2010/09/12(日) - 12:10
マイヨロホを着るイゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)が落車リタイアする波乱の展開を見せたブエルタ・ア・エスパーニャ第14ステージ。ペーニャ・カバルガの頂上にフィニッシュした選手たちのコメント。
ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)ステージ優勝・総合2位
アンドラと同じ間違いは繰り返さない。アンドラでは自信過剰になっていたんだと思う。今日は頭を使って、出来るだけ長く集団内でチャンスを待ち続けた。それが功を奏したよ。
明日のコバドンガではニーバリに警戒しなければならない。でもライバルはニーバリだけじゃない。まだブエルタで総合優勝を狙える選手は数人いる。アントンがこんな不運な形でブエルタを終えるのは残念だ。彼とそのチームは本当に強かった。落車が発生した音は聞いたけど、彼が落車したのは見ていない。上りの手前は、どのチームも集団のポジションをキープするのに躍起だった。かなりスピードが出ていた。
イゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)右肘骨折によりリタイア
路面の穴か障害物か何かに接触して一人で落車した。ハンドルを握っていた腕が外れ、地面に投げ出された。立ち上がってようやく自分が全身血だらけということに気付いた。今自分がどこにいるのか、何をしているのか分からなかったけど、本能的にバイクに跨がろうとしたんだ。そこでようやく気がついた。右肘が曲がらない。チームドクターが飛んできて、僕の腕を診てこう告げた。『もうレースのことは忘れろ。折れている』と。
(終盤の上り手前で落車する)悪い習慣を繰り返している。今年のブエルタは勝てると思っていた。こんな形でレースを去ることになってしまって残念だ。でも夢のような14日間だった。また勝つためにブエルタに戻ってくる。2011年は今年同様強いチームメイトを従えてリベンジを目指すよ。
ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)ステージ2位・総合首位
アントンのリタイアは残念だ。落車でリーダージャージを失う悲しみは、今年のジロ・デ・イタリアで経験した。もっと違った形でこのマイヨロホを受け取りたかった。でもジャージを拒否するわけにはいかない。
今日はクロイツィゲルに助けられたよ。ステージ優勝を狙っていたけど、山岳ポイントのアーチとゴールを混同してしまった。そのミスに気付いた時、ロドリゲスに追いつかれていた。そこからは自分のリズムで走ろうと心がけた。明日も特別な山岳ステージだ。クライマーたちに食らいついて、そのあとの個人TTに備えたい。
エセキエル・モスケラ(スペイン、シャコベオ・ガリシア)ステージ3位・総合3位
最も重要なのは(ステージ優勝ではなく)総合ジャンプアップだった。イゴール(アントン)の落車リタイアは残念だ。今日は脚が良く回っていた。でもプリート(ロドリゲス)に付いていくほどの脚は残っていなかった。
ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)ステージ4位・山岳賞トップ
最後の上りでは、山岳ポイント獲得だけを考えていた。セバスティアン・ミナールのおかげで上り口で好位置をキープ。ステージ4位という成績は悪くない。山岳ポイントも獲得出来た。他の選手たちと同様、疲れが貯まってきている。でもこのブエルタをエンジョイしているよ。
ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル)ステージ5位・総合5位
休息日直後よりも調子が上がってきている。今日は展開に恵まれていて、運が味方してくれた。ちょうどアントンが落車した時、すぐ右後ろで走っていたんだ。落車が発生してすぐ、彼のバイクが僕をかすめた。最後の上りでも手応えを感じたよ。今日のステージを終えて僕は総合5位に付けている。これから厳しいステージが2つ続くけど、今の調子が続けば総合5位を死守出来ると思う。46kmの個人タイムトライアルは心配していない。ツール・ド・フランスの個人タイムトライアルでは、アンディ・シュレクから28秒、コンタドールから1分しか遅れなかった。その結果が自信を与えてくれている。
フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)ステージ6位・総合6位
今日の結果に満足するべきだと思う。調子は日に日に上がっている。今日は完全にロドリゲスやニーバリ向きの上りだった。月曜日のステージ(第16ステージ)は自分向きだと思う。自信はあるよ。鎖骨を3カ所骨折して、8週間レースを離れていた自分にとって、これは紛れも無い挑戦だ。でもトップレベルに戻りつつある。表彰台、もしくは総合優勝はまだ手の届くところにある。勝つためにこのブエルタに出場している。そしてそのためにトレーニングをこなしてきた。
