2016/06/26(日) - 11:30
6月11日~12日にかけて行われた、日本最大のヒルクライムイベント「Mt.富士ヒルクライム」(以下、富士ヒルクライム)。その中から、主催者によって選ばれた約100名のアスリートたちが出走した主催者選抜クラスの上位陣の愛車を紹介しよう。
1位 森本誠さん(GOKISO)パーリー Altum
序盤からの逃げに乗り、大会新記録を打ち立てる走りで優勝を飾った森本誠さん(GOKISO)。その走りを支えた愛車はアメリカのプレミアムカーボンバイクブランド、パーリーのオールラウンドモデル「Altum」。フレームセット750g、フォーク280gという軽量性と剛性感と快適性を高いレベルで融合させたフレームだ。
コンポーネントはスラムRED22。「実は電動コンポで何度か勝負所でチェーンを落としたことがあったので、自分で感覚を掴みやすい機械式にしています」と森本さん。コックピット回りやシートピラーもジップを中心にアメリカンブランドでまとめあげた。一方で、クランクはスギノのスクエアテーパー仕様のモデル。これはゴキソのボトムブラケットを使用するためのチョイスだ。
ホイールももちろんゴキソのカーボンホイール。組み合わせられるタイヤはコンチネンタルのスーパーソニックにラテックスチューブを入れたもの。この足まわりについては「ゴキソ推奨の組み合わせですが、実際に転がりも軽いのでタイムに繋がっていると思います」。
ギア比はフロント50-34T、リア12-25T。「タイムや出力がどれだけ出ているかを競っているのではなく、勝つか負けるか。数値を見ていても大切な局面で動くことができないですから」とのことでサイクルコンピューターは装着せず。
2位 兼松大和さん(TeamGreenRoad )スコット ADDICT-SL
自らアタックを仕掛けることで今回のレースの展開を作り上げ、コースレコードに迫るタイムで2位に入った兼松さん。「今年は中村龍太郎選手と才田直人選手をどうやって切り離すかを考えていました。二人で逃げている最中は、森本さんの引きが強力だったので、最後のスプリント勝負では脚が残ってなかったですね」とレースを振り返った。
愛車は昨年に引き続きスコットの山岳モデル ADDICT-SL。パーツ構成も駆動系は軽さを重視しスラムのRED22に、ブレーキにKCNCの超軽量モデルを組み合わせている。歯数構成はフロント50-34T、リア12-25T。猛烈な回転の軽さを誇るマヴィックのペダルは兼松さんが「師匠」と呼ぶ方の手によりチューニングが施されたもの。そしてシートポストも「師匠」作の超軽量モデルなのだとか。
ホイールはライトウェイトの予定だったところ、前輪が前日にパンクしてしまい急きょロードレースで使用しているホイールにスイッチしたという。ちなみにこの前輪は大阪のプロショップ「のむラボ」のオリジナルホイールとのこと。
今年は昨年より体重も3kgほど増やし、パワーの向上を図っていたという。最後はスプリント勝負になると考え、昨年は巻いていなかったバーテープもグリップ重視のリザードスキンを使用していた。兼松さんもサイクルコンピューターは非使用だ。
3位 田崎友康さん(Ft麒麟山レーシング)ヨネックス CARBONEX
昨年に続き3位となった田崎さん。森本さんと兼松さんの2人の逃げを吸収こそできなかったものの、集団の頭をきっちりと獲るのは、流石過去2度の優勝経験がある田崎さんだからこそと言えよう。愛車は去年と変わらず、ヨネックスのCARBONEXだ。
田崎さんの地元、新潟で作られるフレームは超軽量バイクというイメージが先行しがちだが、実はどんな勾配やケイデンスにも対応してくれる優れものだという。軽さの中に、クロモリのようなバネ感ある走りが魅力的なんだとか。
ホイールは長年愛用しているというエッジ(現エンヴィ)。「シクロクロスレースでも使えるという頑丈さがいいですね」と田崎さん。コンポーネントはスラムREDで、奇しくも表彰台はスラムで占められることに。フロントは軽量化のためにシングルとされる。歯数はフロント42Tのリア12-25Tと、他の選手に比べると重めのギア比か。
ヴェロトーゼのシューズカバーやバレットのTT用のスキンスーツなど、1秒を縮めるために必要な装備はすべて投入。極めつけは、ボトルケージをシートチューブに付けるというところ。「たまたま見ていた『チャリダー★』(NHKの自転車番組)でこうすると数Wの空力効果があるということだったので取り入れてみました」と語る田崎さん。少しでも速くなるための姿勢は参考に出来るところも多いはずだ。
