全員がマークしたのは昨年の覇者、山本元喜(鹿屋体育大学)。逃げの決まりにくい展開を落ち着いてこなして、ラストはみずからアタック。見事連覇を達成した。

U23 6周目、コースは岩手山麓U23 6周目、コースは岩手山麓 photo:Hideaki.TAKAGI

岩手県八幡平市で全日本選手権ロードレースが行われた。第1日目の6月25日(土)は、U23、ジュニア、U17+U15の各クラスが行われた。逃げが決まりにくいレースとなったが、各クラスとも実力者が下馬評どおりの力を発揮した。

U23 雲に覆われた岩手山に向かってヒルクライムU23 雲に覆われた岩手山に向かってヒルクライム photo:Kei TsujiU23 ラスト3.5km、山本元喜(鹿屋体育大学)がアタックU23 ラスト3.5km、山本元喜(鹿屋体育大学)がアタック photo:Hideaki.TAKAGIU23 山本元喜(鹿屋体育大学)がU23で2連覇達成U23 山本元喜(鹿屋体育大学)がU23で2連覇達成 photo:Hideaki.TAKAGIU23は山本元喜(鹿屋体育大学)が連覇
11周170.5kmで競われたU23。1週間前の学生個人ロードを制した山本や、実業団で活躍する澤田賢匠(CIELVO NARA PRO CYCLINGTEAM)らが注目された。
岩手山麓を周回するコースは、全日本選手権では初めて使われた。緩い勾配の上りと下りで構成されるコースは、逃げの決まりにくいものとなった。

序盤からアタックが繰り返され、3周目に4人の逃げができる。椿大志・寺崎武郎(ブリヂストン・エスポワール)、原川浩介(湘南ベルマーレ)、徳田鍛造(鹿屋体育大学)だ。4人はメイン集団に1分の差をつける。
5周目、4人の逃げは吸収され、新たに6人に逃げができる。六峰亘(ブリヂストン・エスポワール)、石橋学(鹿屋体育大学)、和田力(日本大学)、天野克紀(順天堂大学)、末永周平(明治大学)、奥村将徳(京都大学)だ。
メイン集団に1分以上の差をつけるが、6人は人数を減らし8周目には和田と天野の2人の逃げに。ここでメイン集団から山本と黒枝士揮(鹿屋体育大学)が抜け出すがメイン集団に吸収される。
10周目、山本隼(中央大学)が逃げるが吸収されて集団のまま最終周回へ。数人が先行する場面もできるが最後の上り区間手前でひとつに。
上りに入ってすぐに山本がアタック、雨宮正樹(日本大学)が反応して2人がリード。後続は大きく離れる。山本が数回にわたって雨宮を揺さぶるが離れない。後続から中尾佳祐(順天堂大学)が追い上げたため雨宮も先頭に出てペースを保つ。ラスト1kmを切ってから山本がアタック、そのままゴールまで駆け抜けた。

逃げが決まりにくいコースだったが、それでも常に数人単位が逃げ、いずれにも鹿屋体育大学とブリヂストン・エスポワールがメンバーを送り込み、有利に進めた。最後は坂のほぼ起点からのアタックをかけた山本が、追いすがる雨宮に落ち着いて対処、自分から動きながらも勝ってしまう下馬評どおりの強さを見せた。

優勝の山本のコメント
狙っていた勝利なので嬉しい。自分が動いたら周囲も動くのはわかっていたので落ち着いて対応した。8周目に先行する2人を追って黒枝と飛び出したのは、4人での逃げ切りを考えていたから。スプリントならば黒枝が勝てるので。


ジュニア ラスト3km、合流した先頭5人ジュニア ラスト3km、合流した先頭5人 photo:Hideaki.TAKAGIジュニア 優勝した西村大輝(昭和第一学園高)ジュニア 優勝した西村大輝(昭和第一学園高) photo:Kei Tsuji

ジュニアは西村大輝が圧勝
8周124kmで行われたジュニア。序盤は小石祐馬(京都MASSA-FOCUS-SUPER B)、金井誠人(明治大学)、大村恒平(防府商業高校)の3人がメイン集団に2分の差をつけ逃げる。この3人が吸収された終盤に3人が先行する。西村大輝(昭和第一学園高校)、久保田元気(日本大学)、清水太己(ブリヂストン・エスポワール)だ。
最終周回に、後方から中田瑛次(和歌山北高校)と馬渡伸弥(昭和第一学園高校)が飛び出し、さらに山崎航(Team Eurasia-Fondriest Bikes)と城田大和(北中城高校)が単独で追走する。
ラスト2kmで先行する3人に中田と山崎が追いつき5人の争いに。清水がおもに仕掛けるがばらけない。ラスト1kmを切ってから西村がアタック、そのまま逃げ切り優勝。
逃げの決まりにくいコースとされたが、この日唯一逃げが決まったレースになった。優勝した西村の高い登坂力と、ラスト2kmで追いつく不利をはねのけて3位となった中田の強さが光った。


U17+U15 5周目、上りで逃げる山本大喜(榛生昇陽高校)U17+U15 5周目、上りで逃げる山本大喜(榛生昇陽高校) photo:Hideaki.TAKAGIU17+U15 ガッツポーズでゴールする横山航太(篠ノ井高)U17+U15 ガッツポーズでゴールする横山航太(篠ノ井高) photo:Kei Tsuji

U17+U15は横山航太が制する
6周93kmで行われたU17+U15。序盤から散発的なアタックがかかるが決まらない。5周目から最終周回は単独でのアタックが続く。山本大喜(榛生昇陽高校)がのぼりでアタックして3kmほど逃げる。吸収後に最終周回の下りで飛び出した岡篤志(筑波高校)が最後の坂の途中まで実に10kmほどを単独で逃げる。ここで後方から抜け出したのは吉田優樹(学法石川高校)。しかしラスト1kmで後方から抜け出した横山航太(篠ノ井高校)が吉田を抜いて優勝。
横山はMTBでも活躍する選手で、エキスパートクラスでは無敵といえる力を持っている。また3位の山本大喜は1年生で、鹿屋体育大学の山本元喜と兄弟で表彰台に乗った。

レースの模様はフォトギャラリーにて!

結果
U23
1位 山本元喜(鹿屋体育大学)4時間26分04秒
2位 雨宮正樹(日本大学)+08秒
3位 中尾圭祐(順天堂大学)+10秒
4位 逢坂弘紀(日本大学)+21秒
5位 山本隼(中央大学)+31秒
6位 中田匠(日本大学)+34秒
7位 吉岡直哉(京都産業大学)+35秒
8位 辻本尚希(順天堂大学)+38秒
9位 黒枝士揮(鹿屋体育大学)+40秒
10位 板橋義浩(日本大学)+44秒

ジュニア
1位 西村大輝(昭和第一高校)3時間26分02秒
2位 久保田元気(日本大学)+16秒
3位 中田瑛次(和歌山北高校)+19秒
4位 清水太己(ブリヂストン・エスポワール)+22秒
5位 山崎航(Team Eurasia-Fondriest Bikes)+24秒
6位 馬渡伸弥(昭和第一学園高校)+42秒

U17+U15

1位 横山航太(篠ノ井高校)2時間39分55秒
2位 吉田優樹(学法石川高校)+05秒
3位 山本大喜(榛生昇陽高校)
4位 岡本隼(和歌山北高校)+12秒
5位 西尾憲人(拓北高校)
6位 橋詰丈(EQADS)

text:Hideaki Takagi 
photo:Hideaki Takagi, Makoto Ayano, Kei Tsuji
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