2017/08/04(金) - 09:03
和歌山県南部のすさみ町を舞台にした新しいサイクリングイベント「枯木灘サイクリングフェスタ RIDE ON SUSAMI 2017」が誕生する。日向涼子さんらと試走したイベントの概要を紹介しよう。
和歌山県南部、南紀白浜に近い、太平洋に面したすさみ町。遠いというイメージのあったエリアだが、昨年、紀勢自動車道の南紀白浜IC〜すさみ南ICが開通し、大阪や和歌山市方面からのアクセスが非常に良くなった。そのすさみ町を舞台に誕生するのが「枯木灘サイクリングフェスタ RIDE ON SUSAMI 2017〜ぐるっと自然を大満喫〜」だ。
イベントの開催日は11月18・19日。温暖な南紀の秋に開催される、ルート距離70kmのサイクリングイベントだ。海と山と川、すさみ町の素朴な自然の魅力が詰まったロングライド入門者に最適なイベントを、おなじみ日向涼子さんらと試走してきた模様を織り交ぜつつ紹介しよう。
すさみ町や白浜町など地域団体によって構成される「すさみ町サイクリング大会実行委員会」が主催するこのイベントは、タイムを競わないファンライド形式で行われる。約20名のグループごとにスタートし、各グループには地元のサイクリストがサイクリングリーダー(スタッフ)として先頭、最後尾につき、安全に配慮しつつ、コースを案内しながら走ってくれるという。
またルート途中に設置されるエイドステーションでは、地元食材を使った美味しい食べ物や飲み物が提供される予定だ。この試走では主催スタッフでもある地元サイクリングクラブ「HEZZI」の向井克往さんと出嶋洋昭さん、コースの監修をした「グッド・チャリズム宣言プロジェクト」の韓祐志代表、そして同会メンバーでもある日向涼子さんらの案内で70kmルートのすべてを当日を想定しながら実際に走ってきた(試走は3月下旬に実施)。
スタート地点となるのはすさみ海水浴場。ここから、普段は町が推奨するサイクリングコースともなっている約70kmのライドに出発だ。まずは吉野熊野国立公園に指定されている枯木灘と呼ばれる海岸線ルートへ。
走り出してしばらくは海を右手に見ながらの開放的なシーサイドコース。多少のアップダウンが有るものの、ライドのウォームアップには最適。海とは遠い側の道路の左側を走るのは少し残念だが、「熊野街道」国道42号線は交通量が少なく、とても走りやすい。
少し高台になった恋人岬からは、太平洋の雄大な眺めが楽しめる。「夫婦波」を観れる絶壁の上にテラスをもつカフェ「BUSH DE COFFEE」は大会時はエイドステーションにもなり、お店自慢の洋菓子などを楽しむことができるという。距離が短いライドなので、余裕のある人はここで朝食や早めのティータイムを楽しむのもおすすめだ。
途中にある道の駅イノブータンランド(イノブタはすさみの名産)や道の駅すさみにはサイクルステーションがあり、ポンプなども常備されていいる。仲間と走る際にはエイドストップやトイレ休憩を兼ねて再集合場所にも最適だ。
キラキラ光る太平洋の眺めを堪能した海区間を経て、いよいよコースは内陸、約30kmの山区間へと分け入っていく。その脇には紀勢自動車道のIC入口が。和歌山側からのここまでは無料区間にもなっているため、クルマのほとんどはこの紀勢道を通る。つまりこの紀勢道が開通して以降、サイクリングルート上のクルマの交通量が激減し、一帯は自転車天国になったというわけだ。どうりでここまでの道が走りやすかったことに納得だ。
海岸沿いの江住駅付近から始まる山岳ルートは標高344mまでを一気に登る。道は細く、両側を山に囲まれていて、木の生い繁った緑深い道だ。森の間から海が望めるピークから一度下っていき、再び登りへと差し掛かる。12%の上り勾配を登ったら368mの峠だ。峠にはすずらんの絵と「ようこそ佐本へ!」のメッセージが描かれた素朴な手彫りの看板が待っている。
ここからしばらくは下り。民家が点在する素朴な山里を抜け、小さな川沿いの道へ。流れる川の水は川底まで見えるほど透き通っている。道はあいかわらず細く、森はさらにうっそうと深くなり、原始の自然を感じさせるルートだ。湧き水をボトルに入れるポイントは目立たないが気づいたらぜひストップしたい。
この山岳区間は携帯電話は通じず、お店や自販機なども無い。登り区間、下り区間とも路面面の荒れている箇所が目立ったため、とくに下りは注意しながら走りたい。当日はグループごとにサポートライダーがついてくれるものの、スペアチューブやパンク修理の用意をしておくことと、コンディションの良いタイヤで参加したい。
山岳エリアから下界へと下り、左折して河沿いの道を走る。下り基調の快走ルートへ。上流の宇津木橋や民宿、キャンプ場前にはドリンクの自販機があり(つまりそれ以外には無い)、エイドステーション以外でのドリンク補給ができる。
広々とした道(県道37号線)に出てしばらくの川沿いの名湯「えびね温泉」には入るわけにはいかないだろうが、お腹に余裕があれば名物となっている出汁に温泉を使ったうどんにトライするのもいいだろう。試走当日はここで昼食と大休止をとった。大河となった日置川の眺めが美しい。
広々した道は緩いアップダウンがあるものの、路面にも気を遣わずに走れる川の道。途中クルマの交通量があることろは河原のサイクリングロードなどでつなぎつつ、ふたたび海へと出る。
途中、急な登り返しがあるものの、あとは海岸線を行く海の道。出発したときとは光線の向きが違う、太平洋の海原が陽に輝く様子が眺められるだろう。国道に合流し、スタート地点でもあるすさみ海水浴場へとゴール。
距離70kmで、獲得標高は940m。想定所要時間は4時間30分〜5時間(休憩時間含まず)。短いながらもダイナミックなルートは、遥かな太平洋を臨む海の風景、緑濃い深林を行く山の風景、山に沸く源流とゆったりした大河の川の風景がぎっしり凝縮され、魅力的なものだった。
日向涼子さん「何も無いことこそが何よりの贅沢。すさみに感じた心の原風景」
「ここは何もなくて…」― 地方を訪れると耳にする言葉ですが、そこに住む人達にとっての当たり前が、外の人間には新鮮なもの・ことだったりします。そもそも、都心に住む人間は地方に都会を求めていません。むしろ、澄み渡った静けさだとか、小説に出てくるような自然に触れたいのではないでしょうか。
数年前まで“都会好きな田舎者”代表のような私が、最近は裏山がある地方物件を検索しているのですから、時の流れというのは不思議なもの。そんな、ちょっぴり都会疲れをしている私に、町長自ら冒頭の台詞をおっしゃるような町での試走のお誘いがあったのです。
様々なモヤモヤを、たまーに乗る自転車で発散している私にとって、渡りに船。大海の木片。地獄に仏…は言い過ぎですね。とにかく、前日は遠足前の小学生のように眠れませんでした。羽田空港から1時間で南紀白浜空港へ。そこから車で30分ほどのところに和歌山県すさみ町がありました。
熊野街道と呼ばれる国道の、海の道。私にとって海沿いの国道にはあまり良い思い出がありません。なぜなら自転車が通れるほどの道幅が確保されていない上、渋滞していることが多いから…。
しかし、ここにはクルマがいない。聞けば、近くを走る紀勢自動車道は南紀田辺IC〜すさみ南ICが無料区間なので、ほとんどのクルマは高速道路を通るそう。素晴らしい景色を眺めながら整備された道をストレスなく走ることが出来るなんて、サイクリストにとっては天国。いえ、普段は自転車に乗らない観光客にとっても、交通量の少なさはポイントが高いのでは?
