2010/10/20(水) - 16:01
太陽の光が戻った最終日、第9ステージ。大会最長距離となる222.5kmの長いレースを制したのは、昨日ペナルティタイムを科せられ、ゴールスプリントを制しながらも優勝を逃したケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ)だった。
今年のツアー・オブ・ハイナンは毎ステージゴールスプリントが繰り広げられ、第4ステージ以降はファンヒュメルが勝ち続けていた。最終日、第9ステージもゴールスプリントとなり、やはりラインに向かって超加速してくるのはファンヒュメル。危なげないスプリントで4勝目を挙げた。
何度も見てきた光景だったが、この日ゴールしてきたファンヒュメルの表情は喜びではなく、昨日のペナルティを不服とする怒りに満ちていた。公式リザルトでは4勝目となるが、ファンヒュメルにとっては5勝目。それを大声でアピールしながら5本指を大きく掲げてラインを越えた。
その後チームメイトが集まると、どこからかビールが配られ、土井雪広(スキル・シマノ)らとともにファンヒュメルらしい満面の笑顔で祝杯をあげた。「最終日、いいレースになりました!」と話す土井。
ファンヒュメルは「ツアー・オブ・ハイナンはいいレースだったけど、昨日は本当に失望した。昨日の勝利は、間違いなく“勝利”だと思っている。今日は暑かったし、山岳も厳しかった。だけどリベンジのために走った。ユキ(土井雪広)やチームメイトに感謝しているよ。彼らも強かった。これからオランダでスプリントカップというショーレースを走ったらオフを迎える。バカンスに行くんだ。バリに2週間の予定だよ!」とコメントする。
チームはこの日、土井の総合順位を上げるために最初のスプリントポイントを取りにいったが、惜しくも4位通過(3位までがボーナスタイムを獲得できる)。そこからはファンヒュメルのステージ優勝に向けて動き出した。
スプリントポイントを3つ過ぎると山岳へと入る。スプリンター、ファンヒュメルが遅れてしまっても挽回できるように、逃げグループとのタイム差をキッチリとコントロールした。
山を越えた時点でファンヒュメルは「今日は必ず勝つ!」と宣言したのだとか。その後、いつもと同じように残り1kmまでファンヒュメルを牽引。あとは彼が1人で前へ行き、誰よりも先にゴールラインを越えた。
ファンヒュメルの圧倒的なスプリント力が際立った今大会。「プロツアーレースでも勝つんだから、アジアツアーのHCクラスなら、これくらいで当然ですよ!」なんて土井は話すが、チームワークやチームの雰囲気の良さも目立っていた。
チームとの契約更新が発表された土井雪広。今季はツアー・オブ・ターキー(ヨーロッパツアー2.HC)での総合6位に始まり、今大会(アジアツアー2.HC)でも総合8位でフィニッシュ。ヒルクライマーとしての印象が強いが、オークラスの2つのステージレースでトップ10入りというのは、素晴らしい成績ではないだろうか?
来年はフレッシュワロンヌなどのクラシックレースで活躍したいと言う。また週末のジャパンカップにも日本ナショナルチームとして出場予定。「予想以上に絞れたので、ジャパンカップも走れると思いますよ!」と話す。楽しみだ。
総合優勝はヴァレンティン・イグリンスキー(アスタナ、カザフスタン)が獲得。上りにもスプリントにも強い彼の持ち味が活かされた大会だった。
イグリンスキーは「勝てたことをとても嬉しく思っている。また来年も戻ってきたいね。また大雨により大きな被害が出た大会だったけど、自分たちの安全を守ってくれた大会主催者に感謝しているよ」とコメント。閉会式で受け取った大きなトロフィーに嬉しそうにキスした。
愛三工業レーシングチーム、第9ステージの最高位は西谷泰治が5位でフィニッシュ。総合順位はトップから33秒遅れの14位で、シーズン最後のステージレースを終えた。彼らのレポートはまた別記事にて。
一時は大雨被害により大会続行も危ぶまれた今年のツアー・オブ・ハイナン。何よりも無事に大会が終了したことに感謝したい。
大会1週間前になり、冠水地域を避けるために決まった第4、5ステージのコース変更。主催者たちは、安全なルートの確保と数百人におよぶ関係者の宿泊先を手配を強いられ、なおかつ突然のステージ中止やスタート地点変更などにも対応した。これだけのトラブルに対応した今レースのポテンシャルはかなり高い。コミッセールたちも彼らの仕事を高く評価している。今年でまだ5回目だが、近い将来アジアを代表するレースとなるだろう。
ツアー・オブ・ハイナン2010第9ステージ結果
1位 ケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ) 5h16'26"
2位 セルジー・スレントソフ(ロシア、ポリゴン・スイートナイス)
3位 エンリケ・マタ(スペイン、フットオン・セルベット)
5位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)
17位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)
41位 土井雪広(スキル・シマノ)
69位 福田真平(愛三工業レーシングチーム)
71位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)
87位 鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム)
個人総合成績
1位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ) 26h49'23"
2位 ジョニー・ウォーカー(オーストラリア、フットオン・セルヴェット)+17"
3位 アレクシィ・マルコフ(ロシア、ロシア・ナショナルチーム) +18"
8位 土井雪広(スキル・シマノ) +27"
14位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム) +33"
18位 盛一大(愛三工業レーシングチーム) +42"
29位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム) +48"
45位 福田真平(愛三工業レーシングチーム) +3'02"
69位 鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム) +5'37"
アジア最高位
ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)
ポイント賞
ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)
山岳賞
アルカイス・ドゥーラン(スペイン、フットオン・セルベット)
