ツール・ド・フランス2011第14ステージはピレネー三連戦の最終日。超級の山岳ステージを制したのは、ゴール前で独走したファネンデルト。ヴォクレールは有力選手らのアタックに耐え抜いてマイヨジョーヌをキープした。

ステージ優勝と山岳賞のイェーレ・ファネンデルト(ベルギー、オメガファーマ・ロット)

ガッツポーズでゴールするイェーレ・ファネンデルト(ベルギー、オメガファーマ・ロット)ガッツポーズでゴールするイェーレ・ファネンデルト(ベルギー、オメガファーマ・ロット) photo:Cor Vos夢がかなったような気分だ。去年、両膝のケガで7〜8ヶ月のあいだレースに出場してなかったから、自分のキャリアは今日からスタートしたんだと思う。山岳賞の赤い水玉ジャージは深く考えていない。山岳ポイントのシステムが変わったのと、相手がサムエル・サンチェスなら厳しいからね。彼は総合成績で山岳賞を狙うだろうし、自分がいつも彼の前にいられるほど山岳ステージが得意とは思わないんだ。

ピレネー最終日を制したイェーレ・ファネンデルト(ベルギー、オメガファーマ・ロット)ピレネー最終日を制したイェーレ・ファネンデルト(ベルギー、オメガファーマ・ロット) photo:Cor Vosプラトー・ド・ベイユでの勝利は……悪くないね。頂上ゴールのステージが2つあって、ひとつは2位、もうひとつは1位だった……。2回とも挑戦して、今回2つの結果を手にした。つまり山岳賞ジャージとステージ優勝をね。だから、とても満足している。

最後の登りでは、アンディ(シュレク)がコンタドールを少し警戒し、コンタドールはフランク(シュレク)を警戒していたのがわかった。

だから、コンタドールはシュレク兄弟のアタックだけに反応すると考えたんだ。というのも、エヴァンスやバッソも総合成績を狙う位置にいる。総合成績を考えていないのは僕だけだったんだ。それで、アタックしたら有利に運べると考えたんだ。

ゴールの場面はうれしかった。ほんとうに、とてもいい気分だ。

新しいポイントのシステムのおかげで、山岳賞ジャージの防衛は難しい。でも、様子は見ることにしている……。

マイヨジョーヌをキープしたトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)

メイン集団でプラトー・ド・ベイユのゴールに向かうトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)メイン集団でプラトー・ド・ベイユのゴールに向かうトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー) photo:Cor Vosマイヨジョーヌをキープするつもりだったと僕が言ったらウソになるけど、2日前のリュザルディダンのステージに比べると楽観的だったよ。今日の最後の登りでは、多くの総合優勝候補たちと共に行動できたことに自分でも驚いている。僕にとってはすごく厳しかったけど、彼らも同じだということを理解できた。力を出し尽くして挑戦して、その結果うまくいったんだ。

マイヨジョーヌを守ったトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)が顔を覆うマイヨジョーヌを守ったトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)が顔を覆う photo:Cor Vos僕たちは夢を見る人じゃない。単に自分の仕事にトライするだけなんだ。僕たちがレースの管理と統制をしたり、僕自身が最後まで有力選手たちの間に残っていたりするなんて驚きだったよ。でも、僕たちは黙って仕事をきちんとやり遂げなければならないんだ。

最後の登りの前では風がとても強かったから、自分にこう言い聞かせた。「有力選手の後ろについて、付いていくようにしよう」と。最終的には、彼らは僕ほど調子がよくないことがわかった。僕はトライし続けた。彼らがアタックするたびに付いていったんだ。彼らのペースは全体的に少し遅かったから、最後まで彼らに付いていけたんだね。僕が彼らからあまり遅れないでゴールしたことに、とても驚いている。

自分でも信じられないんだよ。僕がピレネーの後でもマイヨジョーヌを着ていて、ピレネー前とタイム差がほとんど変わらないなんて。これが(山岳ステージじゃない)先週1週間のあいだに続いていたとしても理解できないだろう。信じられないことだからね。まるで夢のようだ。

マイヨヴェールのを維持したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)