4位 渡辺佑樹さん(teamSONIC)キャノンデール SUPERSIX EVO
「あまり飛び道具のようなパーツは使わず、堅実に仕上げています。」と語るのは4位に入った渡辺さんの愛車は、これぞヒルクライムバイク!というイメージのキャノンデール SUPERSIX EVO。マスプロメーカーでは初めてアンダー700gを実現した一台だ。
コンポーネントはワイヤー式のシマノ デュラエース。「トータル重量でDi2の方が軽いのは知っているんですけど、やっぱり何があっても最後まで走りたいのでトラブル時の対応がしやすいワイヤー式にしています」と渡辺さん。
ホイールもコンポ同様にシマノのWH-9000-C24-TUを使用。手持ちで一番軽いホイールを富士ヒルクライムに持ち込んだとのことだ。タイヤもヴィットリアのCORSA CXで、極端な軽量モデルは使用していないのは、「数gの軽量化のせいでパンクしてしまってゴールできないより、信頼性を重視したいんです」という渡辺さんのスタイルの表れ。目立つ軽量化といえば、クイックレリーズをシマノ純正からエンヴィの物に交換しているくらいだろうか。
体重を乗せながら高回転で登るという渡辺さんは、セットバック5mmのシートポストに、サドルを目いっぱい前に出している。ギア構成は50-34Tの12-28Tで、レース中は100回転近く回していたとのこと。
5位 板子佑士さん(ライフライド)スコット ADDICT-SL
「軽くて安いパーツを集めました!」という板子さんの愛車は2位の兼松さんと同じくスコットの軽量モデルADDICT-SL。コンポーネントは友人から譲り受けたという10速のスラム RED。クランクはローターの3Dにチェーンリングはストロングライトを組み合わせている。
歯数構成はフロント50-34T、リア12-23Tで少し重め。「スバルラインならリア23Tでも問題ないですね」と板子さん。ホイールはジップのヒルクライムモデル202だが、ハブをTNIのウィングハブのセラミックベアリングモデルに組み替えているという。
前後でタイヤが異なるのは、前日にリアタイヤがパンクしているのが判明したからという。「急きょヴィットリアさんのブースでタイヤを貼っていただいて助かりました。新型CORSAはとても良い感触でした」とのことだ。
目を引くのはMcfkのフルカーボンサドルだが、本人いわく「痛い」。「でも、ダンシングの振りは明らかに軽いですし、ヒルクライムならそんな問題になるほど乗らないので大丈夫です」と続けた。サイクルコンピューターはガーミンのEDGE500を装着するものの、センサー類は使わず、GPS計測のみとのこと。
6位 田中裕士さん(グランペール)スペシャライズド S-Works TarmacSL3
6位に入った田中さんの愛車は2010年モデルのスペシャライズド S-Works Tarmac SL3だ。ブラックメインのフレームにレッドの差し色が効果的に配置され、レーシーな雰囲気を纏った一台に仕上がっていた。「硬めのフレームが好きなんですが、重量があるフレームなのでシートピラーやブレーキで軽量パーツを使っています。」と田中さんが語る通り、シートピラーはMcfk、ブレーキはKCNCという超軽量仕様だ。
コンポーネントは1世代前のシマノ デュラエース。クランクのみ最新モデルを使用し、パイオニアのパワーメーターを取り付けている。ギア構成はフロント50-34T、リア12-27T。「本当はかなり重めのギアをトルクを掛けながら踏むのが好きなんですが、この間あざみラインを走ってきたのでこのギア比になっています」と田中さん。
ホイールはマヴィックのアルミリムのフラッグシップモデルであるR-SYS。「本当はカーボンホイールも持っているのですが、シューが無くなっちゃって(笑)。でも、今年はこのホイールで成績を残せています」という。「調子はかなり良くって、今日はいけるかも?と思っていたんですが、壁は厚かったですね。スプリントを勉強して、来年リベンジしたいです!」と抱負を語っていただいた。
7位 武田祥典さん(桜高校軽音部)スペシャライズド S-Works TarmacSL4
海外選手のような大きなサイズのフレームがカッコいい武田さんの愛車は、スペシャライズドの S-Works TarmacSL4。前下がりになったサドルが目を引くが、これも考えあってのこと。「平均斜度に合わせて、前下がりにしているんです。ブラケットも登りの勾配で自然に感じられるような角度に調整しています」と理論派の顔を覗かせる。