シャビエル・トンド(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)ステージ7位・総合4位
アントンのような有力選手が落車したおかげで自分の総合順位が上がるのは好きじゃない。今日は一日中調子が良かった。でも急なペースアップに対応出来なかった。ラスト2kmで失ったタイムは40秒。これからもチームは総合成績を狙って闘い続ける。キャプテンは自分なのか、カルロス(サストレ)なのか、それはどちらでも構わない。彼はチームメイトであり、ライバルではない。
トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)ステージ10位・総合8位
アントンが巻き込まれた落車の影響でストップしてしまった。そこから懸命に集団を追ったんだ。集団に追いつくまでに1km全力で走った。その追走が無ければ、もっと良い成績を残せていたと思う。
ウラディミール・グセフ(ロシア、カチューシャ)ステージ12位・総合19位
カチューシャは素晴らしいチームワークを見せた。その結果がホアキンのステージ優勝だ。ホアキンはニーバリから4秒差の総合2位。満足の結果だ。そして、自分の総合成績を改善出来たことにも満足している。
カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)ステージ15位・総合10位
アントンのリタイアは残念だ。彼はこのブエルタを手中に収めようとしていた。最後の上りでライバルたちに食らいつこうとしたけど失速。今年はシーズン序盤から波に乗れていない。チームにとって最も重要なのはトンドが表彰台に上ること。それがチームの希望だ。
デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ)130kmに渡ってエスケープ
木曜日の朝に、いつか一緒に逃げようとデーヴィット・ザブリスキーと冗談混じりで話していたんだ。テルプストラを捕まえるまで、2人でひたすらタイムトライアルのように走った。タイム差が12分を超えた時、これは逃げ切れると思った。冗談から始まった逃げが成功するところだった!ロード世界選手権に向けて調子を上げている。また逃げたいと思う。
トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)アントンの落車を目撃
アントンが巻き込まれた落車は酷かった。集団が80km/hで走っているときに発生したんだ。不運に見舞われたエウスカルテルを気の毒に思う。
選手コメントはレース公式リリースより抜粋。
text:Kei Tsuji
ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)ステージ優勝・総合2位
アンドラと同じ間違いは繰り返さない。アンドラでは自信過剰になっていたんだと思う。今日は頭を使って、出来るだけ長く集団内でチャンスを待ち続けた。それが功を奏したよ。
明日のコバドンガではニーバリに警戒しなければならない。でもライバルはニーバリだけじゃない。まだブエルタで総合優勝を狙える選手は数人いる。アントンがこんな不運な形でブエルタを終えるのは残念だ。彼とそのチームは本当に強かった。落車が発生した音は聞いたけど、彼が落車したのは見ていない。上りの手前は、どのチームも集団のポジションをキープするのに躍起だった。かなりスピードが出ていた。
イゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)右肘骨折によりリタイア
路面の穴か障害物か何かに接触して一人で落車した。ハンドルを握っていた腕が外れ、地面に投げ出された。立ち上がってようやく自分が全身血だらけということに気付いた。今自分がどこにいるのか、何をしているのか分からなかったけど、本能的にバイクに跨がろうとしたんだ。そこでようやく気がついた。右肘が曲がらない。チームドクターが飛んできて、僕の腕を診てこう告げた。『もうレースのことは忘れろ。折れている』と。
(終盤の上り手前で落車する)悪い習慣を繰り返している。今年のブエルタは勝てると思っていた。こんな形でレースを去ることになってしまって残念だ。でも夢のような14日間だった。また勝つためにブエルタに戻ってくる。2011年は今年同様強いチームメイトを従えてリベンジを目指すよ。
ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)ステージ2位・総合首位
アントンのリタイアは残念だ。落車でリーダージャージを失う悲しみは、今年のジロ・デ・イタリアで経験した。もっと違った形でこのマイヨロホを受け取りたかった。でもジャージを拒否するわけにはいかない。
今日はクロイツィゲルに助けられたよ。ステージ優勝を狙っていたけど、山岳ポイントのアーチとゴールを混同してしまった。そのミスに気付いた時、ロドリゲスに追いつかれていた。そこからは自分のリズムで走ろうと心がけた。明日も特別な山岳ステージだ。クライマーたちに食らいついて、そのあとの個人TTに備えたい。
