イタリアのレーシングバイクブランド「ピナレロ」が主催するグランフォンド・ピナレロへと参加された2編目をお届けします。今回はグランフォンド当日編。本場の空気が伝わる1編となっています。

1編目はこちら


グランフォンド・ピナレロ当日の朝グランフォンド・ピナレロ当日の朝 photo:Kiriko.Fuchigami
沢山のパーティーに、テストライド、ピナレロストアの見学といった事前のアクティビティを終えて迎えたグランフォンド当日。今回の相棒となるDOGMA F10 Diskの準備もばっちり。朝ご飯をいっぱい食べて、補給食もポケットにいっぱい詰め込んで出発。

イタリアの朝は明けるのが少し遅いように感じます。朝日が差し込みはじめ、まだ少し薄暗い景色の中出発。ホテルから10km程走行し、トレヴィーゾの街の中心のスタート地点へと向かいます。人数も多いので、スタートの位置取りもとても大切。ピナレロ・ジャパンの方達や星野さんが、良い位置の取り方を事前に教えて下さっていました。(そのために朝早く出発しました)

スタート前の準備もまた楽しスタート前の準備もまた楽し  photo:ピナレロジャパンツアープロデュースの星野さんも、ギリギリまで見守って下さっていますツアープロデュースの星野さんも、ギリギリまで見守って下さっています  photo:ピナレロジャパン

ファウスト・ピナレロ氏も登場ファウスト・ピナレロ氏も登場  photo:Tomohiro Hoshinoチームスカイのメンバー チームスカイのメンバー  photo:Tomohiro Hoshino


華やかなスタートセレモニーののち、スタート。ピナレロ・ジャパンの皆様や、星野さんから愛情たっぷりのアドバイスを何回も頂きました。前方はレースをしていることや、皆様、集団走行が上手で、ラインを急に変えると迷惑になるからとにかくまっすぐ走ること、集団走行の恩恵は高いので、必ず集団を見つけて走ること、10割の力で行かない。先は長いので出しすぎないこと、一方で抑えすぎるとタイムアウトになるから、しっかり走ること、水分は多めにとること、お魚が集団で泳ぐイメージ(スイミーのようなイメージ)で走ること、などなど。

これらのアドバイスの存在が後で振り返るととても大きかったです。走行中、何度も思い出し、大変助かりました。ご自身も走られた経験から話して下さっているからですね!私が個人的に気をつけたことは、走ることはできてもパワーダウンするのでお腹が空きすぎる前に食べる事と、BCAAを前半に2回は摂ることで、パフォーマンスに気をつけました。

いよいよスタートしました!ダッシュでスタートですいよいよスタートしました!ダッシュでスタートです  photo:Tomohiro Hoshino
私は同行の藤岡と打ち合わせ、今回は初回で何もよくわからないから「前半はレース強度で挑もう、後半はグランフォンドを楽しもう」と決めていました。せっかくの本場ヨーロッパグランフォンド。両方の醍醐味を味わいですもんね。

言われていた通り、「パーンッ」という号砲からいきなりスプリントのような猛ダッシュ。強烈なスタート。これは凄く楽しい♪まずは自分の走行ラインをむやみに変えないことを念頭に置きながらダッシュの連続。


いくつもの列車のラインができて、それぞれスピード域が違う。自分が心地よい列車に、周りに迷惑かけることなく、容易に乗せてもらうことができる。あまりに美しい流れ、ペダリングも美しい方ばかりなので、後ろを走らせてもらった時のほうがむしろ凄く走りやすい。

どの列車で走らせてもらおうかな。高速列車のオンパレード。凄く速い列車に乗りたかったけれど、これから先何がそしてどんな強度が待っているか分からないから自分の力が8割で走れる列車を見つけながら走りました。4000人近い参加者。本当に沢山の方々がいるので、自分の足に合う方も割と容易く見つけることができます。

