2019/08/07(水) - 12:54
日本最大級のオフロードイベント、シマノ・バイカーズフェスティバル。MTB乗りの聖地とも言える長野県の富士見パノラマへ今年も全国から多くのライダーが集まった2日間をレポートしよう。
中央道諏訪南ICから車で10分。関東圏や中京圏からも抜群のアクセスを誇る富士見パノラマリゾートに、今年も日本中からMTBerが集結した。
シマノ・バイカーズフェスティバル。今年で29回目を迎える、由緒あるオフロードイベントだ。2日間に渡ってXCからDH、子供も大人も、レース派もツーリング派も楽しめるあらゆる種目と楽しいイベントが詰め込まれた、まさにフェスティバルなイベントだ。
だが、残念なお知らせも。なんと週末に韓国語で百合を示す名を冠した台風「ナーリー」がやってくるという。百合台風、なんだか巨大感情が吹き荒れそうでワクワクしそうな字面であるが、実際吹き荒れるのは雨や風だ……。できれば消滅してくれないかなあ、なんて願いを込めながら中央道を西へと進んでいくと、だんだんと路面がウェットになっていく……。
とはいえ、まだ本降りにはなっていない。時折ぱらつく中、次々に参加者たちが集まってくる。今回は1日目の午前中に開催される「富士見電動アシストスポーツガイドツアーロング」へ取材のため参加。ここ数年で好評を得て、距離を延長して開催されるようになったE-BIKEを利用したツーリング種目なのだが、集合時間が開会式と被っており、そのあたりの写真がないことはご容赦いただきたい。そちらのツーリングに関しては、別のレポートにて詳しくお届けする予定!
さてさて、一通り会場を見れば大きな変化に気づくはず。そう、今年はレースエリアに大幅なレイアウト変更が加わっているのである。先ほど「XCからDHまで……」と書いていたが、昨年までXC種目とDH種目の開催場所は大きく離れており、1つのイベントながら2つの大会が併催されているような状況だったのだ。
今年はお互いの競技の魅力を知ってもらうべくDH種目のゴールをXCエリア側へと移動。お互いの種目がより身近になるような会場レイアウトへと変更されたのだ。「これまでのレイアウトもよかったですが、今年はもっと沢山の人に見てもらえて嬉しかったですね」とは、DH MEN-1で優勝した久保さん。会場全体の一体感も増し、好評を博していたようだ。
さらに今年はより観戦しやすいようにとピットエリアとホームストレートに2つの観戦スタンドが用意された。ピットエリアはコースが一望できるパノラマスタンド、ホームストレートには背の低い子供でもフェンスを越えてみることができるストレートスタンドが設置され、仲間や家族が走る様子をしっかり観戦&応援することができるように。走る人だけでなく、応援する人も共に楽しめるような会場づくりとなっていた。
さて、キッズやSS、ファットバイクといったXC種目、DHエンデューロやチームDHが行われた1日目のハイライトは最多の参加人数を誇る4時間エンデュランス。こちらが始まるころには雨足もかなり強まっており、例年であれば土煙を上げるスタートシーンも大人しめ。
普段雨が降ったらコース保護の観点からトレイルやパークは走れない、という方にとっては完全なマッドコンディションというのもまた貴重な機会。どうせ汚れるなら楽しまなきゃソン!とばかりにズルズル滑りながら皆さん笑顔で4時間を励ましあいつつ走っていた。
一方、リフトを上った先ではダウンヒルコースを逆走するという(!)MTBヒルクライムが。今年初開催となるE-MTBヒルクライムも行われ、最先端のE-MTBを駆るアーリーアダプターな参加者たちが勢ぞろい。ウィンウィンとモーターをフル稼働させ力強くフィニッシュへと駆け出して行った。
なんだかんだで雨でも楽しく過ごした1日目も無事に終了し、2日目へ。夜が明けてみれば昨日の天気が嘘のような百合台風一過。レイニーブルーの次はパラソルをさして、と相場が決まっているのだ。むしろ暑くて、「ちょっと一雨こないかな?」なんて思ってしまうくらい。人間勝手なものである。
昨日まばらだった出展エリアも、2日目はかなり賑わっている。新型XT&SLX、グラベルコンポーネントのGRXやSTEPSの新モデルを発表したシマノを筆頭にメリダやベスビー、ダボス、ルイガノ、ジャイアント、ヤマハ、パナソニックなどE-BIKEをメインに打ち出したブースが目立つ。今年はE-MTB専用の試乗コースも用意されており、その性能をしっかり体験できたようだ。E-MTBに関してはこちらの特集ページも見てやってください。
