2016/05/24(火) - 08:59
今年も富士見高原スキー場を舞台に、2日間のMTBイベント「アキグリーンカップ」が開催された。21回目を迎えた老舗イベントは、今年も新緑と晴天、参加者の笑顔に恵まれたハッピーイベントになった。
早朝の中央道を抜けて会場に到着すると、暖かな日差しと少しひんやりとした清涼な空気が私を包み込む。関東で夏日が報道されたこの日、長野県諏訪郡富士見町、標高1250mにある富士見高原スキー場は気持ちの良い絶好のアウトドア日和だった。
ルイガノやコナの正規販売代理店としてお馴染みのアキコーポレーションが主催する「AKI GREEN CUP Festival(アキグリーンカップ)」は、「初心者から上級者、ファミリーや仲間で楽しめる1年に一度のスポーツサイクル運動会」というテーマで毎年開催されている、マウンテンバイカーにとっては定番の人気イベントだ。
XC系からDH、下り系MTBにロード、クロスバイク、シクロクロスバイクまで幅広い車種やアパレル、アクセサリーを取り扱い、井手川直樹や永田隼也選手らを擁するアキファクトリーチームをサポートするなど、オフロード系に力を入れる同社が主催とあって、とにかくこのイベントは参加種目が豊富に用意されていることが特徴で、そのほとんどが初心者でも気軽に楽しめるよう配慮されているのだ。
だから会場にはフルフェイスヘルメット+DHジャージの下り系ライダーもいれば、レーシングジャージに身を包んだクロカン系ライダー、そして賑やかなキッズに応援やギャラリーの方々まで、ありとあらゆるジャンルの方々が入り混じっている。この日は各地で自転車イベントが開催され、参加人数に影響があるのでは……と心配していたのだが、そんな心配は全く無用だった。さすが「ルイガノカップ」時代から人気の老舗イベント。国内ではロードと比べてMTBは盛り上がらないという話は常々聞くが、いやいや、それを吹き飛ばすような勢いが会場にはあった。
試走を経て、8時45分には第1種目の「キッズクロスカントリー低学年男子」が号砲とともにスタートし、元気いっぱいのキッズライダーたちがコースに駆け出していく。初日はクロスカントリーレースや耐久レース、2日目はロングライドレース、ツーリングを中心に様々な競技が同時進行で開催され、まさにフェスティバルという名がピッタリだ。
今大会の新しい試みとしては、SLmediaが運営するDHレース「ダウンヒルシリーズ」がアキグリーンカップとコラボレーションして開催されていたことだろう。ただ、通常のダウンヒルシリーズとは違い、気軽にエントリーできる下り系計測会の「お試し版」として、XCバイクでもトライできるショートレイアウトが採用されていた。
それが功を奏し、およそ20名の小学生ライダーが参加したり、エントリーの8割が初参加だったりと大成功だったようす。そして最高峰クラスに参加したトップ選手の走りにキッズたちは目線釘付け。もともとクロスカントリーとダウンヒル系の距離が近いイベントだっただけに、ジャンルの垣根を越える取り組みは素晴らしいな、と感じる。
下り系レースと言えばもう一つ、ストライダーを使った3歳〜6歳児向けの世界で初めてのダウンヒルレース(笑)「井手川直樹のストライダースーパーダウンヒル」が開催されたことも話題で、1000分の1秒まで計測できるシステムや、スタート台の用意など、本気度が最高。
「芝が柔らかいから転んでも安心だな」と思っていたものの、そもそも誰も転ばない上にみんなめちゃくちゃに速くて上手い!井手川選手も思わず笑ってしまうほどのアツ過ぎるバトルに、お父さんお母さんはもちろん、会場も大きく盛り上がったのだった。
ツアーガイドによるMTBトレイルツーリングに参加 帰りはバスで楽チンライド
大会2日目には富士見高原から下り基調のトレイルをガイドと楽しむイージーライドが開催され、筆者も参加させて頂くことにした。ガイドを務めてくれたのは「やっちゃん」こと丸山八智代さんと、Happy Trailの佐藤弘さんだ。
ツアーはMTB経験者と初心者/未経験者に分けた上で事前にみっちりと講習会が行われ、そこで習ったテクニックをツアーで実践できるという2段構えのありがたい設定。親子ライダーを中心に、MTB初体験の女性など、およそ20人が集まった。その中にはコナやルイガノのバイクを製造している台湾の工場の方(勝手に工場長と名付けられていた笑)も。
