7月28日、今年で第5回目を誇る人気のサイクリングイベント「宇都宮サイクルピクニック」が開催された。宇都宮ブリッツェンによる手厚いサポートが魅力のイベントに、今年は編集部が取材参加した。レポートをお届けしよう。



宇都宮出身の針谷千紗子選手も参加。華を添えてくれた宇都宮出身の針谷千紗子選手も参加。華を添えてくれた 宇都宮ブリッツェンやブラウ・ブリッツェン、那須ブラーゼンのサポートライダー宇都宮ブリッツェンやブラウ・ブリッツェン、那須ブラーゼンのサポートライダー


当日受付をする人でごった返すメイン会場は、栃木県宇都宮市にあるろまんちっく村。ジャパンカップのコースとなる古賀志林道周回からも近い、レースファンにとっては土地勘のある場所だ。そして何と言っても、この地域は宇都宮ブリッツェンのお膝元。ブリッツェンの選手はもちろん、育成チームであるブラウ・ブリッツェン、そしてチーム関係者が全力でサポートしてくれることがこの「サイピク」イチバンの特徴であり、魅力だ。

宇都宮市内を巡る「サイピク」のコースは、難易度の低い70kmコースと、70kmコースへとジャパンカップで名高い古賀志林道にチャレンジする40kmの周回路を付け加えた110kmコースの2つ。折角だからジャパンカップの選手気分を味わおうと、今回シクロワイアードからは編集部員2名に加えて、メタボ会長が110kmコースへと参加した。 

宇都宮ブリッツェンの選手達を先頭に110kmコースの参加者がスタートしていく宇都宮ブリッツェンの選手達を先頭に110kmコースの参加者がスタートしていく
ブリッツェンフェアリーのお見送りを受けてスタートしていくブリッツェンフェアリーのお見送りを受けてスタートしていく スタートすぐにはドラムのお見送りスタートすぐにはドラムのお見送り


110kmコースは東北自動車道宇都宮ICほど近い会場をスタートしてから北上し、鬼怒川に沿って折り返してから大きなループを描いて戻ってくるもの。そして一旦会場の横を通過し(70kmコースはこの時点でゴールとなる)古賀志林道などを巡るコースへと入るもの。獲得標高は110kmの行程で800m弱ほどで難易度も高くない。宇都宮郊外から日光周辺が走行エリアだ。

7時半から開催された開会式には、サポートに当たってくれるライダーやゲストが集合。宇都宮ブリッツェンやブラウ・ブリッツェンはフルメンバーを揃えたほか、那須からはブラーゼンの4選手が参加。さらに地元・宇都宮出身の針谷千紗子選手も登場し、サポートライダーの数は計24名を数えた。これほどまでに多くのサポートライダーを揃えるサイクリングイベントは他にあまり無いだろう。プロ選手がサポートしてくれる安心感はとても大きい。

交通量の少ない道路をつないで走る。地元を知り尽くしているからこそのコース設定だ交通量の少ない道路をつないで走る。地元を知り尽くしているからこそのコース設定だ 青々と繁る田園風景の中を走る。田んぼの香りが心地よい青々と繁る田園風景の中を走る。田んぼの香りが心地よい


気温もぐんぐんと上がる中、8時に110kmコース参加者が小さなウェーブとなって次々とスタートしていく。スタート直後こそ信号待ちで大渋滞が起こるものの、そこを抜けた先はとても走りやすいフィールド。青々と繁る田んぼを貫く農道と、交通量の少ない2車線の道がずっと続く。

1時間も走ると太陽光は強さを増し、気温もぐんぐんと上昇していく。しかし幾ら暑いと言っても都会とは違うし、田んぼや周囲の山々から薫る緑の匂いと相まって、「夏らしさ」を全身で味わうことができて気持ちがいい。どこか田舎に帰省したような懐かしい感じが頭をよぎった。

トマト畑を横目に駆け抜ける。濃い緑が目に眩しいトマト畑を横目に駆け抜ける。濃い緑が目に眩しい
2つめのエイドステーションは、鬼怒川と、その支流である大谷川を渡った先にある。ここ鬼怒川の河川敷に用意された佐貫エイドでは梅干しや総菜パンなどが配られた。ちなみにこの場所は鮎の漁場としても有名らしく、隣接する土産店では炭火で焼いた塩焼きの姿も。大雨の翌日とあって川面は濁っていたのだが、いつもは水遊びができるほど水が奇麗なのだとか。コースに出ると、再び走りやすい道が続く。

