2009/05/29(金) - 02:21
ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ディキジョヴァンニ)が見事なステージ2勝目を飾ったジロ・デ・イタリア第18ステージ。暑さが弱まったこの日、レース中盤に素敵な出会いがあった。
チンクエ・エウロ!
「そう! たった5ユーロで素敵な公式バンダナが手に入る! 信じられないけど本当の話! しかもたった10ユーロで公式9点セットが手に入る! 素敵なジロの思い出を家に持ち帰るチャンス!」
甲高い女性の録音テープが、グッズ販売のバンに取り付けられたスピーカーからエンドレスでこだまする。さすがに2週間以上聞き続けていると頭が痛くなってきた。
グッズ販売の守備範囲(攻撃範囲?)は広く、バン30台で手分けしてジロが通過する街を網羅。その結果、コースの至る所でピンクTシャツを着た老若男女が手を振っている。レース通過後もマイクを通して「いらんかえ〜」という声をスピーカーから響かせ、粘り強く売り続ける。今やジロの風物詩だ。
これはオーストリアに入国した第6〜7ステージでも変わらず、低いトーンのちょっと渋めのドイツ語で「たった5ユーロで・・・」と録音テープが鳴らされていた。
ちなみにグッズ売りの彼らは安宿に泊まっていることが多いため、まだ寝所が決まっていない夜中に彼らのバンを見つけると思わず付いていってしまう。これまで数回尾行させてもらい、20ユーロに満たない安宿をゲットした。
久々の平坦コース、でもスプリンターが少ない!
ついにジロも佳境を迎える。前後を頂上ゴールに挟まれた第18ステージは久々の平坦ステージ! スプリンターにチャンスだ!
しかししかし、スタートリストをチェックするとスプリンターが少ない! ステージ3勝を飾ってリタイアしたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)や、その発射台を務めていたマーク・レンショー(オーストラリア)、さらにはタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)の姿がもう無い。
生粋のスプリンターと言えばアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、LPRブレークス)やアラン・デーヴィス(オーストラリア、クイックステップ)、フアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)ぐらい。
果たしてLPRブレークスは総合逆転狙いのディルーカの貴重なアシストを使って、ペタッキのために逃げを潰しにかかるのか? 答えはノーだった。
涼しい第18ステージ、偶然テキサス男登場!
スタート地点のスルモナは明け方に小雨がパラつき、スタート地点に着いた頃には半袖では少し肌寒いぐらい。スタッフの間でも「今日は暑くない!」という話題で持ち切りだ。
地元の旗手団の技に見とれているとまもなくスタート時間に。ゴール地点のベルヴェントまで直線的に進むコースは絶望的に先回りが難しいので、スタート前に出発して最初の山岳で撮影ポイントを探す。しかし行けども行けども納得の撮影場所が見つからず、いつの間にか山岳の頂上に到着してしまった。
レースが近づいていたため逆走も出来ず、しばらく進んでエスケープルートとコースの分岐点で妥協する。何てことない普通の上りで、観客と言っても足止めを食らった運転手ぐらい。しまった。失敗した。
すると、向こうから見覚えのある茶色いジャージを着た男が走ってきた。胸には「テキサス」「7」、背中には「アームストロング」「7」とある。そう! バッファローヘルメットを被って選手と並走する彼がウォームアップ&イメージトレーニングしているのだ!
数分後、ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ディキジョヴァンニ)を先頭に逃げグループがやってきたが、そのバッファローは動かない。20秒ほど遅れてやってきたメイン集団にアームストロングの姿を発見するやいなやダッシュ!
上りとはいえ結構なスピードで走る集団に、特大の星条旗と重そうなバッファローヘルメットを被った男が並走する。これはタフじゃないと出来ない。集団に続いて、ガーミンとチームコロンビアのチームカーが登場すると指差して大興奮。アスタナのチームカーには礼儀よく敬礼していた。
レースが通過してから、息の上がったそのバッファローに話しかけてみた。テキサスジャージを着ているが、実際はシアトル出身で名前はドリー。いつかロードバイクで日本一周したいと言う。いつの日か、日本を走っている彼を見かけたら日の丸を手に兜でも被って並走してやりましょう。
いつの間にかジロは南イタリアに突入
ドリーと15分ほど話し込んでしまって、急いでゴール地点のベネヴェントに向かう。アブルッツォ州を抜け、モリーゼ州を通過。頂上に小さな街が点在する美しい丘陵地帯を、日本の一般道では考えられないようなスピードで駆け抜けていく。
ゴール地点のベネヴェントはカンパニア州(州都はナポリ)。北イタリアをスタートしたジロも、いつの間にか南イタリアに達した。
スクリーンに映し出されるラボバンクがコントロールするメイン集団に、逃げを捕まえようとする気配はない。上り基調のスプリントで軽々と飛び出してきたのはミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ディキジョヴァンニ)だ。イタリア人選手の先行に会場は熱気に包まれる。再びスカルポーニが逃げ切りを成功させた。
スカルポーニは実に表情豊かだ。表彰式でも顔をしかめたり、おどけてみせて楽しませてくれる。その一方でマリアローザを守ったデニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)は実に穏やか。しかしシャンパンファイト中だけは「うおおおおおりゃあああ!!」という表情になる。噴射が終わると再び穏やかな表情に戻る。
ジロは残り3ステージ。明日は今大会最後の頂上ゴールが設定されたヴェスヴィオステージ。メンショフとディルーカの26秒差の闘いは正念場を迎える。
チンクエ・エウロ!
