2013/01/16(水) - 00:45
日本国内では珍しい豪雪の中での開催となった信州シクロクロス第8戦清里大会。まともに走ることすら難しいタフコンディションのレースを制したのは小坂光(宇都宮ブリッツェン)。前日のGPミストラル第5戦に続く勝利で、翌月に控えた世界選へ弾みをつけた。
東京都心も降雪が話題となった成人の日、標高1400mの清里高原は雪の中にすっぽりと覆われていた。都心から2時間強というアクセスの良い立地ゆえ、首都圏からの参加も少なくなかったが、駐車場にクルマを止める段階から難儀する参加者もおり、「いつもと違う」シクロクロスが待っているのは誰の目にも明らかだった。
前日に設営されたコースは雪の下に埋まっており、急遽スタッフがコーステープの高さを変えて対処。朝イチの試走の段階から、「乗れない!」「ランニング大会になるぞ!」といった声が挙がる。試走の時間が増すにつれ少しずつ轍ができ、乗れるセクションは増えたものの、この地域特有の乾いた雪がみるみるその轍の隙間を埋めていく。
深い雪の抵抗と雪に隠れた轍をいかにさばくかが問われるレースとなったこの日、カテゴリー1がスタートする頃には雪は止むどころかその勢いを一層増していた。吹雪と呼んでも差し支えない状況の中、号砲とともに飛び出したのは小坂正則(スワコレーシング)と小坂光(宇都宮ブリッツェン)の2人。先の全日本選手権で2位と3位に入ったシクロ界最強の父子は他を寄せ付けないスピードで雪の中をかき分けて進んでいく。
その後方では丸山厚(TEAM MASSA-ANDEX)、斉藤亮(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)、中村龍太郎(信州大学自転車競技部)、飯塚隆文(スワコレーシング)が3位の座を巡ってポジションを前後する。圧倒的な雪の質量の前に、ここから小坂親子を追う決定的な動きは生まれない。
先頭では深い雪にタイヤをとられた正則を置き去りにして光が加速。単独で先頭に躍り出ると、その差をどんどん開いていく。3位争いには信大生の中村が単独でリードする場面もあったが、飯塚、斉藤が追いつき3人パックとなる。乗車時間が誰よりも長い光はひとり独走でラップを刻む。
圧倒的な走りを見せた光はゴールラインでバイクを降り観客の声援に応えながらゴール。最終的に父正則に対して4分16秒もの大差をつける圧勝だった。3位争いパックから抜け出したのはシクロクロスの名門チーム、スワコレーシングの飯塚で、正則との差を1分17秒まで詰めてゴール。4位に斉藤、5位に積極的な走りが光った中村が入った。
豪雪のシクロクロスと言えば90年代に開催されていた原村大会など、信州シクロクロス(当時シクロクロスミーティング)のお家芸の感があるが、ここ清里は2年前にもスノークロスとなっている。カテゴリー1の上位8人の出身地はみな長野県という事実が、この大会の「信州クロスらしさ」を表していると言ったら言い過ぎだろうか。
優勝した小坂光自身も、「大雪のレースを走ったのは2年前のベルギー・ゾルダーと清里だけ。でも今日が一番雪が凄かったです」とこのレースの特異さを口にする。「今日のポイントはどれだけ乗っていけるか、でした。一番長い登りで乗れればかなり速い。一度は親父にうまく先にいかれてしまいましたが、その後は逆に自分が乗っていけたことで差が開きました。」
全日本選手権で2位に入り、今年初めてエリートの世界選手権を走る光。前日の晴天下で行なわれたGPミストラルでの優勝に続き2日で2勝。異なるコースコンディションにも上手く対応しているが、本人は練習不足が気になる様子だ。
「昨日に続いてレースの結果はいいのですが、なかなか平日練習できていませんがここまで調整は悪くないです。これから練習で調子を上げていきます。世界選では完走を目標に、世界クラスのレースに慣れている竹之内(悠)君に迫りたいと思っています。」と話す。
カテゴリーL1は川﨑路子(CLUB viento)が相野田静香(clubGROW)とのマッチレースを制し勝利。
18名が出走したカテゴリー2は、地元八ヶ岳の小俣雄風太(八ヶ岳CYCLOCROSS CLUB)が独走逃げ切り勝利で昇格を決定づけた。
31人が雪に挑んだカテゴリー3は、ボンシャンス飯田の今野兄弟がワンツーフィニッシュを飾っている。
結果
C1
1位 小坂光(宇都宮ブリッツェン)
2位 小坂正則(スワコレーシング)+4'16"
3位 飯塚隆文(スワコレーシング)+5'33"
4位 斉藤亮(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)+7'08"
5位 中村龍太郎(信州大学自転車競技部)+10'22"
L1
1位 川﨑路子(CLUB viento)
2位 相野田静香(clubGROW)+40"
C2
1位 小俣雄風太(八ヶ岳CYCLOCROSS CLUB)
2位 橋口潤一郎(TEAM 轍屋)+24"
3位 川村浩二(エキップ・ナカムラ)+1'38"
4位 佐藤勇気(Team12So)+1'47"
5位 伊東知幸(ワダチヤ)+2'13"
C3
1位 今野有樹(ボンシャンス ユース)
2位 今野大輔(ボンシャンス飯田)+3'03"
3位 丸山兼児(CLAMP)+3'53"
4位 広瀬恵吾(イナーメ・アイランド信濃山形)+3'56"
5位 品田勝俊 +4'12"
L2
1位 安田朋子(W.V.OTA twin)
2位 渡邊華史(W.V.OTA)+53"
3位 矢野 麻利(八ヶ岳CYCLOCROSS CLUB)+8'21"
Master
1位 原野 博明(エキップナカムラ)
2位 小峰 悦雄(B-SOUL)+1'29"
