3月19日に開催されるミラノ〜サンレモに向けて、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)は北イタリア・サルソマッジョーレでコンディショニングに励んだ。ティレーノ〜アドリアティコを完走したカヴェンディッシュは、パリ〜ニース組のメンバーと合流。ミラノ〜サンレモの準備は整った。

HTC・ハイロードの目標はただ一つ。2009年大会の再現だ。HTC・ハイロードのヴァレリオ・ピーヴァ監督の協力のもと、ティレーノ最終日の火曜日(15日)からミラノ〜サンレモ開催日の土曜日(19日)までの選手たちの足取りを追ってみよう。

火曜日(3月15日)

初出場の2009年ミラノ〜サンレモで優勝したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)初出場の2009年ミラノ〜サンレモで優勝したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス) photo:Cor Vos「ストラーデ・ビアンケの後にミラノ〜サンレモのコースを試走するのが慣習になっている。そう、カヴが勝った2009年もそうだった」とピーヴァ監督は語る。

ティレーノ開幕前の日曜日(3月6日)と月曜日(3月7日)、チームのテクニカルアドバイザーを務めるエリック・ツァベル氏とピーヴァ監督は、メンバーを連れてコースを試走。火曜日(3月15日)のティレーノ閉幕後、ミラノの南東100kmに位置するサルソマッジョーレにチームは移動した。

「ホテルへの移動中、イモラにあるモリーノ・ロッソというレストランに立ち寄った。そこで美味しいパスタや肉で精を付けて、トレーニング拠点のサルソマッジョーレに移動する。それも一つの慣習になっている。」

水曜日(3月16日)

並んで走るロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック)とマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)並んで走るロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック)とマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード) photo:Riccardo Scanferla「ティレーノからのリカバリーに重点をおき、食べ物には細心の注意を払っている。」ピーヴァ監督はサンレモまでのレース空白期間における“食”の重要性を説く。

「毎日膨大なカロリーを消費するステージレースでは、燃料となる食べ物を絶え間なく摂り続ける必要がある。でも一旦レースが終わると4〜5時間の運動が無くなるので、摂取過多になりがち。1〜2kg体重が増える選手もいる。食べ過ぎてしまうと、ミラノ〜サンレモの朝、むくんだ脚に愕然とすることになる。」

「トレーニングの一日は朝食から始まる。選手にとって朝食は非常に重要だ。昼食はサラダとパスタを少々。夕食は普通の量を食べる。カヴェンディッシュも他の選手と一緒にパスタを食べているよ。もっぱらパスタ・ビアンカかトマトソースのパスタだ。」

木曜日(3月17日)

「毎年ティレーノの最終日はロードレースだったが、今年は短い個人タイムトライアルだった。トレーニング時間を稼ぐために、カヴェンディッシュを含めてメンバー全員が数時間のトレーニングライドに出かけたよ。水曜日はいわゆる休息日。木曜日と金曜日はイージーペースで3時間ほど走った。」

HTC・ハイロードのメンバーはトレーニングライド後に昼食をとり、ミラノに移動した。「午後にミラノに移動した。宿泊するホテルは毎年決まっていて、選手たちも環境に馴染みやすい。」

金曜日(3月18日)

「いつも通り、レース前夜にチームミーティングを開いた。距離が長いワンデークラシックは朝が早いので、前夜にミーティングを行なうのが通例。そこで決戦に向けての作戦を確認し合った。レースの朝は選手がピリピリしているし、充分な時間が取れない。」

土曜日(3月19日)

マーク・レンショー(オーストラリア)とマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ともにHTC・ハイロード)マーク・レンショー(オーストラリア)とマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ともにHTC・ハイロード) photo:Kei Tsujiレースは9時45分にスタート。HTC・ハイロードの8名の選手たちは6時に起床して朝食をとる。

「選手たちはパスタを食べまくる。300kmの長丁場だから、とにかくエネルギー摂取に励むんだ。朝6時からパスタをたらふく食べるのはプロ選手ぐらいだろうけど。」

ミラノのカセテッロ広場でカヴェンディッシュは出走サインし、スタートの時を待つ。ファッションの中心地ミラノを7.5kmに渡ってパレード走行した後、キエーザロッサ通りに差し掛かったところで正式なスタートが切られる。つまり選手たちの実質的な走行距離は305.5km。朝食にパスタが欠かせないわけだ。

「一般の人には理解できないと思う。でも我々にはそれが普通。コンディションを整え、エネルギーを蓄え、準備万端の選手たちがスタートラインに並ぶ。準備は整った。カヴのコンディションに疑問を投げかける人物もいるけど、チームは彼を信頼して勝負に挑む。もちろん代替プランも用意しているが、これ以上のことは言えない。」

HTC・ハイロードは屈強なメンバーでミラノ〜サンレモに挑む。エースのカヴェンディッシュを支えるのは、ミハエル・アルバジーニ(スイス)、ラルスイティング・バク(デンマーク)、ベルンハルト・アイゼル(オーストリア)、マシュー・ゴス(オーストラリア)、マーク・レンショー(オーストラリア)、ベアト・グラブシュ(ドイツ)、ピーター・ベリトス(スロバキア)だ。

text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji