8月10日、女子自転車チームReady Go JAPANは、本拠地の千葉県成田市で、通算8回目となるトライアウトを実施した。日本では数少ない女子チームの活動について、チーム代表の須藤むつみさんのお話を交えてレポートする。



千葉県成田市で開催された、通算8回目となるRGJトライアウト千葉県成田市で開催された、通算8回目となるRGJトライアウト
結成から6年目を迎えた「Ready Go JAPAN(レディー・ゴージャパン/以下RGJ)」。女子による日本初のUCI登録チームを目指すという目標のもと活動する同チームは、毎年、新加入選手を募集する「トライアウト」を実施している。トライアウトとは、いうなれば入団テスト。会場となるのは、自転車イベントでお馴染みの下総フレンドリーパーク。RGJはチーム結成以来、この場所でトライアウトを行っている。

スタート前、参加者全員を集めてのライダーズミーティングスタート前、参加者全員を集めてのライダーズミーティング 先導役の男子選手に続いてトライアウトがスタート先導役の男子選手に続いてトライアウトがスタート 今年のトライアウトはふたつの変更点があった。ひとつ目は、毎年12月に実施していたトライアウトを8月に繰り上げて実施したこと。これは、新加入選手に加入後の助走期間を与え、その上で来季からの本格シーズンに臨んでもらおうというチームの意図によるもの。もうひとつは、実技試験を女子ロードレースにしたこと。これまでは実技試験として個人タイムトライアルを行っていたが、より実践的な方法でトライアウト受験生の適性を見るためだ。また、受験生以外にもロードレースの参加者を募る事で、レースが少ない女子選手の経験値を底上げする狙いもある。

レース中の集団走行や駆け引きなどは、女子選手にとっては貴重な経験だレース中の集団走行や駆け引きなどは、女子選手にとっては貴重な経験だ 今年のトライアウト受験生は6名。午前10時に集まった受験生たちは、早速実技試験のロードレースに臨んだ。当日は台風11号が接近しつつある不安定な天候だったため、状況によっては途中で中止する事も想定されていた。しかし、風は強かったものの雨が降ること無く、時おり陽がさしてくる奇跡的なコンディションのおかげで、路面は終始ドライのなかレースは行われた。

11周目からは集団の最後尾選手が除外されるため、毎周回スプリント合戦が繰り広げられる11周目からは集団の最後尾選手が除外されるため、毎周回スプリント合戦が繰り広げられる ロードレースには受験生とRGJ選手、一般参加選手の計16名が参加した。レース形式は「ミス・アンド・アウト」方式で行われた。周回数を定めずにスタートし、3周回までは先導付きでニュートラル走行。4周目からリアルスタートし、11周目からは周回毎にメイン集団の最後尾になった選手を除外。最後の2人になるまでレースを続けるというものだ。

最後の2人になるまでレースが続き、16周目に決着した最後の2人になるまでレースが続き、16周目に決着した この日のレースは10周目までにメイン集団は7人に絞られ、そこから毎周回1人ずつ除外されていき、16周回で決着した。昼食休憩を挟み、午後からは面接と筆記試験が行われた。面接では、受験生が志望動機と「RGJでやりたいこと」を語った。

トライアウト終了後、RGJチーム代表であり、プレイングマネージャーでもある須藤むつみさんに、トライアウトとチームの活動についてお話をうかがった。

—RGJは一貫してトライアウトでの選手募集を行っていますが、それはなぜですか?

男子を含め他のチームでは、めぼしい選手に声をかけてスカウトする方法を採っていますが、RGJは自主的に考えて行動出来る女子選手を獲得するため、トライアウトという形を採っています。また、選手本人からチーム加入の申し出があった場合、選考する事もあります。いずれの場合も、自分から加入の意思を表明した人を選考の対象としているのがRGJの方針です。

—「自主的に考えて行動出来る選手」とは、具体的にはどんな選手ですか?

同じ目標・目的を持った選手が集まり、チームとして活動するからこそ達成出来ることは少なくないと思います。そうして得られたものを自分にフィードバックして活用・実践してもらうためには、自ら考えることが重要になります。逆に、自分が日々のトレーニングやレース等で得られたものをチームにフィードバックしてもらい、選手同士で共有することもできる。そんな選手を求めています。

—今回のトライアウトは、従来と変えたところが多いようですが?

実技試験を個人TTからロードレースにしたのが大きな変更点です。今回は併催される予定だった東京都自転車競技連盟主催の「TCFフレンドリーロードレース」が台風のために中止になり、コースを占有できたので、レースの距離と時間を定めない形式で行ってみました。私も一緒に走りましたが、実践形式で実力チェックができたことは、従来よりも良かったと思っています。次回以降も、この形式でやりたいと考えてます。

レースだけでなく、イベントなどにも積極的に参加するRGJ(2014年千葉市マナーアップフェスタ)レースだけでなく、イベントなどにも積極的に参加するRGJ(2014年千葉市マナーアップフェスタ)
専門家によるアンチドーピング講習などにも力を入れている専門家によるアンチドーピング講習などにも力を入れている —ところで、RGJの活動はロードレースがメインですが、他の自転車競技種目も選手に推奨してますね?

はい。私自身がMTBから自転車競技の世界に入り、ロードやシクロクロスを経験していること、また、監督の須藤大輔もロードとMTB、シクロクロスの競技経験があるので、選手から申し出があれば種目を限定せずに奨めています。現在所属している選手の中にもMTBから入ってきた選手もいますし、本格的にシクロクロスをやりたいと言っている選手もいますので、それに向けた指導・助言をしています。

レース中に集団の先頭を引く須藤むつみ代表レース中に集団の先頭を引く須藤むつみ代表 —今後、チームとして力を入れていく事をお聞かせ下さい。

自転車競技の大会で結果を出せるよう選手強化する事が第一ですが、それと同じくらいに広報活動に力を入れていきます。具体的には個々の選手が出場したレースについて、ブログやSNSなどでお知らせすることをはじめ、各種自転車イベントに参加して、自転車を末永く安全に楽しんでもらうために、女性ならではの普及活動を行っていきます。RGJはレースチームなので、主にレース活動から情報発信をしていくのですが、私達の活動が多方面から注目してもらえるようにしていきたいと思っています。その事が、女子選手だけでなく、自転車界全体のためになると考えています。


今回のトライアウトの結果は、8月25日頃に発表される予定だ。早ければ9月から、赤いジャージをまとった新たなメンバーが各地のレースやイベントで走る姿を見ることができるはずだ。

photo&text:Satoru.Kato

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