スタートを待つマイヨヴェールのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)スタートを待つマイヨヴェールのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード) photo:Cor Vosこういう山岳ステージでは完走して残るだけでも、信じられないほど大変なんだ。僕は自分がうまく登れていると思ったよ。ツール・ド・フランスの前に体重をかなり絞ったけど、パワーも失なわずに済んだようだ。登りの問題は克服できてないから、とてもイライラする。でも、周りを見ると、信じられないほど多くの仲間がいるんだよ。彼らは集団の先頭を牽いたり、僕のリードアウトはしないんだ。彼らは気楽な日を「グルペット」で過ごすんだ。でも、僕が遅れたときに、彼らも遅れていて、僕を牽いて戻してくれた。そういう集団がまわりにいてくれて、ほんとうに幸運だよ。

山岳ステージからスプリントステージに入るときに、ギアを切り替えるのは、あまり難しいことじゃない。ゴールの匂いがわかるんだ。それで十分なんだ。

そういえば、おもしろいことがあった。今朝ツイッターを見ていたら、カデル(エヴァンス)が「さあ、ツールの始まりだ……」と言ってたんだ。僕は「もうへとへとだよ……!」みたいなことを言ってたんだ。もう、かなり屈辱だよ。

ゴールで最高の仕上げをするのが僕の仕事だと信じている。そうするためにいつもベストな位置にいることにしている。僕がベストな位置にいないときは、いつも勝てるわけじゃないんだ。でも、僕のチームは優れた仕事をしてくれて、僕をそういう位置に付けてくれるんだ。負けるのが難しいくらいだよ。

ステージ4位・総合3位のカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)

ゴールに飛び込むカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)らゴールに飛び込むカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)ら photo:Cor Vos管理下に置かれたステージだった。誰もがアタックが皆無だったとか言うけど、風や密集した集団走行についても考えてほしい。シュレク兄弟が同じ集団に残っていた。彼らはマイヨジョーヌ狙っていて、僕に自分たちを牽くように目で訴えるんだ。2人に冗談で言ったよ。「ここにいる理由は、君たちをパリまで曳航するためじゃない」ってね。

自転車レースの専門家の多くはこんな風に言う。僕たちはチームの力を浪費して山岳に入るときの位置取りを有利にしている、とね。それから、彼らはこういうレースやや保守的だと見なすんだ。でも、こういうステージに限って、とてもハードなんだ!

また、彼らはこんなことも言っていた。今日のこのステージの勝者なら誰でも、ツールを総合優勝できるってね。たぶん、僕が逃げて勝つ必要があったんだろうね……よくわからない。彼らの指摘に矛盾がなく、それが毎日続くなら、僕にとっても問題ないんだけど……。

シュレク兄弟は山岳で協力するんだ。今日も山で仕掛けている。でも、風の中だと簡単じゃないようだ。

ヴォクレールはすごくいい。誰もが「彼はマイヨジョーヌを失うだろう」と言ってきてたけど、僕は「ありえない!」と思っていた。少なくとも、あと2〜3日は彼がマイヨジョーヌになるんじゃないかな。彼は毎日レースで耐えぬいている。僕の想像では、彼のモチベーションがとても高いのは、ここがフランスだということと、フランスのチームがフランス革命記念日の7月14日にマイヨジョーヌを着て走ったことにあるはずだ。そのおかげだよ。

新人賞についての戦略を語るチームスカイのスポーツディレクター、ショーン・イェーツ

マイヨブランを手にしたリゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ)マイヨブランを手にしたリゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ) photo:Cor Vosリゴベルト(ウラン)は、日ごとによくなってきている。パリまでの道のりはまだ長いけれど、新人賞ジャージを獲得して、総合でも順位を上げたという点で、今はいい位置にいる。すべてが良好だ。順調というわけじゃないけどね。

ブラッド(ウィギンズ)を失なって、チームの再評価が必要になった。そして最高の方法を検討した結果、リゴ(ウラン)が最善を尽くして、新人賞ジャージを獲得と総合でのトップ10入りを目指すことになった。今日、彼はすばらしい働きを見せ、完璧にやってのけた。すばらしい偉業だ。新人賞ジャージについては、まだ多くの競争があるだろう。だけど、ガリビエにゴールするステージ(第18ステージ)が来れば、標高の高さが有利に働くので、リゴベルトの長所が発揮できるだろう。

チームはうまくいっている。シャビエル(ザンディオ)が逃げに乗り、リゴがよく走ってくれた。チーム全体を高揚させることになったよ。

ソースは現地取材、記者会見、主催者公式サイト、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。

translation&text:Taiko.YAMASAKI + Seiya.YAMASAKI

最新ニュース(全ジャンル)