2012/11/01(木) - 10:56
イタリアの自転車タイヤブランド、ヴィットリアの定番レーシングタイヤ、「CORSA CX」そして「OPEN CORSA CX」がリニューアルされ発売された。製品インプレッションをお届けする。
定番のレーシングタイヤとして、アマチュアからヨーロッパのトッププロ選手をはじめ世界のレースシーンを牽引してきたヴィットリアのCORSA CXシリーズ。その最新版となるのが今回インプレッションを行なった2013年モデルだ。従来製品との違いは、いわゆるプロ供給仕様のタイヤである「CORSA EVO SC」に使用されている「ISOgripコンパウンド」をしたこと。
ラボバンクなどのトップチームへと供給し、ツール・ド・フランスなどのトップレースでテストが行われてきたコンパウンド「ISOgrip」は、従来の「ケブラーSIO2」コンパウンドと比較して同様の特性を維持し、走行抵抗を増すこと無くウェット路面でのグリップと耐傷性を向上させている。
ケーシングはヴィットリアの誇る320TPIコアスパンケーシングを前モデルから引き続き採用する。極細のポリエステルの芯にコットンを織りいれ、ラテックスで包んだことでコットンが持つしなやかさと弾力性を活かしている。ISOgripコンパウンドとの組み合わせによって快適性や低い転がり抵抗、ドライ/ウェットを問わず安定したグリップを引き出している。
パンクを防ぐため、CORSA CXには高密度のアラミド繊維を採用した「PRB2.0」耐パンクベルトを装備。定評のあるしなやかな乗り味を損なうこと無くプロテクション機能を確保している。
ラインナップはラテックス製のインナーチューブが採用されるチューブラー仕様のCORSA CXと、クリンチャー仕様の「OPEN CORSA CX」の2種類。特にCORSA CXは、コンパウンドを変更したことで最上級モデルの「CORSA EVO SC」とほぼ同じ基本構造とスペックを手に入れている。唯一の違いはトレッドパターンで、センター部分にライン目、両サイド杉目のEVO SCに対して、グリップを重視した結果センター部分は広めのヤスリ目となっている。
また、タイヤ幅が21c、23c、25cそして650×21cの4種類の展開とされていることも相違点。23cのみのEVO SCよりも選択肢が広く、幅広い使用目的や路面コンディションに対応することが可能だ。
―インプレッション
「安定感があって信頼性が高い。2つのタイヤがほぼ同様の乗り心地を実現できている」藤野智一(なるしまフレンド)
ヴィットリアのCORSA CXと言えば昔からタイヤの中心的な存在で、他のブランドがタイヤのテストを行う際もこのタイヤを中心として考えるような、そんな製品です。今回改めてテストしてみて、チューブラーもクリンチャーも非常にバランスが取れたタイヤだと印象を受けました。
チューブラーはしなやかさの中にしっかりと腰のある感じがとても印象的でした。コーナーでも形が崩れずしっかりとした剛性感があるタイヤですが、高圧でもタイヤが弾むような感じはありません。ヴィットリアのセオリー通りの性能を持ちながら、進化させてきているなと感じます。
そしてクリンチャーですが、チューブラーに近い乗り味がありました。走行抵抗が非常に軽く、ケーシングがしっかりとバランスの良い硬さを保っている感じですね。良いコンパウンドを使用してもケーシングが弱いとベタついた乗り味になってしまいますが、そんなことは感じられませんでした。
タイヤの構造上、チューブラーと比較してしまえば若干ゴツゴツとした乗り心地ですが、ライダーの体重と乗り方を踏まえて適切な空気圧に調整すれば問題ないでしょう。下りでもクリンチャーということを忘れてしまうかのようなしっかりとしたグリップ力や、コーナーの入口から出口まで自然に変化するタイヤ形状など安心材料が多く心強いですね。