「かわいーー!!」と黄色い声が上がっているのを聞きつけていくと、もっふもふのアルパカが2頭。お近くの八ヶ岳アルパカ牧場からやってきた彼らはたちまち子供たちの人気者に。ほっぺを指すとキスしてくれたり、首に抱き着いて写真をとってもらったりできるとあってアルパカブースから人が絶えることはなかった様子。
もう一つの人気ブースがバイカーズマルシェ。八ヶ岳近辺にたくさん存在するベーカリーから選りすぐりの名店の自慢のパンや、地元で採れた野菜がずらりと並んでいる。こちらは大会プロデューサーの射手矢氏肝いりのブースで、陣頭指揮をとる様は完全に歴戦の八百屋のそれであった。
なかでも人気だったのが、オランダのコンクールで金賞をとった経験を持つレストランピーターのベーコンと八ヶ岳産のレタスを組み合わせたサンドイッチ。注文を受けてから焼いてくれるのだけど、その匂いのいいこといったら。うなぎ屋のごとく香りにつられて次々に注文が入るのだった。
また、一日目の雨で延期されていた豚の丸焼きも2日目に登場。まるまると太った豚がローストされていく様子はひとつのエンターテイメント。焼きあがった部位から切り分けられ、行列に並ぶ皆さんの胃の中へと納まっていく。はじめは驚くほど大きかった豚がだんだんと小さくなっていき、最後はきれいさっぱりなくなってしまう様子はまるで手品でも見ているかのよう。
2日間を通して4つの種目で争われるキングオブマウンテンも終盤に。今年から新設された小学生の部と中学生の部では大人顔負けのハイレベルな争いが繰り広げられていたのも注目ポイント。小学生の部は第4ステージまで勝負がもつれこみ、最終ステージで優勝した中仙道侑毅が総合でも逆転優勝。一方中学生の部では全ステージでトップをキープした高橋翔が完全制覇を成し遂げた。記念すべき初代王者たちにはバイカーズロゴの刺繍入りのシマノバックパックが進呈。特別感あふれる記念品におもわず表情もほころんでいた。
2日間続いたお祭りは、未就学児を対象にしたミルキーレースで幕を閉じる。ベビーカーに乗せて運ばれる子供から、かなり本格的なレースを繰り広げる子まで、1歳ごとにカテゴリー分けされてスタートしていく子供たちは、これからどんどん大きくなっていく姿を思い起こさせてくれる。
あいにく、2年連続の台風に見舞われたシマノ・バイカーズフェスティバル。だが、悪天候にも負けず楽しんだ次の日にはご褒美のような晴天が待っていた。しかも台風の影響もあってか、帰り道の渋滞も少なめ。まさに災い転じて福となす、といったところ。やっぱり今年も来てよかった、そう思える素晴らしい2日間で、30周年を迎える来年は、きっと更にパワーアップしてくれるはず。すでに来年に向けて期待が膨らむのであった。
text&photo:Naoki.Yasuoka
中央道諏訪南ICから車で10分。関東圏や中京圏からも抜群のアクセスを誇る富士見パノラマリゾートに、今年も日本中からMTBerが集結した。
シマノ・バイカーズフェスティバル。今年で29回目を迎える、由緒あるオフロードイベントだ。2日間に渡ってXCからDH、子供も大人も、レース派もツーリング派も楽しめるあらゆる種目と楽しいイベントが詰め込まれた、まさにフェスティバルなイベントだ。
だが、残念なお知らせも。なんと週末に韓国語で百合を示す名を冠した台風「ナーリー」がやってくるという。百合台風、なんだか巨大感情が吹き荒れそうでワクワクしそうな字面であるが、実際吹き荒れるのは雨や風だ……。できれば消滅してくれないかなあ、なんて願いを込めながら中央道を西へと進んでいくと、だんだんと路面がウェットになっていく……。
とはいえ、まだ本降りにはなっていない。時折ぱらつく中、次々に参加者たちが集まってくる。今回は1日目の午前中に開催される「富士見電動アシストスポーツガイドツアーロング」へ取材のため参加。ここ数年で好評を得て、距離を延長して開催されるようになったE-BIKEを利用したツーリング種目なのだが、集合時間が開会式と被っており、そのあたりの写真がないことはご容赦いただきたい。そちらのツーリングに関しては、別のレポートにて詳しくお届けする予定!
さてさて、一通り会場を見れば大きな変化に気づくはず。そう、今年はレースエリアに大幅なレイアウト変更が加わっているのである。先ほど「XCからDHまで……」と書いていたが、昨年までXC種目とDH種目の開催場所は大きく離れており、1つのイベントながら2つの大会が併催されているような状況だったのだ。
今年はお互いの競技の魅力を知ってもらうべくDH種目のゴールをXCエリア側へと移動。お互いの種目がより身近になるような会場レイアウトへと変更されたのだ。「これまでのレイアウトもよかったですが、今年はもっと沢山の人に見てもらえて嬉しかったですね」とは、DH MEN-1で優勝した久保さん。会場全体の一体感も増し、好評を博していたようだ。
さらに今年はより観戦しやすいようにとピットエリアとホームストレートに2つの観戦スタンドが用意された。ピットエリアはコースが一望できるパノラマスタンド、ホームストレートには背の低い子供でもフェンスを越えてみることができるストレートスタンドが設置され、仲間や家族が走る様子をしっかり観戦&応援することができるように。走る人だけでなく、応援する人も共に楽しめるような会場づくりとなっていた。
さて、キッズやSS、ファットバイクといったXC種目、DHエンデューロやチームDHが行われた1日目のハイライトは最多の参加人数を誇る4時間エンデュランス。こちらが始まるころには雨足もかなり強まっており、例年であれば土煙を上げるスタートシーンも大人しめ。
普段雨が降ったらコース保護の観点からトレイルやパークは走れない、という方にとっては完全なマッドコンディションというのもまた貴重な機会。どうせ汚れるなら楽しまなきゃソン!とばかりにズルズル滑りながら皆さん笑顔で4時間を励ましあいつつ走っていた。
一方、リフトを上った先ではダウンヒルコースを逆走するという(!)MTBヒルクライムが。今年初開催となるE-MTBヒルクライムも行われ、最先端のE-MTBを駆るアーリーアダプターな参加者たちが勢ぞろい。ウィンウィンとモーターをフル稼働させ力強くフィニッシュへと駆け出して行った。
なんだかんだで雨でも楽しく過ごした1日目も無事に終了し、2日目へ。夜が明けてみれば昨日の天気が嘘のような百合台風一過。レイニーブルーの次はパラソルをさして、と相場が決まっているのだ。むしろ暑くて、「ちょっと一雨こないかな?」なんて思ってしまうくらい。人間勝手なものである。
昨日まばらだった出展エリアも、2日目はかなり賑わっている。新型XT&SLX、グラベルコンポーネントのGRXやSTEPSの新モデルを発表したシマノを筆頭にメリダやベスビー、ダボス、ルイガノ、ジャイアント、ヤマハ、パナソニックなどE-BIKEをメインに打ち出したブースが目立つ。今年はE-MTB専用の試乗コースも用意されており、その性能をしっかり体験できたようだ。E-MTBに関してはこちらの特集ページも見てやってください。
「かわいーー!!」と黄色い声が上がっているのを聞きつけていくと、もっふもふのアルパカが2頭。お近くの八ヶ岳アルパカ牧場からやってきた彼らはたちまち子供たちの人気者に。ほっぺを指すとキスしてくれたり、首に抱き着いて写真をとってもらったりできるとあってアルパカブースから人が絶えることはなかった様子。
もう一つの人気ブースがバイカーズマルシェ。八ヶ岳近辺にたくさん存在するベーカリーから選りすぐりの名店の自慢のパンや、地元で採れた野菜がずらりと並んでいる。こちらは大会プロデューサーの射手矢氏肝いりのブースで、陣頭指揮をとる様は完全に歴戦の八百屋のそれであった。
なかでも人気だったのが、オランダのコンクールで金賞をとった経験を持つレストランピーターのベーコンと八ヶ岳産のレタスを組み合わせたサンドイッチ。注文を受けてから焼いてくれるのだけど、その匂いのいいこといったら。うなぎ屋のごとく香りにつられて次々に注文が入るのだった。
また、一日目の雨で延期されていた豚の丸焼きも2日目に登場。まるまると太った豚がローストされていく様子はひとつのエンターテイメント。焼きあがった部位から切り分けられ、行列に並ぶ皆さんの胃の中へと納まっていく。はじめは驚くほど大きかった豚がだんだんと小さくなっていき、最後はきれいさっぱりなくなってしまう様子はまるで手品でも見ているかのよう。
2日間を通して4つの種目で争われるキングオブマウンテンも終盤に。今年から新設された小学生の部と中学生の部では大人顔負けのハイレベルな争いが繰り広げられていたのも注目ポイント。小学生の部は第4ステージまで勝負がもつれこみ、最終ステージで優勝した中仙道侑毅が総合でも逆転優勝。一方中学生の部では全ステージでトップをキープした高橋翔が完全制覇を成し遂げた。記念すべき初代王者たちにはバイカーズロゴの刺繍入りのシマノバックパックが進呈。特別感あふれる記念品におもわず表情もほころんでいた。
2日間続いたお祭りは、未就学児を対象にしたミルキーレースで幕を閉じる。ベビーカーに乗せて運ばれる子供から、かなり本格的なレースを繰り広げる子まで、1歳ごとにカテゴリー分けされてスタートしていく子供たちは、これからどんどん大きくなっていく姿を思い起こさせてくれる。
あいにく、2年連続の台風に見舞われたシマノ・バイカーズフェスティバル。だが、悪天候にも負けず楽しんだ次の日にはご褒美のような晴天が待っていた。しかも台風の影響もあってか、帰り道の渋滞も少なめ。まさに災い転じて福となす、といったところ。やっぱり今年も来てよかった、そう思える素晴らしい2日間で、30周年を迎える来年は、きっと更にパワーアップしてくれるはず。すでに来年に向けて期待が膨らむのであった。
text&photo:Naoki.Yasuoka
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