競馬場を利用した平坦なサーキットを、サンウェブの2人がトレインを組んで快走。ケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)が高速レースを制した。3位にはロンドンオリンピックMTBクロスカントリー銅メダルのマルコアウレリオ・フォンターナ(イタリア、キャノンデール)が入っている。

ローマのパンネッレ競馬場で行なわれたUCIワールドカップローマのパンネッレ競馬場で行なわれたUCIワールドカップ photo:Riccardo Scanferla

シケインを越えるニールス・アルベルト(ベルギー、BKCPパワープラス)らシケインを越えるニールス・アルベルト(ベルギー、BKCPパワープラス)ら photo:Riccardo ScanferlaUCIシクロクロスワールドカップ第7戦の舞台は、イタリア・ローマ郊外にあるカパンネッレ競馬場。ダートや芝生の走路を利用したコースはほぼ平坦で、起伏は1mほどしかない。

細かい低速コーナーがいくつも用意されているものの、路面は軽く、踏みどころが多い。レースはスタート直後から高速化した。

3番手を走るニールス・アルベルト(ベルギー、BKCPパワープラス)ら3番手を走るニールス・アルベルト(ベルギー、BKCPパワープラス)ら photo:Riccardo Scanferlaこの日もホールショットを取ったのは小柄なラルス・ファンデルハール(オランダ、ジャイアントオフロード)。これにフランシス・ムレー(フランス、FDJ)やクラース・ヴァントルノウト(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)、ニールス・アルベルト(ベルギー、BKCPパワープラス)が加わり、ペースを上げて集団を一列棒状に伸ばす。

3周目に入ると、アルベルト、パウエルス、ヴァントルノウト、ムレーの4名が先頭パックを形成。後方スタートのイタリアチャンピオン・フォンターナが猛追を見せ、レース中盤に何とか先頭4名に合流する。

やがて先頭パックからヴァントルノウトが飛び出し、アルベルトが追走パックを引かざるを得ない状況に。後方で力を貯めたヴァントルノウトのチームメイトであるパウエルスは、隙を突いて先頭ヴァントルノウトまでブリッジ。ゴールまで3周を残して、サンウェブ・ナポレオンゲームスの2人による先行が始まった。

先頭パックを率いるケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)先頭パックを率いるケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス) photo:Riccardo Scanferla猛追するマルコアウレリオ・フォンターナ(イタリア、キャノンデール)猛追するマルコアウレリオ・フォンターナ(イタリア、キャノンデール) photo:Riccardo Scanferla20位に沈んだスヴェン・ネイス(ベルギー、ランドバウクレジット)20位に沈んだスヴェン・ネイス(ベルギー、ランドバウクレジット) photo:Riccardo Scanferla

優勝したケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)優勝したケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス) photo:Riccardo Scanferlaパウエルスとヴァントルノウトの後方では、アルベルト、ムレー、フォンターナが競り合いながら追走。最終周回に入るとパウエルスが独走を開始する。

すると、2番手の位置をキープしていたヴァントルノウトがまさかのチェーントラブルでストップ。再スタートに時間がかかったヴァントルノウトを、アルベルトとフォンターナ、ムレーが抜きさって行く。

エリート男子表彰台エリート男子表彰台 photo:Riccardo Scanferla結局先頭はパウエルスのままゴール。16秒遅れでアルベルト。22秒遅れでゴールしたフォンターナは、胸元に付けた南アフリカのバッジを指差してゴール。ロンドンオリンピックMTBクロスカントリー銅メダリストが、先日亡くなったバリー・スタンダー(南アフリカ)に表彰台を捧げた。

UCIワールドカップリーダーの座に就いた世界チャンピオンのニールス・アルベルト(ベルギー、BKCPパワープラス)UCIワールドカップリーダーの座に就いた世界チャンピオンのニールス・アルベルト(ベルギー、BKCPパワープラス) photo:Riccardo ScanferlaUCIワールドカップ3勝目を飾ったパウエルスは「こんなに難易度の低いコースだと予想していなかった。チームとして、先行したクラース(ヴァントルノウト)に追いつくパーフェクトな走りだった。クラースの不運が無ければ2人で表彰台に立てていただけに惜しい」と語る。

UCIワールドカップリーダーのスヴェン・ネイス(ベルギー、ランドバウクレジット)が20位に沈んだため、2位のアルベルトが485ポイントでランキングリーダーに浮上。優勝したパウエルスが16ポイント差の469ポイントでランキング2位。

今シーズンのUCIワールドカップは1戦(1月20日:オランダ・ホーヘルハイデ)を残すのみ。昨シーズンの年間チャンピオンであるパウエルスは「最終的なUCIワールドカップの勝利(年間チャンピオン)は僕ではないだろうね」と、ランキングを現実的に受け止めている。

一方、表彰台を目前にしながら、チェーントラブルによって5位に終わったヴァントルノウトは「サンウェブトレインはパーフェクトだった。でもゴールまで200mを残して、2位が安泰だと思った矢先に、チェーンが落ちた。一度はチェーンを乗せたのに、また落ちた。さすがに罵りたい気持ちになったよ」と悔やむ。

エリート女子はマリアンヌ・フォス(オランダ、ラボバンク)が2連勝。2位のケイティ・コンプトン(アメリカ、トレックシクロクロスコレクティブ)がUCIワールドカップリーダーの座を守っている。

選手コメントはベルギーのSporzaより。


UCIシクロクロスワールドカップ2012-2013第7戦結果
エリート男子
1位 ケヴィン・パウエルス(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)  1h01'17"
2位 ニールス・アルベルト(ベルギー、BKCPパワープラス)           +16"
3位 マルコアウレリオ・フォンターナ(イタリア、キャノンデール)        +22"
4位 フランシス・ムレー(フランス、FDJ)                   +27"
5位 クラース・ヴァントルノウト(ベルギー、サンウェブ・ナポレオンゲームス)  +32"
6位 ラルス・ファンデルハール(オランダ、ジャイアントオフロード)      +50"     
7位 ラドミール・シムネク(チェコ、BKCPパワープラス)            +51"
8位 バルト・アールノウト(ベルギー、AAドリンクシクロクロス)        +53"
9位 マルセル・ヴィルトハーバー(スイス、スコット・スイスパワー)     +1'02"
10位 トワン・ファンデンブランド(オランダ、オレンジベイビーズ)      +1'10"

エリート女子
1位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ラボバンク)              39'38"
2位 ケイティ・コンプトン(アメリカ、トレックシクロクロスコレクティブ)   +24"
3位 カテリーナ・ナッシュ(チェコ、ルナプロチーム)            +1'08"

text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla