2009/05/15(金) - 11:16
ジロ・デ・イタリア第6ステージはブレッサノーネ~マイヤーホーフェン248㎞。ワンデイクラシックに匹敵するほどのロングコースで、ジロ・デ・イタリア2009では262km(!)の第10ステージに次ぐ2番目に長いステージだ。標高1500m超の山岳を2つ越え、ツィラータール谷を縦断する山岳鉄道の終点駅マイヤーホーフェンにゴールすることとなる。
この日は序盤から幾度ものアタックが試みられたが、なかなか決定的なものとはならなかった。
レースが動いたのは55km地点。ギヨーム・ボナフォン(フランス、アージェードゥーゼル)、ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、ケースデパーニュ)、オスカル・ガット(イタリア、ISD)、ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ディキジョヴァンニ)、キャスパー・クロステルガード(デンマーク、サクソバンク)の5名による逃げが決まり、集団に対して最大8分もの差をつけた。
この5名の中でもっとも個人総合成績が上位だったのは6分19秒遅れ・38位のスカルポーニ。
マリアローザを守りたいLPRブレークスというよりはむしろ、ステージ優勝を狙うチームの引きにより、徐々にタイム差が詰まりはじめた。
最初の山岳を越え、いったん下ったあたりで先頭グループからボナフォン、ガット、クロステルガードの若い選手3名が脱落。先頭はスカルポーニとキリエンカの2名となった。
そして2つ目の山岳の上りでは、ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)が集団からアタック。
4分のタイム差をものともせず単独で先頭を追いはじめた。
その後、先頭から遅れたクロステルガードと合流。2名で追うも、タイム差は詰まらず、残り30kmほどの地点で集団に吸収されることとなった。
また、長い間、先頭2名とメイン集団の間で走行していたボナフォンとガットも10kmを残して集団に吸収。先頭2名とメイン集団の争いとなる。
不運だったのがキリエンカだ。残り25km地点で後輪がパンク。長距離の逃げとスカルポーニに追いつくために脚を使ったためか、脚が攣ってしまい、ストレッチをする姿が何度も見られた。一旦はスカルポーニに追いつき、先頭交替にも加わる粘りを見せたが、最終局面で再度脚が攣り、先頭から脱落することとなった。
後続のメイン集団はステージ優勝を狙うクイックステップ、カチューシャが猛烈な勢いで追走する。先頭は単独。後続は協力して先頭交替を繰り返す大集団。単独での逃げ切りは困難かと思われた。
しかしメイン集団のペースが上がらない。ここまで力を使ったクイックステップの選手が引けなくなり、しかし上りでもちぎれなかったアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、LPRブレークス)のスプリント力を警戒してか、他のチームは前に出てこない。
スカルポーニは約1分のタイム差をキープしたまま、ゴールへとひた走った。
そして、ゴール前の無数にあるコーナーも幸いし、30秒以上のタイム差を維持したまま、スカルポーニがゴール前に入ってきた。観客の大歓声に後押しされ、腰を上げてペースを上げるスカルポーニ。ゴール手前で一度振り返り背後を確認し、拳にキスをしてガッツポーズでのゴールとなった。
スカルポーニは、かつて所属したバティーセグロス時代にオペラシオンプエルト(スペインで勃発した大規模なドーピング捜査)への関与が疑われ、2007年5月に一件への関与を自供。18ヶ月の出場停止処分を受けた。出場停止明けのティレーノ~アドリアティコで復活優勝に続く地元ジロ・デ・イタリアでのステージ優勝。
爆発的な歓喜というより内側からにじみ出るような喜びの表現の中で、193kmにも及ぶ逃げ切り勝利について「昨日は5分近くも遅れてしまい、個人総合優勝からは遠ざかってしまった。少しでも遅れを取り戻したかったんだ。タイム差はついていたけど、逃げ切れるかどうかはわからなかったから、キリエンカと協力して逃げた。キリエンカなしでは今日の勝利はなしえなかったよ。でも最後には単独で勝利できた。勝てて最高の気分だよ」とコメントしている。
メイン集団によるゴールスプリントは、先行していたアラン・デーヴィス(オーストラリア、クイックステップ)、フィリッポ・ポッツァート(イタリア、カチューシャ)を怒涛の勢いで抜き去ったエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームコロンビア)が制した。マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)のために献身的なアシストを見せてきたボアッソンは1987年生まれの21歳。上り基調のスプリントを制したことで自らの可能性をアピールした。
前日に引き続き、この日も遅れてしまったのがランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)だ。2位集団から43秒、先頭からは1分15秒遅れの集団でゴールし、個人総合成績を4分13秒遅れの25位まで落としている。
ステージ9位でフィニッシュしたダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス)がチームメイトのアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)に代わってマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)も獲得。3賞を独占することとなった。
そしてジロ・デ・イタリア第7ステージもまた244kmのロングコースだ。終盤まで上り基調、山頂を越えたら36kmを下りきってのゴールとなる。集団によるスプリント勝負となるのか、あるいは大逃げが決まるのか。
ステージ優勝の行方に注目したい。
ジロ・デ・イタリア2009第6ステージ結果
1位ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ディキジョヴァンニ) 5h49'55"
2位エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームコロンビア) +32"
3位アラン・デーヴィス(オーストラリア、クイックステップ) +32"
4位フィリッポ・ポッツァート(イタリア、カチューシャ) +32"
5位マシュー・ゴス(オーストラリア、サクソバンク) +32"
6位フィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット) +32"
7位エンリーコ・ガスパロット(イタリア、ランプレ) +32"
8位マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームコロンビア) +36"
9位ダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス) +36"
10位タディ・ヴァリャベッチ(スロベニア、アージェードゥーゼル) +36"
個人総合成績
1位ダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス) 22h11'15"
2位トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア) +5"
3位マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームコロンビア) +36"
4位リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ) +43"
5位デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク) +50"
6位イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) +1'06"
7位カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ・テストチーム) +1'16"
8位クリストファー・ホーナー(アメリカ、アスタナ) +1'17"
9位フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス) +1'27"
10位ダビ・アローヨ(スペイン、ケースデパーニュ) +1'41"
ポイント賞 マリアチクラミーノ
ダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス)
山岳賞 マリアヴェルデ
ダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス)
新人賞 マリアビアンカ
トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア)
チーム総合成績
アスタナ
この日は序盤から幾度ものアタックが試みられたが、なかなか決定的なものとはならなかった。
レースが動いたのは55km地点。ギヨーム・ボナフォン(フランス、アージェードゥーゼル)、ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、ケースデパーニュ)、オスカル・ガット(イタリア、ISD)、ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ディキジョヴァンニ)、キャスパー・クロステルガード(デンマーク、サクソバンク)の5名による逃げが決まり、集団に対して最大8分もの差をつけた。
この5名の中でもっとも個人総合成績が上位だったのは6分19秒遅れ・38位のスカルポーニ。
マリアローザを守りたいLPRブレークスというよりはむしろ、ステージ優勝を狙うチームの引きにより、徐々にタイム差が詰まりはじめた。
最初の山岳を越え、いったん下ったあたりで先頭グループからボナフォン、ガット、クロステルガードの若い選手3名が脱落。先頭はスカルポーニとキリエンカの2名となった。
そして2つ目の山岳の上りでは、ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)が集団からアタック。
4分のタイム差をものともせず単独で先頭を追いはじめた。
その後、先頭から遅れたクロステルガードと合流。2名で追うも、タイム差は詰まらず、残り30kmほどの地点で集団に吸収されることとなった。
また、長い間、先頭2名とメイン集団の間で走行していたボナフォンとガットも10kmを残して集団に吸収。先頭2名とメイン集団の争いとなる。
不運だったのがキリエンカだ。残り25km地点で後輪がパンク。長距離の逃げとスカルポーニに追いつくために脚を使ったためか、脚が攣ってしまい、ストレッチをする姿が何度も見られた。一旦はスカルポーニに追いつき、先頭交替にも加わる粘りを見せたが、最終局面で再度脚が攣り、先頭から脱落することとなった。
後続のメイン集団はステージ優勝を狙うクイックステップ、カチューシャが猛烈な勢いで追走する。先頭は単独。後続は協力して先頭交替を繰り返す大集団。単独での逃げ切りは困難かと思われた。
しかしメイン集団のペースが上がらない。ここまで力を使ったクイックステップの選手が引けなくなり、しかし上りでもちぎれなかったアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、LPRブレークス)のスプリント力を警戒してか、他のチームは前に出てこない。
スカルポーニは約1分のタイム差をキープしたまま、ゴールへとひた走った。