チーム成績最高位
ロシア・ナショナルチーム
text&photo:Sonoko Tanaka
今年のツアー・オブ・ハイナンは毎ステージゴールスプリントが繰り広げられ、第4ステージ以降はファンヒュメルが勝ち続けていた。最終日、第9ステージもゴールスプリントとなり、やはりラインに向かって超加速してくるのはファンヒュメル。危なげないスプリントで4勝目を挙げた。
何度も見てきた光景だったが、この日ゴールしてきたファンヒュメルの表情は喜びではなく、昨日のペナルティを不服とする怒りに満ちていた。公式リザルトでは4勝目となるが、ファンヒュメルにとっては5勝目。それを大声でアピールしながら5本指を大きく掲げてラインを越えた。
その後チームメイトが集まると、どこからかビールが配られ、土井雪広(スキル・シマノ)らとともにファンヒュメルらしい満面の笑顔で祝杯をあげた。「最終日、いいレースになりました!」と話す土井。
ファンヒュメルは「ツアー・オブ・ハイナンはいいレースだったけど、昨日は本当に失望した。昨日の勝利は、間違いなく“勝利”だと思っている。今日は暑かったし、山岳も厳しかった。だけどリベンジのために走った。ユキ(土井雪広)やチームメイトに感謝しているよ。彼らも強かった。これからオランダでスプリントカップというショーレースを走ったらオフを迎える。バカンスに行くんだ。バリに2週間の予定だよ!」とコメントする。
チームはこの日、土井の総合順位を上げるために最初のスプリントポイントを取りにいったが、惜しくも4位通過(3位までがボーナスタイムを獲得できる)。そこからはファンヒュメルのステージ優勝に向けて動き出した。
スプリントポイントを3つ過ぎると山岳へと入る。スプリンター、ファンヒュメルが遅れてしまっても挽回できるように、逃げグループとのタイム差をキッチリとコントロールした。
山を越えた時点でファンヒュメルは「今日は必ず勝つ!」と宣言したのだとか。その後、いつもと同じように残り1kmまでファンヒュメルを牽引。あとは彼が1人で前へ行き、誰よりも先にゴールラインを越えた。
ファンヒュメルの圧倒的なスプリント力が際立った今大会。「プロツアーレースでも勝つんだから、アジアツアーのHCクラスなら、これくらいで当然ですよ!」なんて土井は話すが、チームワークやチームの雰囲気の良さも目立っていた。
チームとの契約更新が発表された土井雪広。今季はツアー・オブ・ターキー(ヨーロッパツアー2.HC)での総合6位に始まり、今大会(アジアツアー2.HC)でも総合8位でフィニッシュ。ヒルクライマーとしての印象が強いが、オークラスの2つのステージレースでトップ10入りというのは、素晴らしい成績ではないだろうか?
来年はフレッシュワロンヌなどのクラシックレースで活躍したいと言う。また週末のジャパンカップにも日本ナショナルチームとして出場予定。「予想以上に絞れたので、ジャパンカップも走れると思いますよ!」と話す。楽しみだ。
総合優勝はヴァレンティン・イグリンスキー(アスタナ、カザフスタン)が獲得。上りにもスプリントにも強い彼の持ち味が活かされた大会だった。
イグリンスキーは「勝てたことをとても嬉しく思っている。また来年も戻ってきたいね。また大雨により大きな被害が出た大会だったけど、自分たちの安全を守ってくれた大会主催者に感謝しているよ」とコメント。閉会式で受け取った大きなトロフィーに嬉しそうにキスした。
愛三工業レーシングチーム、第9ステージの最高位は西谷泰治が5位でフィニッシュ。総合順位はトップから33秒遅れの14位で、シーズン最後のステージレースを終えた。彼らのレポートはまた別記事にて。
一時は大雨被害により大会続行も危ぶまれた今年のツアー・オブ・ハイナン。何よりも無事に大会が終了したことに感謝したい。
大会1週間前になり、冠水地域を避けるために決まった第4、5ステージのコース変更。主催者たちは、安全なルートの確保と数百人におよぶ関係者の宿泊先を手配を強いられ、なおかつ突然のステージ中止やスタート地点変更などにも対応した。これだけのトラブルに対応した今レースのポテンシャルはかなり高い。コミッセールたちも彼らの仕事を高く評価している。今年でまだ5回目だが、近い将来アジアを代表するレースとなるだろう。
ツアー・オブ・ハイナン2010第9ステージ結果
1位 ケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ) 5h16'26"
2位 セルジー・スレントソフ(ロシア、ポリゴン・スイートナイス)
3位 エンリケ・マタ(スペイン、フットオン・セルベット)
5位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)
17位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)
41位 土井雪広(スキル・シマノ)
69位 福田真平(愛三工業レーシングチーム)
71位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)
87位 鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム)
個人総合成績
1位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ) 26h49'23"
2位 ジョニー・ウォーカー(オーストラリア、フットオン・セルヴェット)+17"
3位 アレクシィ・マルコフ(ロシア、ロシア・ナショナルチーム) +18"
8位 土井雪広(スキル・シマノ) +27"
14位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム) +33"
18位 盛一大(愛三工業レーシングチーム) +42"
29位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム) +48"
45位 福田真平(愛三工業レーシングチーム) +3'02"
69位 鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム) +5'37"
アジア最高位
ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)
ポイント賞
ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)
山岳賞
アルカイス・ドゥーラン(スペイン、フットオン・セルベット)
チーム成績最高位
ロシア・ナショナルチーム
text&photo:Sonoko Tanaka
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