3位 茅野 利秀(スワコレーシングチーム)−1LAP
text&photos:Yufta Omata
東京都心も降雪が話題となった成人の日、標高1400mの清里高原は雪の中にすっぽりと覆われていた。都心から2時間強というアクセスの良い立地ゆえ、首都圏からの参加も少なくなかったが、駐車場にクルマを止める段階から難儀する参加者もおり、「いつもと違う」シクロクロスが待っているのは誰の目にも明らかだった。
前日に設営されたコースは雪の下に埋まっており、急遽スタッフがコーステープの高さを変えて対処。朝イチの試走の段階から、「乗れない!」「ランニング大会になるぞ!」といった声が挙がる。試走の時間が増すにつれ少しずつ轍ができ、乗れるセクションは増えたものの、この地域特有の乾いた雪がみるみるその轍の隙間を埋めていく。
深い雪の抵抗と雪に隠れた轍をいかにさばくかが問われるレースとなったこの日、カテゴリー1がスタートする頃には雪は止むどころかその勢いを一層増していた。吹雪と呼んでも差し支えない状況の中、号砲とともに飛び出したのは小坂正則(スワコレーシング)と小坂光(宇都宮ブリッツェン)の2人。先の全日本選手権で2位と3位に入ったシクロ界最強の父子は他を寄せ付けないスピードで雪の中をかき分けて進んでいく。
その後方では丸山厚(TEAM MASSA-ANDEX)、斉藤亮(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)、中村龍太郎(信州大学自転車競技部)、飯塚隆文(スワコレーシング)が3位の座を巡ってポジションを前後する。圧倒的な雪の質量の前に、ここから小坂親子を追う決定的な動きは生まれない。
先頭では深い雪にタイヤをとられた正則を置き去りにして光が加速。単独で先頭に躍り出ると、その差をどんどん開いていく。3位争いには信大生の中村が単独でリードする場面もあったが、飯塚、斉藤が追いつき3人パックとなる。乗車時間が誰よりも長い光はひとり独走でラップを刻む。
圧倒的な走りを見せた光はゴールラインでバイクを降り観客の声援に応えながらゴール。最終的に父正則に対して4分16秒もの大差をつける圧勝だった。3位争いパックから抜け出したのはシクロクロスの名門チーム、スワコレーシングの飯塚で、正則との差を1分17秒まで詰めてゴール。4位に斉藤、5位に積極的な走りが光った中村が入った。
豪雪のシクロクロスと言えば90年代に開催されていた原村大会など、信州シクロクロス(当時シクロクロスミーティング)のお家芸の感があるが、ここ清里は2年前にもスノークロスとなっている。カテゴリー1の上位8人の出身地はみな長野県という事実が、この大会の「信州クロスらしさ」を表していると言ったら言い過ぎだろうか。
優勝した小坂光自身も、「大雪のレースを走ったのは2年前のベルギー・ゾルダーと清里だけ。でも今日が一番雪が凄かったです」とこのレースの特異さを口にする。「今日のポイントはどれだけ乗っていけるか、でした。一番長い登りで乗れればかなり速い。一度は親父にうまく先にいかれてしまいましたが、その後は逆に自分が乗っていけたことで差が開きました。」
全日本選手権で2位に入り、今年初めてエリートの世界選手権を走る光。前日の晴天下で行なわれたGPミストラルでの優勝に続き2日で2勝。異なるコースコンディションにも上手く対応しているが、本人は練習不足が気になる様子だ。
「昨日に続いてレースの結果はいいのですが、なかなか平日練習できていませんがここまで調整は悪くないです。これから練習で調子を上げていきます。世界選では完走を目標に、世界クラスのレースに慣れている竹之内(悠)君に迫りたいと思っています。」と話す。
カテゴリーL1は川﨑路子(CLUB viento)が相野田静香(clubGROW)とのマッチレースを制し勝利。
18名が出走したカテゴリー2は、地元八ヶ岳の小俣雄風太(八ヶ岳CYCLOCROSS CLUB)が独走逃げ切り勝利で昇格を決定づけた。
31人が雪に挑んだカテゴリー3は、ボンシャンス飯田の今野兄弟がワンツーフィニッシュを飾っている。
結果
C1
1位 小坂光(宇都宮ブリッツェン)
2位 小坂正則(スワコレーシング)+4'16"
3位 飯塚隆文(スワコレーシング)+5'33"
4位 斉藤亮(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)+7'08"
5位 中村龍太郎(信州大学自転車競技部)+10'22"
L1
1位 川﨑路子(CLUB viento)
2位 相野田静香(clubGROW)+40"
C2
1位 小俣雄風太(八ヶ岳CYCLOCROSS CLUB)
2位 橋口潤一郎(TEAM 轍屋)+24"
3位 川村浩二(エキップ・ナカムラ)+1'38"
4位 佐藤勇気(Team12So)+1'47"
5位 伊東知幸(ワダチヤ)+2'13"
C3
1位 今野有樹(ボンシャンス ユース)
2位 今野大輔(ボンシャンス飯田)+3'03"
3位 丸山兼児(CLAMP)+3'53"
4位 広瀬恵吾(イナーメ・アイランド信濃山形)+3'56"
5位 品田勝俊 +4'12"
L2
1位 安田朋子(W.V.OTA twin)
2位 渡邊華史(W.V.OTA)+53"
3位 矢野 麻利(八ヶ岳CYCLOCROSS CLUB)+8'21"
Master
1位 原野 博明(エキップナカムラ)
2位 小峰 悦雄(B-SOUL)+1'29"
3位 茅野 利秀(スワコレーシングチーム)−1LAP
text&photos:Yufta Omata
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