2011/01/23(日) - 07:20
青い海に青い空。白い砂浜。まさに夏真っ盛りと言った感じのビーチを駆け抜けたプロトンは、最大の山場ウィランガヒルに突入した。結果、キャメロン・マイヤー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)がオーカージャージを守った。でも総合下位とのタイム差は縮まった。歴史的な逆転が現実味を帯びて来た。
最終日前日は決まってアデレード南部のウィランガを中心にした周回コースが使用される。毎年スタート地点は移動するが、使われる周回コースはほぼ一緒。ウィランガヒルを越えて、ウィランガにゴールするレイアウトは定番中の定番だ。
前日までと比べると暑さは和らいだが、それでも日射しの強さは変わらない。相変わらず選手たちはたっぷりと日焼け止めを塗り込んでいる。露出している腕や脚だけではなく、わざわざジャージを全て脱いで全身に日焼け止めを塗っている。
レース前半の周回には美しい海岸線が含まれている。青い海をバックにした定番のショットを撮影し、次の周回まで時間があるのでビーチに脚を伸ばす。同行者は全く乗り気じゃなかったが、せっかくなので靴を脱いで海に入って時間をつぶした。
プロトンはガーミン・サーヴェロに支配されていた。黒基調の新しいジャージは「チームスカイにそっくり」と思ったが、実際に見間違えることは無い。黒いジャージがズラリと集団の先頭に並んでいる姿はなかなかクールだ。
メイン集団の先頭を牽くのは、ガーミン・サーヴェロのエーススプリンターを務めるタイラー・ファラー(アメリカ)。レースの見どころで注目選手の一人に挙げていたスプリンターが、献身的に集団を牽いている。全てはマイヤーのジャージキープのためだ。
ガーミン・サーヴェロとしてはほぼ満足のレース展開だったはず。スプリントポイントまでに逃げが形成されたことで、ゴスやマキュアン、マシューズのボーナスタイムを阻止することに成功した。
それに、逃げを吸収する段階に入ると、HTC・ハイロードやラボバンク、エウスカルテルが加勢。力を温存しながらマイヤーをメイングループに残すことが出来た。誤算は、ステージ優勝狙いのジャック・ボブリッジ(オーストラリア)がラスト5kmで落車したことか。
ベントソはモビスターにシーズン初勝利をもたらした。昨年はケースデパーニュのルイスレオン・サンチェス(スペイン)が優勝したので、実質的にはウィランガステージを連覇したことになる。
なかなか表彰式が始まらないなと思っていたら、表彰台の裏でベントソは涙に暮れていた。チームスタッフになだめられるが、溢れる涙が止まらない。
大きく深呼吸し、涙を手で拭ってOKサインを出すベントソ。チームとして新スポンサーに早く勝利をもたらしたいというプレッシャーから解放されたベントソは、スッキリとした表情で表彰台に上がった。
さて、総合上位のゴスとマシューズが上位に絡んだことで、ますます総合優勝の行方が分からなくなった。マイヤーはリーダージャージを守ったが、ゴスが8秒遅れ、テンダムが10秒遅れ、マシューズが12秒遅れで続く。勝負を決めるのは、最終日のクリテリウムレースだ。
4.5kmの周回コースを合計20周するレースは、普通に考えてスプリンター向き。8周目と12周目にスプリントポイントが設定されていて、上位通過者には3秒、2秒、1秒のボーナスタイムが与えられる。
ゴス擁するHTC・ハイロードは、8周目まで集団を支配して、スプリントポイントでゴスを発射する筋書きを描く。そしてもちろんステージ優勝を狙う。ステージ上位入賞者に与えられるボーナスタイムは10秒、6秒、4秒。
ゴスは相変わらずチーム力に絶大なる信頼を置いている。「チームは強い。レースを支配し続けるパワーがある。明日はスプリントポイントまで集団を一つにまとめて、ボーナスタイムを獲得したい。ここまでずっとステージ上位に絡んで来た。今度は僕がリーダージャージを着る番だ。」
1999年に第1回大会が開催されたツアー・ダウンアンダーの歴史の中で、ボーナスタイムにより最終日に総合逆転が決まったのは過去に1回だけある。
2001年の第3回大会。当時クレディアグリコルに所属していたスチュアート・オグレディ(オーストラリア)は、最終日前日の第5ステージを終えた時点でTモバイルのカイ・フンデルトマルク(ドイツ)と0秒差の総合2位につけていた。
最終日は今と同じアデレードのクリテリウムレース。スプリントポイントでTモバイルを振り切って2秒のボーナスタイムを獲得したオグレディは、そのままリードを保ってフィニッシュ。大会史上最小のタイム差である2秒差で総合争いが決着した。
今年はそれ以上にタイトな闘いになるかも知れない。
マイヤーがスプリント真っ向勝負でゴスに太刀打ち出来ないのは明らかなので、ガーミン・サーヴェロはファラーとディーンに勝負を託す。今日ファラーとディーンは献身的に集団を牽引した後、ウィランガヒルで無理せず集団から脱落。カヴェンディッシュと一緒に14分06秒遅れでひっそりとゴールしている。
今日ウィランガヒルで集団に食らいつき、スプリントに加わったゴスに対し、ファラーとディーンは明日のために脚を残している。ここまでのスプリントを見る限りゴスは好調だが、1週間の疲労が蓄積されているかも知れない。
「最終日まで勝負がもつれこむとは思わなかった。これは面白くなって来た。」プレスルームの士気は上がっている。ゴスが逆転優勝すると信じるプレスが過半数。本当に面白くなって来た!!