エセキエル・モスケラ(スペイン、シャコベオ・ガリシア)ステージ3位・総合3位
最も重要なのは(ステージ優勝ではなく)総合ジャンプアップだった。イゴール(アントン)の落車リタイアは残念だ。今日は脚が良く回っていた。でもプリート(ロドリゲス)に付いていくほどの脚は残っていなかった。
ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)ステージ4位・山岳賞トップ
最後の上りでは、山岳ポイント獲得だけを考えていた。セバスティアン・ミナールのおかげで上り口で好位置をキープ。ステージ4位という成績は悪くない。山岳ポイントも獲得出来た。他の選手たちと同様、疲れが貯まってきている。でもこのブエルタをエンジョイしているよ。
ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル)ステージ5位・総合5位
休息日直後よりも調子が上がってきている。今日は展開に恵まれていて、運が味方してくれた。ちょうどアントンが落車した時、すぐ右後ろで走っていたんだ。落車が発生してすぐ、彼のバイクが僕をかすめた。最後の上りでも手応えを感じたよ。今日のステージを終えて僕は総合5位に付けている。これから厳しいステージが2つ続くけど、今の調子が続けば総合5位を死守出来ると思う。46kmの個人タイムトライアルは心配していない。ツール・ド・フランスの個人タイムトライアルでは、アンディ・シュレクから28秒、コンタドールから1分しか遅れなかった。その結果が自信を与えてくれている。
フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)ステージ6位・総合6位
今日の結果に満足するべきだと思う。調子は日に日に上がっている。今日は完全にロドリゲスやニーバリ向きの上りだった。月曜日のステージ(第16ステージ)は自分向きだと思う。自信はあるよ。鎖骨を3カ所骨折して、8週間レースを離れていた自分にとって、これは紛れも無い挑戦だ。でもトップレベルに戻りつつある。表彰台、もしくは総合優勝はまだ手の届くところにある。勝つためにこのブエルタに出場している。そしてそのためにトレーニングをこなしてきた。
シャビエル・トンド(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)ステージ7位・総合4位
アントンのような有力選手が落車したおかげで自分の総合順位が上がるのは好きじゃない。今日は一日中調子が良かった。でも急なペースアップに対応出来なかった。ラスト2kmで失ったタイムは40秒。これからもチームは総合成績を狙って闘い続ける。キャプテンは自分なのか、カルロス(サストレ)なのか、それはどちらでも構わない。彼はチームメイトであり、ライバルではない。
トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)ステージ10位・総合8位
アントンが巻き込まれた落車の影響でストップしてしまった。そこから懸命に集団を追ったんだ。集団に追いつくまでに1km全力で走った。その追走が無ければ、もっと良い成績を残せていたと思う。
ウラディミール・グセフ(ロシア、カチューシャ)ステージ12位・総合19位
カチューシャは素晴らしいチームワークを見せた。その結果がホアキンのステージ優勝だ。ホアキンはニーバリから4秒差の総合2位。満足の結果だ。そして、自分の総合成績を改善出来たことにも満足している。
カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)ステージ15位・総合10位
アントンのリタイアは残念だ。彼はこのブエルタを手中に収めようとしていた。最後の上りでライバルたちに食らいつこうとしたけど失速。今年はシーズン序盤から波に乗れていない。チームにとって最も重要なのはトンドが表彰台に上ること。それがチームの希望だ。
デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・トランジションズ)130kmに渡ってエスケープ
木曜日の朝に、いつか一緒に逃げようとデーヴィット・ザブリスキーと冗談混じりで話していたんだ。テルプストラを捕まえるまで、2人でひたすらタイムトライアルのように走った。タイム差が12分を超えた時、これは逃げ切れると思った。冗談から始まった逃げが成功するところだった!ロード世界選手権に向けて調子を上げている。また逃げたいと思う。
トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ・テストチーム)アントンの落車を目撃
アントンが巻き込まれた落車は酷かった。集団が80km/hで走っているときに発生したんだ。不運に見舞われたエウスカルテルを気の毒に思う。
選手コメントはレース公式リリースより抜粋。
text:Kei Tsuji
Amazon.co.jp