コースは清々しい新緑を貫くダブルトラックを通り、映画やドラマの撮影地としても使われる、八ヶ岳や南アルプスを一望できる牧草地にゴールするもの。短距離ながら景色や路面が常に変化するため、ゆっくり走っても全く飽きがこない。途中には八智代さんの山菜講座もあったりして、都会では絶対味わえない大自然にツアーご一向は感動しきりだ。
最初はおっかなびっくりだった女性も、ツアー後半には「もっと下りをビュンビュン飛ばしてみたい!」と言ってしまうほどの成長ぶりで、見ているこちらまで嬉しくなってしまう。そうそう、これこれ。MTBの魅力って、ゆっくりと走るだけでも自然と笑顔になってしまうことなんですよね。
ちなみにマイMTBを所有していない筆者は、コナのフルサス29erバイク「HEI HEI DL TRAIL」の試乗車をレンタル。簡単にインプレを加えておくと、軽量なアルミフレームは走りが軽く、コーナーでかなり深くまで倒し込んでもまだまだ余裕があるような懐の広さが特徴の一台。純然なレースバイクとは異なる安定感で、下りはもちろん登りも全く苦にならない走り心地を味わえた。これでフレーム173,000円であればコストパフォーマンスは相当に高いのでは?と思う。
ゴール地点に到着すれば、会場までの登りはバスに乗り込んで楽々クリア。私が2年前に参加した時には復路の登りが結構キツかった(標高が高いことも理由の一つ)思いがあるので、このサービスは最高にありがたい。MTBの美味しいとこだけを体験できる、という面でも初心者にピッタリだと思う。
2日間を通して感じたのは、アットホームで暖かい雰囲気と、初心者・入門者にやさしいイベント種目の数々。さりとて本格派も満足な種目もたっぷり用意され、複数エントリーで体力の限界に挑戦できるほどフル参戦することも可能だ。「日本ではMTBが下火」と言われて久しいが、いやいや、会場の雰囲気と熱気はとても質の高いものだった。
この記事を読んで興味を持った方、特にMTBに乗ったことは無いけれど、興味を持っているという方は、ぜひ来年大会のスケジュール発表を心待ちにしていてほしい。MTBとは自然の中でこそ楽しさが引き出されるファンツール。その素質を存分に感じることのできる素敵なイベントが、このアキグリーンカップだ。
text&photo:So.Isobe
早朝の中央道を抜けて会場に到着すると、暖かな日差しと少しひんやりとした清涼な空気が私を包み込む。関東で夏日が報道されたこの日、長野県諏訪郡富士見町、標高1250mにある富士見高原スキー場は気持ちの良い絶好のアウトドア日和だった。
ルイガノやコナの正規販売代理店としてお馴染みのアキコーポレーションが主催する「AKI GREEN CUP Festival(アキグリーンカップ)」は、「初心者から上級者、ファミリーや仲間で楽しめる1年に一度のスポーツサイクル運動会」というテーマで毎年開催されている、マウンテンバイカーにとっては定番の人気イベントだ。
XC系からDH、下り系MTBにロード、クロスバイク、シクロクロスバイクまで幅広い車種やアパレル、アクセサリーを取り扱い、井手川直樹や永田隼也選手らを擁するアキファクトリーチームをサポートするなど、オフロード系に力を入れる同社が主催とあって、とにかくこのイベントは参加種目が豊富に用意されていることが特徴で、そのほとんどが初心者でも気軽に楽しめるよう配慮されているのだ。
だから会場にはフルフェイスヘルメット+DHジャージの下り系ライダーもいれば、レーシングジャージに身を包んだクロカン系ライダー、そして賑やかなキッズに応援やギャラリーの方々まで、ありとあらゆるジャンルの方々が入り混じっている。この日は各地で自転車イベントが開催され、参加人数に影響があるのでは……と心配していたのだが、そんな心配は全く無用だった。さすが「ルイガノカップ」時代から人気の老舗イベント。国内ではロードと比べてMTBは盛り上がらないという話は常々聞くが、いやいや、それを吹き飛ばすような勢いが会場にはあった。
試走を経て、8時45分には第1種目の「キッズクロスカントリー低学年男子」が号砲とともにスタートし、元気いっぱいのキッズライダーたちがコースに駆け出していく。初日はクロスカントリーレースや耐久レース、2日目はロングライドレース、ツーリングを中心に様々な競技が同時進行で開催され、まさにフェスティバルという名がピッタリだ。
