2012/02/28(火) - 01:38
スコールで幕開けした第4ステージ。この日もスタート直後から福島晋一(トレンガヌ・プロアジア)が逃げに乗り、ひたむきにステージ優勝をめざした。ゴール前で集団に捉えられたが、40歳のファイト溢れる走りに会場が沸いた。
雨上がりの会場に子どもたちが集まる
どんよりとした雲行きのなか、第4ステージの朝を迎えた。「もう暑いレースはヤダ!」そんな選手たちの声が聞こえたのか、連日の酷暑に比べたら随分と過ごしやすい。しかし、関係者が会場に着くと空が一気に暗くなり、ポツポツと雨が落ちはじめ、屋根の下に避難するやいなや、あたりは激しいスコールに見舞われた。しかし、南国特有のスコールで、レース開始30分前になると雨足は弱まり、選手たちは急いでレースの準備をしてスタートラインへと向かった。
レースを追い掛けていると、曜日感覚が弱くなってしまうが、今日はスタート地点にも沿道にも制服を着た小学生や中学生がたくさん集まってきた。月曜日になり学校が始まって、授業を抜け出してレース観戦を楽しんでいるのだ。いつもの通学路がレースコースになり、目の前を通る選手たちに、とびっきりの笑顔で声援を送る子どもたちの姿は「自転車ロードレースっていいなぁ」と強く感じるシーンだ。
果敢に逃げ続けた福島晋一
今日はスプリントポイントのみが設定されている169.4kmの平坦ステージ。ここまで圧倒的な力の差でアンドレア・グアルディーニがゴールスプリントを制しているため、この日も逃げ切り優勝を狙う選手たちが序盤からアタックをかける。
今日も魅せてくれたのが今年40歳の福島晋一(トレンガヌ・プロアジア)だった。昨日のロングエスケープに引き続き、今日も序盤に決まった4人の逃げに乗った。
レース前に「昨日逃げたことはいいトレーニングになった。今日もチームは“行け行け!”と言っているので、チャンスがあれば狙いたい。少人数なら逃げられるチャンスはあると思う」と話していたが、有言実行とも言えるアタックを決めた。
ユーロップカーやドラパックの強豪選手も一緒に逃げたため、昨日に比べて脚が揃い、先頭交代のローテーションもスムースで、後続との差は一気に3分、4分、5分と広がっていった。
福島のカラダは誰よりも小さかったが、終始アグレッシブルに逃げ続ける姿は、誰よりも力強かった。
結果として、集団スプリントに持ち込まれ、逃げ切りの展開にはならなかったが、福島は次のようにレースを振り返った。
「残り10kmで後続との差は2分あった。だから余裕で逃げ切れると思ったんだけど、最後になって牽制してしまった。残り400、500メートルで後ろを振り返ったら、ものすごい勢いの集団がすぐそこに迫っていた。“くるぞー!!!”と叫んだけど、残り100メートルで集団に吸収されてしまった。
一生懸命走ってきたのに、最後の駆け引きで一瞬にして、4人全員が飲み込まれてチャンスが水の泡となる。これがまさにロードレースという展開だった。逃げていた4人は逃げ切ることだけを考えて必死に走っていたんだけどね...。また、皮肉にもフィニッシュラインが当初聞いていた場所よりも少しだけ遠くに設置されていた。
4人のなかで誰か1人が先行して、それを追う展開になれば逃げ切れたと思う。この悔しさは4人が全員同じように感じている。疲れはそれほど残っていないし、また明日もチャンスがあれば狙いたい」。
圧倒的なスプリントに苦戦を強いられる愛三工業レーシング
愛三工業レーシングの最高位は28位の盛一大。スプリンター西谷泰治は集団内に埋もれて57位でゴールラインを切った。
西谷は「強豪チームがスプリントに向けて位置取りをするなか、1人でいい位置をキープすることは難しかった。後方からスプリントを仕掛けても、やはり前には行けない」と言葉少なげに話す。
今年はマレーシアで開催されたアジア選手権との関係で通常より1ヶ月ほど遅い開催になっている。そのため強豪チームの多くはツアー・ダウンアンダーやツアー・オブ・カタール、オマーンなど、すでに大きなステージレースを走り、コンディションを上げているのが今年の特徴で、格下のコンチネンタルチームとの差が少し開いてしまっているのは否めない。しかし、愛三工業レーシングやトレンガヌ・プロアジアだけでなく、すべてのチームは勝ちを貪欲に狙う気持ちで満ちている。
明日、明後日は山岳コースが組み込まれた大会のクイーンステージとなる。