山岳地帯へと突入山岳地帯へと突入  photo:Tomohiro Hoshino
割と高いところまで登ってきています割と高いところまで登ってきています  photo:Tomohiro Hoshino第二エイドステーションで藤岡と合流第二エイドステーションで藤岡と合流 photo:Kiriko.Fuchigami


超山岳を終えた後のほっとした第二エイドステーション超山岳を終えた後のほっとした第二エイドステーション photo:Kiriko.Fuchigami
かなり気合を入れて必死で走ったからか、体の小さい女子に驚いたからか、結構頻繁に周りから「ストロング、ストロング」と褒めていただきました。(英語ですよね、イタリア語らしき言葉でも声をかけてもらったのですが残念ながら判りません笑)

あっという間に40km地点に到着。ここにはエイドステーションがあります。ここでグランフォンドとメディオフォンドにコースが分かれます。ここは第一関門でもあり、9:30までに辿り着けなかった方は強制的にメディオフォンドの選択となります。それまでに着いた方だけが好きな方を選べます。私は8:20にここに到着。もちろんグランフォンドの方を選択しました。

KOM区間へと向かっていきますKOM区間へと向かっていきます  photo:Tomohiro Hoshino
そこからしばらく下ると超級山岳がスタート。これは延々17kmも続きます。ここはとてもきつかったです。ところどころ斜度が18~19%といったビックリするような急な坂も現れます。しかし、物凄く沢山の方たちと一緒に登るのでやはり楽しい気持ちが勝ちました。

周りを見渡すと、ピナレロの超高級バイクはもちろんたくさん!そして違うブランドのロードバイクの方も高級バイクやホイールばかりで驚きました。皆様、機材に投資もされていますね。男性と変わらないスピードで上っていかれる女性の姿もところどころ見かけます。

クラシックレースのような坂を行くクラシックレースのような坂を行く  photo:Tomohiro Hoshino
かなりの勾配でダンシングかなりの勾配でダンシング  photo:Tomohiro Hoshino
それぞれの方と目が合うとお互いに微笑み合い。これは本当に楽しいひと時です。山はあまりに長く速度域も遅いので集団で走るメリットは少ないのですが近くにいる事で元気がもらえます。集団になると、一気に協調して一緒に走る。パワー溢れる方がひたすら前を引き、後ろに何人つかれても何のお構いもなしに楽しそうにパワフルに走っておられる方がほとんどでした。

17kmの登りを終えると、ここからは基本的に下り基調の平坦や下りがほとんど。ところどころ登りも出てきますが、この大きい登りを越えた後は、気持ちに余裕も大きかったです。そしてエイドステーションのボランティアの方々の優しいこと……。凄く、そして優しくエールを送ってくれます。笑いかけて下さるので、エイドステーションのたびに私は笑っていました。


私は、後半の70km以降は、イタリア人3人と、イギリス人、南アフリカ人と仲良くなって一緒に走らせて頂きました。高速で走ってくれるので凄く楽しかったです。片言の英語ながら頑張ってコミュニケーションを取りました。

長く一緒に走ったのでそのうち手ぶりならぬ脚で会話を楽しめるようになった感じでした。ちょっときつい登りがあると顔を見合わせて一緒にしかめっ面を見せあいっこしたり、気持ち良い下り基調の道をかっ飛ばしたらお互いに顔と目線でサンキューと言ったり、結構至福の時間でした。エイドステーションの出発時間などのズレで走行のタイミングがずれても、走っていたら何故かまた逢えて、どんどん仲良くなりました。

看板に元気をもらって進みます看板に元気をもらって進みます photo:Kiriko.Fuchigami
第四エイドステーション第四エイドステーション photo:Kiriko.Fuchigami一緒に高速列車に入れて下さったイタリア人の方一緒に高速列車に入れて下さったイタリア人の方 photo:Kiriko.Fuchigami