普段のヒルクライムレースではより軽量なコリマのカーボンホイールを使っているが、富士ヒルクライムは斜度も緩く、勾配の変化も穏やかなので回転抵抗に優れるゴキソをチョイスしたという。「登りで一旦千切れた人に、最後の平坦区間で追いつくことができたのはゴキソのおかげです。」とその効果を振り返った。
コンポーネントは10速の機械式デュラエース。他に持っているバイクも全て10速だそう。歯数構成はフロント52-39T、リア12-28Tという組み合わせで、選抜クラス入賞者では唯一のノーマルクランク使用者だった。なんと、基本的にアウターで登っていたと言う武田さん、70回転ほどのケイデンスでぐいぐいと踏みこむタイプなんだとか。
トップチューブには斜度の変化を1kmごとに記したメモを貼付し、先の展開を常に把握していたという。普段はパワーメーターを使っているが、今日はシンプルにスピードを表示する機能に焦点を絞ったキャットアイのSTRADA SLIMを距離を把握するために装着していた。
8位 星野貴也さん(COW GUMMA)TOYO HYBRID ROAD
上位陣のうちで唯一のスチールバイクを駆った星野さん。普段は実業団をE2で走る星野さんを支えるのは南大阪の名ビルダー東洋フレームのカーボンとスチールのハイブリッドモデル。スチール製のヘッドチューブおよび後ろ三角をトップチューブとダウンチューブのカーボンパイプでつなぐという独創性にあふれた一台である。
「TOYOの溶接技術やバイクに対する哲学がとてもカッコいいなと思って」とこのバイクをオーダーした理由を語る星野さん。実際に乗ってみるとレースユースでも十分に応えてくれるし、後半に脚が残るフレームなんだとか。
コンポーネントは機械式のアルテグラで、チェーンリングとブレーキだけデュラエースに換装している。フロントは52-39T、リア12-25Tとオーソドックスな組み合わせだ。機械式を使う理由は、変速している感覚が好みだからという。「きちんと組み付けていれば十分軽いですし、充電の手間もいらないので」とのことだ。
ホイールはシマノのWH-9000-C24-TU。いわゆる決戦用ホイールでヒルクライムに限らずレースにはこのホイールで出ているという。ダンシング時のリズム感がしっくり来るとのことだ。ステムとシートポストがシルバーなのは、こだわりのおしゃれポイント。特にステムはホワイトの塗装を剥いでシルバーにしているというこだわりっぷりでした。
text&photo:Naoki.YASUOKA
1位 森本誠さん(GOKISO)パーリー Altum
序盤からの逃げに乗り、大会新記録を打ち立てる走りで優勝を飾った森本誠さん(GOKISO)。その走りを支えた愛車はアメリカのプレミアムカーボンバイクブランド、パーリーのオールラウンドモデル「Altum」。フレームセット750g、フォーク280gという軽量性と剛性感と快適性を高いレベルで融合させたフレームだ。
コンポーネントはスラムRED22。「実は電動コンポで何度か勝負所でチェーンを落としたことがあったので、自分で感覚を掴みやすい機械式にしています」と森本さん。コックピット回りやシートピラーもジップを中心にアメリカンブランドでまとめあげた。一方で、クランクはスギノのスクエアテーパー仕様のモデル。これはゴキソのボトムブラケットを使用するためのチョイスだ。
ホイールももちろんゴキソのカーボンホイール。組み合わせられるタイヤはコンチネンタルのスーパーソニックにラテックスチューブを入れたもの。この足まわりについては「ゴキソ推奨の組み合わせですが、実際に転がりも軽いのでタイムに繋がっていると思います」。
ギア比はフロント50-34T、リア12-25T。「タイムや出力がどれだけ出ているかを競っているのではなく、勝つか負けるか。数値を見ていても大切な局面で動くことができないですから」とのことでサイクルコンピューターは装着せず。
2位 兼松大和さん(TeamGreenRoad )スコット ADDICT-SL
自らアタックを仕掛けることで今回のレースの展開を作り上げ、コースレコードに迫るタイムで2位に入った兼松さん。「今年は中村龍太郎選手と才田直人選手をどうやって切り離すかを考えていました。二人で逃げている最中は、森本さんの引きが強力だったので、最後のスプリント勝負では脚が残ってなかったですね」とレースを振り返った。
愛車は昨年に引き続きスコットの山岳モデル ADDICT-SL。パーツ構成も駆動系は軽さを重視しスラムのRED22に、ブレーキにKCNCの超軽量モデルを組み合わせている。歯数構成はフロント50-34T、リア12-25T。猛烈な回転の軽さを誇るマヴィックのペダルは兼松さんが「師匠」と呼ぶ方の手によりチューニングが施されたもの。そしてシートポストも「師匠」作の超軽量モデルなのだとか。
ホイールはライトウェイトの予定だったところ、前輪が前日にパンクしてしまい急きょロードレースで使用しているホイールにスイッチしたという。ちなみにこの前輪は大阪のプロショップ「のむラボ」のオリジナルホイールとのこと。
今年は昨年より体重も3kgほど増やし、パワーの向上を図っていたという。最後はスプリント勝負になると考え、昨年は巻いていなかったバーテープもグリップ重視のリザードスキンを使用していた。兼松さんもサイクルコンピューターは非使用だ。
3位 田崎友康さん(Ft麒麟山レーシング)ヨネックス CARBONEX
昨年に続き3位となった田崎さん。森本さんと兼松さんの2人の逃げを吸収こそできなかったものの、集団の頭をきっちりと獲るのは、流石過去2度の優勝経験がある田崎さんだからこそと言えよう。愛車は去年と変わらず、ヨネックスのCARBONEXだ。
田崎さんの地元、新潟で作られるフレームは超軽量バイクというイメージが先行しがちだが、実はどんな勾配やケイデンスにも対応してくれる優れものだという。軽さの中に、クロモリのようなバネ感ある走りが魅力的なんだとか。
ホイールは長年愛用しているというエッジ(現エンヴィ)。「シクロクロスレースでも使えるという頑丈さがいいですね」と田崎さん。コンポーネントはスラムREDで、奇しくも表彰台はスラムで占められることに。フロントは軽量化のためにシングルとされる。歯数はフロント42Tのリア12-25Tと、他の選手に比べると重めのギア比か。
ヴェロトーゼのシューズカバーやバレットのTT用のスキンスーツなど、1秒を縮めるために必要な装備はすべて投入。極めつけは、ボトルケージをシートチューブに付けるというところ。「たまたま見ていた『チャリダー★』(NHKの自転車番組)でこうすると数Wの空力効果があるということだったので取り入れてみました」と語る田崎さん。少しでも速くなるための姿勢は参考に出来るところも多いはずだ。
4位 渡辺佑樹さん(teamSONIC)キャノンデール SUPERSIX EVO
「あまり飛び道具のようなパーツは使わず、堅実に仕上げています。」と語るのは4位に入った渡辺さんの愛車は、これぞヒルクライムバイク!というイメージのキャノンデール SUPERSIX EVO。マスプロメーカーでは初めてアンダー700gを実現した一台だ。
コンポーネントはワイヤー式のシマノ デュラエース。「トータル重量でDi2の方が軽いのは知っているんですけど、やっぱり何があっても最後まで走りたいのでトラブル時の対応がしやすいワイヤー式にしています」と渡辺さん。
ホイールもコンポ同様にシマノのWH-9000-C24-TUを使用。手持ちで一番軽いホイールを富士ヒルクライムに持ち込んだとのことだ。タイヤもヴィットリアのCORSA CXで、極端な軽量モデルは使用していないのは、「数gの軽量化のせいでパンクしてしまってゴールできないより、信頼性を重視したいんです」という渡辺さんのスタイルの表れ。目立つ軽量化といえば、クイックレリーズをシマノ純正からエンヴィの物に交換しているくらいだろうか。
体重を乗せながら高回転で登るという渡辺さんは、セットバック5mmのシートポストに、サドルを目いっぱい前に出している。ギア構成は50-34Tの12-28Tで、レース中は100回転近く回していたとのこと。
5位 板子佑士さん(ライフライド)スコット ADDICT-SL
「軽くて安いパーツを集めました!」という板子さんの愛車は2位の兼松さんと同じくスコットの軽量モデルADDICT-SL。コンポーネントは友人から譲り受けたという10速のスラム RED。クランクはローターの3Dにチェーンリングはストロングライトを組み合わせている。
歯数構成はフロント50-34T、リア12-23Tで少し重め。「スバルラインならリア23Tでも問題ないですね」と板子さん。ホイールはジップのヒルクライムモデル202だが、ハブをTNIのウィングハブのセラミックベアリングモデルに組み替えているという。
前後でタイヤが異なるのは、前日にリアタイヤがパンクしているのが判明したからという。「急きょヴィットリアさんのブースでタイヤを貼っていただいて助かりました。新型CORSAはとても良い感触でした」とのことだ。
目を引くのはMcfkのフルカーボンサドルだが、本人いわく「痛い」。「でも、ダンシングの振りは明らかに軽いですし、ヒルクライムならそんな問題になるほど乗らないので大丈夫です」と続けた。サイクルコンピューターはガーミンのEDGE500を装着するものの、センサー類は使わず、GPS計測のみとのこと。