text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
最終日前日は決まってアデレード南部のウィランガを中心にした周回コースが使用される。毎年スタート地点は移動するが、使われる周回コースはほぼ一緒。ウィランガヒルを越えて、ウィランガにゴールするレイアウトは定番中の定番だ。
前日までと比べると暑さは和らいだが、それでも日射しの強さは変わらない。相変わらず選手たちはたっぷりと日焼け止めを塗り込んでいる。露出している腕や脚だけではなく、わざわざジャージを全て脱いで全身に日焼け止めを塗っている。
レース前半の周回には美しい海岸線が含まれている。青い海をバックにした定番のショットを撮影し、次の周回まで時間があるのでビーチに脚を伸ばす。同行者は全く乗り気じゃなかったが、せっかくなので靴を脱いで海に入って時間をつぶした。
プロトンはガーミン・サーヴェロに支配されていた。黒基調の新しいジャージは「チームスカイにそっくり」と思ったが、実際に見間違えることは無い。黒いジャージがズラリと集団の先頭に並んでいる姿はなかなかクールだ。
メイン集団の先頭を牽くのは、ガーミン・サーヴェロのエーススプリンターを務めるタイラー・ファラー(アメリカ)。レースの見どころで注目選手の一人に挙げていたスプリンターが、献身的に集団を牽いている。全てはマイヤーのジャージキープのためだ。
ガーミン・サーヴェロとしてはほぼ満足のレース展開だったはず。スプリントポイントまでに逃げが形成されたことで、ゴスやマキュアン、マシューズのボーナスタイムを阻止することに成功した。
それに、逃げを吸収する段階に入ると、HTC・ハイロードやラボバンク、エウスカルテルが加勢。力を温存しながらマイヤーをメイングループに残すことが出来た。誤算は、ステージ優勝狙いのジャック・ボブリッジ(オーストラリア)がラスト5kmで落車したことか。
ベントソはモビスターにシーズン初勝利をもたらした。昨年はケースデパーニュのルイスレオン・サンチェス(スペイン)が優勝したので、実質的にはウィランガステージを連覇したことになる。
なかなか表彰式が始まらないなと思っていたら、表彰台の裏でベントソは涙に暮れていた。チームスタッフになだめられるが、溢れる涙が止まらない。
大きく深呼吸し、涙を手で拭ってOKサインを出すベントソ。チームとして新スポンサーに早く勝利をもたらしたいというプレッシャーから解放されたベントソは、スッキリとした表情で表彰台に上がった。
さて、総合上位のゴスとマシューズが上位に絡んだことで、ますます総合優勝の行方が分からなくなった。マイヤーはリーダージャージを守ったが、ゴスが8秒遅れ、テンダムが10秒遅れ、マシューズが12秒遅れで続く。勝負を決めるのは、最終日のクリテリウムレースだ。
4.5kmの周回コースを合計20周するレースは、普通に考えてスプリンター向き。8周目と12周目にスプリントポイントが設定されていて、上位通過者には3秒、2秒、1秒のボーナスタイムが与えられる。
ゴス擁するHTC・ハイロードは、8周目まで集団を支配して、スプリントポイントでゴスを発射する筋書きを描く。そしてもちろんステージ優勝を狙う。ステージ上位入賞者に与えられるボーナスタイムは10秒、6秒、4秒。
ゴスは相変わらずチーム力に絶大なる信頼を置いている。「チームは強い。レースを支配し続けるパワーがある。明日はスプリントポイントまで集団を一つにまとめて、ボーナスタイムを獲得したい。ここまでずっとステージ上位に絡んで来た。今度は僕がリーダージャージを着る番だ。」
1999年に第1回大会が開催されたツアー・ダウンアンダーの歴史の中で、ボーナスタイムにより最終日に総合逆転が決まったのは過去に1回だけある。
2001年の第3回大会。当時クレディアグリコルに所属していたスチュアート・オグレディ(オーストラリア)は、最終日前日の第5ステージを終えた時点でTモバイルのカイ・フンデルトマルク(ドイツ)と0秒差の総合2位につけていた。
最終日は今と同じアデレードのクリテリウムレース。スプリントポイントでTモバイルを振り切って2秒のボーナスタイムを獲得したオグレディは、そのままリードを保ってフィニッシュ。大会史上最小のタイム差である2秒差で総合争いが決着した。
今年はそれ以上にタイトな闘いになるかも知れない。
マイヤーがスプリント真っ向勝負でゴスに太刀打ち出来ないのは明らかなので、ガーミン・サーヴェロはファラーとディーンに勝負を託す。今日ファラーとディーンは献身的に集団を牽引した後、ウィランガヒルで無理せず集団から脱落。カヴェンディッシュと一緒に14分06秒遅れでひっそりとゴールしている。
今日ウィランガヒルで集団に食らいつき、スプリントに加わったゴスに対し、ファラーとディーンは明日のために脚を残している。ここまでのスプリントを見る限りゴスは好調だが、1週間の疲労が蓄積されているかも知れない。
「最終日まで勝負がもつれこむとは思わなかった。これは面白くなって来た。」プレスルームの士気は上がっている。ゴスが逆転優勝すると信じるプレスが過半数。本当に面白くなって来た!!
text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
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