photo&text:Sonoko.Tanaka
雨上がりの会場に子どもたちが集まる
どんよりとした雲行きのなか、第4ステージの朝を迎えた。「もう暑いレースはヤダ!」そんな選手たちの声が聞こえたのか、連日の酷暑に比べたら随分と過ごしやすい。しかし、関係者が会場に着くと空が一気に暗くなり、ポツポツと雨が落ちはじめ、屋根の下に避難するやいなや、あたりは激しいスコールに見舞われた。しかし、南国特有のスコールで、レース開始30分前になると雨足は弱まり、選手たちは急いでレースの準備をしてスタートラインへと向かった。
レースを追い掛けていると、曜日感覚が弱くなってしまうが、今日はスタート地点にも沿道にも制服を着た小学生や中学生がたくさん集まってきた。月曜日になり学校が始まって、授業を抜け出してレース観戦を楽しんでいるのだ。いつもの通学路がレースコースになり、目の前を通る選手たちに、とびっきりの笑顔で声援を送る子どもたちの姿は「自転車ロードレースっていいなぁ」と強く感じるシーンだ。
果敢に逃げ続けた福島晋一
今日はスプリントポイントのみが設定されている169.4kmの平坦ステージ。ここまで圧倒的な力の差でアンドレア・グアルディーニがゴールスプリントを制しているため、この日も逃げ切り優勝を狙う選手たちが序盤からアタックをかける。
今日も魅せてくれたのが今年40歳の福島晋一(トレンガヌ・プロアジア)だった。昨日のロングエスケープに引き続き、今日も序盤に決まった4人の逃げに乗った。
レース前に「昨日逃げたことはいいトレーニングになった。今日もチームは“行け行け!”と言っているので、チャンスがあれば狙いたい。少人数なら逃げられるチャンスはあると思う」と話していたが、有言実行とも言えるアタックを決めた。
ユーロップカーやドラパックの強豪選手も一緒に逃げたため、昨日に比べて脚が揃い、先頭交代のローテーションもスムースで、後続との差は一気に3分、4分、5分と広がっていった。
福島のカラダは誰よりも小さかったが、終始アグレッシブルに逃げ続ける姿は、誰よりも力強かった。
結果として、集団スプリントに持ち込まれ、逃げ切りの展開にはならなかったが、福島は次のようにレースを振り返った。
「残り10kmで後続との差は2分あった。だから余裕で逃げ切れると思ったんだけど、最後になって牽制してしまった。残り400、500メートルで後ろを振り返ったら、ものすごい勢いの集団がすぐそこに迫っていた。“くるぞー!!!”と叫んだけど、残り100メートルで集団に吸収されてしまった。
一生懸命走ってきたのに、最後の駆け引きで一瞬にして、4人全員が飲み込まれてチャンスが水の泡となる。これがまさにロードレースという展開だった。逃げていた4人は逃げ切ることだけを考えて必死に走っていたんだけどね...。また、皮肉にもフィニッシュラインが当初聞いていた場所よりも少しだけ遠くに設置されていた。
4人のなかで誰か1人が先行して、それを追う展開になれば逃げ切れたと思う。この悔しさは4人が全員同じように感じている。疲れはそれほど残っていないし、また明日もチャンスがあれば狙いたい」。
圧倒的なスプリントに苦戦を強いられる愛三工業レーシング
愛三工業レーシングの最高位は28位の盛一大。スプリンター西谷泰治は集団内に埋もれて57位でゴールラインを切った。
西谷は「強豪チームがスプリントに向けて位置取りをするなか、1人でいい位置をキープすることは難しかった。後方からスプリントを仕掛けても、やはり前には行けない」と言葉少なげに話す。
今年はマレーシアで開催されたアジア選手権との関係で通常より1ヶ月ほど遅い開催になっている。そのため強豪チームの多くはツアー・ダウンアンダーやツアー・オブ・カタール、オマーンなど、すでに大きなステージレースを走り、コンディションを上げているのが今年の特徴で、格下のコンチネンタルチームとの差が少し開いてしまっているのは否めない。しかし、愛三工業レーシングやトレンガヌ・プロアジアだけでなく、すべてのチームは勝ちを貪欲に狙う気持ちで満ちている。
明日、明後日は山岳コースが組み込まれた大会のクイーンステージとなる。
photo&text:Sonoko.Tanaka
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