2011/08/21(日) - 11:07
スペイン南東部ベニドルムで開幕したブエルタ・ア・エスパーニャ2011。チームタイムトライアルは世界王者を擁するレオパード・トレックがトップタイムを叩き出し、ヤコブ・フグルサング(デンマーク)が初のマイヨロホを獲得した。
地中海のビーチリゾート、ベニドルムの街を駆ける13.5kmで争われたチームタイムトライアル。狭い道やヘアピンカーブ、石畳が出現するテクニカルなコースだ。序盤には標高差138mの登りがあり、後半はフラット。前半と後半のペース配分がこの日の明暗を分けた。
夕日になりかけた日射しの中、第1走者のスキル・シマノがスタート台に立つ。もちろん、ゼッケン172番の土井雪広(日本、スキル・シマノ)の姿も。日本人として初のブエルタ出場を果たす土井がベニドルムの街へと飛び出していった。
このスキル・シマノが16分48秒の好タイム。大柄な選手で固めた布陣が功を奏したか、プロコンチネンタルチームながら第1走者のプレッシャーをはね除け、この日を終えて7位という好成績を残した。残念ながら遅れてしまった土井は、17分8秒でゴール。総合成績を115位で初日を終えることになった。
4番目出走のアスタナが7人でゴールするチーム力を発揮し、16分40秒で暫定トップタイムを更新。しかしこのタイムは、7番手スタートのレオパード・トレックに破られることになる。
個人タイムトライアル世界チャンピオンのファビアン・カンチェラーラ(スイス)を擁し、前半の登り区間で抑えめに走って後半の平坦でカンチェラーラに引かせるという作戦が決まったレオパード・トレック。アスタナのタイムを10秒更新する16分30秒のトップタイムを叩き出した。
この日はスタート直後のメカトラブルが相次いだ。総合狙いの選手でそれが起こったのがレディオシャック。チームエースのひとりヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)がスタート台から駆け下りてすぐにチェーン外れに見舞われる。ヨハン・ブリュイネール監督が「チームメイトがブライコヴィッチを待ったことで25秒を失った…まったく終わりの無い時間に思われた」と語る通り、このトラブルが響いたレディオシャックは29秒遅れの14位でこの日を終えた。
総合狙いのチームで大きく沈んだのはジェオックスTMCとチームスカイ。デニス・メンショフ(ロシア)とカルロス・サストレ(スペイン)の2人のグランツールウイナーを擁するジェオックスは43秒遅れの21位に沈み、ブエルタ制覇に暗雲を覗かせた。
一方この日のステージ優勝候補に挙げられていたチームスカイはクルトアスル・アルヴェセン(ノルウェー、チームスカイ)の落車により隊列が崩壊。ブラッドレー・ウィギンズ(イギリス)やトーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン)といった選手の強力な引きで先頭が4人のまま走ってしまうミスを呼び込み、5人目を待ったことで大幅にタイムをロス。結局42秒遅れの20位でこの日を終え、ウィギンズにとっても辛い出だしとなった。
エーススプリンターのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)を早々に切り離したこの日の優勝候補HTC・ハイロードもレオパード・トレックに9秒届かず、最終チームで昨年の覇者ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)を擁するリクイガス・キャノンデールがスタート。マイヨロホを着たニーバリをライムグリーンのチームメイトが取り囲む。
中間計測地点でトップタイムを叩き出したリクイガスだが後半の平坦部分でやや失速。しかしニーバリとこの日グランツールデビューを飾ったピーター・サガン(スロバキア)の牽引により、レオパード・トレックから4秒遅れの2位でフィニッシュ。大会2連覇を狙うニーバリにとって幸先の良いスタートとなった。
この結果、レオパード・トレックチームの先頭で通過したヤコブ・フグルサング(デンマーク、レオパード・トレック)のマイヨ・ロホ獲得が決定。シュレク兄弟の忠実なアシストとして山岳で強さを見せるオールラウンダーが深紅のジャージに袖を通した。
ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レオパード・トレック)
「ブエルタで総合リーダーになるなんて思ってもみなかった。誰が先頭通過するかは話し合っておらず、ただ良いパフォーマンスを発揮することだけが僕らの目標だったんだ。残り200mで先頭に立って、その後に誰か前に出るかと思ったけどそのままゴールした。
僕らにとってブエルタの立ち上がりは重要になる。僕個人で言わせてもらえば、総合に向けた闘いへの準備は整っている。さらにスプリントではベンナーティ、個人TTではカンチェラーラが僕らのチームにはいるからね。僕らのチームはとても強力だ。ツールを走った選手は回復しているし、そうでない選手はトップコンディションにいるのだから。」
ブエルタ・ア・エスパーニャ2011第1ステージ結果
1位 レオパード・トレック 16'30"
2位 リクイガス・キャノンデール +04"
3位 HTC・ハイロード +09"
4位 アスタナ +10"
5位 モビスター +14"
6位 クイックステップ +15"
7位 スキル・シマノ +18"
8位 オメガファーマ・ロット
9位 ガーミン・サーヴェロ +25"
10位 カチューシャ
個人総合成績(マイヨロホ)
1位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レオパード・トレック) 16'30"
2位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)
3位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レオパード・トレック)
