性感と安定感のある走りでアドバンテージを与えてくれる。対象とするライダーのスイートスポットは広く、ロングライドやヒルクライムはもちろん適するが、個人的にはこの試乗車のようにエアロホイールを履いて、長距離のロードレースに挑戦したくなる。ノアRSは、ホビーレーサーにとって等身大のレーシング性能を備えたモデルと言えるだろう。

脚に負担の少ない剛性感と安定感のある走りでアドバンテージを与えてくれる(吉本司)脚に負担の少ない剛性感と安定感のある走りでアドバンテージを与えてくれる(吉本司)

インプレッション by 佐藤 光国

脚にくる感じが少なくて、加速もたれにくいので乗りやすい印象(佐藤光国)脚にくる感じが少なくて、加速もたれにくいので乗りやすい印象(佐藤光国)

長距離のコースで生きるバランスの剛性感

ノアに比べるとこのノアRSの方が剛性は抑えられているので、脚にくる感じが少なくて、加速もたれにくいので乗りやすい印象を受けました。フレーム単体で見ればノアRSの剛性は十二分なレベルです。

初期の加速はノアの方が優れていると思いますが、高速域での踏んだ感じは絶対的な差を感じませんでした。なので一般レベルのライダーにも扱いやすいと思います。乗り心地についてはノアよりも少しリヤに突き上げを感じますが、凹凸の角は十分とってくれるので嫌なレベルではありません。

リドレーのバイクは全般に言えますが直進安定性がいいので、長距離でもストレスが少なく、剛性も抑えられているので、コース後半でも脚を残せるのではないでしょうか。

加減速が多いコースならノアの方がいいと思いますが、距離の長いロードレース的なコースだと自分はノアRSの方を選びます。

インプレッション by 木下 大輝

ホビーレーサーにも乗りやすい優れた性能バランス

剛性を抑えめにしている分、一般のライダーでも乗りやすい(木下大輝)剛性を抑えめにしている分、一般のライダーでも乗りやすい(木下大輝) 下りをはじめとする安定感の高い乗り味、クセのないハンドリングなど、基本的な性能はノアから受け継いでいると感じました。

剛性を抑えめにしている分、一般のライダーでも乗りやすくなっていますね。自分はノアRSの方が好みです。ノアと比べるとヘッドチューブが上下同径なためか、ヘッド部からトップチューブにかけての剛性がおだやか。ダンシングをした時にこの部分にいい意味でのねじれを感じて、しかもシートステーがふんばるので、しっかりとペダリングの力を乗せて推進力に変えられる感覚があります。

BB部分もノアより剛性は穏やかですが、推進力に換えてくれるしなりがあります。自分としては、時速50㎞以上の高速域でもノアRSの方が踏み負けず加速できるような気がしました。

乗り心地についてはノアRSの方が直線的なシートステーの分だけ、ノアに比べると振動を伝えるように思えました。

インプレッション by 西井 敏次

ペダリングにフィールに優れる万能モデル

ノアは「スゴイ」という言葉で表現するなら、このノアRSは「すばらしい」といったところでしょうか。フレームの剛性が私にとっては受け入れやすく、ペダリングの感覚がよかったです。引き脚を意識しなくても自然に脚がスムーズに回る感じです。

数値を計測したワケじゃありませんが、いつもよりも速いケイデンスで気持ちよく走ることができました。今までインナーに落としていたような上り坂でも、このバイクならアウターでそのまま越えることができました。これは他のモデルも同様ですが、乗車している位置がバイクの中心なので、上りでも下りでも安定しています。

ノアは私の脚力には高性能すぎて、どこで乗ればいいのだろう? という感じですが、ノアの性能に優しさを与えたという走りのノアRSなら乗る姿をイメージできます。長距離を走ってみたいですね。

引き脚を意識しなくても自然に脚がスムーズに回る感じ(西井敏次)引き脚を意識しなくても自然に脚がスムーズに回る感じ(西井敏次)

リドレー NOAH RS

リドレー NOAH RSリドレー NOAH RS
PRICE¥249,900(税込) フレームセット
FRAME30ton,24tonハイモジュラスカーボンファイバー
WEIGHT1200g
COLOR1102A,1102B
SIZEXS,S,M
提供:JPスポーツグループ 企画/制作:シクロワイアード