ポーランドを巡るツール・ド・ポローニュが開幕。初日は集団スプリントに持ち込まれ、ジロ・デ・イタリアで区間2勝を挙げたオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が、下馬評通りの走りを見せ勝利した。



現役引退を発表したラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツXRG) photo:Tour de Pologne

今年5月に40歳となったフルーム photo:Tour de Pologne
今大会の限定特別ジャージで臨んだスーダル photo:Tour de Pologne


ツール・ド・フランス閉幕後の男子レースカレンダーは、8月に入りシーズン後半戦へと突入した。8月23日から始まるブエルタ・ア・エスパーニャを前に、ポーランド最大のステージレース、ツール・ド・ポローニュ(UCIワールドツアー)がその幕を開けた。

初開催1928年、今大会で82回目を迎える歴史あるレースだが、7日間のステージに本格的な山岳は登場しない。その代わり、短くも急勾配な丘が大会を通して数多く設定される。このコースレイアウトからスプリンターの出場は少なく、パンチャーやクライマーが多数顔を揃え、2024年大会の総合優勝者がヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)であることからも、その過酷さがうかがえる。

154名の出場者のなかでも最大の注目は、このシーズン限りでの現役引退を発表したラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツXRG)だ。また、ジロ・デ・イタリアで活躍したアントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)はブエルタへ向けた調整レースとして出場。数少ないスプリンターでは、オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が優勝候補筆頭と目された。

プロトンを先導したヴィスマ・リースアバイク photo:CorVos

初日は平坦基調のスプリントステージで、序盤から23歳のラルス・ボーフェン(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)ら若手中心の4名が逃げを形成した。タイム差を2分前後に保つタイトなコントロールを見せたメイン集団だったが、雨で濡れた路面で12名ほどを巻き込む落車が発生。幸い大きな怪我を負った選手はおらず、レースは続行。ボーフェンとドナヴァン・グロンダン(フランス、アルケア・B&Bホテルズ)の2名となった逃げグループを、プロトンは着実に追いかけた。

そして残り38km地点でヴィスマ・リースアバイクやスーダル・クイックステップが牽引するプロトンが逃げを吸収。終盤に設定された唯一の2級山岳はバウケ・モレマ(オランダ、リドル・トレック)が先着して山岳賞ジャージを手にした。そしてレースは、大方の予想通り集団スプリントへと持ち込まれた。

集団先頭が目まぐるしく入れ替わる混沌とした展開のなか、連続するコーナーを抜けて最終ストレートへ。残り200mでティムトーン・トイテンベルク(ドイツ、リドル・トレック)が真っ先にスプリントを開始する。緩く右に蛇行するコースのイン側で粘るトイテンベルクだったが、その外から猛スピードで追い込んできたコーイが、残り50mでかわして先頭に立ち、そのままフィニッシュラインを駆け抜けた。

フィニッシュラインを先頭で駆け抜けたオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

4年連続のステージ優勝を飾ったオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

同年5月のジロ・デ・イタリアでの区間2勝から好調をキープするコーイが、見事初日勝者に輝いた。「ラスト数キロは混沌としていたが、作戦通りに動けた。良いタイミングでスプリントを開始でき、この大会では4年連続のステージ優勝を達成できた。良い思い出をまた一つ加えられて嬉しい」と、コーイは勝利を喜んだ。

なお、2位には21歳のポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)、3位には25歳のイェンセン・プロウライト(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)が入り、若手の躍動が光る初日スプリントとなった。

表彰台で勝利を喜ぶオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:Tour de Pologne
ツール・ド・ポローニュ2025第1ステージ
1位 オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) 4:26:36
2位 ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)
3位 イェンセン・プロウライト(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)
4位 マイケル・ゼイラート(オランダ、チューダー・プロサイクリング)
5位 イーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック)
6位 スタニスワフ・アニオコウスキ(ポーランド、コフィディス)
7位 ベン・ターナー(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
8位 フロリアン・フェルミールス(ベルギー、UAEチームエミレーツXRG)
9位 マックス・カンター(ドイツ、XDSアスタナ)
10位 ラスムス・ピーダスン(デンマーク、デカトロンAG2Rラモンディアール)
個人総合成績
1位 オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) 4:26:26
2位 ドナヴァン・グロンダン(フランス、アルケア・B&Bホテルズ) +0:02
3位 ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ) +0:04
4位 パトリク・ストシュ(ポーランド・ナショナルチーム) +0:05
5位 ラルス・ボーフェン(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)
6位 イェンセン・プロウライト(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) +0:06
7位 マイケル・ゼイラート(オランダ、チューダー・プロサイクリング) +0:10
8位 イーサン・ヴァーノン(イギリス、イスラエル・プレミアテック)
9位 スタニスワフ・アニオコウスキ(ポーランド、コフィディス)
10位 ベン・ターナー(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
その他の特別賞
ポイント賞 オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)
山岳賞 バウケ・モレマ(オランダ、リドル・トレック)
チーム総合成績 XDSアスタナ
text:Sotaro.Arakawa
photo:Tour de Pologne, CorVos