4位 トーマス・ローレッガー(オートリア、レオパード・トレック)
5位 ダニエル・ベンナーティ(イタリア、レオパード・トレック)
6位 ピーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) +04"
7位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
8位 エロス・カペッキ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
9位 ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
10位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
13位 マルティン・べリトス(スロバキア、HTC・ハイロード) +09"
27位 マルツィオ・ブルセギン(イタリア、モビスター) +14"
49位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +18"
58位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・トランジションズ) +25"
63位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +25"
74位 イゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル) +28"
92位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック) +29"
94位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) +29"
97位 ステフェン・クルイシュヴィック(オランダ、ラボバンク) +30"
101位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD) +32"
115位 土井雪広(日本、スキル・シマノ) +38"
126位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル) +42"
133位 ブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) +42"
136位 カルロス・サストレ(スペイン、ジェオックスTMC) +43"
141位 デニス・メンショフ(ロシア、ジェオックスTMC) +43"
チーム総合成績
1位 レオパード・トレック 16'30"
2位 リクイガス・キャノンデール +0'04"
3位 HTC・ハイロード +0'09"
text:Yufta Omata
photo:Tour d'Espagne/Graham Watson
地中海のビーチリゾート、ベニドルムの街を駆ける13.5kmで争われたチームタイムトライアル。狭い道やヘアピンカーブ、石畳が出現するテクニカルなコースだ。序盤には標高差138mの登りがあり、後半はフラット。前半と後半のペース配分がこの日の明暗を分けた。
夕日になりかけた日射しの中、第1走者のスキル・シマノがスタート台に立つ。もちろん、ゼッケン172番の土井雪広(日本、スキル・シマノ)の姿も。日本人として初のブエルタ出場を果たす土井がベニドルムの街へと飛び出していった。
このスキル・シマノが16分48秒の好タイム。大柄な選手で固めた布陣が功を奏したか、プロコンチネンタルチームながら第1走者のプレッシャーをはね除け、この日を終えて7位という好成績を残した。残念ながら遅れてしまった土井は、17分8秒でゴール。総合成績を115位で初日を終えることになった。
4番目出走のアスタナが7人でゴールするチーム力を発揮し、16分40秒で暫定トップタイムを更新。しかしこのタイムは、7番手スタートのレオパード・トレックに破られることになる。
個人タイムトライアル世界チャンピオンのファビアン・カンチェラーラ(スイス)を擁し、前半の登り区間で抑えめに走って後半の平坦でカンチェラーラに引かせるという作戦が決まったレオパード・トレック。アスタナのタイムを10秒更新する16分30秒のトップタイムを叩き出した。
この日はスタート直後のメカトラブルが相次いだ。総合狙いの選手でそれが起こったのがレディオシャック。チームエースのひとりヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)がスタート台から駆け下りてすぐにチェーン外れに見舞われる。ヨハン・ブリュイネール監督が「チームメイトがブライコヴィッチを待ったことで25秒を失った…まったく終わりの無い時間に思われた」と語る通り、このトラブルが響いたレディオシャックは29秒遅れの14位でこの日を終えた。
総合狙いのチームで大きく沈んだのはジェオックスTMCとチームスカイ。デニス・メンショフ(ロシア)とカルロス・サストレ(スペイン)の2人のグランツールウイナーを擁するジェオックスは43秒遅れの21位に沈み、ブエルタ制覇に暗雲を覗かせた。
一方この日のステージ優勝候補に挙げられていたチームスカイはクルトアスル・アルヴェセン(ノルウェー、チームスカイ)の落車により隊列が崩壊。ブラッドレー・ウィギンズ(イギリス)やトーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン)といった選手の強力な引きで先頭が4人のまま走ってしまうミスを呼び込み、5人目を待ったことで大幅にタイムをロス。結局42秒遅れの20位でこの日を終え、ウィギンズにとっても辛い出だしとなった。
エーススプリンターのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)を早々に切り離したこの日の優勝候補HTC・ハイロードもレオパード・トレックに9秒届かず、最終チームで昨年の覇者ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)を擁するリクイガス・キャノンデールがスタート。マイヨロホを着たニーバリをライムグリーンのチームメイトが取り囲む。
中間計測地点でトップタイムを叩き出したリクイガスだが後半の平坦部分でやや失速。しかしニーバリとこの日グランツールデビューを飾ったピーター・サガン(スロバキア)の牽引により、レオパード・トレックから4秒遅れの2位でフィニッシュ。大会2連覇を狙うニーバリにとって幸先の良いスタートとなった。
この結果、レオパード・トレックチームの先頭で通過したヤコブ・フグルサング(デンマーク、レオパード・トレック)のマイヨ・ロホ獲得が決定。シュレク兄弟の忠実なアシストとして山岳で強さを見せるオールラウンダーが深紅のジャージに袖を通した。
ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レオパード・トレック)
「ブエルタで総合リーダーになるなんて思ってもみなかった。誰が先頭通過するかは話し合っておらず、ただ良いパフォーマンスを発揮することだけが僕らの目標だったんだ。残り200mで先頭に立って、その後に誰か前に出るかと思ったけどそのままゴールした。
僕らにとってブエルタの立ち上がりは重要になる。僕個人で言わせてもらえば、総合に向けた闘いへの準備は整っている。さらにスプリントではベンナーティ、個人TTではカンチェラーラが僕らのチームにはいるからね。僕らのチームはとても強力だ。ツールを走った選手は回復しているし、そうでない選手はトップコンディションにいるのだから。」
ブエルタ・ア・エスパーニャ2011第1ステージ結果
1位 レオパード・トレック 16'30"
2位 リクイガス・キャノンデール +04"
3位 HTC・ハイロード +09"
4位 アスタナ +10"
5位 モビスター +14"
6位 クイックステップ +15"
7位 スキル・シマノ +18"
8位 オメガファーマ・ロット
9位 ガーミン・サーヴェロ +25"
10位 カチューシャ
個人総合成績(マイヨロホ)
1位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レオパード・トレック) 16'30"
2位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)
3位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レオパード・トレック)
4位 トーマス・ローレッガー(オートリア、レオパード・トレック)
5位 ダニエル・ベンナーティ(イタリア、レオパード・トレック)
6位 ピーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) +04"
7位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
8位 エロス・カペッキ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
9位 ヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
10位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
13位 マルティン・べリトス(スロバキア、HTC・ハイロード) +09"
27位 マルツィオ・ブルセギン(イタリア、モビスター) +14"
49位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +18"
58位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・トランジションズ) +25"
63位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +25"
74位 イゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル) +28"
92位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック) +29"
94位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) +29"
97位 ステフェン・クルイシュヴィック(オランダ、ラボバンク) +30"
101位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD) +32"
115位 土井雪広(日本、スキル・シマノ) +38"
126位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル) +42"
133位 ブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) +42"
136位 カルロス・サストレ(スペイン、ジェオックスTMC) +43"
141位 デニス・メンショフ(ロシア、ジェオックスTMC) +43"
チーム総合成績
1位 レオパード・トレック 16'30"
2位 リクイガス・キャノンデール +0'04"
3位 HTC・ハイロード +0'09"
text:Yufta Omata
photo:Tour d'Espagne/Graham Watson
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