2012/07/24(火) - 15:22
オルベア・オルカの最上級グレードモデルが、「ゴールド」。地元スペイン籍のUCIプロツアーチーム、エウスカルテル・エウスカディに供給され、グランツールなどトップレースを走るこのハイエンドロードにスポットライトを当てていく。
スペインに拠点を置く総合スポーツブランドがオルベアだ。1930年に自転車の製造を開始したオルベアは、1998年から世界規模の事業を始め、地元スペインの強豪プロチームであるエウスカルテルに機材を供給する。そしてそのフィードバックを活かし製品開発を行なっている。
その中でオルカはロードバイクのトップレンジに君臨するモデルだ。2003年にラグジュアリーモデルとして登場した初代オルカは2007年、2011年とモデルチェンジを繰り返し、レーシングマシンとして確固たる地位を確立。サミュエル・サンチェスの北京オリンピック金メダル獲得など、輝かしい歴史を刻んできた。
今回インプレッションを行う「オルカ・ゴールド」は、2011年にフルモデルチェンジを果たした新型オルカの最上級グレードに当たるモデルだ。プロレースでは2010年のブエルタ・ア・エスパーニャから本格的に投入が始まり、早速ステージ優勝を獲得を果たす。そして毎年各部の煮詰めを経て、現在へ至っている。
現行オルカのメインテーマは、エアロダイナミクスの追求にあった。オルベアはアメリカ・サンディエゴの風洞施設で空力に冠する実験を積み重ね、新型オルカの直線的なフレーム形状が生まれた。
ただ単にエアロを追求するのであれば、フレームの全てをエアロチューブにすれば良い。しかしオールラウンドなレースマシンを求めるオルベアは重量増を嫌い、ヘッド/シートチューブのみを水滴断面形状に。そしてホイールベースを短くし、シートチューブをえぐることで前モデルに対して14%ものエアロ効果向上に成功したという。
ケーブルをフレームにピタリと沿わせるDCR(ダイレクトケーブルルーティング)も、変速レスポンスの向上と共に空気抵抗の軽減に大きく貢献している。
オルカには、ルックスは同じながら使用するカーボン素材のグレードによって計3種類のモデルが存在し、この「ゴールド」に使用されるのはオルベアの誇るハイモジュラスの「ゴールドカーボン」だ。これをモノコック工法で成形することでレースバイクに必要な高い剛性を生み出しているという。
しかしオルカは元々、ラグジュアリーな走りを持ち味として登場したバイクだ。硬いバイクは強靭な脚が無ければ乗りこなすことができない。オルカは外観の大きな特徴でもある、外側に大きくベンドさせたシートステイやフォークで路面からの衝撃を吸収し、路面追従性とパワー伝達能力を大きく向上させている。これが現行オルカに採用される「Attraction」テクノロジーだ。
ボトムブラケットはBB30システム。シートポストはモノリンク用が採用されるが、ノーマルサドル用アダプタ及びオーバーサイズ用アダプタが同梱されるため、幅広い調整が可能とされている。
オルカ・ゴールドには計4種類のカラーバリエーションがラインナップされ、もちろんエウスカルテル・エウスカディがのチームカラーであるカーボンオレンジも選択することができる。
モデルチェンジ/マイナーチェンジを重ね、性能が煮詰められたトップモデル オルカ・ゴールド。ピュアレーシングマシンとして開発されたこのバイクはどれほどのパフォーマンスを秘めているのだろうか。2名のテストライダーが検証を行う。
―インプレッション
「ここ一番で勝ちたい人にはオススメのレースバイクだ」 金子友也(YOU CAN)
第一印象は、とにかく踏んだ分だけバチッと進んでくれるような、しっかりとした剛性感を感じ取れるバイクですね。車体全般のバランスも非常に高い次元で取れていて、高速域で展開されるレースなどで活躍してくれるバイクだと思います。