「そう! たった5ユーロで素敵な公式バンダナが手に入る! 信じられないけど本当の話! しかもたった10ユーロで公式9点セットが手に入る! 素敵なジロの思い出を家に持ち帰るチャンス!」
甲高い女性の録音テープが、グッズ販売のバンに取り付けられたスピーカーからエンドレスでこだまする。さすがに2週間以上聞き続けていると頭が痛くなってきた。
グッズ販売の守備範囲(攻撃範囲?)は広く、バン30台で手分けしてジロが通過する街を網羅。その結果、コースの至る所でピンクTシャツを着た老若男女が手を振っている。レース通過後もマイクを通して「いらんかえ〜」という声をスピーカーから響かせ、粘り強く売り続ける。今やジロの風物詩だ。
これはオーストリアに入国した第6〜7ステージでも変わらず、低いトーンのちょっと渋めのドイツ語で「たった5ユーロで・・・」と録音テープが鳴らされていた。
ちなみにグッズ売りの彼らは安宿に泊まっていることが多いため、まだ寝所が決まっていない夜中に彼らのバンを見つけると思わず付いていってしまう。これまで数回尾行させてもらい、20ユーロに満たない安宿をゲットした。
久々の平坦コース、でもスプリンターが少ない!
ついにジロも佳境を迎える。前後を頂上ゴールに挟まれた第18ステージは久々の平坦ステージ! スプリンターにチャンスだ!
しかししかし、スタートリストをチェックするとスプリンターが少ない! ステージ3勝を飾ってリタイアしたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)や、その発射台を務めていたマーク・レンショー(オーストラリア)、さらにはタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン)の姿がもう無い。
生粋のスプリンターと言えばアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、LPRブレークス)やアラン・デーヴィス(オーストラリア、クイックステップ)、フアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)ぐらい。
果たしてLPRブレークスは総合逆転狙いのディルーカの貴重なアシストを使って、ペタッキのために逃げを潰しにかかるのか? 答えはノーだった。
涼しい第18ステージ、偶然テキサス男登場!
スタート地点のスルモナは明け方に小雨がパラつき、スタート地点に着いた頃には半袖では少し肌寒いぐらい。スタッフの間でも「今日は暑くない!」という話題で持ち切りだ。
地元の旗手団の技に見とれているとまもなくスタート時間に。ゴール地点のベルヴェントまで直線的に進むコースは絶望的に先回りが難しいので、スタート前に出発して最初の山岳で撮影ポイントを探す。しかし行けども行けども納得の撮影場所が見つからず、いつの間にか山岳の頂上に到着してしまった。
レースが近づいていたため逆走も出来ず、しばらく進んでエスケープルートとコースの分岐点で妥協する。何てことない普通の上りで、観客と言っても足止めを食らった運転手ぐらい。しまった。失敗した。
すると、向こうから見覚えのある茶色いジャージを着た男が走ってきた。胸には「テキサス」「7」、背中には「アームストロング」「7」とある。そう! バッファローヘルメットを被って選手と並走する彼がウォームアップ&イメージトレーニングしているのだ!
数分後、ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ディキジョヴァンニ)を先頭に逃げグループがやってきたが、そのバッファローは動かない。20秒ほど遅れてやってきたメイン集団にアームストロングの姿を発見するやいなやダッシュ!
上りとはいえ結構なスピードで走る集団に、特大の星条旗と重そうなバッファローヘルメットを被った男が並走する。これはタフじゃないと出来ない。集団に続いて、ガーミンとチームコロンビアのチームカーが登場すると指差して大興奮。アスタナのチームカーには礼儀よく敬礼していた。
レースが通過してから、息の上がったそのバッファローに話しかけてみた。テキサスジャージを着ているが、実際はシアトル出身で名前はドリー。いつかロードバイクで日本一周したいと言う。いつの日か、日本を走っている彼を見かけたら日の丸を手に兜でも被って並走してやりましょう。
いつの間にかジロは南イタリアに突入
ドリーと15分ほど話し込んでしまって、急いでゴール地点のベネヴェントに向かう。アブルッツォ州を抜け、モリーゼ州を通過。頂上に小さな街が点在する美しい丘陵地帯を、日本の一般道では考えられないようなスピードで駆け抜けていく。
ゴール地点のベネヴェントはカンパニア州(州都はナポリ)。北イタリアをスタートしたジロも、いつの間にか南イタリアに達した。
スクリーンに映し出されるラボバンクがコントロールするメイン集団に、逃げを捕まえようとする気配はない。上り基調のスプリントで軽々と飛び出してきたのはミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ディキジョヴァンニ)だ。イタリア人選手の先行に会場は熱気に包まれる。再びスカルポーニが逃げ切りを成功させた。
スカルポーニは実に表情豊かだ。表彰式でも顔をしかめたり、おどけてみせて楽しませてくれる。その一方でマリアローザを守ったデニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク)は実に穏やか。しかしシャンパンファイト中だけは「うおおおおおりゃあああ!!」という表情になる。噴射が終わると再び穏やかな表情に戻る。
ジロは残り3ステージ。明日は今大会最後の頂上ゴールが設定されたヴェスヴィオステージ。メンショフとディルーカの26秒差の闘いは正念場を迎える。
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