富士山の登山道のひとつ「ふじあざみライン」を使用して行われるヒルクライムイベント「FUJI-ZONCOLANヒルクライムin小山町2017」が、10月14日に開催された。日本一の山で行われた激坂ヒルクライムイベントをレポート。



スタートゲートの前に集まった参加者スタートゲートの前に集まった参加者 photo:Satoru Kato
あいにくの雨の中スタートあいにくの雨の中スタート photo:Satoru Kato目指すは五合目のゴール目指すは五合目のゴール photo:Satoru Kato

静岡県とイタリアのフリウリ=ヴェネチア・ジュリア州(以下FVG州)が自転車を通じた友好提携を結び、その一環として、静岡県では「FUJI-ZONCOLANヒルクライムin小山町」、FVG州ではグランフォンド大会の「カルニアクラシック・インターナショナル・FUJI-ZONCOLAN」が開催される。

一年ごとに相互のイベントに参加者を招く事になっており、昨年はFGV州からの参加者を迎えてのヒルクライムが行われ、今年はFVG州のグランフォンドに静岡県からの参加者が出場した。(その模様のレポートはこちら

今回はFGV州からの参加は無いものの、ヒルクライムイベント自体は毎年開催される。今年は台湾の太魯閣国際ヒルクライムの主催者らが来日し、イベントに参加した。

コース中盤、傾斜がきつくなるにつれて表情もゆがみはじめる・・・コース中盤、傾斜がきつくなるにつれて表情もゆがみはじめる・・・ photo:Satoru Katoおよそ中間地点の馬返しに向けて登っていくおよそ中間地点の馬返しに向けて登っていく photo:Satoru Kato

富士山は雲に覆われて姿を見せず富士山は雲に覆われて姿を見せず photo:Satoru Kato
コースは、ツアー・オブ・ジャパンの富士山ステージと同じ「ふじあざみライン」。距離11.4km、平均勾配10%、最大勾配22%、標高差1200mのヒルクライムは、国内外のトップ選手も苦しめる難コースだ。

前日からの雨がやまず、最高気温が15℃と肌寒い1日。ゴールの5合目は雨雲より上になるものの、気温は10℃前後まで下がる。下山用にダウンジャケットを用意した参加者も見られた。

あと3km、蛇行しながらもゴールを目指すあと3km、蛇行しながらもゴールを目指す photo:Satoru Kato
馬返しを過ぎればあと半分、されど半分・・・馬返しを過ぎればあと半分、されど半分・・・ photo:Satoru Katoコース中盤、傾斜がきつくなるにつれて表情もゆがみはじめる・・・コース中盤、傾斜がきつくなるにつれて表情もゆがみはじめる・・・ photo:Satoru Kato


レースは、スタート直後から先行した中村俊介(SEKIYA)を、昨年総合優勝の森本誠(GOKISO)が追う展開。ふじあざみラインのコースレコードを持っていた事もある森本に対し、中村が約1分リードしたままトップでゴールした。

「1週間前の輪島ロードで調子が良かったので、それが残っていた事もあって自分のペースで行きました。相手が森本さんなので、泳がされているのかとも思っていたのですが」と言う中村。JBCF輪島ロードレースのE1では寺崎武郎(バルバレーシングクラブ)と競って2位に入っているが、登りでは中村がリードする展開だった。今年の乗鞍で3位に入る実力を持つヒルクライマーだ。

「あざみラインはいつも48分台でしたが、45分台は初めて出しました。大幅に自己ベスト更新する事が出来て良かったです。このイベントは初めて参加しましたが、いつものレースは走り終わったらすぐ帰ってしまうので、交流会があって楽しめるのはいいですね」と、ヒルクライムとイベントの両方を楽しんだ様子だ。

序盤からリードしたのは中村俊介(SEKIYA)序盤からリードしたのは中村俊介(SEKIYA) photo:Satoru Kato中村を追う乗鞍王者の森本誠(GOKISO)中村を追う乗鞍王者の森本誠(GOKISO) photo:Satoru Kato
45分台のタイムで全体のトップで登り切ったのは中村俊介(SEKIYA)45分台のタイムで全体のトップで登り切ったのは中村俊介(SEKIYA) photo:Satoru Kato男子マスターズ1の1位と2位が総合の1位と2位になった男子マスターズ1の1位と2位が総合の1位と2位になった photo:Satoru Kato

一方、今回は2位だった森本は「実は1週間後に台湾のレースに呼ばれているので、それに照準を合わせて今週はハードワークをしてきました。日本人レコードを狙いたかったのですが、完全に合わせる事が出来なかったので、46分台という記録は残念でしたね。でもこういうイベントを開催してくれるのはありがたいと思っていますし、もっと盛り上がってくれると嬉しいですね」と、この日の反省を交えて語った。

雲に覆われた富士山頂が見えればゴール雲に覆われた富士山頂が見えればゴール photo:Satoru Katoゴール目前でメカトラに見舞われてしまった服部泰之(伊豆総合高校)が走ってゴールを目指すゴール目前でメカトラに見舞われてしまった服部泰之(伊豆総合高校)が走ってゴールを目指す photo:Satoru Kato

女子2連覇の望月美和子女子2連覇の望月美和子 photo:Satoru Kato男子ジュニアの部で優勝した古川裕真(ボンシャンス)男子ジュニアの部で優勝した古川裕真(ボンシャンス) photo:Satoru Kato

女子は昨年に続き“ネジガール”望月美和子が優勝。タイムは昨年比で100分の1秒上回るという結果には「どうせならピッタリが良かったですね」と苦笑い。「でも昨年よりタイムを落としている方が多いようなので、少しでも上回ったのは良かったと思います。静岡市出身なので、あざみはホームコースと思っていますし、激坂なところが好きなので、来年も3連覇を目指します。目標は1時間切りですね」と、早くも3連覇宣言が出た。

レースを終えて下山した後はランチパーティー。温かいおしるこや地元静岡の名産品などが振る舞われ、餅つきや太鼓演奏などのおもてなしで参加者は楽しんだ。

ゴール地点で記念撮影する台湾からの参加者ゴール地点で記念撮影する台湾からの参加者 photo:Satoru Katoランチパーティーでは静岡名物などが振るまわれ、お腹をすかせた参加者の胃袋へランチパーティーでは静岡名物などが振るまわれ、お腹をすかせた参加者の胃袋へ photo:Satoru Kato
レース後のランチパーティー恒例の餅つき体験レース後のランチパーティー恒例の餅つき体験 photo:Satoru Katoつきたての餅で作ったおしるこが振る舞われたつきたての餅で作ったおしるこが振る舞われた photo:Satoru Kato
台湾からの参加者が和太鼓を体験台湾からの参加者が和太鼓を体験 photo:Satoru Kato貼り出されたリザルトを確認。やはり自分のタイムは気になる貼り出されたリザルトを確認。やはり自分のタイムは気になる photo:Satoru Kato

来年はFVG州からの参加者を迎えて3回目の開催。2年連続の雨で富士山の姿を見られる事が出来なかったが、「3度目の正直」の来年は晴れて富士山が見える事を祈りたいところだ。

text&photo:Satoru Kato