4月19日~22日まで4日間の日程で、イタリア北部のトレント州を舞台としたジロ・デル・トレンティーノ(UCI2.HC)が開幕。厳しい山岳コースが含まれ、ジロの前哨戦とも言えるこの大会。日本人選手は新城幸也(ユーロップカー)、佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)、内間康平(同)がスタートラインに立った。現地からフォトジャーナリスト田中苑子が伝える。

美しいリーヴァ・デル・ガルダをスタート美しいリーヴァ・デル・ガルダをスタート photo:Sonoko.TANAKA

トレンティーノ州の素敵なキャンギャルトレンティーノ州の素敵なキャンギャル photo:Sonoko.TANAKAレースの見どころ ドロミテで開催される山岳コースが特徴

第35回大会となるジロ・デル・トレンティーノ。今年もジロ・デ・イタリアに焦点を合わせる選手が多く参加している。
第1ステージはドロミテの麓ガルダ湖畔のリーヴァ・デル・ガルダ~アルコまで13.4kmのフラットな個人タイムトライアルとなるが、それ以降、第2ステージから最終日までは、1級山岳を含むジロ・デ・イタリア同様の過酷な山岳ステージが用意されている。とくに第3ステージ、第4ステージは1級山岳での山頂ゴールとなっている。

今年からレースのカテゴリーも1級からHCへとランクアップ。よりハイレベルなレースとなった。昨年の覇者、アレクサウォームアップ中の新城幸也(ユーロップカー)ウォームアップ中の新城幸也(ユーロップカー) photo:Sonoko.TANAKAンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)は参加せず。

優勝候補とされている注目選手は、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)、ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)、ステファノ・ガルゼッリ(アックア・エ・サポーネ)、ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)、アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)、アレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)らだろう。今年は全18チーム、143選手がスタートした。

新城、佐野、内間 3人の日本人選手がエントリー

サインをせがまれる佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)サインをせがまれる佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO) photo:Sonoko.TANAKA参加している日本人選手は3人。シーズン始めのアジア選手権で優勝し、3月から欧州入りしている新城幸也(ユーロップカー)と、新星コンチネンタルチームながら出場権を獲得したダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPOから佐野淳哉と3月に大学を卒業したばかりの内間康平だ。

新城幸也のコメント
「山岳が厳しいので、あまり自分向きのレースとは言えないけど、このあとのツール・ド・ロマンディは狙っているので、そのためにいい調整になればいいと思っています。初日のタイムトライアルと、第2ステージはさほど山岳が厳しくないので、そこで頑張りたいと思っています。
チームにも山岳スペシャリストはいないので、総合上位を狙うことは難しくなりますが、これからのシーズン、登りが厳ウォームアップする内間康平(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)ウォームアップする内間康平(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO) photo:Sonoko.TANAKAしいレースが増えてくるので、それに向けての準備ができればいいと思いますね」

佐野淳哉のコメント
「先日のジロ・デラペンニーノで走れていたので、それを維持することと、それ以上の走りをめざしていきたいと思っています。出場メンバーも強く、コースも厳しいので、しっかりとレースを見て、どこまで追い込めるか、またチームのために動けるかと自分の力を試すことができたらいいと思っています。

チームはアスカーニ(イタリア)とバリアーニ(イタリア)が強いので、彼らが軸になって動くことになると思います」

内間康平のコメント
「このようなランクの高いレースには初めて参加します。レース中に感じられることをたくさん吸収して、次のレースにつなげていきたいと思っています。コースが厳しくなりますが、チームのメンバーに選ばれたからには、しっかりと走りたいです」

トップタイムをたたき出したアンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)トップタイムをたたき出したアンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック) photo:Sonoko.TANAKA第1ステージ個人TT 好調クレーデンが制する

フラットな13.4kmの個人タイムトライアルで開幕した第1ステージ。美しいガルダ湖の畔から、北上するコースレイアウト。初戦を制したのは、「クラシックよりもジロ・デル・トレンティーノが好きだ」と話すアンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)だった。
追い風の影響もあり、平均速度は52.155km/hをマーク。2位にはイタリアの若手選手、アドリアーノ・マローリ(ランプレ・ISD)が1秒差、3位にはクレーデンのチームメイトであるティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)が8秒差で続いた。

ステージ優勝とともにリーダージャージを獲得したクレーデンは、2年前もジロ・デル・トレンティーノ初日タイムトライアルを制している。今季4勝目となり、レース前に行われた記者会見では「これまでに多くのレースを走ってきているので、疲れが溜まっているね」と話していたが、コンディションの良さを見せつけた。

他の優勝候補のなかでは、ヴィンチェンツォ・ニーバリが10秒差の4位でフィニッシュ、アレッサンドロ・バッランが24秒差、ミケーレ・スカルポーニが26秒差、ロマン・クロイッツゲルが27秒差と続いている。彼らは明日からの山岳ステージでタイム差を挽回すべく、果敢に動いてくるだろう。日本人最高位は佐野淳哉が40秒差の29位と健闘した。

スタートする新城幸也(ユーロップカー)スタートする新城幸也(ユーロップカー) photo:Sonoko.TANAKAスタートする佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)スタートする佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO) photo:Sonoko.TANAKAスタートした内間康平(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)スタートした内間康平(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO) photo:Sonoko.TANAKA

ジロ・デル・トレンティーノ2011第1ステージ結果
1位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)15'07"
2位 アドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ・ISD)+01"
3位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)+08"
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)+10"
5位 ルーカ・アスカーニ(イタリア、ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)+11"
6位 アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)+16"
7位 スコット・ズイザンスキー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)+21"
8位 ステファン・シューマッハ(ドイツ、ミケ・グエルチョッティ)+23"
9位 アレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)+25"
10位 ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、レディオシャック)+25"
29位 佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)+40"
95位 新城幸也(ユーロップカー)+1'12"
102位 内間康平(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)+1'14"


1位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)、2位アドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ・ISD)3位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)、4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)1位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)、2位アドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ・ISD)3位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)、4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) photo:Sonoko.TANAKA個人総合成績
1位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)15'07"
2位 アドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ・ISD)+01"
3位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)+08"
4位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)+10"
5位 ルーカ・アスカーニ(イタリア、ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)+11"
6位 アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)+16"
7位 スコット・ズイザンスキー(アメリカ、ユナイテッドヘルスケア)+21"
8位 ステファン・シューマッハ(ドイツ、ミケ・グエルチョッティ)+23"
9位 アレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)+25"
10位 ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、レディオシャック)+25"
29位 佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)+40"
95位 新城幸也(ユーロップカー)+1'12"
102位 内間康平(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)+1'14"


新人賞
アドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ・ISD)

チーム総合成績
レディオシャック


ジロ・デル・トレンティーノ2011日程
4月19日(火)第1ステージ リーヴァ・デル・ガルダ~アルコ 13.4km (個人TT)
4月20日(水)第2ステージ ドロ~レドロ・ベゼッカ 184km
4月21日(木)第3ステージ レドロ・モリーナ~ファイ・デッラ・パガネッラ 170km
4月22日(金)第4ステージ アンダロ~マドンナ・ディ・カンピーリオ 161.5km



photo&text:Sonoko.TANAKA