6位 田中裕士さん(グランペール)スペシャライズド S-Works TarmacSL3
6位に入った田中さんの愛車は2010年モデルのスペシャライズド S-Works Tarmac SL3だ。ブラックメインのフレームにレッドの差し色が効果的に配置され、レーシーな雰囲気を纏った一台に仕上がっていた。「硬めのフレームが好きなんですが、重量があるフレームなのでシートピラーやブレーキで軽量パーツを使っています。」と田中さんが語る通り、シートピラーはMcfk、ブレーキはKCNCという超軽量仕様だ。
コンポーネントは1世代前のシマノ デュラエース。クランクのみ最新モデルを使用し、パイオニアのパワーメーターを取り付けている。ギア構成はフロント50-34T、リア12-27T。「本当はかなり重めのギアをトルクを掛けながら踏むのが好きなんですが、この間あざみラインを走ってきたのでこのギア比になっています」と田中さん。
ホイールはマヴィックのアルミリムのフラッグシップモデルであるR-SYS。「本当はカーボンホイールも持っているのですが、シューが無くなっちゃって(笑)。でも、今年はこのホイールで成績を残せています」という。「調子はかなり良くって、今日はいけるかも?と思っていたんですが、壁は厚かったですね。スプリントを勉強して、来年リベンジしたいです!」と抱負を語っていただいた。
7位 武田祥典さん(桜高校軽音部)スペシャライズド S-Works TarmacSL4
海外選手のような大きなサイズのフレームがカッコいい武田さんの愛車は、スペシャライズドの S-Works TarmacSL4。前下がりになったサドルが目を引くが、これも考えあってのこと。「平均斜度に合わせて、前下がりにしているんです。ブラケットも登りの勾配で自然に感じられるような角度に調整しています」と理論派の顔を覗かせる。
普段のヒルクライムレースではより軽量なコリマのカーボンホイールを使っているが、富士ヒルクライムは斜度も緩く、勾配の変化も穏やかなので回転抵抗に優れるゴキソをチョイスしたという。「登りで一旦千切れた人に、最後の平坦区間で追いつくことができたのはゴキソのおかげです。」とその効果を振り返った。
コンポーネントは10速の機械式デュラエース。他に持っているバイクも全て10速だそう。歯数構成はフロント52-39T、リア12-28Tという組み合わせで、選抜クラス入賞者では唯一のノーマルクランク使用者だった。なんと、基本的にアウターで登っていたと言う武田さん、70回転ほどのケイデンスでぐいぐいと踏みこむタイプなんだとか。
トップチューブには斜度の変化を1kmごとに記したメモを貼付し、先の展開を常に把握していたという。普段はパワーメーターを使っているが、今日はシンプルにスピードを表示する機能に焦点を絞ったキャットアイのSTRADA SLIMを距離を把握するために装着していた。
8位 星野貴也さん(COW GUMMA)TOYO HYBRID ROAD
上位陣のうちで唯一のスチールバイクを駆った星野さん。普段は実業団をE2で走る星野さんを支えるのは南大阪の名ビルダー東洋フレームのカーボンとスチールのハイブリッドモデル。スチール製のヘッドチューブおよび後ろ三角をトップチューブとダウンチューブのカーボンパイプでつなぐという独創性にあふれた一台である。
「TOYOの溶接技術やバイクに対する哲学がとてもカッコいいなと思って」とこのバイクをオーダーした理由を語る星野さん。実際に乗ってみるとレースユースでも十分に応えてくれるし、後半に脚が残るフレームなんだとか。
コンポーネントは機械式のアルテグラで、チェーンリングとブレーキだけデュラエースに換装している。フロントは52-39T、リア12-25Tとオーソドックスな組み合わせだ。機械式を使う理由は、変速している感覚が好みだからという。「きちんと組み付けていれば十分軽いですし、充電の手間もいらないので」とのことだ。
ホイールはシマノのWH-9000-C24-TU。いわゆる決戦用ホイールでヒルクライムに限らずレースにはこのホイールで出ているという。ダンシング時のリズム感がしっくり来るとのことだ。ステムとシートポストがシルバーなのは、こだわりのおしゃれポイント。特にステムはホワイトの塗装を剥いでシルバーにしているというこだわりっぷりでした。
text&photo:Naoki.YASUOKA
Amazon.co.jp