構造の全く異なるチューブラーとクリンチャーをテストしましたが、もちろん振動吸収や絶対的な性能はチューブラーに分がありますが、ほぼ同じ乗り心地を実現できているタイヤだと思いました。今回ウェット路面は試していませんが、ドライ路面でのグリップは良く、非常に良い仕上がりのタイヤだと感じました。
「ザ・ヴィットリアタイヤ。全ての要素がバランス良く調和している」三上和志(サイクルハウスMIKAMI)
テストをしてみて、どちらも「これぞザ・ヴィットリアタイヤ」という第一印象を受けました。伝統的にしなやかでグリップ性能と乗り心地のバランスが良いのがヴィットリアというブランドなのですが、今回テストした2つのCORSA CXもそれに漏れない性能を有しています。
チューブラーとクリンチャータイヤどちらにも共通していますが、断面形状と潰れ具合のバランスが良く、コーナーで車体を倒しこんでいった際に不安感がありませんでした。何か突出した性能があるという感じではありませんでしたが、すべての要素が高い次元でバランスされているため、どんな場面でも安心感がありました。
最上級モデルより引き継いだコンパウンドがタイヤの持つ粘り強さと調和して、グリップ力に関しても全く不安感は見つかりませんでした。タイヤ表面で食いつくようなタイヤではなく、全体的にしなりから安定感を生み出していますね。しかし一方で腰砕けになる感じも希薄で、老舗ブランドならではの味付けを感じました。
総括して、トッププロやアマチュアレーサーはもちろんですが、まだ下りやコーナリングに慣れていないビギナーライダーにもオススメしたいタイヤだと感じました。まず自分の中の基準となるタイヤとして使ってみて良いかと思います。ビギナーさんにとっては決して安価なタイヤではありませんが、乗ってみて納得できる性能を有したレーシングタイヤですね。
ヴィットリア CORSA CX (チューブラー)
■サイズ:21-28″/23-28″/25-28″/21-26″
■コンパウンド:ISOgrip
■ケーシング:コアスパン320TPI
■耐パンク性能:PRB2.0
■インナーチューブ:ラテックス
■バルブタイプ:2ピース42mm ※
■カラー:オールブラック・ブラック/ホワイト・ブラック/レッド・ブラック/イエロー・ブラック/ブルー(21-28″/25-28″/21-26″はオールブラックのみ)
■重 量:250g(23-28″)
■価 格:13,590円(税抜)
※ CORSA EVO CXⅡに採用されたリムーバブル・バルブではなく、バルブコアが外れる2ピースタイプのバルブとなる。
ヴィットリア OPEN CORSA CX (オープンチューブラー)
■ サイズ:700x21c/700x23c/700x25c/650x21c
■コンパウンド:ISOgrip
■ケーシング:コアスパン320TPI
■耐パンク性能:PRB2.0
■カラー:オールブラック・ブラック/ホワイト・ブラック/レッド・ブラック/イエロー・ブラック/ブルー(700x21c/700x25c/650x21cはオールブラックのみ)
■重量:210g(700x23c)
■価格: 8,650円(税抜)
インプレライダーのプロフィール
藤野智一(なるしまフレンド)
92年のバルセロナオリンピックロードレースでの21位を皮切りに、94・97年にツール・ド・おきなわ優勝、98、99年は2年連続で全日本ロードチャンピオンとなるなど輝かしい戦歴を持つ。02年に引退してからはチームブリヂストン・アンカーで若手育成に取り組み、11年までは同チームの監督を務めた。2012年より出身チームのなるしまフレンドに勤務する。
なるしまフレンド
三上和志(サイクルハウスMIKAMI)
埼玉県飯能市にある「サイクルハウスMIKAMI」店主。MTBクロスカントリー全日本シリーズ大会で活躍した経験を生かし、MTBに関してはハード・ソフトともに造詣が深い。地元でのスクール活動も積極的に展開。ロードレースやシクロクロスレースにも参戦し、ジャンルを問わず自転車遊びを追求している。使用目的に合った車種の選択や適正サイズに関するアドバイスなど、特に実走派のライダーに定評が高い。
