2019/09/18(水) - 12:08
フルーツ王国山梨の真髄を味わうロングライドイベント、山梨フルーツライドを実走取材。晩夏の甲府盆地でフルーツ尽くしの70kmは後半へ。短いながらも走りごたえあり、美しい景色あり、おいしいグルメもありと3拍子揃ったイベントだった。
第1エイドの八代ふるさと公園を出発したら、一旦甲府盆地の底へと降りていく。さっきまで眼下に眺めていた風景の中を走っていくのは何とも言えない不思議な気分にさせられる。目指すは対岸となる北側のフルーツラインだ。
途中、笛吹川を渡り河川敷のサイクリングロードを経由して甲府盆地を縦断していく。俯瞰してみていると遠くに見えた目的地も、実際に自転車で走ってみると案外あっという間にたどり着いてしまう。こうやって、その地域の距離感を自分の足で掴むことができるのも自転車乗りの特権だ。
さて、フルーツラインの麓までやってきたらまた山腹へ向けて登ることに。えっちらおっちら登っていくと、だんだん視界が開けていく。つい1時間ほど前に目にしていたのと同じ甲府盆地なのだけれど、見る角度が違えば受ける印象も異なるもの。
コンディションが良ければ、富士山が眼前に現れる絶景スポットもこのあたり。この日は残念ながら富士吉田側が曇っていたようでその姿を拝むことは出来なかったけれども、眼下に広がる景色が美しいのは変わらない。
だんだんと陽が昇るにつれて、気温も上昇してくる頃合い。ボトルもそろそろ空になりそうなタイミングで登場したのが第2エイドの笛吹川フルーツ公園だ。こちらはその名の通り果物をテーマにした公園で、山梨でも人気の観光スポット。最近だとキャンプを題材にした漫画、「ゆるキャン△」にも登場し、いわゆる聖地としても注目を集めている。
この日も大いに賑わっていたフルーツ公園の一角に設けられた第2エイドで待っていたのは、ゴロリと大きなシャインマスカットと巨峰、涼やかな水ようかん、そしておなかに溜まる赤飯を使ったお餅たち。昨年の猛暑を受けて、エイドには日陰を作るためのサンシェードや打ち水など、様々な対策が施されており、しっかりと休むことができた。
また、クールダウンできるようにいっぱいに冷水が張られたバケツも用意されていた。勢いよく頭から被る人はなんとも気持ちよさそう!この先に待ち受けるのは、最後の山場である野背坂峠。しっかり食べて、しっかり涼を取ってから再スタートだ。
しばらく洗濯板のような道を行くと、ついに野背坂峠が登場。昔は非常に細い林道だったのが、数年前にフルーツラインの一部としてきれいに整備された峠道なのだという。確かに舗装も綺麗で道幅も広く、走りやすさは抜群。それでもきついヒルクライムであることに変わりはないのだけれども。
と言いつつ、実は今回の取材はE-BIKEで参加しているので、自分はかなり余裕をもって登っている。ウィーンとモーターを唸らせつつ登っていくと、皆さんの羨ましそうな視線が(笑)。アップダウンの多いこのコースは、まさにE-BIKEにピッタリなサイクリングルートでもあると実感する。
そんなこんなで峠を越えて、下った先の道端に人だかりができている。野背坂峠で消耗した人に向けて、給水所が設けられているのだ。こちらではボトルに水を詰められるほか、冷凍した巨峰を頂くことも。シャーベット状になったブドウが火照った身体に心地いい。
とはいえ、ここまで来たら第3エイドはもうすこし。下り基調ときどき登り返し、といった区間を走り抜ければ、塩山ふれあいの森総合公園へと到着だ。噴水が目印の涼やかな公園で振舞われたのは、幻のブドウとも呼ばれる「アジロン」のスムージーとキンキンに冷えたフルーツゼリー。フルーツゼリーは桃とブドウの2種類から選べるということで、今回はブドウ尽くしとしてみました。
ここまで来ればあとはフィニッシュへと向かうのみ。フルーツラインの最後の区間を噛み締めつつ走っていくと、最後の給水所が設置された牛奥みはらしの丘が現れる。ここまで走ってきた甲府盆地を取り囲むコースを一望できる絶景ポイントで水分を補給したら、もうフィニッシュは目前だ。
フィニッシュ後には甲州名物でもあるほうとうが振舞われ、70kmを走り切ったサイクリストたちのお腹を満たしてくれた。ごろごろ沢山具が入っており、これだけでもかなり満足感は高かったのだけれども、それで終わらないのがこのフルーツライドのいいところ。なんと、ブドウの食べ放題も用意され、食後のデザートまでフルサポートだ。
最終走者を皆で出迎えた後は、待ちに待った抽選会。昨年は景品が集まりすぎたため(!)長引いてしまったことから、一部は事前に当選者を発表する方式へ。なので、閉会式では目玉となる景品を巡って、くじが引かれることになった。ハイエンドヘルメットや富士急ハイランドの入場券、オリジナルジャージの製作権など、豪華な景品が次々に登場し、読み上げられる当選番号に会場は大いに盛り上がった。
70kmと短めながら走りごたえのあるコース、次々に現れる美しい風景、山梨らしさ溢れる旬のフルーツを活かしたエイドでのグルメ。ロングライドイベントを魅力的にする要素が全て揃っているのがこの山梨フルーツライドだけれども、個人的にはもう一つ大きな魅力があると感じた。それは、サイクリスト目線に立った運営だ。
昨年の反省点を吸い上げ、即座に反映する。言葉にすると簡単なようでいて、前例主義になりがちなイベント運営ではなかなか難しいもの。各エイドの暑熱対策や抽選会の事前発表など、安全に関わる部分からちょっとした不満点の改善までしっかりとフィードバックされている稀有なイベントだ。来年、再来年と年を重ねるごとに、もっともっと素晴らしいイベントとなることは間違いない。