基本的なこの車体のジオメトリーも含め、リアバックの剛性もしっかりとしている為、踏んだ時に後から付いてくる感が全くなく、入力に対して即ダイレクトに応えてくれます。俊敏な反応は素晴らしいの一言です。
アタックの時など、0.1秒が大切になってくる場面での瞬発性能がとても高い次元で実現されています。アタックを繰り返し掛け合うような場面でのクイックさや反応の良さは心強いメリットになるに違いありません。
ヘッド廻りの剛性もかなりシッカリしているので、クリテリウムなどで、車体をコントロールするタイミングがかなり重要になってくるような場面でも、吸い付きながらもクイックに曲がってくれるイメージがあるので、キビキビと切り返していける操作性のパフォーマンスレベルも相当高いものが実現されていました。
このキビキビしたクイックなハンドリングは上級者にはメリットが大きいと考えられます。倒し込み時に、軽い感覚でスッと身体ごと倒れてくれるので、高速域で下りを攻める時は安心してコーナーに入っていけました。反面、初級者がのんびり下るような場面では、このクイックさを不安定と感じて、怖さを覚える場面があるかも知れませんね。
エアロを意識したフレーム形状からも巡航性能に関してはかなり期待できる筈です。私の場合は、自身の体重が軽ことに加え、車体自体のかなりの軽さが相まって、重いギアを掛けた時には、フレームの堅さが脚の反応に正直に出てしまう感じでした。ウェイトやパワーに恵まれたライダーがギアを掛けていった場合は相当進んでくれるフレームだと思いますね。
私のように軽量非力系の方には、フレームの堅さが目立ってしまう事でなかなかギアを掛ける事が出来ずに、結果、安定巡航に届かない可能性もあります。一方、この堅さが登坂では相当のメリットとして感じられました。。シャキシャキとクイックに反応してくれるお陰で、一踏み一踏みに対してスッスッと気持ち良く進んでくれます。
一部のパワー系ライダーを除いて、このバイクには高ケイデンス型のペダリングが合いそうです。重めのギアを掛けてもその分だけシッカリは進んではくれるのですが、正直に脚にダメージはくるので、長時間ずっと重くギアを掛け続けると、終盤に脚にきてしまう事が予想されます。長い距離のレースでは体力のごまかしが効かないでしょうね。
ロングライドなどホビー系の使い方には、あまり強くはお勧めできない気がします。走り始めなどは軽く進んでくれる為、気持ち良く走れますが、長距離の後半に脚にダメージが蓄積するし、結果、脚が止まってしまう事が起りそうな気がしますね。
やはり、レースシーンに於いて”ここ一番で勝ちたい!”そんな人にはピッタリくる車体だと思います。クリテリウムレースやヒルクライムなどのフィールドはこの車体が最も得意とするジャンルではないかと思います。耐久レースのソロ部門のように、単独で淡々と走り続けるようなシチュエーションは苦手かもしれませんね。
乗り手の脚力が高ければ高いほど、よりメリットを享受できる”脚に見合ったフレーム”という表現をしてもいいかも知れません。
レースが好きで、いつもレースに参加しているような方には強くお勧めできますね。いかにもハイエンドレースモデルといった感じのシンプルかつスポーティな外見、エアロ形状のフレーム、すっきりしたケーブルの取り回しなど、個人的にはかなり好きな個体です。自分が狙ったレースで両手を突き上げながらゴールするシーンを思い浮かべられるバイクですね。
「登りは勿論、高速巡航、ダッシュに至るまで申し分ない走行性能を持っている」 村上純平(YOU CAN)
このオルベア・オルカ・ゴールドは、純粋に走る事を楽しめるバイクと言っていいでしょう。車体重量も軽いし走りも軽いく、なおかつスピードの伸びもあります。フレームの剛性感もしっかりと感じる事が出来ます。特にシートポストからリアバックにかけての剛性感が高く感じますね。この高剛性が伸びのある軽い走りに繋がっているのは間違いないでしょう。推進性能に関してはビックリするくらいの高さです。