最終エイドでは、いつも一緒に走っていた方を見失ったこともあり、ゆっくりしました。Xplovaでの動画の撮影も自分に課していたミッションだったので、しっかり撮れるように、途中で動画の整理をしたり、このエイドステーションでは割とゆっくり過ごしました。

ゴール。こちらは最後のエイドステーションから一緒に走ったモーガン・サイモンさん。すごく楽しかったですゴール。こちらは最後のエイドステーションから一緒に走ったモーガン・サイモンさん。すごく楽しかったです photo:Kiriko.Fuchigamiそうこうしている時に速そうな方を見つけたのでその方と一緒に走りたいと思い、スタッフ藤岡と共に声をかけました。そしたら笑顔で快諾。一緒にスタートしました。その高速列車がみごと!どんどん前の人を吸収していき、後ろから追いついてきて一緒の集団になったりして、ラストのパートも楽しい時間を過ごすことができました。

いよいよゴールが近づいてきたら、皆少しペースが落ちました。あっこれがそうか!ピナレロジャパンさんから教えてもらった「ゴールは毎回集団スプリント」!この牽制ぶりは真剣勝負が始まるな、と思いました(笑)

海外のグランフォンドに慣れていない藤岡と私が周りをかき乱してはいけないねという話をし、でもゴールスプリントは楽しみたいねという話にもなり、様子を見ながら可能であれば集団のダッシュには加わろうと、走りながら話をしました。前半のレース強度でがっつり走った時も、後半の高強度を維持しつつ皆で協調して走った時も、統括店長の山崎に教えてもらったことが、全てそこにありました。

安全に走れること、まっすぐ走れること、ちゃんと曲がれること、下り方の基本。そして集団走行のコツや危なくない形でのダッシュ走行やインターバル、スプリント。今、お店でお客様のライドでもこの講習を組み入れて、走行距離も強度も様々でお客様へ講習会ライドを展開しています。

私もゴールの記念写真私もゴールの記念写真 photo:Kiriko.Fuchigami
8年前、山崎がグランフォンド・ピナレロに参加した時に、「私もグランフォンド・ピナレロのこの文化を日本で伝えなければならないと思った」と、自身のブログに書いてあったのを、日本に帰ってから読みなおしました。そう思って山崎はそれをずっと8年間継続し続けているんだと…と改めて思いました。

藤岡も私も、山崎の教え子です。もともと客としてロードバイクを購入し山崎店長の練習会に参加したことがきっかけで選手になり、今はスタッフとなりました。今回原点に返ったような気持ちになりました。私達二人も、これまで山崎がしたように、ますますお客様にこのグランフォンドピナレロで受け取ってきたことをお伝えし続けたいと思います。

一緒に日本から来たメンバー。ゴールした時、ファウスト・ピナレロ氏もお祝いして下さいました一緒に日本から来たメンバー。ゴールした時、ファウスト・ピナレロ氏もお祝いして下さいました photo:Kiriko.Fuchigami
ゴールしてから頂いたメニュー。美味しかったー!!ゴールしてから頂いたメニュー。美味しかったー!! photo:Kiriko.Fuchigamiゴール後の食事を頂きながら、メダルとポーズゴール後の食事を頂きながら、メダルとポーズ photo:Kiriko.Fuchigami


話がそれましたが、ラストスプリント。これもしっかり楽しみました。憧れのトマーゾ門をくぐり抜け、ピナレロ本店の横を通過し、いくつものゲートをくぐり抜けて……。驚いたのはそのスムーズさ、ほぼ全力で競い合うスプリントのはずなのに危なっかしい感じがほとんどない!日本のそれに比べるまでもなく本当にみんな上手いんです。気持ち良くゴールできました。FINISH後には、イタリア美女からメダルをかけてもらいました。しかも、この完走メダルは昨年までは無くて今年からとの事。かなりかっこいいので嬉しいです。

