ツアー・オブ・ハイナン第3ステージ、今大会最高カテゴリーである1級山岳を越える146.4kmの山岳コースを制したのは、ラスト500mから単独で飛び出したチャールス・ハフ(アメリカ、ジェリーベリー・サイクリング)だった。日本人最高位は綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)がタイム差なしの12位でフィニッシュしている。

繰り上がりで2枚のジャージを着る愛三チーム。宿泊先のホテルで繰り上がりで2枚のジャージを着る愛三チーム。宿泊先のホテルで photo:Sonoko Tanakaラインレース2日目の第3ステージは、内陸の町・五指山をスタートし、9.6km地点で今大会最高カテゴリーの1級山岳を越えると、アップダウンはあるものの海に向けて下り基調となる146.4kmのレイアウトだ。

リーダージャージを着るヴァレンティン・イグリンスキー(アスタナ/カザフスタン)擁するアスタナがコントロールしながら走り始めたが、レースは山岳に向けてスタート直後から動き始めた。

スタート前のリラックスしたアレクサンドル・ヴィノクロフ(アスタナ)スタート前のリラックスしたアレクサンドル・ヴィノクロフ(アスタナ) photo:Sonoko Tanaka最初にアタックを成功させたのは、アジアランキング3位のガダール・ミズバニ(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル)。さらに山岳賞ジャージを着るアルカイス・ドゥーラン(スペイン、フットオン・セルベット)を含む6選手が追走しミズバニに追いつき、7選手が先行する。

山頂手前でミズバニが再度アタックをかけると、ドゥーランが反応し、1級山岳のポイントはドゥーランが獲得。その後、ドゥーランや先行していた選手は下りで集団に戻るも、ミズバニは単独でペースアップ。そして2つ目の3級山岳ポイントを獲得し、山岳賞トップまで2ポイントに迫る。

華やかに飾られた町から第3ステージスタート華やかに飾られた町から第3ステージスタート photo:Sonoko Tanakaミズバニと集団とのタイム差は最大で4分40秒ほど開いたが、80km地点を越えると集団が徐々にペースアップ。そして111km地点でミズバニは集団に吸収される。その後、アスタナ、カザフスタン、ウクライナなどスプリントを狙うチームが集団をコントロール。

ゴール手前500mになって、チャールス・ハフが単独でアタックをかけ、500mの長い距離を猛加速する集団から逃げ切る形でゴールを迎えた。ハフに話を聞いた。

「チームには2人のスプリンターがいるんだけど、最後のコーナーで彼とアイコンタクトをしたんだ。そして自分が行くことに決めた。ゴールまで400〜500mの地点から飛び出したけど、それはそれは長いスプリントだったよ。勝てたことを嬉しく思っているんだ」

チャールス・ハフ(ジェリーベリー・サイクリング)が逃げきり優勝チャールス・ハフ(ジェリーベリー・サイクリング)が逃げきり優勝 photo:Sonoko Tanaka

ゴール後レースを振り返る愛三工業レーシングチームゴール後レースを振り返る愛三工業レーシングチーム photo:Sonoko Tanaka日本人選手は全員集団内でゴール。ステージ最高位は12位の綾部勇成だが、西谷と盛2人のスプリンターを擁する愛三チームは前線でのステージ優勝争いに加われなかった。ゴール後、集団内の混戦に言葉を失うような表情を浮かべる愛三チームにレースを振り返ってもらった。

「スプリントはいつも怖いけど、とくに怖さを感じるようなスプリントだった。ゴール手前では向かい風が吹いていて、誰も前に出たくなかったんだと思う。だからみんな後ろに付きたくって、集団内は大混戦になっていた。そのなかで愛三チームは、みんなバラバラになってしまい、ゴールスプリントに向けて、うまくチームとして機能することができなかった」

ステージ上位の表彰式ステージ上位の表彰式 photo:Sonoko Tanaka総合順位に大きな変動はなく、明日もリーダージャージはイグリンスキーが着用する。イグリンスキーは「チームワークでジャージをキープできた。チームはこのあとも自分のジャージをキープできるように動くと思う。11月末のアジア競技大会に出場予定で、そのレースに向けて、いいコンディションを作ることも、このレースの目的なんだ」と語る。

明日、第4ステージはフラットな135kmで競われる。当初、島の北東、文昌という町まで162.9kmの予定だったが、文昌はもっとも連日の大雨による洪水被害の大きかった町。やはり状況が改善されず、急きょコース変更が発表された。本来のコースの途中にある官塘がゴールになる。

ツアー・オブ・ハイナン2010第3ステージ結果
1位 チャールス・ハフ(アメリカ、ジェリーベリー・サイクリング)    3h45'56"
2位 セルジェイ・クデントソフ(ロシアポリゴン・スイート・ナイス)
3位 ユーリ・メトルシェンコ(ウクライナ、ウクライナ・ナショナルチーム)
12位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)
32位 土井雪広(スキル・シマノ)
33位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)
38位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)
41位 福田真平(愛三工業レーシングチーム)
104位 鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム)

個人総合成績
1位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)  9h45'56"
2位 西谷泰治(日本、愛三工業レーシングチーム)           +04"
3位 ジョニー・ウォーカー(オーストラリア、フットオン・セルベット) +06"
10位 盛一大(日本、愛三工業レーシングチーム)            +10"
18位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)
32位 綾部勇成(日本、愛三工業レーシングチーム)           +16"
61位 福田真平(日本、愛三工業レーシングチーム)          +2'30"
85位 鈴木謙一(日本、愛三工業レーシングチーム)

アジア最高位
ヴァレンティン・イグリンスキー(アスタナ/カザフスタン)

ポイント賞
ヴァレンティン・イグリンスキー(アスタナ/カザフスタン)

山岳賞
アルカイス・ドゥーラン(フットオン・セルベット/スペイン)

text&photo:Sonoko Tanaka

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