ただ堅いだけのバイクだと、下りのコーナリングでは跳ねるような感じになったり、接地感が得られずに攻めきれなくなるモノもありますが、このバイクに関しては、下りのコーナリングも全くブレることなく、どこまでも攻めていける印象でした。フロント、リアともに跳ねる事も無く、路面にシッカリと食い付いてくれます。
この車体のシッカリした剛性感は、万人受けは難しいかもしれませんね。あくまでも速く走れる事を最優先して設計され、振動吸収性よりも反応の機敏さを追求したオルベアの答えがこの車体なのでしょう。どこを取っても抜かりないハイエンドレースバイクと言っていいと思います。
ある程度走れるライダーが乗れば、ギアを掛けた場合でも、高ケイデンスで廻した場合でも、どちらでもグングン進んでくれるでしょう。このバイクの走りの軽さは別格です。中上級者には素晴らしいバイクとなるはずです。一方、初心者の方が初めての一台に選ぶ場合は、ご自身の基礎体力や脚力と相談する必要がありそうです。
巡航性能に関しても、全く申し分なく素晴らしいの一言です。車体の軽さがあるので、登りは勿論、高速巡航、ダッシュに至るまで私には申し分ない印象です。走る事に関してはほぼ完璧な性能をもっていると言っていいと思います。
一見するとシンプルな造形に見えますが、オルベア独自のシートクランプ構造や、ワイヤーラインに合わせてフレームに凹みを持たせる工夫など、想像以上に細部に拘りと工夫が盛り込まれています。デザイン面でも抜かりは無いようです。
購入を検討している人にとっては、どんなに性能が良くてもデザインは無視できないし、逆にどんなにカッコ良く作られていても、基本性能がなっていないモノは決して選ばれる事はありません。性能面、デザイン面が共に両立されている事には感心させられます。正直、これであればお客様にお勧めもしやすい感じですね。
軽さと登りのスムーズさが目立つので、私はレース全般には全く問題なし。特にヒルクライムは個人的にお勧め。ハイペロンなどにホイール交換をしたり、軽量パーツで固めていけば超軽量バイクを作れる。この高剛性に加えて軽量な車体はヒルクライムではかなりの武器になってくれるでしょう。
オルベア ORCA GOLD フレームセット
フレーム:ゴールドカーボンファイバーモノコック、オーバーサイズヘッドチューブ
サイズ:48、51、53、55、57、60
カラー:カーボンホワイト、カーボンシルバー、カーボンオレンジ、カーボンブルー
フロントメカ:直付け
シートポスト:専用シートポスト
BB:BB30
価 格:420,000円(Di2専用フレーム:462,000円)
付属品:ORCAフォーク、ヘッドセット、BB30アダプタ、RIDE-ON製ケーブル類、シートポスト、ノーマルサドルレール用アダプタ
インプレライダーのプロフィール
金子友也(YOU CAN)
1987年11月27日生まれ。高校から競技を始め、チームユーキャン、ブリヂストンエスポワール、チームブリヂストンアンカーに所属し、国内、アジアツアー、ヨーロッパレースに参戦。全日本選手権U23で6位、フランス第2カテゴリー優勝。西日本実業団選手権BR-1優勝、実業団in石川JPT 9位などの実績を持ち、ヒルクライムレースや暑い天候のサバイバルレースが得意。2012年4月からバイシクルショップユーキャンに勤務。
村上純平(YOU CAN)
鹿屋体育大学時代に全日本選手権U23で優勝。翌年からシマノレーシングに4シーズン在籍し、うち2シーズンはオランダを拠点に活動。主な戦歴はツールド北海道2010総合5位、ツールドフィリピン第2ステージ2位、ツールド台湾2011第1ステージ4位、ツールドおきなわ2011山岳賞など多数。引退後自転車に携る仕事・選手時代に得たものを生かせる環境を求めユーキャンに入社。自転車の「楽しみ」を提供するとともに、ジュニア育成にも取り組む。
YOU CAN(ユーキャン)
text:So.Isobe Kenji.Degawa
photo:Makoto.AYANO
スペインに拠点を置く総合スポーツブランドがオルベアだ。1930年に自転車の製造を開始したオルベアは、1998年から世界規模の事業を始め、地元スペインの強豪プロチームであるエウスカルテルに機材を供給する。そしてそのフィードバックを活かし製品開発を行なっている。
その中でオルカはロードバイクのトップレンジに君臨するモデルだ。2003年にラグジュアリーモデルとして登場した初代オルカは2007年、2011年とモデルチェンジを繰り返し、レーシングマシンとして確固たる地位を確立。サミュエル・サンチェスの北京オリンピック金メダル獲得など、輝かしい歴史を刻んできた。
今回インプレッションを行う「オルカ・ゴールド」は、2011年にフルモデルチェンジを果たした新型オルカの最上級グレードに当たるモデルだ。プロレースでは2010年のブエルタ・ア・エスパーニャから本格的に投入が始まり、早速ステージ優勝を獲得を果たす。そして毎年各部の煮詰めを経て、現在へ至っている。
現行オルカのメインテーマは、エアロダイナミクスの追求にあった。オルベアはアメリカ・サンディエゴの風洞施設で空力に冠する実験を積み重ね、新型オルカの直線的なフレーム形状が生まれた。
ただ単にエアロを追求するのであれば、フレームの全てをエアロチューブにすれば良い。しかしオールラウンドなレースマシンを求めるオルベアは重量増を嫌い、ヘッド/シートチューブのみを水滴断面形状に。そしてホイールベースを短くし、シートチューブをえぐることで前モデルに対して14%ものエアロ効果向上に成功したという。
ケーブルをフレームにピタリと沿わせるDCR(ダイレクトケーブルルーティング)も、変速レスポンスの向上と共に空気抵抗の軽減に大きく貢献している。
オルカには、ルックスは同じながら使用するカーボン素材のグレードによって計3種類のモデルが存在し、この「ゴールド」に使用されるのはオルベアの誇るハイモジュラスの「ゴールドカーボン」だ。これをモノコック工法で成形することでレースバイクに必要な高い剛性を生み出しているという。
しかしオルカは元々、ラグジュアリーな走りを持ち味として登場したバイクだ。硬いバイクは強靭な脚が無ければ乗りこなすことができない。オルカは外観の大きな特徴でもある、外側に大きくベンドさせたシートステイやフォークで路面からの衝撃を吸収し、路面追従性とパワー伝達能力を大きく向上させている。これが現行オルカに採用される「Attraction」テクノロジーだ。
ボトムブラケットはBB30システム。シートポストはモノリンク用が採用されるが、ノーマルサドル用アダプタ及びオーバーサイズ用アダプタが同梱されるため、幅広い調整が可能とされている。
オルカ・ゴールドには計4種類のカラーバリエーションがラインナップされ、もちろんエウスカルテル・エウスカディがのチームカラーであるカーボンオレンジも選択することができる。
モデルチェンジ/マイナーチェンジを重ね、性能が煮詰められたトップモデル オルカ・ゴールド。ピュアレーシングマシンとして開発されたこのバイクはどれほどのパフォーマンスを秘めているのだろうか。2名のテストライダーが検証を行う。
―インプレッション
「ここ一番で勝ちたい人にはオススメのレースバイクだ」 金子友也(YOU CAN)
第一印象は、とにかく踏んだ分だけバチッと進んでくれるような、しっかりとした剛性感を感じ取れるバイクですね。車体全般のバランスも非常に高い次元で取れていて、高速域で展開されるレースなどで活躍してくれるバイクだと思います。
基本的なこの車体のジオメトリーも含め、リアバックの剛性もしっかりとしている為、踏んだ時に後から付いてくる感が全くなく、入力に対して即ダイレクトに応えてくれます。俊敏な反応は素晴らしいの一言です。