サイクルハウスMIKAMI
ウェア協力:レリック
定番のレーシングタイヤとして、アマチュアからヨーロッパのトッププロ選手をはじめ世界のレースシーンを牽引してきたヴィットリアのCORSA CXシリーズ。その最新版となるのが今回インプレッションを行なった2013年モデルだ。従来製品との違いは、いわゆるプロ供給仕様のタイヤである「CORSA EVO SC」に使用されている「ISOgripコンパウンド」をしたこと。
ラボバンクなどのトップチームへと供給し、ツール・ド・フランスなどのトップレースでテストが行われてきたコンパウンド「ISOgrip」は、従来の「ケブラーSIO2」コンパウンドと比較して同様の特性を維持し、走行抵抗を増すこと無くウェット路面でのグリップと耐傷性を向上させている。
ケーシングはヴィットリアの誇る320TPIコアスパンケーシングを前モデルから引き続き採用する。極細のポリエステルの芯にコットンを織りいれ、ラテックスで包んだことでコットンが持つしなやかさと弾力性を活かしている。ISOgripコンパウンドとの組み合わせによって快適性や低い転がり抵抗、ドライ/ウェットを問わず安定したグリップを引き出している。
パンクを防ぐため、CORSA CXには高密度のアラミド繊維を採用した「PRB2.0」耐パンクベルトを装備。定評のあるしなやかな乗り味を損なうこと無くプロテクション機能を確保している。
ラインナップはラテックス製のインナーチューブが採用されるチューブラー仕様のCORSA CXと、クリンチャー仕様の「OPEN CORSA CX」の2種類。特にCORSA CXは、コンパウンドを変更したことで最上級モデルの「CORSA EVO SC」とほぼ同じ基本構造とスペックを手に入れている。唯一の違いはトレッドパターンで、センター部分にライン目、両サイド杉目のEVO SCに対して、グリップを重視した結果センター部分は広めのヤスリ目となっている。
また、タイヤ幅が21c、23c、25cそして650×21cの4種類の展開とされていることも相違点。23cのみのEVO SCよりも選択肢が広く、幅広い使用目的や路面コンディションに対応することが可能だ。
―インプレッション
「安定感があって信頼性が高い。2つのタイヤがほぼ同様の乗り心地を実現できている」藤野智一(なるしまフレンド)
ヴィットリアのCORSA CXと言えば昔からタイヤの中心的な存在で、他のブランドがタイヤのテストを行う際もこのタイヤを中心として考えるような、そんな製品です。今回改めてテストしてみて、チューブラーもクリンチャーも非常にバランスが取れたタイヤだと印象を受けました。
チューブラーはしなやかさの中にしっかりと腰のある感じがとても印象的でした。コーナーでも形が崩れずしっかりとした剛性感があるタイヤですが、高圧でもタイヤが弾むような感じはありません。ヴィットリアのセオリー通りの性能を持ちながら、進化させてきているなと感じます。
そしてクリンチャーですが、チューブラーに近い乗り味がありました。走行抵抗が非常に軽く、ケーシングがしっかりとバランスの良い硬さを保っている感じですね。良いコンパウンドを使用してもケーシングが弱いとベタついた乗り味になってしまいますが、そんなことは感じられませんでした。
タイヤの構造上、チューブラーと比較してしまえば若干ゴツゴツとした乗り心地ですが、ライダーの体重と乗り方を踏まえて適切な空気圧に調整すれば問題ないでしょう。下りでもクリンチャーということを忘れてしまうかのようなしっかりとしたグリップ力や、コーナーの入口から出口まで自然に変化するタイヤ形状など安心材料が多く心強いですね。
構造の全く異なるチューブラーとクリンチャーをテストしましたが、もちろん振動吸収や絶対的な性能はチューブラーに分がありますが、ほぼ同じ乗り心地を実現できているタイヤだと思いました。今回ウェット路面は試していませんが、ドライ路面でのグリップは良く、非常に良い仕上がりのタイヤだと感じました。
「ザ・ヴィットリアタイヤ。全ての要素がバランス良く調和している」三上和志(サイクルハウスMIKAMI)
テストをしてみて、どちらも「これぞザ・ヴィットリアタイヤ」という第一印象を受けました。伝統的にしなやかでグリップ性能と乗り心地のバランスが良いのがヴィットリアというブランドなのですが、今回テストした2つのCORSA CXもそれに漏れない性能を有しています。
チューブラーとクリンチャータイヤどちらにも共通していますが、断面形状と潰れ具合のバランスが良く、コーナーで車体を倒しこんでいった際に不安感がありませんでした。何か突出した性能があるという感じではありませんでしたが、すべての要素が高い次元でバランスされているため、どんな場面でも安心感がありました。
最上級モデルより引き継いだコンパウンドがタイヤの持つ粘り強さと調和して、グリップ力に関しても全く不安感は見つかりませんでした。タイヤ表面で食いつくようなタイヤではなく、全体的にしなりから安定感を生み出していますね。しかし一方で腰砕けになる感じも希薄で、老舗ブランドならではの味付けを感じました。
総括して、トッププロやアマチュアレーサーはもちろんですが、まだ下りやコーナリングに慣れていないビギナーライダーにもオススメしたいタイヤだと感じました。まず自分の中の基準となるタイヤとして使ってみて良いかと思います。ビギナーさんにとっては決して安価なタイヤではありませんが、乗ってみて納得できる性能を有したレーシングタイヤですね。
ヴィットリア CORSA CX (チューブラー)
■サイズ:21-28″/23-28″/25-28″/21-26″
■コンパウンド:ISOgrip
■ケーシング:コアスパン320TPI
■耐パンク性能:PRB2.0
■インナーチューブ:ラテックス
■バルブタイプ:2ピース42mm ※
■カラー:オールブラック・ブラック/ホワイト・ブラック/レッド・ブラック/イエロー・ブラック/ブルー(21-28″/25-28″/21-26″はオールブラックのみ)
■重 量:250g(23-28″)
■価 格:13,590円(税抜)
※ CORSA EVO CXⅡに採用されたリムーバブル・バルブではなく、バルブコアが外れる2ピースタイプのバルブとなる。
ヴィットリア OPEN CORSA CX (オープンチューブラー)
■ サイズ:700x21c/700x23c/700x25c/650x21c
■コンパウンド:ISOgrip
■ケーシング:コアスパン320TPI
■耐パンク性能:PRB2.0
■カラー:オールブラック・ブラック/ホワイト・ブラック/レッド・ブラック/イエロー・ブラック/ブルー(700x21c/700x25c/650x21cはオールブラックのみ)
■重量:210g(700x23c)
■価格: 8,650円(税抜)
インプレライダーのプロフィール
藤野智一(なるしまフレンド)
92年のバルセロナオリンピックロードレースでの21位を皮切りに、94・97年にツール・ド・おきなわ優勝、98、99年は2年連続で全日本ロードチャンピオンとなるなど輝かしい戦歴を持つ。02年に引退してからはチームブリヂストン・アンカーで若手育成に取り組み、11年までは同チームの監督を務めた。2012年より出身チームのなるしまフレンドに勤務する。
なるしまフレンド
三上和志(サイクルハウスMIKAMI)
埼玉県飯能市にある「サイクルハウスMIKAMI」店主。MTBクロスカントリー全日本シリーズ大会で活躍した経験を生かし、MTBに関してはハード・ソフトともに造詣が深い。地元でのスクール活動も積極的に展開。ロードレースやシクロクロスレースにも参戦し、ジャンルを問わず自転車遊びを追求している。使用目的に合った車種の選択や適正サイズに関するアドバイスなど、特に実走派のライダーに定評が高い。
サイクルハウスMIKAMI
ウェア協力:レリック
リンク
Amazon.co.jp