さて、「サイピク」の特徴の一つにJAうつのみや、全農とちぎなど、地元の農協が協賛に付いていることが挙げられるだろう。各エイドステーションでは冷えたトマトや胡瓜、スイカが提供され、地元の味を楽しむことができた。ボランティアの方の「おつかれさま!」「いっぱい食べていってね!」という声が嬉しい。ちなみに全農とちぎからは8名が110kmコースにエントリーし、自らの脚でも大会を満喫したようだ。

エイドステーションで配られた地元産のトマトエイドステーションで配られた地元産のトマト とても甘く人気だった地元産のスイカとても甘く人気だった地元産のスイカ


基本的にとても走りやすいコースがルートに選ばれているのだが、それでも間違えやすい箇所や、交通量の多い交差点もちらほら。しかしそんな場所には必ず立哨が確保されており、ブラウ・ブリッツェンのメンバーも移動しながら参加者の安全確保に努めてくれたようだ。

もちろん参加者を率いてくれるブリッツェンやブラーゼンの選手も参加者からの質問に答えたり、トラブル対応を手伝ってくれたり。時にはトレインを高速で引っ張ってくれたりと大活躍。近ごろは様々なイベントに引っ張りだこのブリッツェンだが、人気や地元からの支持は、こういった誠実な取り組みによるものだろうと実感。遠隔地のレースでも必ず宇都宮から駆けつけるファンがいる理由も分かったような気がした。

立哨にあたってくれたブラウ・ブリッツェンの選手立哨にあたってくれたブラウ・ブリッツェンの選手 ブリッツェンのサポートカーもコースを巡回。トラブルに対処してくれるブリッツェンのサポートカーもコースを巡回。トラブルに対処してくれる

トラブルに対応する堀選手。心強いサポート体制だトラブルに対応する堀選手。心強いサポート体制だ 参加者の相談に乗る飯野選手。選手達は皆気さくでフレンドリーだ参加者の相談に乗る飯野選手。選手達は皆気さくでフレンドリーだ


かつて奥州街道の第一宿が置かれた風情ある白沢の町を通過し、一旦スタート/ゴール地点を通過。ここから110kmコースのみが走るルートに入り、まずは大谷のエイドステーションへ。ここ大谷は仏像や灯籠などで有名な大谷石の産地だ。

周囲はあちこちに採石場の跡があり、垂直に切り出された4~50m高の崖がずっと連なる様子には、ただただ圧倒されるばかりだ。ジャパンカップで何度も訪れているこの地域だが、こんなロケーションがあるとは知らなかった。

手作りの応援旗でお父さんを応援手作りの応援旗でお父さんを応援
エイドステーションを後にすると、いよいよジャパンカップの勝負どころ、鶴カントリーと古賀志林道の上りが参加者を待ち受ける。しかし、とは言ってもどちら共に距離は1km強であるため、勾配はキツくともリタイアしてしまうようなものでは無い。ゆっくりと登れば初心者でも問題ないはずだ。

テクニカルなダウンヒルを慎重にこなしたら、あとはゴールが見えたようなものだ。鞍掛トンネルまでのダラダラ登りをマイペースでこなし、下りを楽しんでゴールへと駆け込んだ。

女性参加者の姿も少なくなかった。誰でも気軽に参加できるコース設定だ女性参加者の姿も少なくなかった。誰でも気軽に参加できるコース設定だ 70kmコース終盤の小さな九十九折れ70kmコース終盤の小さな九十九折れ

ホームコースである古賀志林道を登る普久島選手ホームコースである古賀志林道を登る普久島選手 大谷石の採石場跡。至る所にこういった風景が展開されていた大谷石の採石場跡。至る所にこういった風景が展開されていた


古賀志林道から後半は通り雨に降られてしまったものの、110km・800mアップという適度なコースプロフィールは、ある程度走れる私たち取材班にとっては適度な疲労感。全体的にも難易度は決して高くなかったため、脱ビギナーを目指す方にも最適だと感じた。

レポート中にも述べたが、宇都宮ブリッツェンの確かな大会サポートと、ブリッツェンを応援する地元自治体によって支えられているのがこのイベントであり、「サイピク」最大の魅力だろう。そして一度参加すれば、「宇都宮のサイクリングコースと言えばジャパンカップのコース」というイメージは無くなるはず。それほどまでに走りやすいルートを存分に堪能することができた。

回を重ねるごとに「サイピク」の参加者は増加を続けており、リピーターも多いそうだ。おもてなしの心をしっかりと感じることのできる、気持ちのよいイベントだった。

イベントの様子はフォトギャラリー(CW Facebook)も併せてお楽しみ下さい。


text&photo:CW編集部


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