text&photo:Naoki.Yasuoka
第1エイドの八代ふるさと公園を出発したら、一旦甲府盆地の底へと降りていく。さっきまで眼下に眺めていた風景の中を走っていくのは何とも言えない不思議な気分にさせられる。目指すは対岸となる北側のフルーツラインだ。
途中、笛吹川を渡り河川敷のサイクリングロードを経由して甲府盆地を縦断していく。俯瞰してみていると遠くに見えた目的地も、実際に自転車で走ってみると案外あっという間にたどり着いてしまう。こうやって、その地域の距離感を自分の足で掴むことができるのも自転車乗りの特権だ。
さて、フルーツラインの麓までやってきたらまた山腹へ向けて登ることに。えっちらおっちら登っていくと、だんだん視界が開けていく。つい1時間ほど前に目にしていたのと同じ甲府盆地なのだけれど、見る角度が違えば受ける印象も異なるもの。
コンディションが良ければ、富士山が眼前に現れる絶景スポットもこのあたり。この日は残念ながら富士吉田側が曇っていたようでその姿を拝むことは出来なかったけれども、眼下に広がる景色が美しいのは変わらない。
だんだんと陽が昇るにつれて、気温も上昇してくる頃合い。ボトルもそろそろ空になりそうなタイミングで登場したのが第2エイドの笛吹川フルーツ公園だ。こちらはその名の通り果物をテーマにした公園で、山梨でも人気の観光スポット。最近だとキャンプを題材にした漫画、「ゆるキャン△」にも登場し、いわゆる聖地としても注目を集めている。
この日も大いに賑わっていたフルーツ公園の一角に設けられた第2エイドで待っていたのは、ゴロリと大きなシャインマスカットと巨峰、涼やかな水ようかん、そしておなかに溜まる赤飯を使ったお餅たち。昨年の猛暑を受けて、エイドには日陰を作るためのサンシェードや打ち水など、様々な対策が施されており、しっかりと休むことができた。
また、クールダウンできるようにいっぱいに冷水が張られたバケツも用意されていた。勢いよく頭から被る人はなんとも気持ちよさそう!この先に待ち受けるのは、最後の山場である野背坂峠。しっかり食べて、しっかり涼を取ってから再スタートだ。
しばらく洗濯板のような道を行くと、ついに野背坂峠が登場。昔は非常に細い林道だったのが、数年前にフルーツラインの一部としてきれいに整備された峠道なのだという。確かに舗装も綺麗で道幅も広く、走りやすさは抜群。それでもきついヒルクライムであることに変わりはないのだけれども。
と言いつつ、実は今回の取材はE-BIKEで参加しているので、自分はかなり余裕をもって登っている。ウィーンとモーターを唸らせつつ登っていくと、皆さんの羨ましそうな視線が(笑)。アップダウンの多いこのコースは、まさにE-BIKEにピッタリなサイクリングルートでもあると実感する。
そんなこんなで峠を越えて、下った先の道端に人だかりができている。野背坂峠で消耗した人に向けて、給水所が設けられているのだ。こちらではボトルに水を詰められるほか、冷凍した巨峰を頂くことも。シャーベット状になったブドウが火照った身体に心地いい。
とはいえ、ここまで来たら第3エイドはもうすこし。下り基調ときどき登り返し、といった区間を走り抜ければ、塩山ふれあいの森総合公園へと到着だ。噴水が目印の涼やかな公園で振舞われたのは、幻のブドウとも呼ばれる「アジロン」のスムージーとキンキンに冷えたフルーツゼリー。フルーツゼリーは桃とブドウの2種類から選べるということで、今回はブドウ尽くしとしてみました。
ここまで来ればあとはフィニッシュへと向かうのみ。フルーツラインの最後の区間を噛み締めつつ走っていくと、最後の給水所が設置された牛奥みはらしの丘が現れる。ここまで走ってきた甲府盆地を取り囲むコースを一望できる絶景ポイントで水分を補給したら、もうフィニッシュは目前だ。
フィニッシュ後には甲州名物でもあるほうとうが振舞われ、70kmを走り切ったサイクリストたちのお腹を満たしてくれた。ごろごろ沢山具が入っており、これだけでもかなり満足感は高かったのだけれども、それで終わらないのがこのフルーツライドのいいところ。なんと、ブドウの食べ放題も用意され、食後のデザートまでフルサポートだ。
最終走者を皆で出迎えた後は、待ちに待った抽選会。昨年は景品が集まりすぎたため(!)長引いてしまったことから、一部は事前に当選者を発表する方式へ。なので、閉会式では目玉となる景品を巡って、くじが引かれることになった。ハイエンドヘルメットや富士急ハイランドの入場券、オリジナルジャージの製作権など、豪華な景品が次々に登場し、読み上げられる当選番号に会場は大いに盛り上がった。
70kmと短めながら走りごたえのあるコース、次々に現れる美しい風景、山梨らしさ溢れる旬のフルーツを活かしたエイドでのグルメ。ロングライドイベントを魅力的にする要素が全て揃っているのがこの山梨フルーツライドだけれども、個人的にはもう一つ大きな魅力があると感じた。それは、サイクリスト目線に立った運営だ。
昨年の反省点を吸い上げ、即座に反映する。言葉にすると簡単なようでいて、前例主義になりがちなイベント運営ではなかなか難しいもの。各エイドの暑熱対策や抽選会の事前発表など、安全に関わる部分からちょっとした不満点の改善までしっかりとフィードバックされている稀有なイベントだ。来年、再来年と年を重ねるごとに、もっともっと素晴らしいイベントとなることは間違いない。
text&photo:Naoki.Yasuoka
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