2012/01/12(木) - 11:41
2012年8月18日から9月9日まで23日間にわたって開催される第67回ブエルタ・ア・エスパーニャ(UCIワールドツアー)のコースが11日発表された。頂上ゴールは10ステージ設定されており、山岳に比重が置かれているのは明らか。例年以上にクライマー向きのコースだ。
第67回ブエルタ・ア・エスパーニャはスペイン北部、ナバラ州の州都パンプローナで開幕する。有名な「牛追い祭り」の開催地として知られ、ツール5勝のミゲール・インデュライン(スペイン)の地元だ。
すべてのステージがマドリード以北で行なわれるのが特徴で、バレンシアやムルシア、アンダルシアなど南部の自治州は一切登場しない。前半から山岳ステージが詰め込まれており、TTスペシャリストに付け入る隙を与えないほどクライマー向きのコース設定だ。
主催者が定めた頂上ゴールは6つ。しかしカテゴリーの付いていない頂上ゴールを含めるとその数は10まで増える。21ステージのうち実質的に10ステージが頂上ゴールという過激な設定だ。
初日はパンプローナを舞台にした16.2kmのチームタイムトライアル。その後すぐにバスク地方に舞台を移すと、第3ステージで最初の頂上ゴールが登場する。ラスト2kmで1級山岳アラーテ峠を越える第3ステージ、そして標高1550mのスキー場にゴールする第4ステージでマイヨロホ争いは早速動くだろう。
主催者は合計6ステージを「平坦ステージ」に指定している。しかし実際にスプリンターが活躍するステージはもっと少ない。「平坦ステージ」であるはずの第6ステージと第12ステージ、第17ステージのゴール地点は、いずれもカテゴリー山岳の頂上に置かれている(第12ステージのゴールは最大勾配28%)。集団スプリントに持ち込まれるスプリントステージはおそらく3〜4ステージしかないだろう。
アンドラ公国にゴールする第8ステージが前半戦最大の山場。2級山岳コメリャ峠をラスト16kmで越え、更に最大勾配18%のガリーニャ峠を駆け上がってゴール。マイヨロホはクライマー間で持ち主を日々変えることになりそうだ。バルセロナにゴールする第9ステージは平坦ステージだが、ゴール手前に3級山岳モンジュイックの丘が設定されている。スプリンターにとってはストレスフルなステージが続く。
1回目の休息日(実際にはその前夜)に選手たちはバルセロナから空路でイベリア半島を横断し、ガリシア地方に降り立つ。スタッフやプレスは陸路で約1200km移動する。
第11ステージは今大会唯一の個人タイムトライアル。中盤に標高差が500m近い3級山岳が設定されており、TTスペシャリストが大きくタイムを挽回することは考えにくい。
アストゥリアス地方に足を踏み入れる第14ステージから頂上ゴールが3日間連続で登場。アンカレス峠に始まり、ブエルタ名物のラゴス・デ・コバドンガ、そしてバルグランデ・パハレス/クイトゥ・ネグルにゴールするこの3ステージで、マイヨロホ争いはほぼ決着するだろう。
いずれも破壊力抜群の山岳ステージだが、特に注目したいのが休息日前日の第16ステージ。1級山岳サンロレンソ峠と1級山岳コベルトリア峠を越え、最後は標高1850mのバルグランデ・パハレスのスキー場へ。ブエルタ初登場のゴール地点クイトゥ・ネグルはスキー場の3km先にあり、ゴール手前の未舗装区間(レースまでに舗装予定)の最大勾配は25%に達する。
壮絶なアストゥリアス山岳3連戦を終え、ブエルタは休息日を挟んでマドリードまで南下を始める。比較的イージーなステージが続き、最終日前日に大会はクライマックスを迎える。1級山岳ナバフリア峠、2級山岳カネンシア峠、1級山岳モルクエラ峠、1級山岳コトス峠、そして超級山岳ボラ・デル・ムンドを駆け上がる第20ステージでクライマー達は最終決戦を繰り広げる。最終日はマドリードにゴールする恒例の平坦ステージだ。
マイヨロホ候補に挙がるのはもちろんクライマー。コースプレゼンテーションに出席したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)はプレスリリースの中で「今年のコースは過去の大会と大きく異なる。前半からナーバスなステージが続き、後半はとにかく厳しい。山岳力が総合争いの鍵。タイムを得る、もしくはタイムを失う可能性が毎ステージある。間違いなく過去最高のスペクタクルな闘いになるだろう」と感想を語っている。
ディフェンディングチャンピオンで、モビスターチームに移籍したファンホセ・コーボ(スペイン)は「3級山岳を含む40kmの個人タイムトライアルは僕に味方していると思う。アストゥリアスの厳しい3ステージでブエルタを制する者が決まるだろう。最終日前日のボラ・デル・ムンドも無視できないが、先の3ステージで強さを見せた者にとっては問題ないはず」とコメントしている。