ゴール後は、最後のエイドステーションで声をかけ、しかも最後まで一緒の集団で一番ガンガン引いてくださった方、モーガン・サイモンさんと記念写真(背が高いでしょう!)。これも良い思い出になりました。


そうそう、今回はピナレロのDOGMA F10 Diskのスペシャルカラーで走らせて頂きました。そのインプレッションもお伝えしますね。「進む!曲がる!下る!止まる!」のバイクコントロールが頭の中で描いたとおり、いやそれ以上に想像を超え理想的に動いてくれます。シッティングで駈ける、ダンシングでバイクを振る、ペダルを回し続けて巡行する、何もかもが夢のような感覚。

今回のアッセンブルは、最新のカンパニョーロ12速のスーパーレコード、しかもディスク仕様です。ギアがたっぷりあることでいつも一番使いたいギアを大変心地よく選択することができ、激坂区間も小さいギアでくるくると回し続けながらしっかり上ることができました。

ブレーキブラケットの握りもすごく収まりが良く、カチッという変速の音も毎回テンションを上げてくれます。軽い引きで安定したブレーキングができるので、延々と続く長い下りも腕がいっぱいになることなく、楽々とこなすことができました。

ゴール後はこんなにたくさんの方々が集っていますゴール後はこんなにたくさんの方々が集っています photo:Kiriko.Fuchigami
私が今度もし出ることがあるならば、1分、3分、5分間しっかりペダルを踏むようなインターバルはすでにある程度得意なので1時間から、時には2時間しっかり上り続ける練習を組み入れ、そして、今回チャレンジさせて頂き全体像がよく見えたので次の機会は、最初から最後までレースモードで挑んでみたいと思っています。

皆様も、グランフォンド・ピナレロに出られるときは、上のようなトレーニングを積んで、準備して自分のベストを携えて参戦されることを是非オススメします。それとショップの講習会などで下り方などの集団走行を習っておくのも必須かもしれません。メディオフォンドに出られる方は、上記練習メニューから2時間登る部分は外して大丈夫だと思います。

小高い丘のレストランのまずはお庭でシャンパンパーティー。小高い丘のレストランのまずはお庭でシャンパンパーティー。 photo:Kiriko.Fuchigamiその後は、レストランの中で本格的なアフターパーティー。その後は、レストランの中で本格的なアフターパーティー。 photo:Kiriko.Fuchigami

お庭でも沢山前菜頂きましたが、レストラン内でも前菜からスタート。お庭でも沢山前菜頂きましたが、レストラン内でも前菜からスタート。 photo:Kiriko.Fuchigami
ゴール後は、食事を頂いたり、一緒に頑張った仲間と喜びを分かち合う時間。ファーストフードのブースもたくさん出ていて、本当に賑やかで華やかです。4000人のビッグスケールのグランフォンドピナレロ。日本でもこの規模のサイクルイベントはありますが、道幅いっぱいに広がって思い存分全力で走る、しかも旅のようなワクワクを伴って、という環境は日本では決して味わえるものではありません。

これこそがここイタリアが自転車の本場といわれるゆえんだと思います。「ロードバイクを愛好している」と言うならば一生に一度はこの場を味わうことを心の底からお勧めします。私もきっと戻ってきたいと思っています。

日本から一緒に来たメンバーで同じ食卓日本から一緒に来たメンバーで同じ食卓  photo:Tomohiro Hoshino
アフターパーティーでも、大きなケーキが出ましたアフターパーティーでも、大きなケーキが出ました photo:Kiriko.Fuchigamiアフターパーティーも、夜遅くまで楽しませていただきましたアフターパーティーも、夜遅くまで楽しませていただきました photo:Kiriko.Fuchigami


今回サポートで日本から帯同下さった皆様、応援してくださった皆様。暑い中、ずっと待っていて下さってうれしかったです。私達のためにここまでしていただいて本当にありがとうございました。と、〆つつもう1篇続きます!


text:Kiriko Fuchigami

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