2011/06/09(木) - 12:55
再びHTC・ハイロード所属の若手ジャーマンライダーが勝った。難易度の高い42.5kmコースで行なわれた個人タイムトライアルで、狙いすましたかのようにトニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)が優勝。ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)は悪条件に苦しみながらも2位に入り、総合首位に浮上した。
「ツールに向けた重要なテストをクリアできた。自信を与えてくれる大きな勝利だ。最初から良いリズムを掴めたけど、ツールでステージ優勝するためにはもう少し速く走る必要があると思う」。
初日のプロローグでも精彩を欠き、山岳で連日遅れていたマルティンが気を吐いた。すでに総合131位まで順位を下げていたマルティンは、まだ晴れ間ののぞく前半にスタート。中盤にかけて2つの山岳を越えるアップダウンコースで、平均スピード45.98km/h、55分28秒のトップタイムを叩き出した。
ドイツ期待のTTスペシャリストとして、2009年から2年連続ロード世界選手権個人TTで銅メダルを獲得しているマルティン。近年は山岳力を身につけ、今シーズンはパリ〜ニースとヴォルタ・アン・アルガルヴェで総合優勝している。いずれも個人TTでのステージ優勝が総合リード拡大に一役買った。
しかしこのドーフィネでは序盤から低迷。全てはツール・ド・フランスにピークを合わせるためのコンディショニングの影響だ。「4週間という長い休養期間から復帰したばかりなので、最初の数日間は苦しんだよ。このドーフィネには調整のために出場している。日々調子が上がっているという実感はある。この先の山岳ステージでは様子を見ながら走りたい」。
前日のデゲンコルブに続く、HTC・ハイロード所属の若手ドイツ人選手による勝利。HTC・ハイロードは世界最多のシーズン28勝目をマークした。
一方、後半スタートの総合上位陣は悪天候に苦しんだ。雨により路面が濡れたため、スピードが出るダウンヒル区間で慎重な走りを強いられた選手たちが多数。ツールの前哨戦で落車するわけにはいかないと、どの選手もリスクを負わずに雨のコースを走った。
総合3位のウィギンズは前半から飛ばしていた。コースの約2/3を終えた時点でマルティンを上回るタイムをマークしたが、終盤のウェットなダウンヒル区間でタイムを失い、マルティンから11秒遅れでゴール。ステージ2位。
ステージ優勝には届かなかったが、マイヨジョーヌのアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)を2分以上引き離す好走。総合4位のカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)も伸びなかったため、ウィギンズの手元にマイヨジョーヌが回ってきた。
ウィギンズはステージ優勝を逃した悔しさを滲ませる。「マルティンと自分は同じ気象条件の中で走ったわけじゃない。でもそれがタイムトライアルだ」。
「自分にとってはステージ優勝よりも、総合争いにおける成績がより重要だった。このドーフィネはツールの準備レースという位置づけであり、下りでは必要以上のリスクを負わなかった。総合のライバルであるヴィノクロフやファンデンブロックからリードを得ていたので、そこまで追い込んでいない。マイヨジョーヌを守るためにできる限りの走りをしてみせる」。
総合下位を1分以上引き離しているウィギンズは、ドーフィネの総合優勝に向けて大きく前進したと言っていいだろう。ウィギンズはツールの個人TTでも強さを発揮するはず。「今日のコースはファンタスティック。最高のタイムトライアルコースだ」。6週間後の闘いに向けて最高の予行演習になったはずだ。
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2011第3ステージ結果
1位 トニ・マルティン(ドイツ、チームハイロード) 55'28"
2位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) +11"
3位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) +43"
4位 デーヴィット・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) +58"
5位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) +1'17"
6位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +1'20"
7位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +1'35"
8位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル) +1'37"
9位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス) +1'55"
10位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +1'59"
142位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +6'28"
個人総合成績
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) 8h41'37"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +1'11"
3位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) +1'21"
4位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +1'56"
5位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +2'12"
6位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +2'25"
7位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +2'28"
8位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル) +2'45"
9位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、レディオシャック) +2'46"
10位 ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン) +2'52"
87位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +9'38"
ポイント賞
ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)
山岳賞
ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
新人賞
ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)
チーム総合成績
ラボバンク
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
「ツールに向けた重要なテストをクリアできた。自信を与えてくれる大きな勝利だ。最初から良いリズムを掴めたけど、ツールでステージ優勝するためにはもう少し速く走る必要があると思う」。
初日のプロローグでも精彩を欠き、山岳で連日遅れていたマルティンが気を吐いた。すでに総合131位まで順位を下げていたマルティンは、まだ晴れ間ののぞく前半にスタート。中盤にかけて2つの山岳を越えるアップダウンコースで、平均スピード45.98km/h、55分28秒のトップタイムを叩き出した。
ドイツ期待のTTスペシャリストとして、2009年から2年連続ロード世界選手権個人TTで銅メダルを獲得しているマルティン。近年は山岳力を身につけ、今シーズンはパリ〜ニースとヴォルタ・アン・アルガルヴェで総合優勝している。いずれも個人TTでのステージ優勝が総合リード拡大に一役買った。
しかしこのドーフィネでは序盤から低迷。全てはツール・ド・フランスにピークを合わせるためのコンディショニングの影響だ。「4週間という長い休養期間から復帰したばかりなので、最初の数日間は苦しんだよ。このドーフィネには調整のために出場している。日々調子が上がっているという実感はある。この先の山岳ステージでは様子を見ながら走りたい」。
前日のデゲンコルブに続く、HTC・ハイロード所属の若手ドイツ人選手による勝利。HTC・ハイロードは世界最多のシーズン28勝目をマークした。
一方、後半スタートの総合上位陣は悪天候に苦しんだ。雨により路面が濡れたため、スピードが出るダウンヒル区間で慎重な走りを強いられた選手たちが多数。ツールの前哨戦で落車するわけにはいかないと、どの選手もリスクを負わずに雨のコースを走った。
総合3位のウィギンズは前半から飛ばしていた。コースの約2/3を終えた時点でマルティンを上回るタイムをマークしたが、終盤のウェットなダウンヒル区間でタイムを失い、マルティンから11秒遅れでゴール。ステージ2位。
ステージ優勝には届かなかったが、マイヨジョーヌのアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)を2分以上引き離す好走。総合4位のカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)も伸びなかったため、ウィギンズの手元にマイヨジョーヌが回ってきた。
ウィギンズはステージ優勝を逃した悔しさを滲ませる。「マルティンと自分は同じ気象条件の中で走ったわけじゃない。でもそれがタイムトライアルだ」。
「自分にとってはステージ優勝よりも、総合争いにおける成績がより重要だった。このドーフィネはツールの準備レースという位置づけであり、下りでは必要以上のリスクを負わなかった。総合のライバルであるヴィノクロフやファンデンブロックからリードを得ていたので、そこまで追い込んでいない。マイヨジョーヌを守るためにできる限りの走りをしてみせる」。
総合下位を1分以上引き離しているウィギンズは、ドーフィネの総合優勝に向けて大きく前進したと言っていいだろう。ウィギンズはツールの個人TTでも強さを発揮するはず。「今日のコースはファンタスティック。最高のタイムトライアルコースだ」。6週間後の闘いに向けて最高の予行演習になったはずだ。
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2011第3ステージ結果
1位 トニ・マルティン(ドイツ、チームハイロード) 55'28"
2位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) +11"
3位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) +43"
4位 デーヴィット・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) +58"
5位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) +1'17"
6位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +1'20"
7位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +1'35"
8位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル) +1'37"
9位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス) +1'55"
10位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +1'59"
142位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +6'28"
個人総合成績
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) 8h41'37"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +1'11"
3位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) +1'21"
4位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +1'56"
5位 ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター) +2'12"
6位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +2'25"
7位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +2'28"
8位 クリストフ・リブロン(フランス、アージェードゥーゼル) +2'45"
9位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、レディオシャック) +2'46"
10位 ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン) +2'52"
87位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +9'38"
ポイント賞
ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)
山岳賞
ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
新人賞
ルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)
チーム総合成績
ラボバンク
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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