選手コメントはいずれもチーム公式サイトより。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2012ステージリスト
8月18日(土) 第1ステージ パンプローナ〜パンプローナ 16.2km(チームTT)
8月19日(日) 第2ステージ パンプローナ〜ビアナ 180km
8月20日(月) 第3ステージ ファウスティーノV〜エイバル(アラーテ) 153km(頂上ゴール)
8月21日(火) 第4ステージ バラカルド〜エスタシオン・デ・バルデスカライ 155.4km(頂上ゴール)
8月22日(水) 第5ステージ ログローニョ〜ログローニョ 172km
8月23日(木) 第6ステージ タサソナ〜ハカ 174.8km(頂上ゴール)
8月24日(金) 第7ステージ ウエスカ〜アルカニス/アラゴンモーターランド 160km
8月25日(土) 第8ステージ レリダ〜アンドラ/コリャーダ・デラ・ガリーニャ 175km(頂上ゴール)
8月26日(日) 第9ステージ アンドラ〜バルセロナ 194km
8月27日(月) 休息日
8月28日(火) 第10ステージ ポンテアレアス〜サンシェンショ 166.4km
8月29日(水) 第11ステージ カンバドス〜ポンテベドラ 40km(個人TT)
8月30日(木) 第12ステージ ビラガルシア・デ・アロウサ〜ドゥンブリア 184.6km(頂上ゴール)
8月31日(金) 第13ステージ サンティアゴ・デ・コンポステーラ〜フェロル 172.7km
9月1日(土) 第14ステージ パラス・デ・レイ〜プエルト・デ・アンカレス 152km(頂上ゴール)
9月2日(日) 第15ステージ ラ・ロブラ〜ラゴス・デ・コバドンガ 186.7km(頂上ゴール)
9月3日(月) 第16ステージ ヒホン〜バルグランデ・パハレス/クイトゥ・ネグル 185km(頂上ゴール)
9月4日(火) 休息日
9月5日(水) 第17ステージ サンタンデル〜フエンテ・デ 177km(頂上ゴール)
9月6日(木) 第18ステージ アグイラル・デ・カンポ〜バリャドリド 186.4km
9月7日(金) 第19ステージ ペニャフィエル〜ラ・ラストリーリャ 169km
9月8日(土) 第20ステージ ラ・ファイサネラ〜ボラ・デル・ムンド 169.5km(頂上ゴール)
9月9日(日) 第21ステージ セルセディリャ〜マドリード 111.9km
text:Kei Tsuji
第67回ブエルタ・ア・エスパーニャはスペイン北部、ナバラ州の州都パンプローナで開幕する。有名な「牛追い祭り」の開催地として知られ、ツール5勝のミゲール・インデュライン(スペイン)の地元だ。
すべてのステージがマドリード以北で行なわれるのが特徴で、バレンシアやムルシア、アンダルシアなど南部の自治州は一切登場しない。前半から山岳ステージが詰め込まれており、TTスペシャリストに付け入る隙を与えないほどクライマー向きのコース設定だ。
主催者が定めた頂上ゴールは6つ。しかしカテゴリーの付いていない頂上ゴールを含めるとその数は10まで増える。21ステージのうち実質的に10ステージが頂上ゴールという過激な設定だ。
初日はパンプローナを舞台にした16.2kmのチームタイムトライアル。その後すぐにバスク地方に舞台を移すと、第3ステージで最初の頂上ゴールが登場する。ラスト2kmで1級山岳アラーテ峠を越える第3ステージ、そして標高1550mのスキー場にゴールする第4ステージでマイヨロホ争いは早速動くだろう。
主催者は合計6ステージを「平坦ステージ」に指定している。しかし実際にスプリンターが活躍するステージはもっと少ない。「平坦ステージ」であるはずの第6ステージと第12ステージ、第17ステージのゴール地点は、いずれもカテゴリー山岳の頂上に置かれている(第12ステージのゴールは最大勾配28%)。集団スプリントに持ち込まれるスプリントステージはおそらく3〜4ステージしかないだろう。
アンドラ公国にゴールする第8ステージが前半戦最大の山場。2級山岳コメリャ峠をラスト16kmで越え、更に最大勾配18%のガリーニャ峠を駆け上がってゴール。マイヨロホはクライマー間で持ち主を日々変えることになりそうだ。バルセロナにゴールする第9ステージは平坦ステージだが、ゴール手前に3級山岳モンジュイックの丘が設定されている。スプリンターにとってはストレスフルなステージが続く。
1回目の休息日(実際にはその前夜)に選手たちはバルセロナから空路でイベリア半島を横断し、ガリシア地方に降り立つ。スタッフやプレスは陸路で約1200km移動する。
第11ステージは今大会唯一の個人タイムトライアル。中盤に標高差が500m近い3級山岳が設定されており、TTスペシャリストが大きくタイムを挽回することは考えにくい。