今大会の新しい試みとしては、SLmediaが運営するDHレース「ダウンヒルシリーズ」がアキグリーンカップとコラボレーションして開催されていたことだろう。ただ、通常のダウンヒルシリーズとは違い、気軽にエントリーできる下り系計測会の「お試し版」として、XCバイクでもトライできるショートレイアウトが採用されていた。
それが功を奏し、およそ20名の小学生ライダーが参加したり、エントリーの8割が初参加だったりと大成功だったようす。そして最高峰クラスに参加したトップ選手の走りにキッズたちは目線釘付け。もともとクロスカントリーとダウンヒル系の距離が近いイベントだっただけに、ジャンルの垣根を越える取り組みは素晴らしいな、と感じる。
下り系レースと言えばもう一つ、ストライダーを使った3歳〜6歳児向けの世界で初めてのダウンヒルレース(笑)「井手川直樹のストライダースーパーダウンヒル」が開催されたことも話題で、1000分の1秒まで計測できるシステムや、スタート台の用意など、本気度が最高。
「芝が柔らかいから転んでも安心だな」と思っていたものの、そもそも誰も転ばない上にみんなめちゃくちゃに速くて上手い!井手川選手も思わず笑ってしまうほどのアツ過ぎるバトルに、お父さんお母さんはもちろん、会場も大きく盛り上がったのだった。
ツアーガイドによるMTBトレイルツーリングに参加 帰りはバスで楽チンライド
大会2日目には富士見高原から下り基調のトレイルをガイドと楽しむイージーライドが開催され、筆者も参加させて頂くことにした。ガイドを務めてくれたのは「やっちゃん」こと丸山八智代さんと、Happy Trailの佐藤弘さんだ。
ツアーはMTB経験者と初心者/未経験者に分けた上で事前にみっちりと講習会が行われ、そこで習ったテクニックをツアーで実践できるという2段構えのありがたい設定。親子ライダーを中心に、MTB初体験の女性など、およそ20人が集まった。その中にはコナやルイガノのバイクを製造している台湾の工場の方(勝手に工場長と名付けられていた笑)も。
コースは清々しい新緑を貫くダブルトラックを通り、映画やドラマの撮影地としても使われる、八ヶ岳や南アルプスを一望できる牧草地にゴールするもの。短距離ながら景色や路面が常に変化するため、ゆっくり走っても全く飽きがこない。途中には八智代さんの山菜講座もあったりして、都会では絶対味わえない大自然にツアーご一向は感動しきりだ。
最初はおっかなびっくりだった女性も、ツアー後半には「もっと下りをビュンビュン飛ばしてみたい!」と言ってしまうほどの成長ぶりで、見ているこちらまで嬉しくなってしまう。そうそう、これこれ。MTBの魅力って、ゆっくりと走るだけでも自然と笑顔になってしまうことなんですよね。
ちなみにマイMTBを所有していない筆者は、コナのフルサス29erバイク「HEI HEI DL TRAIL」の試乗車をレンタル。簡単にインプレを加えておくと、軽量なアルミフレームは走りが軽く、コーナーでかなり深くまで倒し込んでもまだまだ余裕があるような懐の広さが特徴の一台。純然なレースバイクとは異なる安定感で、下りはもちろん登りも全く苦にならない走り心地を味わえた。これでフレーム173,000円であればコストパフォーマンスは相当に高いのでは?と思う。
ゴール地点に到着すれば、会場までの登りはバスに乗り込んで楽々クリア。私が2年前に参加した時には復路の登りが結構キツかった(標高が高いことも理由の一つ)思いがあるので、このサービスは最高にありがたい。MTBの美味しいとこだけを体験できる、という面でも初心者にピッタリだと思う。
2日間を通して感じたのは、アットホームで暖かい雰囲気と、初心者・入門者にやさしいイベント種目の数々。さりとて本格派も満足な種目もたっぷり用意され、複数エントリーで体力の限界に挑戦できるほどフル参戦することも可能だ。「日本ではMTBが下火」と言われて久しいが、いやいや、会場の雰囲気と熱気はとても質の高いものだった。
この記事を読んで興味を持った方、特にMTBに乗ったことは無いけれど、興味を持っているという方は、ぜひ来年大会のスケジュール発表を心待ちにしていてほしい。MTBとは自然の中でこそ楽しさが引き出されるファンツール。その素質を存分に感じることのできる素敵なイベントが、このアキグリーンカップだ。
text&photo:So.Isobe