アタックの時など、0.1秒が大切になってくる場面での瞬発性能がとても高い次元で実現されています。アタックを繰り返し掛け合うような場面でのクイックさや反応の良さは心強いメリットになるに違いありません。
ヘッド廻りの剛性もかなりシッカリしているので、クリテリウムなどで、車体をコントロールするタイミングがかなり重要になってくるような場面でも、吸い付きながらもクイックに曲がってくれるイメージがあるので、キビキビと切り返していける操作性のパフォーマンスレベルも相当高いものが実現されていました。
このキビキビしたクイックなハンドリングは上級者にはメリットが大きいと考えられます。倒し込み時に、軽い感覚でスッと身体ごと倒れてくれるので、高速域で下りを攻める時は安心してコーナーに入っていけました。反面、初級者がのんびり下るような場面では、このクイックさを不安定と感じて、怖さを覚える場面があるかも知れませんね。
エアロを意識したフレーム形状からも巡航性能に関してはかなり期待できる筈です。私の場合は、自身の体重が軽ことに加え、車体自体のかなりの軽さが相まって、重いギアを掛けた時には、フレームの堅さが脚の反応に正直に出てしまう感じでした。ウェイトやパワーに恵まれたライダーがギアを掛けていった場合は相当進んでくれるフレームだと思いますね。
私のように軽量非力系の方には、フレームの堅さが目立ってしまう事でなかなかギアを掛ける事が出来ずに、結果、安定巡航に届かない可能性もあります。一方、この堅さが登坂では相当のメリットとして感じられました。。シャキシャキとクイックに反応してくれるお陰で、一踏み一踏みに対してスッスッと気持ち良く進んでくれます。
一部のパワー系ライダーを除いて、このバイクには高ケイデンス型のペダリングが合いそうです。重めのギアを掛けてもその分だけシッカリは進んではくれるのですが、正直に脚にダメージはくるので、長時間ずっと重くギアを掛け続けると、終盤に脚にきてしまう事が予想されます。長い距離のレースでは体力のごまかしが効かないでしょうね。
ロングライドなどホビー系の使い方には、あまり強くはお勧めできない気がします。走り始めなどは軽く進んでくれる為、気持ち良く走れますが、長距離の後半に脚にダメージが蓄積するし、結果、脚が止まってしまう事が起りそうな気がしますね。
やはり、レースシーンに於いて”ここ一番で勝ちたい!”そんな人にはピッタリくる車体だと思います。クリテリウムレースやヒルクライムなどのフィールドはこの車体が最も得意とするジャンルではないかと思います。耐久レースのソロ部門のように、単独で淡々と走り続けるようなシチュエーションは苦手かもしれませんね。
乗り手の脚力が高ければ高いほど、よりメリットを享受できる”脚に見合ったフレーム”という表現をしてもいいかも知れません。
レースが好きで、いつもレースに参加しているような方には強くお勧めできますね。いかにもハイエンドレースモデルといった感じのシンプルかつスポーティな外見、エアロ形状のフレーム、すっきりしたケーブルの取り回しなど、個人的にはかなり好きな個体です。自分が狙ったレースで両手を突き上げながらゴールするシーンを思い浮かべられるバイクですね。
「登りは勿論、高速巡航、ダッシュに至るまで申し分ない走行性能を持っている」 村上純平(YOU CAN)
このオルベア・オルカ・ゴールドは、純粋に走る事を楽しめるバイクと言っていいでしょう。車体重量も軽いし走りも軽いく、なおかつスピードの伸びもあります。フレームの剛性感もしっかりと感じる事が出来ます。特にシートポストからリアバックにかけての剛性感が高く感じますね。この高剛性が伸びのある軽い走りに繋がっているのは間違いないでしょう。推進性能に関してはビックリするくらいの高さです。
ただ堅いだけのバイクだと、下りのコーナリングでは跳ねるような感じになったり、接地感が得られずに攻めきれなくなるモノもありますが、このバイクに関しては、下りのコーナリングも全くブレることなく、どこまでも攻めていける印象でした。フロント、リアともに跳ねる事も無く、路面にシッカリと食い付いてくれます。