アストゥリアス地方に足を踏み入れる第14ステージから頂上ゴールが3日間連続で登場。アンカレス峠に始まり、ブエルタ名物のラゴス・デ・コバドンガ、そしてバルグランデ・パハレス/クイトゥ・ネグルにゴールするこの3ステージで、マイヨロホ争いはほぼ決着するだろう。
いずれも破壊力抜群の山岳ステージだが、特に注目したいのが休息日前日の第16ステージ。1級山岳サンロレンソ峠と1級山岳コベルトリア峠を越え、最後は標高1850mのバルグランデ・パハレスのスキー場へ。ブエルタ初登場のゴール地点クイトゥ・ネグルはスキー場の3km先にあり、ゴール手前の未舗装区間(レースまでに舗装予定)の最大勾配は25%に達する。
壮絶なアストゥリアス山岳3連戦を終え、ブエルタは休息日を挟んでマドリードまで南下を始める。比較的イージーなステージが続き、最終日前日に大会はクライマックスを迎える。1級山岳ナバフリア峠、2級山岳カネンシア峠、1級山岳モルクエラ峠、1級山岳コトス峠、そして超級山岳ボラ・デル・ムンドを駆け上がる第20ステージでクライマー達は最終決戦を繰り広げる。最終日はマドリードにゴールする恒例の平坦ステージだ。
マイヨロホ候補に挙がるのはもちろんクライマー。コースプレゼンテーションに出席したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)はプレスリリースの中で「今年のコースは過去の大会と大きく異なる。前半からナーバスなステージが続き、後半はとにかく厳しい。山岳力が総合争いの鍵。タイムを得る、もしくはタイムを失う可能性が毎ステージある。間違いなく過去最高のスペクタクルな闘いになるだろう」と感想を語っている。
ディフェンディングチャンピオンで、モビスターチームに移籍したファンホセ・コーボ(スペイン)は「3級山岳を含む40kmの個人タイムトライアルは僕に味方していると思う。アストゥリアスの厳しい3ステージでブエルタを制する者が決まるだろう。最終日前日のボラ・デル・ムンドも無視できないが、先の3ステージで強さを見せた者にとっては問題ないはず」とコメントしている。
選手コメントはいずれもチーム公式サイトより。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2012ステージリスト
8月18日(土) 第1ステージ パンプローナ〜パンプローナ 16.2km(チームTT)
8月19日(日) 第2ステージ パンプローナ〜ビアナ 180km
8月20日(月) 第3ステージ ファウスティーノV〜エイバル(アラーテ) 153km(頂上ゴール)
8月21日(火) 第4ステージ バラカルド〜エスタシオン・デ・バルデスカライ 155.4km(頂上ゴール)
8月22日(水) 第5ステージ ログローニョ〜ログローニョ 172km
8月23日(木) 第6ステージ タサソナ〜ハカ 174.8km(頂上ゴール)
8月24日(金) 第7ステージ ウエスカ〜アルカニス/アラゴンモーターランド 160km
8月25日(土) 第8ステージ レリダ〜アンドラ/コリャーダ・デラ・ガリーニャ 175km(頂上ゴール)
8月26日(日) 第9ステージ アンドラ〜バルセロナ 194km
8月27日(月) 休息日
8月28日(火) 第10ステージ ポンテアレアス〜サンシェンショ 166.4km
8月29日(水) 第11ステージ カンバドス〜ポンテベドラ 40km(個人TT)
8月30日(木) 第12ステージ ビラガルシア・デ・アロウサ〜ドゥンブリア 184.6km(頂上ゴール)
8月31日(金) 第13ステージ サンティアゴ・デ・コンポステーラ〜フェロル 172.7km
9月1日(土) 第14ステージ パラス・デ・レイ〜プエルト・デ・アンカレス 152km(頂上ゴール)
9月2日(日) 第15ステージ ラ・ロブラ〜ラゴス・デ・コバドンガ 186.7km(頂上ゴール)
9月3日(月) 第16ステージ ヒホン〜バルグランデ・パハレス/クイトゥ・ネグル 185km(頂上ゴール)
9月4日(火) 休息日
9月5日(水) 第17ステージ サンタンデル〜フエンテ・デ 177km(頂上ゴール)
9月6日(木) 第18ステージ アグイラル・デ・カンポ〜バリャドリド 186.4km
9月7日(金) 第19ステージ ペニャフィエル〜ラ・ラストリーリャ 169km
9月8日(土) 第20ステージ ラ・ファイサネラ〜ボラ・デル・ムンド 169.5km(頂上ゴール)
9月9日(日) 第21ステージ セルセディリャ〜マドリード 111.9km
text:Kei Tsuji
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