そして、ゴール前の無数にあるコーナーも幸いし、30秒以上のタイム差を維持したまま、スカルポーニがゴール前に入ってきた。観客の大歓声に後押しされ、腰を上げてペースを上げるスカルポーニ。ゴール手前で一度振り返り背後を確認し、拳にキスをしてガッツポーズでのゴールとなった。
スカルポーニは、かつて所属したバティーセグロス時代にオペラシオンプエルト(スペインで勃発した大規模なドーピング捜査)への関与が疑われ、2007年5月に一件への関与を自供。18ヶ月の出場停止処分を受けた。出場停止明けのティレーノ~アドリアティコで復活優勝に続く地元ジロ・デ・イタリアでのステージ優勝。
爆発的な歓喜というより内側からにじみ出るような喜びの表現の中で、193kmにも及ぶ逃げ切り勝利について「昨日は5分近くも遅れてしまい、個人総合優勝からは遠ざかってしまった。少しでも遅れを取り戻したかったんだ。タイム差はついていたけど、逃げ切れるかどうかはわからなかったから、キリエンカと協力して逃げた。キリエンカなしでは今日の勝利はなしえなかったよ。でも最後には単独で勝利できた。勝てて最高の気分だよ」とコメントしている。
メイン集団によるゴールスプリントは、先行していたアラン・デーヴィス(オーストラリア、クイックステップ)、フィリッポ・ポッツァート(イタリア、カチューシャ)を怒涛の勢いで抜き去ったエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームコロンビア)が制した。マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)のために献身的なアシストを見せてきたボアッソンは1987年生まれの21歳。上り基調のスプリントを制したことで自らの可能性をアピールした。
前日に引き続き、この日も遅れてしまったのがランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)だ。2位集団から43秒、先頭からは1分15秒遅れの集団でゴールし、個人総合成績を4分13秒遅れの25位まで落としている。
ステージ9位でフィニッシュしたダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス)がチームメイトのアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)に代わってマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)も獲得。3賞を独占することとなった。
そしてジロ・デ・イタリア第7ステージもまた244kmのロングコースだ。終盤まで上り基調、山頂を越えたら36kmを下りきってのゴールとなる。集団によるスプリント勝負となるのか、あるいは大逃げが決まるのか。
ステージ優勝の行方に注目したい。
ジロ・デ・イタリア2009第6ステージ結果
1位ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ディキジョヴァンニ) 5h49'55"
2位エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームコロンビア) +32"
3位アラン・デーヴィス(オーストラリア、クイックステップ) +32"
4位フィリッポ・ポッツァート(イタリア、カチューシャ) +32"
5位マシュー・ゴス(オーストラリア、サクソバンク) +32"
6位フィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット) +32"
7位エンリーコ・ガスパロット(イタリア、ランプレ) +32"
8位マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームコロンビア) +36"
9位ダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス) +36"
10位タディ・ヴァリャベッチ(スロベニア、アージェードゥーゼル) +36"
個人総合成績
1位ダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス) 22h11'15"
2位トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア) +5"
3位マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームコロンビア) +36"
4位リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ) +43"
5位デニス・メンショフ(ロシア、ラボバンク) +50"
6位イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) +1'06"
7位カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ・テストチーム) +1'16"
8位クリストファー・ホーナー(アメリカ、アスタナ) +1'17"
9位フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス) +1'27"
10位ダビ・アローヨ(スペイン、ケースデパーニュ) +1'41"
ポイント賞 マリアチクラミーノ
ダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス)
山岳賞 マリアヴェルデ
ダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス)
新人賞 マリアビアンカ
トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア)
チーム総合成績
アスタナ
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