2012/01/25(水) - 18:18
ヴィットリアからデビューしたラジアルタイヤ、DIAMANTE PRO RADIALEを長期にわたって実走インプレッションした。
ヴィットリア DIAMANTE PRO RADIALE
左:ラジアル構造 右:バイアス構造 (c)ヴィットリアジャパンラジアルタイヤとは、ケーシングのコードが進行方向から見てほぼ垂直に構成されるためにそう呼ばれる。
自動車やオートバイのタイヤでは今やほどんどがラジアル構造を採用しているが、バイアスタイヤの3倍の行程が必要だと言われるその生産技術の困難さによって、自転車用タイヤにはほとんど採用されていなかった。
ヴィットリアは独自の高い技術をもって、ほぼ垂直となる85度角でのケーシング生産技術を確立した。バイアス構造は、進行方向に対して45度の角度で交差し合ったコード同士が走行時の屈曲によって摩擦を起こし、転がり抵抗に影響していた。
それに対して、ヴィットリアのラジアルケーシングタイヤは、進行方向に対してほぼ垂直の85度角でコードを配置。屈曲によるコードの摩擦を減らし、低い転がり抵抗を実現した。
進行方向に対してほぼ垂直の85度角でコードが配置されるラジアル構造 (c)ヴィットリアジャパンまた、ラジアルタイヤは従来のタイヤと比較すると、柔軟性に富み、あらゆる路面状況に応じてタイヤを変形させ、ライダーに快適性をもたらす。
コンパウンドには「KelarRSio2 3Dコンパウンド」を採用。シリカ(Sio2)と微細なケブラー(R)繊維を配合する事により、突出したグリップ力と低い転がり抵抗、高い耐久性も兼ね備えている。
そして、高密度のアラミド繊維を使用することによる軽さと柔軟性を維持しながら、耐切断性能を40%向上させた「PRB2.0」パンクベルトを備え、高い耐パンク性能をも誇っている。ヴィットリア初のラジアルタイヤ。実走しての印象をお伝えしよう。
製品インプレッション
■手触り・装着感
今回のインプレッションではヴィットリア・ジャパンから22cをお借りすることができた。
まず製品を箱から取り出し手に持ってみた感想は「軽く、薄くて柔らかい」。とくに柔らかさが特徴的で、トレッドを手で引っ張って伸ばしてみると、驚くほどしなやか。他ブランドの製品では硬いイメージさえあったラジアルタイヤの印象が払拭された。
触ってみると非常にしなやか手触りだ
ラジアル独特の構造がよくわかる
その重量は22c版で195gと、十分軽量タイヤに分類することができるものだ。この軽量性はホイール外周部の軽量化、すなわち走りの軽さにも期待することができる。センター部分の厚みは薄いが、ヒルクライム専用タイヤなどと違いペラペラ感もなく、常用にも不安を感じさせない程度だと感じた。
ホイールへの装着感は固めと感じる。タイヤレバー無しでも何とかホイールへ装着することができたが、ケブラー製のビードが頑丈にできているのがよく解る。指でコンパウンド表面を触ってみてもきめ細やかで食い付きが良いのが分かり、テストするのが楽しみになってくる。
■走行インプレッション
インプレッションではメーカー適正空気圧の7気圧で乗り込みを行った。
走りだしてみてすぐ気付いたのが、振動吸収性が非常に高い点。多少の段差や、ひび割れている路面でも衝撃を吸収して和らげてくれるのを感じ取れた。
林道によく見受けられるコンクリート簡易舗装+滑り防止凹凸の激坂下りも走行してみたが、普段ならバイクが跳ねてしまうポイントでも、路面追従性が良いのでブレーキをしっかりと掛け、スピードを調整することができた。構造的に従来のバイアスタイヤよりも柔軟性に富む、ラジアルタイヤならではと言えると思う。
挙動がわかりやすいので、安心してコーナリングができる
走行中のイメージとしては「芯のあるしなやかさ」といったところであろうか。体重58kgの私は普段7気圧前後で乗っているが、DIAMANTE PRO RADIALEの場合8.5気圧まで上げて同じような走行感になった。タイヤのしなやかさが際立っている部分だと言えると思う。
独特の軽い走行感は上りで効果を発揮する シリカとケブラー繊維が配合されているというコンパウンドは、よく路面をグリップしてくれる。トルクを掛けてダンシングすると「ザッザッ」とタイヤがアスファルトに喰いついている音が聞こえてくる。
峠の下りで気持ち良く、安心してコーナリングができ、ウェット路面でも十分にグリップしてくれるのでビギナーにもオススメしたいと思った。
グリップが良いので、ブレーキングした際にも減速がワンテンポ早いような感じを受ける。試しにフルブレーキングしてみたところ、ロック手前の領域においてコントロールがしやすく、良くバイクや路面の状況を伝えてくれる印象を受けた。
プロテクションに関しては、高い耐切断性能の素材を使用した耐パンクベルトが装備されているとのこと。現在1,000kmほど様々なシチュエーションで使用し、結構深めの傷つきもあったもののノーパンク記録を継続中だ。
ただし高グリップと引き換えに摩耗具合は少し早めかもしれない。現在はリアタイヤのバリが消えて、うっすらながらフラット面が表れてきた。全てのタイヤにいえることだが、前後の入れ替えはこまめに行った方が良いと思う。
少々のカット傷に対しては全く問題ない しなやかながら非常にグリップ力の高い新世代のラジアルタイヤ。これだけの性能を持ち合わせていながら、価格は税込みで5,040円と、高性能タイヤの中ではかなりリーズナブルな設定と言えるだろう。
ところで「ディアマンテ」はヴィットリアのタイヤの中では中級クラスのタイヤの名称だ。この先、コルサなど上級グレードのラジアルタイヤが登場するのだろうか? もしそうならそれも非常に楽しみだ。
text:So.Isobe
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自動車やオートバイのタイヤでは今やほどんどがラジアル構造を採用しているが、バイアスタイヤの3倍の行程が必要だと言われるその生産技術の困難さによって、自転車用タイヤにはほとんど採用されていなかった。
ヴィットリアは独自の高い技術をもって、ほぼ垂直となる85度角でのケーシング生産技術を確立した。バイアス構造は、進行方向に対して45度の角度で交差し合ったコード同士が走行時の屈曲によって摩擦を起こし、転がり抵抗に影響していた。
それに対して、ヴィットリアのラジアルケーシングタイヤは、進行方向に対してほぼ垂直の85度角でコードを配置。屈曲によるコードの摩擦を減らし、低い転がり抵抗を実現した。
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コンパウンドには「KelarRSio2 3Dコンパウンド」を採用。シリカ(Sio2)と微細なケブラー(R)繊維を配合する事により、突出したグリップ力と低い転がり抵抗、高い耐久性も兼ね備えている。
そして、高密度のアラミド繊維を使用することによる軽さと柔軟性を維持しながら、耐切断性能を40%向上させた「PRB2.0」パンクベルトを備え、高い耐パンク性能をも誇っている。ヴィットリア初のラジアルタイヤ。実走しての印象をお伝えしよう。
製品インプレッション
■手触り・装着感
今回のインプレッションではヴィットリア・ジャパンから22cをお借りすることができた。
まず製品を箱から取り出し手に持ってみた感想は「軽く、薄くて柔らかい」。とくに柔らかさが特徴的で、トレッドを手で引っ張って伸ばしてみると、驚くほどしなやか。他ブランドの製品では硬いイメージさえあったラジアルタイヤの印象が払拭された。
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その重量は22c版で195gと、十分軽量タイヤに分類することができるものだ。この軽量性はホイール外周部の軽量化、すなわち走りの軽さにも期待することができる。センター部分の厚みは薄いが、ヒルクライム専用タイヤなどと違いペラペラ感もなく、常用にも不安を感じさせない程度だと感じた。
ホイールへの装着感は固めと感じる。タイヤレバー無しでも何とかホイールへ装着することができたが、ケブラー製のビードが頑丈にできているのがよく解る。指でコンパウンド表面を触ってみてもきめ細やかで食い付きが良いのが分かり、テストするのが楽しみになってくる。
■走行インプレッション
インプレッションではメーカー適正空気圧の7気圧で乗り込みを行った。
走りだしてみてすぐ気付いたのが、振動吸収性が非常に高い点。多少の段差や、ひび割れている路面でも衝撃を吸収して和らげてくれるのを感じ取れた。
林道によく見受けられるコンクリート簡易舗装+滑り防止凹凸の激坂下りも走行してみたが、普段ならバイクが跳ねてしまうポイントでも、路面追従性が良いのでブレーキをしっかりと掛け、スピードを調整することができた。構造的に従来のバイアスタイヤよりも柔軟性に富む、ラジアルタイヤならではと言えると思う。
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グリップが良いので、ブレーキングした際にも減速がワンテンポ早いような感じを受ける。試しにフルブレーキングしてみたところ、ロック手前の領域においてコントロールがしやすく、良くバイクや路面の状況を伝えてくれる印象を受けた。
プロテクションに関しては、高い耐切断性能の素材を使用した耐パンクベルトが装備されているとのこと。現在1,000kmほど様々なシチュエーションで使用し、結構深めの傷つきもあったもののノーパンク記録を継続中だ。
ただし高グリップと引き換えに摩耗具合は少し早めかもしれない。現在はリアタイヤのバリが消えて、うっすらながらフラット面が表れてきた。全てのタイヤにいえることだが、前後の入れ替えはこまめに行った方が良いと思う。
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ところで「ディアマンテ」はヴィットリアのタイヤの中では中級クラスのタイヤの名称だ。この先、コルサなど上級グレードのラジアルタイヤが登場するのだろうか? もしそうならそれも非常に楽しみだ。
text:So.Isobe
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