2011/03/04(金) - 23:37
ガーミン・サーヴェロ所属のカナダ人ライダー・ヘジダルは、過去に2度、惜しいところでストラーデ・ビアンケの勝利を逃している。今年はロジャー・ハモンド(イギリス)とタイラー・ファラー(アメリカ)という強力なサポートを得ての参戦。シエナ近郊に広がる丘陵地帯での難レース制覇に向け、準備は整った。
「ロジャー・ハモンドは経験豊かな選手で、クラシックレースの闘い方を心得ている。タイラーは洞察力のある選手。僕が(ストラーデ・ビアンケで)勝ちたいと打ち明けた時、彼は興奮しながら話を聞いてくれた。アシストとしての役目をいとわない素晴らしい選手だ。」
ストラーデ・ビアンケのコースを試走したヘジダルはインタビューでそう語った。
昨年ヘジダルはツール・ド・フランスで総合7位という好成績を残した。グランツールレーサーとして将来が嘱望される選手だが、トスカーナ州シエナ近郊の未舗装路で行なわれるストラーデ・ビアンケに恋している。前々日に現地入りし、未舗装区間を試走する念の入れようだ。「未舗装路を走ってコースを覚えるのが快感なんだ」と本人は笑顔で語る。
今から3年前の2008年大会で、ヘジダルはロングエスケープを試みた。ヘジダルはそのまま逃げ切り勝利を掴んでしまいそうな勢いで未舗装路を快走。しかし後方から猛烈なペースで追い上げたファビアン・カンチェラーラ(スイス、現レオパード・トレック)にパスされ、10位に終わった。
昨年は集団内で脚を貯めて終盤にアタック。決定的な逃げに乗ったが、結果的に5位に終わっている。「昨年と比較すると、能力は上がっているはず。昨年よりも脚が回ることを祈っている。勝てる要素は揃っている。」
これまで孤軍奮闘していたヘジダルにとって、ハモンドとファラーは心強い存在だ。昨年ヘジダルは自力で他チームのアタックに反応。そこで脚を使い切ってしまったのは本人も認めるところだ。シエナのゴール地点カンポ広場に至る最大勾配16%の登りで、ヘジダルは息絶えてしまった。
しかし今年はチームメイトがアタックのチェック役を担う。ヘジダルは貯めに貯めた脚を、最後の勝負どころで爆発させることができる。
「勝負を決めるのは、最後の最後に脚が残っているかどうか。もし5〜6名の先頭グループ内に入ることができれば、シエナの街に入る急勾配の登りでアタックを仕掛けて、最終コーナーを先頭で抜けたい。それが最高のシナリオだ。」
昨年はディフェンディングチャンピオンのトーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ)らを破ったマキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)が優勝。2008年はカンチェラーラが、2007年はアレクサンドル・コロブネフ(ロシア、カチューシャ)が優勝を飾っている。
「警戒すべきライバル?それはやはり優勝経験のあるファビアン(カンチェラーラ)だ。フィリップ(ジルベール)も強力だけど、彼はまだこのレースを走ったことがない。ヴィスコンティは調子が良さそうで、しかもイタリア人だからモチベーションも高いはず。好調なサガンは初出場だけど、MTB出身選手なので未舗装路は得意かも知れない。でも今から気を張ってライバルたちを警戒するつもりはない。レースは始まってみないと分からない。」
ヘジダルは土曜日のストラーデ・ビアンケを走り、すぐさまフランスに渡って日曜日開幕のパリ〜ニースに出場する。この強行スケジュールは、ヘジダル自身が望んだものだという。「チャンスを逃したくなかったんだ。仮にレース後すぐに空港へダッシュすることになったとしても、カンポ広場の表彰台に登りたい。」
今年で開催5回目のストラーデ・ビアンケは、ジロ・デ・イタリアと同じRCSスポルトが主催する“非常に若い”クラシックレース。シエナ近郊のガイオーレ・イン・キアンティをスタートし、緩やかな丘陵地帯を駆け抜ける。合計60kmの未舗装区間を含む190kmのコースが設定されており、最後は丘の上に佇むトスカーナ有数の観光都市シエナに向かって急坂を駆け上がる。ゴール地点は“世界一美しい広場”として名高いカンポ広場だ。
text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji
「ロジャー・ハモンドは経験豊かな選手で、クラシックレースの闘い方を心得ている。タイラーは洞察力のある選手。僕が(ストラーデ・ビアンケで)勝ちたいと打ち明けた時、彼は興奮しながら話を聞いてくれた。アシストとしての役目をいとわない素晴らしい選手だ。」
ストラーデ・ビアンケのコースを試走したヘジダルはインタビューでそう語った。
昨年ヘジダルはツール・ド・フランスで総合7位という好成績を残した。グランツールレーサーとして将来が嘱望される選手だが、トスカーナ州シエナ近郊の未舗装路で行なわれるストラーデ・ビアンケに恋している。前々日に現地入りし、未舗装区間を試走する念の入れようだ。「未舗装路を走ってコースを覚えるのが快感なんだ」と本人は笑顔で語る。
今から3年前の2008年大会で、ヘジダルはロングエスケープを試みた。ヘジダルはそのまま逃げ切り勝利を掴んでしまいそうな勢いで未舗装路を快走。しかし後方から猛烈なペースで追い上げたファビアン・カンチェラーラ(スイス、現レオパード・トレック)にパスされ、10位に終わった。
昨年は集団内で脚を貯めて終盤にアタック。決定的な逃げに乗ったが、結果的に5位に終わっている。「昨年と比較すると、能力は上がっているはず。昨年よりも脚が回ることを祈っている。勝てる要素は揃っている。」
これまで孤軍奮闘していたヘジダルにとって、ハモンドとファラーは心強い存在だ。昨年ヘジダルは自力で他チームのアタックに反応。そこで脚を使い切ってしまったのは本人も認めるところだ。シエナのゴール地点カンポ広場に至る最大勾配16%の登りで、ヘジダルは息絶えてしまった。
しかし今年はチームメイトがアタックのチェック役を担う。ヘジダルは貯めに貯めた脚を、最後の勝負どころで爆発させることができる。
「勝負を決めるのは、最後の最後に脚が残っているかどうか。もし5〜6名の先頭グループ内に入ることができれば、シエナの街に入る急勾配の登りでアタックを仕掛けて、最終コーナーを先頭で抜けたい。それが最高のシナリオだ。」
昨年はディフェンディングチャンピオンのトーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ)らを破ったマキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)が優勝。2008年はカンチェラーラが、2007年はアレクサンドル・コロブネフ(ロシア、カチューシャ)が優勝を飾っている。
「警戒すべきライバル?それはやはり優勝経験のあるファビアン(カンチェラーラ)だ。フィリップ(ジルベール)も強力だけど、彼はまだこのレースを走ったことがない。ヴィスコンティは調子が良さそうで、しかもイタリア人だからモチベーションも高いはず。好調なサガンは初出場だけど、MTB出身選手なので未舗装路は得意かも知れない。でも今から気を張ってライバルたちを警戒するつもりはない。レースは始まってみないと分からない。」
ヘジダルは土曜日のストラーデ・ビアンケを走り、すぐさまフランスに渡って日曜日開幕のパリ〜ニースに出場する。この強行スケジュールは、ヘジダル自身が望んだものだという。「チャンスを逃したくなかったんだ。仮にレース後すぐに空港へダッシュすることになったとしても、カンポ広場の表彰台に登りたい。」
今年で開催5回目のストラーデ・ビアンケは、ジロ・デ・イタリアと同じRCSスポルトが主催する“非常に若い”クラシックレース。シエナ近郊のガイオーレ・イン・キアンティをスタートし、緩やかな丘陵地帯を駆け抜ける。合計60kmの未舗装区間を含む190kmのコースが設定されており、最後は丘の上に佇むトスカーナ有数の観光都市シエナに向かって急坂を駆け上がる。ゴール地点は“世界一美しい広場”として名高いカンポ広場だ。
text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji
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