近年アジアのプロチームに籍を置いてきた福島晋一は、2013年からチームNIPPO・デローザに所属し世界を舞台に戦う。若手育成の色を濃くしたチームでは、指導とチームの勝利の両方を担うとともに、日本そしてアジア全体のレース界を牽引することが期待されている。

進化を続ける41歳。2013年はふたたびヨーロッパで走る進化を続ける41歳。2013年はふたたびヨーロッパで走る photo:Hideaki TAKAGI現在41歳の福島晋一のここ数年は、チームの立ち上げに関わりさらにその中心選手としての活躍をしてきた。梅丹本舗を経て2010年にクムサン・ジンセン・アジア(韓国)、2011年からはマレーシアのトレンガヌサイクリングチームで走ってきた。そして2013年からはチームNIPPO・デローザの一員に名を連ねることに。大門宏監督とタッグを組むのは2007年に所属したチームNIPPO・梅丹本舗・エキップアサダ以来、6年ぶりとなる。

福島は2007年ツール・ド・ランカウイのステージ優勝や2003年の全日本選手権ロード優勝、2010年全日本個人TT優勝など数々のタイトルを手にしてきた。独走、スプリント、登坂など、どのスタイルでも国内トップレベルの力で戦える数少ない選手。しかも41歳の今でもその力に磨きをかけている稀有な存在だ。アタックを繰り返す福島がひとりいるだけで、その集団の空気が張り詰める。そのような選手はいまや福島しかいない。

福島がチームから期待されることは大きく3つ。まずはチームまたは福島自身の勝利。次に若手中心となったチームの指導役。こと日本人選手の内間、早川、中根、榊原、徳田、石橋の6人の平均年齢は21.6歳。これから世界の舞台で戦う若手の指導役として、ヨーロッパそしてアジアで戦ってきた福島の経験が生かされる。そして3つ目はチームの垣根を越えて日本ひいてはアジア全体のロードレース界を牽引することだ。
2007ツール・ド・ランカウイでステージ優勝2007ツール・ド・ランカウイでステージ優勝 photo:Hitoshi OMAE

大門宏監督のコメント

このたび、2013年新体制のメンバーとして新たに福島晋一選手がトレンガヌ・サイクリングチーム(マレーシア)より移籍加入した事を、お知らせいたします。彼は、2007年NIPPO CORPORATION-梅丹本舗-Equipe ASADAとして活動したシーズンにチームのキャプテンを務め、その年の開幕戦ツール・ド・ランカウイでステージ優勝、5月に開催されたツアー・オブ・ジャパン堺ステージでも、宮澤崇史、新城幸也、両選手をワンツーフィニッシュに導いた牽引役として活躍しました。

また、福島選手は日本を代表する選手として、アジアとヨーロッパを股に掛け、前人未踏の輝かしい数多くの成績に貢献してきました。近年、福島選手は韓国、マレーシアのプロチームに籍を置きながら、日本の近隣諸国のロードレース界も視野に入れ、飛躍的に 増えたアジア地域でのUCIレースを主に転戦、若手の育成環境の開拓にも日本国内のみならずアジア全体のレベルアップに大きく貢献しています。

2007年はチームNIPPO・梅丹本舗・エキップアサダとして活動2007年はチームNIPPO・梅丹本舗・エキップアサダとして活動 photo:Hideaki TAKAGI今期はTeam NIPPO-DE ROSAの日本人選手の平均年齢も23歳と大きく様変わりしましたが、海外経験も豊富な福島選手の加入により、多くを学び取る育成環境もチームに整ったと言えます。但し、チームとしては彼に若手の指導のみならず、あらゆる局面に置いても従来通りの姿勢で、常に世界の頂点を見据え目標を追い続けて欲しいと期待しています。

これからも、これまで通りチーム間の垣根を超え、日本、アジア全体のロードレース界を牽引し価値在る結果を残して行って欲しいと期待しています。チームも、ヨーロッパ並びに世界に挑戦して行く真摯な姿勢を様々な角度からサポートして行きたいと思っています。


福島晋一のコメント

2012年所属していたトレンガヌでは、チームをアジアランキング1位に押し上げることができました。しかし、マレー政府の政策の影響から、このチームに居ては自分の理想のチームになりえないと考えるようになりました。そして現在、日本以外のアジアのトップ選手がヨーロッパのレースから「楽に勝てる」アジアのレースに戻りつつある傾向を見るにつけ(実際、そんな考えではアジアのレースも勝てませんが)やはり、自分がいい見本にならなくてはならない、と考えるようになりました。

選手は常に厳しい環境を求めることでステップアップしていくことをTeam NIPPO-DE ROSAでの活動を通して他の日本選手、他のアジアのチームにも伝えたいのです。そして、チームにはこの42歳の選手に走る機会を与えてくれる事に感謝しています。


プロフィール
福島晋一(ふくしま しんいち)
1971年9月13日 大阪府出身

過去の主な戦績
2003年 全日本選手権ロード 優勝
2004年 ツアー・オブ・ジャパン 総合優勝
2006年 ツールドリムザン(フランス) 総合6位 
    シャトールー・クラシック(フランス) 3位
2007年 ツール・ド・ランカウィ(マレーシア)ステージ優勝
2008年 ツール・ド・ランカウィ ベストアジアン
    ツアー・オブ・ジャパン 美濃ステージ優勝
2010年 全日本タイムトライアル選手権 優勝 
    ツール・ド・おきなわ 総合優勝
2011年 ツール・ド・台湾 ステージ優勝
2005、2006、2012年 世界選手権日本代表
2006、2011、2012年 アジア選手権日本代表


text&edit:高木秀彰