単純に「青」と表現するには惜しい、日差しの加減で姿を変える幻想的な海。岩に砕ける白い波。緑に覆われた岬を、悠然と眺めながら心地よく愛車を走らせる自分に気づいたのです。
町役場と道の駅2箇所でレンタサイクルが出来るので、海沿いのコースはちょっとしたサイクリングにもオススメ。町役場から道の駅までの道中に、激しい海流がぶつかり、まっぷたつに裂けた波が再びぶつかる婦夫(めおと)波をのぞむオシャレなカフェ「BUSH DE COFFEE」で一息つくのもいいでしょう。レストランやレジャー施設を兼ね備えた「道の駅すさみ」で鰹などの海の幸や名物のイノブタを使ったグルメでおなかを満たせば、町を身近に感じるはずです。
そして本格的なサイクリストや体力に自信がある者は、そこから山へ向かうべき。呼吸の音しか聞こえない山の中。心臓の鼓動まで聞こえてきそうな静寂は、無心へと導いていく。ふと、我に返り見下ろせば、遠くに見えるふもとの景色。絡まった毛糸がほどかれたかのように、頭の中が清々しい。
下り始めると、どこからか小川のせせらぎが聞こえ、水や森の色、木漏れ日、視界に入るものすべてに既視感を覚える。何かの映画で見たのかもしれない。小さな川が日置川と合流して大きな川となった頃には、のどかな日本の風景が広がる。ぽかぽかとした陽気が、ゆったりとした時間の流れが、なんと贅沢なことであろう。
感動に満ち溢れ、胸がいっぱいになっていると、再び海が見えてくる。距離にして、約70km。ここに海・山・川がギュギュっと凝縮されていて、飽きる暇がありません。このコースはサイクリングマップとしても配布されているそうですから、仲間同士で走りに行くのもいいでしょう。
サイクリング大会としては距離が短めでも、獲得標高は900m前後あるので、ロングライドなどのイベントデビューを考えている者にとっては、まずこのルートを完走することで自信につながることでしょう。中・上級者は、集団走行で前の人のお尻しか記憶にない…なんてもったいないことはやめ、たまには立ち止まって景色を眺めたり地元グルメを堪能して、初めてスポーツバイクに乗った時の感動を思い出してはいかがでしょうか。
ともかく、今から11月の大会ですさみ町を再訪するのが楽しみでしかたありません。(日向涼子)
すさみ町推奨サイクリングルートの紹介ムービー
枯木灘サイクリングフェスタ RIDE ON SUSAMI 2017参加者募集概要
募集期間:平成29年7月27日(木)〜平成29年10月20日(金) 定員になり次第〆切ります。
開催場所:すさみ海水浴場 スタート・ゴール
日 程:平成29年11月18日(土)
事前受付、歓迎セレモニー、ゲストトークショー
平成29年11月19日(日)
当日受付、開会式、コース走行、飲食物販、ステージイベント
募集人数:先着400人
参加料:中学生以上5,000円
コース:サイクルアドベンチャーコース(約70km)
主 催:すさみ町サイクリング大会実行委員会
〔構成団体〕すさみ町、白浜町、紀南河川国道事務所、すさみ町商工会、すさみ町観光協会、すさみ町区長連絡協議会、すさみ町商工会女性部、JA紀南すさみ支所女性会、すさみ町体育協会、田辺市サイクリング協会事務局スポーツショップオハナ
【大会規則】本大会はタイムを競うレースではなく、一般参加型のサイクリングイベントして位置付けます。グループごとにスタートし、各グループにはサイクルリーダー(スタッフ)が伴走し、安全な走行管理を行います。またコース上の各ポイントに制限時間を設定し、時間を超えた場合はタイムオーバーとなり走行は続行できないものとします。
その他お問合せ
【大会運営とコースについて】
すさみ町サイクリング大会実行委員会(すさみ町役場産業建設課内)
TEL:0739-55-4806
【受付・申込について】
すさみ町サイクリング大会事務局(東武トップツアーズ紀伊田辺支店内)
TEL:0739-24-2800
メール:info@ride-on-susami.com
和歌山県南部、南紀白浜に近い、太平洋に面したすさみ町。遠いというイメージのあったエリアだが、昨年、紀勢自動車道の南紀白浜IC〜すさみ南ICが開通し、大阪や和歌山市方面からのアクセスが非常に良くなった。そのすさみ町を舞台に誕生するのが「枯木灘サイクリングフェスタ RIDE ON SUSAMI 2017〜ぐるっと自然を大満喫〜」だ。
イベントの開催日は11月18・19日。温暖な南紀の秋に開催される、ルート距離70kmのサイクリングイベントだ。海と山と川、すさみ町の素朴な自然の魅力が詰まったロングライド入門者に最適なイベントを、おなじみ日向涼子さんらと試走してきた模様を織り交ぜつつ紹介しよう。
すさみ町や白浜町など地域団体によって構成される「すさみ町サイクリング大会実行委員会」が主催するこのイベントは、タイムを競わないファンライド形式で行われる。約20名のグループごとにスタートし、各グループには地元のサイクリストがサイクリングリーダー(スタッフ)として先頭、最後尾につき、安全に配慮しつつ、コースを案内しながら走ってくれるという。
またルート途中に設置されるエイドステーションでは、地元食材を使った美味しい食べ物や飲み物が提供される予定だ。この試走では主催スタッフでもある地元サイクリングクラブ「HEZZI」の向井克往さんと出嶋洋昭さん、コースの監修をした「グッド・チャリズム宣言プロジェクト」の韓祐志代表、そして同会メンバーでもある日向涼子さんらの案内で70kmルートのすべてを当日を想定しながら実際に走ってきた(試走は3月下旬に実施)。
スタート地点となるのはすさみ海水浴場。ここから、普段は町が推奨するサイクリングコースともなっている約70kmのライドに出発だ。まずは吉野熊野国立公園に指定されている枯木灘と呼ばれる海岸線ルートへ。
走り出してしばらくは海を右手に見ながらの開放的なシーサイドコース。多少のアップダウンが有るものの、ライドのウォームアップには最適。海とは遠い側の道路の左側を走るのは少し残念だが、「熊野街道」国道42号線は交通量が少なく、とても走りやすい。
少し高台になった恋人岬からは、太平洋の雄大な眺めが楽しめる。「夫婦波」を観れる絶壁の上にテラスをもつカフェ「BUSH DE COFFEE」は大会時はエイドステーションにもなり、お店自慢の洋菓子などを楽しむことができるという。距離が短いライドなので、余裕のある人はここで朝食や早めのティータイムを楽しむのもおすすめだ。
途中にある道の駅イノブータンランド(イノブタはすさみの名産)や道の駅すさみにはサイクルステーションがあり、ポンプなども常備されていいる。仲間と走る際にはエイドストップやトイレ休憩を兼ねて再集合場所にも最適だ。
キラキラ光る太平洋の眺めを堪能した海区間を経て、いよいよコースは内陸、約30kmの山区間へと分け入っていく。その脇には紀勢自動車道のIC入口が。和歌山側からのここまでは無料区間にもなっているため、クルマのほとんどはこの紀勢道を通る。つまりこの紀勢道が開通して以降、サイクリングルート上のクルマの交通量が激減し、一帯は自転車天国になったというわけだ。どうりでここまでの道が走りやすかったことに納得だ。
海岸沿いの江住駅付近から始まる山岳ルートは標高344mまでを一気に登る。道は細く、両側を山に囲まれていて、木の生い繁った緑深い道だ。森の間から海が望めるピークから一度下っていき、再び登りへと差し掛かる。12%の上り勾配を登ったら368mの峠だ。峠にはすずらんの絵と「ようこそ佐本へ!」のメッセージが描かれた素朴な手彫りの看板が待っている。
ここからしばらくは下り。民家が点在する素朴な山里を抜け、小さな川沿いの道へ。流れる川の水は川底まで見えるほど透き通っている。道はあいかわらず細く、森はさらにうっそうと深くなり、原始の自然を感じさせるルートだ。湧き水をボトルに入れるポイントは目立たないが気づいたらぜひストップしたい。
この山岳区間は携帯電話は通じず、お店や自販機なども無い。登り区間、下り区間とも路面面の荒れている箇所が目立ったため、とくに下りは注意しながら走りたい。当日はグループごとにサポートライダーがついてくれるものの、スペアチューブやパンク修理の用意をしておくことと、コンディションの良いタイヤで参加したい。
山岳エリアから下界へと下り、左折して河沿いの道を走る。下り基調の快走ルートへ。上流の宇津木橋や民宿、キャンプ場前にはドリンクの自販機があり(つまりそれ以外には無い)、エイドステーション以外でのドリンク補給ができる。
広々とした道(県道37号線)に出てしばらくの川沿いの名湯「えびね温泉」には入るわけにはいかないだろうが、お腹に余裕があれば名物となっている出汁に温泉を使ったうどんにトライするのもいいだろう。試走当日はここで昼食と大休止をとった。大河となった日置川の眺めが美しい。
広々した道は緩いアップダウンがあるものの、路面にも気を遣わずに走れる川の道。途中クルマの交通量があることろは河原のサイクリングロードなどでつなぎつつ、ふたたび海へと出る。
途中、急な登り返しがあるものの、あとは海岸線を行く海の道。出発したときとは光線の向きが違う、太平洋の海原が陽に輝く様子が眺められるだろう。国道に合流し、スタート地点でもあるすさみ海水浴場へとゴール。
距離70kmで、獲得標高は940m。想定所要時間は4時間30分〜5時間(休憩時間含まず)。短いながらもダイナミックなルートは、遥かな太平洋を臨む海の風景、緑濃い深林を行く山の風景、山に沸く源流とゆったりした大河の川の風景がぎっしり凝縮され、魅力的なものだった。
日向涼子さん「何も無いことこそが何よりの贅沢。すさみに感じた心の原風景」
「ここは何もなくて…」― 地方を訪れると耳にする言葉ですが、そこに住む人達にとっての当たり前が、外の人間には新鮮なもの・ことだったりします。そもそも、都心に住む人間は地方に都会を求めていません。むしろ、澄み渡った静けさだとか、小説に出てくるような自然に触れたいのではないでしょうか。
数年前まで“都会好きな田舎者”代表のような私が、最近は裏山がある地方物件を検索しているのですから、時の流れというのは不思議なもの。そんな、ちょっぴり都会疲れをしている私に、町長自ら冒頭の台詞をおっしゃるような町での試走のお誘いがあったのです。
様々なモヤモヤを、たまーに乗る自転車で発散している私にとって、渡りに船。大海の木片。地獄に仏…は言い過ぎですね。とにかく、前日は遠足前の小学生のように眠れませんでした。羽田空港から1時間で南紀白浜空港へ。そこから車で30分ほどのところに和歌山県すさみ町がありました。
熊野街道と呼ばれる国道の、海の道。私にとって海沿いの国道にはあまり良い思い出がありません。なぜなら自転車が通れるほどの道幅が確保されていない上、渋滞していることが多いから…。
しかし、ここにはクルマがいない。聞けば、近くを走る紀勢自動車道は南紀田辺IC〜すさみ南ICが無料区間なので、ほとんどのクルマは高速道路を通るそう。素晴らしい景色を眺めながら整備された道をストレスなく走ることが出来るなんて、サイクリストにとっては天国。いえ、普段は自転車に乗らない観光客にとっても、交通量の少なさはポイントが高いのでは?
単純に「青」と表現するには惜しい、日差しの加減で姿を変える幻想的な海。岩に砕ける白い波。緑に覆われた岬を、悠然と眺めながら心地よく愛車を走らせる自分に気づいたのです。
町役場と道の駅2箇所でレンタサイクルが出来るので、海沿いのコースはちょっとしたサイクリングにもオススメ。町役場から道の駅までの道中に、激しい海流がぶつかり、まっぷたつに裂けた波が再びぶつかる婦夫(めおと)波をのぞむオシャレなカフェ「BUSH DE COFFEE」で一息つくのもいいでしょう。レストランやレジャー施設を兼ね備えた「道の駅すさみ」で鰹などの海の幸や名物のイノブタを使ったグルメでおなかを満たせば、町を身近に感じるはずです。
そして本格的なサイクリストや体力に自信がある者は、そこから山へ向かうべき。呼吸の音しか聞こえない山の中。心臓の鼓動まで聞こえてきそうな静寂は、無心へと導いていく。ふと、我に返り見下ろせば、遠くに見えるふもとの景色。絡まった毛糸がほどかれたかのように、頭の中が清々しい。
下り始めると、どこからか小川のせせらぎが聞こえ、水や森の色、木漏れ日、視界に入るものすべてに既視感を覚える。何かの映画で見たのかもしれない。小さな川が日置川と合流して大きな川となった頃には、のどかな日本の風景が広がる。ぽかぽかとした陽気が、ゆったりとした時間の流れが、なんと贅沢なことであろう。
感動に満ち溢れ、胸がいっぱいになっていると、再び海が見えてくる。距離にして、約70km。ここに海・山・川がギュギュっと凝縮されていて、飽きる暇がありません。このコースはサイクリングマップとしても配布されているそうですから、仲間同士で走りに行くのもいいでしょう。
サイクリング大会としては距離が短めでも、獲得標高は900m前後あるので、ロングライドなどのイベントデビューを考えている者にとっては、まずこのルートを完走することで自信につながることでしょう。中・上級者は、集団走行で前の人のお尻しか記憶にない…なんてもったいないことはやめ、たまには立ち止まって景色を眺めたり地元グルメを堪能して、初めてスポーツバイクに乗った時の感動を思い出してはいかがでしょうか。
ともかく、今から11月の大会ですさみ町を再訪するのが楽しみでしかたありません。(日向涼子)
すさみ町推奨サイクリングルートの紹介ムービー
枯木灘サイクリングフェスタ RIDE ON SUSAMI 2017参加者募集概要
募集期間:平成29年7月27日(木)〜平成29年10月20日(金) 定員になり次第〆切ります。
開催場所:すさみ海水浴場 スタート・ゴール
日 程:平成29年11月18日(土)
事前受付、歓迎セレモニー、ゲストトークショー
平成29年11月19日(日)
当日受付、開会式、コース走行、飲食物販、ステージイベント
募集人数:先着400人
参加料:中学生以上5,000円
コース:サイクルアドベンチャーコース(約70km)
主 催:すさみ町サイクリング大会実行委員会
〔構成団体〕すさみ町、白浜町、紀南河川国道事務所、すさみ町商工会、すさみ町観光協会、すさみ町区長連絡協議会、すさみ町商工会女性部、JA紀南すさみ支所女性会、すさみ町体育協会、田辺市サイクリング協会事務局スポーツショップオハナ
【大会規則】本大会はタイムを競うレースではなく、一般参加型のサイクリングイベントして位置付けます。グループごとにスタートし、各グループにはサイクルリーダー(スタッフ)が伴走し、安全な走行管理を行います。またコース上の各ポイントに制限時間を設定し、時間を超えた場合はタイムオーバーとなり走行は続行できないものとします。
その他お問合せ
【大会運営とコースについて】
すさみ町サイクリング大会実行委員会(すさみ町役場産業建設課内)
TEL:0739-55-4806
【受付・申込について】
すさみ町サイクリング大会事務局(東武トップツアーズ紀伊田辺支店内)
TEL:0739-24-2800
メール:info@ride-on-susami.com
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