この車体のシッカリした剛性感は、万人受けは難しいかもしれませんね。あくまでも速く走れる事を最優先して設計され、振動吸収性よりも反応の機敏さを追求したオルベアの答えがこの車体なのでしょう。どこを取っても抜かりないハイエンドレースバイクと言っていいと思います。
ある程度走れるライダーが乗れば、ギアを掛けた場合でも、高ケイデンスで廻した場合でも、どちらでもグングン進んでくれるでしょう。このバイクの走りの軽さは別格です。中上級者には素晴らしいバイクとなるはずです。一方、初心者の方が初めての一台に選ぶ場合は、ご自身の基礎体力や脚力と相談する必要がありそうです。
巡航性能に関しても、全く申し分なく素晴らしいの一言です。車体の軽さがあるので、登りは勿論、高速巡航、ダッシュに至るまで私には申し分ない印象です。走る事に関してはほぼ完璧な性能をもっていると言っていいと思います。
一見するとシンプルな造形に見えますが、オルベア独自のシートクランプ構造や、ワイヤーラインに合わせてフレームに凹みを持たせる工夫など、想像以上に細部に拘りと工夫が盛り込まれています。デザイン面でも抜かりは無いようです。
購入を検討している人にとっては、どんなに性能が良くてもデザインは無視できないし、逆にどんなにカッコ良く作られていても、基本性能がなっていないモノは決して選ばれる事はありません。性能面、デザイン面が共に両立されている事には感心させられます。正直、これであればお客様にお勧めもしやすい感じですね。
軽さと登りのスムーズさが目立つので、私はレース全般には全く問題なし。特にヒルクライムは個人的にお勧め。ハイペロンなどにホイール交換をしたり、軽量パーツで固めていけば超軽量バイクを作れる。この高剛性に加えて軽量な車体はヒルクライムではかなりの武器になってくれるでしょう。
オルベア ORCA GOLD フレームセット
フレーム:ゴールドカーボンファイバーモノコック、オーバーサイズヘッドチューブ
サイズ:48、51、53、55、57、60
カラー:カーボンホワイト、カーボンシルバー、カーボンオレンジ、カーボンブルー
フロントメカ:直付け
シートポスト:専用シートポスト
BB:BB30
価 格:420,000円(Di2専用フレーム:462,000円)
付属品:ORCAフォーク、ヘッドセット、BB30アダプタ、RIDE-ON製ケーブル類、シートポスト、ノーマルサドルレール用アダプタ
インプレライダーのプロフィール
金子友也(YOU CAN)
1987年11月27日生まれ。高校から競技を始め、チームユーキャン、ブリヂストンエスポワール、チームブリヂストンアンカーに所属し、国内、アジアツアー、ヨーロッパレースに参戦。全日本選手権U23で6位、フランス第2カテゴリー優勝。西日本実業団選手権BR-1優勝、実業団in石川JPT 9位などの実績を持ち、ヒルクライムレースや暑い天候のサバイバルレースが得意。2012年4月からバイシクルショップユーキャンに勤務。
村上純平(YOU CAN)
鹿屋体育大学時代に全日本選手権U23で優勝。翌年からシマノレーシングに4シーズン在籍し、うち2シーズンはオランダを拠点に活動。主な戦歴はツールド北海道2010総合5位、ツールドフィリピン第2ステージ2位、ツールド台湾2011第1ステージ4位、ツールドおきなわ2011山岳賞など多数。引退後自転車に携る仕事・選手時代に得たものを生かせる環境を求めユーキャンに入社。自転車の「楽しみ」を提供するとともに、ジュニア育成にも取り組む。
YOU CAN(ユーキャン)
text:So.Isobe Kenji.Degawa
photo:Makoto.AYANO
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