2012/06/08(金) - 09:36
ツール・ド・フランスの運命を握るタイムトライアルと同じ53.5kmの距離で行なわれた、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ第4ステージ。マイヨジョーヌを着るブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)が、世界チャンピオンを破る圧倒的な走りで優勝した。
2010年にツールと同じA.S.O.(アモリー・スポーツ・オルガニザシオン)主催レースとなったドーフィネ。2011年大会では、ツールと全く同じコースで個人TTを行なうなど、「ツール前哨戦」としてのキャラクターを確立させている。
今年の個人TTは、距離が53.5kmに及ぶ本格的なもの。場所は異なるが、ツールの最終日前日に行なわれる個人TTと全く同じ距離で行なわれる。TTの比重が高いとされる今年のツールの総合争いを占う上で、この第4ステージの結果が重要な指針となる。
3日前に総合首位に立った際「自分のスキンスーツを着てTTを走りたいので、あえて数秒失ってマイヨジョーヌを手放したい」と話していたウィギンズ。1時間強のTTにおいて、身体に馴染むスキンスーツの実戦テストは欠かせない。
しかし、チームが用意したワンピースではなく、総合リーダーは大会側が用意したマイヨジョーヌを着る必要がある。ウィギンズは本番の予行演習が出来なかった。だがそんな些細なことを吹き飛ばすほどウィギンズの走りは冴えていた。
真横から風が吹き付ける53.5kmの平坦基調コースで、ウィギンズは前半からライバルに対してリードを奪う。40km地点の第2計測で一気に先頭に立つと、2分前にスタートしたカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)を視界に捉えた。
エヴァンスに追いつくことはなかったが、ウィギンズはエヴァンスの僅か17秒後にゴール。つまりエヴァンスを1分43秒上回るタイム。ウィギンズは平均スピード50.79km/hで53.5kmを駆け抜けた。
昨年ドーフィネとツールのTTで連勝し、アルカンシェルを着るトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)は34秒遅れ。TTスペシャリストをも圧倒する走りで、ウィギンズがステージ優勝に輝くとともに、大きな総合リードを築き上げた。
「今日は風が強かったが、正真正銘僕向きのコースだった。このレースのために人生を捧げてきたようなもの。世界チャンピオン(マルティン)を打ち負かすなんて簡単に出来るもんじゃない。前にカデル(エヴァンス)が見えたものの、僕のレースは特に変わらず進み続けた。彼の走りに関係なく、自分の走りに集中し続けた」。例年以上に良い仕上がりを見せているウィギンズの言葉は自信に満ちる。
この日の走りで、ウィギンズがツールのマイヨジョーヌ最有力候補に浮上したことは間違いない。「これはツールに向けたメッセージ。でもカデルは間違いなくツールを前にコンディションを上げてくるだろう。今はドーフィネを走っているのであって、ツールはまた別の話。昨年もドーフィネの時点でカデルはコンディションを上げきっていなかった」。
「このドーフィネには勝つために出場している。力強い走りを示したチームメイトたちも、僕をサポートする準備は整っている。明日から3日間は厳しい山岳ステージだ」。
その他の総合有力候補のタイムを見ると、ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)は2分12秒遅れ、ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ)は2分33秒遅れ、デニス・メンショフ(ロシア、カチューシャ)は3分12秒遅れ、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)は3分30秒遅れ。
最もタイムを失ったのは、前半ステージから精彩を欠いているアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)。12km地点の右コーナーで落車し、その後パンクしたことも影響し、追い込むことなく10分47秒遅れでひっそりとゴールしている。
土井雪広(アルゴス・シマノ)は10分19秒遅れでキャリア最長TTを終えている。
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2012第4ステージ結果
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) 1h03'12"
2位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) +34"
3位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームスカイ) +1'11"
4位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ラボバンク) +1'26"
5位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ) +1'33"
6位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
7位 ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オメガファーマ・クイックステップ) +1'38"
8位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +1'43"
9位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・バラクーダ) +1'51"
10位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク) +1'54"
160位 土井雪広(日本、アルゴス・シマノ) +10'19"
個人総合成績
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) 14h11'07"
2位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) +38"
3位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームスカイ) +1'20"
4位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ) +1'38"
5位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +1'44"
6位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ラボバンク) +1'45"
7位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +1'48"
8位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・バラクーダ) +2'00"
9位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク) +2'02"
10位 アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ) +2'18"
150位 土井雪広(日本、アルゴス・シマノ) +22'54"
ポイント賞
トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・ニッサン)
山岳賞
ジョヴァンニ・ベルノドー(フランス、ユーロップカー)
新人賞
トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・ニッサン)
チーム総合成績
チームスカイ
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
2010年にツールと同じA.S.O.(アモリー・スポーツ・オルガニザシオン)主催レースとなったドーフィネ。2011年大会では、ツールと全く同じコースで個人TTを行なうなど、「ツール前哨戦」としてのキャラクターを確立させている。
今年の個人TTは、距離が53.5kmに及ぶ本格的なもの。場所は異なるが、ツールの最終日前日に行なわれる個人TTと全く同じ距離で行なわれる。TTの比重が高いとされる今年のツールの総合争いを占う上で、この第4ステージの結果が重要な指針となる。
3日前に総合首位に立った際「自分のスキンスーツを着てTTを走りたいので、あえて数秒失ってマイヨジョーヌを手放したい」と話していたウィギンズ。1時間強のTTにおいて、身体に馴染むスキンスーツの実戦テストは欠かせない。
しかし、チームが用意したワンピースではなく、総合リーダーは大会側が用意したマイヨジョーヌを着る必要がある。ウィギンズは本番の予行演習が出来なかった。だがそんな些細なことを吹き飛ばすほどウィギンズの走りは冴えていた。
真横から風が吹き付ける53.5kmの平坦基調コースで、ウィギンズは前半からライバルに対してリードを奪う。40km地点の第2計測で一気に先頭に立つと、2分前にスタートしたカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)を視界に捉えた。
エヴァンスに追いつくことはなかったが、ウィギンズはエヴァンスの僅か17秒後にゴール。つまりエヴァンスを1分43秒上回るタイム。ウィギンズは平均スピード50.79km/hで53.5kmを駆け抜けた。
昨年ドーフィネとツールのTTで連勝し、アルカンシェルを着るトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)は34秒遅れ。TTスペシャリストをも圧倒する走りで、ウィギンズがステージ優勝に輝くとともに、大きな総合リードを築き上げた。
「今日は風が強かったが、正真正銘僕向きのコースだった。このレースのために人生を捧げてきたようなもの。世界チャンピオン(マルティン)を打ち負かすなんて簡単に出来るもんじゃない。前にカデル(エヴァンス)が見えたものの、僕のレースは特に変わらず進み続けた。彼の走りに関係なく、自分の走りに集中し続けた」。例年以上に良い仕上がりを見せているウィギンズの言葉は自信に満ちる。
この日の走りで、ウィギンズがツールのマイヨジョーヌ最有力候補に浮上したことは間違いない。「これはツールに向けたメッセージ。でもカデルは間違いなくツールを前にコンディションを上げてくるだろう。今はドーフィネを走っているのであって、ツールはまた別の話。昨年もドーフィネの時点でカデルはコンディションを上げきっていなかった」。
「このドーフィネには勝つために出場している。力強い走りを示したチームメイトたちも、僕をサポートする準備は整っている。明日から3日間は厳しい山岳ステージだ」。
その他の総合有力候補のタイムを見ると、ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)は2分12秒遅れ、ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ)は2分33秒遅れ、デニス・メンショフ(ロシア、カチューシャ)は3分12秒遅れ、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)は3分30秒遅れ。
最もタイムを失ったのは、前半ステージから精彩を欠いているアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)。12km地点の右コーナーで落車し、その後パンクしたことも影響し、追い込むことなく10分47秒遅れでひっそりとゴールしている。
土井雪広(アルゴス・シマノ)は10分19秒遅れでキャリア最長TTを終えている。
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2012第4ステージ結果
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) 1h03'12"
2位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) +34"
3位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームスカイ) +1'11"
4位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ラボバンク) +1'26"
5位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ) +1'33"
6位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
7位 ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オメガファーマ・クイックステップ) +1'38"
8位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +1'43"
9位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・バラクーダ) +1'51"
10位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク) +1'54"
160位 土井雪広(日本、アルゴス・シマノ) +10'19"
個人総合成績
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) 14h11'07"
2位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ) +38"
3位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームスカイ) +1'20"
4位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ) +1'38"
5位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +1'44"
6位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ラボバンク) +1'45"
7位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +1'48"
8位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・バラクーダ) +2'00"
9位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク) +2'02"
10位 アンドレー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ) +2'18"
150位 土井雪広(日本、アルゴス・シマノ) +22'54"
ポイント賞
トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・ニッサン)
山岳賞
ジョヴァンニ・ベルノドー(フランス、ユーロップカー)
新人賞
トニー・ギャロパン(フランス、レディオシャック・ニッサン)
チーム総合成績
チームスカイ
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos