ピュアスプリンターたちが3級山岳で遅れたジロ第12ステージは、アレック・セガールト(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス)が終盤アタックに成功。23歳のTTスペシャリストが集団を振り切り、グランツール初勝利を手に入れた。
5月21日(木)第12ステージ
インペリア〜ノーヴィ・リーグレ 175km(平坦)

ファンイートヴェルトが棄権し、4名となったロット・アンテルマルシェ photo:CorVos 
優勝候補に挙げられたマリアチクラミーノのマニエ photo:RCS Sport

この日もマリアローザカラーの紙吹雪がアフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス)を祝福する photo:CorVos

ジロ・デ・イタリア第12ステージ image:RCS Sport 第109回ジロ・デ・イタリアも折り返しの12日目を迎え、この日は集団スプリントが濃厚な平坦ステージが用意された。しかしコース後半に2つの3級山岳が設定され、特に2つ目のブリク・ベルトン(距離5.5km/平均6%)はピュアスプリンターを退けるには十分な難易度。そのためステージ優勝は登りの得意な軽量系スプリンターやパンチャーらの争いと予想された。
前日に逃げ、落車して指の骨折を負いながらも完走したレナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・アンテルマルシェ)が欠場したこの日、晴天のなか161名がスタートを切る。ミラノ〜サンレモ終盤でお馴染みの海岸線を逆方向にたどる序盤は、前日同様、多くの選手が逃げを目指す慌ただしい幕開けとなった。
ここまで5度逃げに乗り、レッドブルKM賞で首位に立つマヌエーレ・タロッツィ(イタリア、バルディアーニCSF・7サベール)は一度逃げに乗り、吸収後に再びアタックし、6名の逃げグループを形成した。それぞれエーススプリンターを擁するスーダル・クイックステップやユニベット・ローズ・ロケッツが牽引するメイン集団からは、なおも逃げを諦めない選手たちが飛び出す。しかし先頭への合流には至らず、逃げは2分差で1つ目の3級山岳に入った。

リグリア海岸を北東に進む選手たち photo:RCS Sport

マヌエーレ・タロッツィ(イタリア、バルディアーニCSF・7サベール)ら6名が逃げグループを形成した photo:RCS Sport
この頂上をヤルディ・ファンデルリー(オランダ、EFエデュケーション・イージーポスト)が争うことなくトップ通過する一方、プロトンの牽引はモビスターに変わる。その狙いはスプリンターたちを振り落とし、オールイス・アウラール(ベネズエラ、モビスター)でスプリント勝利を狙うこと。高速牽引は早くもディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユニベット・ローズ・ロケッツ)を脱落させ、同時に逃げを捉えた。
続く3級山岳ブリク・ベルトンでもマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)を着るポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)が遅れていき、粘りを見せていたジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)もドロップ。前日、区間2位と悔しい結果に終わったエンリク・マス(スペイン、モビスター)を先頭に頂上を通過し、絞られたプロトンはフィニッシュまで続く52kmの下りと平坦路に入った。
先頭を引くニック・シュルツ(オーストラリア、NSNサイクリングチーム)が下りコーナーでコースアウトして落車するシーンもありながら、集団はハイペースで進む。残り30km地点でプロトンに対し、マニエやミラン、カスペル・ファンウーデン(オランダ、ピクニック・ポストNL)らによる追走集団との差は1分16秒。集団スプリントに向けて懸命に追ったものの、EFエデュケーション・イージーポストとNSNサイクリングチームがペースを作るプロトンに追いつくことは、最後までなかった。

2つの3級山岳で集団を牽引し、スプリンターたちを脱落させたモビスター photo:RCS Sport

終盤にアタックを試みたジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) photo:CorVos
先頭集団に残り、スプリント力のあるベン・ターナー(イギリス、ネットカンパニー・イネオス)がリアパンクに見舞われ遅れるなか、レッドブルKMはマリアローザを着るアフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス)が先頭で通過する。残り7km地点の短い登りでジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)がアタックしたものの成功せず、集団はノーヴィ・リーグレの市街地に到着。そして集団スプリントに備え、ヴィスマ・リースアバイクが総合エースの安全確保のため牽引する集団から、アレック・セガールト(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス)が飛び出した。
残り3.3km地点からアタックしたセガールトは、グランプリ・ド・ドゥナン(UCI1.Pro)で勝利した得意な展開に持ち込み、追走に大きな意欲のないヴィスマが牽引する集団との差を一気に広げていく。それにファビオ・ファンデンボッセ(ベルギー、スーダル・クイックステップ)も反応して集団を飛び出し、この動きに危機感を覚えたモビスターがすぐに追走を開始する。ウノエックス・モビリティに変わった牽引はファンデンボッセを引き戻したものの、タイムトライアルスペシャリストであるセガールトとの差はなかなか縮まらない。

終盤アタックからリードを広げたアレック・セガールト(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

得意の形から金星を挙げたアレック・セガールト(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
セガールトはフラムルージュ(残り1km)を越え、残り100mで後ろとの差を確認すると、右手の拳を振り回し、ガッツポーズと共にフィニッシュラインを通過。キャリアハイとなる勝利を手に入れた。
「信じられないよ。各ステージの前に、どこかにチャンスがないか探しながら計画を立てている。そして今日はチームからチャンスを与えられ、プラン通りに進み大きな勝利を手に入れた。2日前の個人TTは満足のいく出来ではなく(区間16位)、その悔しさをバネに勝つことができた」と語ったセガールト。
ロット・デスティニ(現ロット・アンテルマルシェ)の育成チームから2023年トップチームに昇格した23歳で、今年3年契約でバーレーンに移籍。過去にTTヨーロッパ選手権のU23で3連覇(2022〜24年)したTTスペシャリストで、初出場となったジロで掴んだプロ4勝目が、キャリアハイの結果となった。
3秒遅れでやってきた集団スプリントによる2位争いは、シクロクロスの強豪選手でグランツール初出場のトーン・アールツ(ベルギー、ロット・アンテルマルシェ)が先着。フィニッシュ後にチームメイトであるセガールトの勝利を祝福したアフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス)はトップ集団でフィニッシュし、この日もマリアローザの保持に成功している。

初出場のジロで勝利したアレック・セガールト(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

セガールトの勝利に、マリアローザの保持で華を添えたアフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
5月21日(木)第12ステージ
インペリア〜ノーヴィ・リーグレ 175km(平坦)




前日に逃げ、落車して指の骨折を負いながらも完走したレナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・アンテルマルシェ)が欠場したこの日、晴天のなか161名がスタートを切る。ミラノ〜サンレモ終盤でお馴染みの海岸線を逆方向にたどる序盤は、前日同様、多くの選手が逃げを目指す慌ただしい幕開けとなった。
ここまで5度逃げに乗り、レッドブルKM賞で首位に立つマヌエーレ・タロッツィ(イタリア、バルディアーニCSF・7サベール)は一度逃げに乗り、吸収後に再びアタックし、6名の逃げグループを形成した。それぞれエーススプリンターを擁するスーダル・クイックステップやユニベット・ローズ・ロケッツが牽引するメイン集団からは、なおも逃げを諦めない選手たちが飛び出す。しかし先頭への合流には至らず、逃げは2分差で1つ目の3級山岳に入った。


この頂上をヤルディ・ファンデルリー(オランダ、EFエデュケーション・イージーポスト)が争うことなくトップ通過する一方、プロトンの牽引はモビスターに変わる。その狙いはスプリンターたちを振り落とし、オールイス・アウラール(ベネズエラ、モビスター)でスプリント勝利を狙うこと。高速牽引は早くもディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ユニベット・ローズ・ロケッツ)を脱落させ、同時に逃げを捉えた。
続く3級山岳ブリク・ベルトンでもマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)を着るポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)が遅れていき、粘りを見せていたジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)もドロップ。前日、区間2位と悔しい結果に終わったエンリク・マス(スペイン、モビスター)を先頭に頂上を通過し、絞られたプロトンはフィニッシュまで続く52kmの下りと平坦路に入った。
先頭を引くニック・シュルツ(オーストラリア、NSNサイクリングチーム)が下りコーナーでコースアウトして落車するシーンもありながら、集団はハイペースで進む。残り30km地点でプロトンに対し、マニエやミラン、カスペル・ファンウーデン(オランダ、ピクニック・ポストNL)らによる追走集団との差は1分16秒。集団スプリントに向けて懸命に追ったものの、EFエデュケーション・イージーポストとNSNサイクリングチームがペースを作るプロトンに追いつくことは、最後までなかった。


先頭集団に残り、スプリント力のあるベン・ターナー(イギリス、ネットカンパニー・イネオス)がリアパンクに見舞われ遅れるなか、レッドブルKMはマリアローザを着るアフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス)が先頭で通過する。残り7km地点の短い登りでジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)がアタックしたものの成功せず、集団はノーヴィ・リーグレの市街地に到着。そして集団スプリントに備え、ヴィスマ・リースアバイクが総合エースの安全確保のため牽引する集団から、アレック・セガールト(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス)が飛び出した。
残り3.3km地点からアタックしたセガールトは、グランプリ・ド・ドゥナン(UCI1.Pro)で勝利した得意な展開に持ち込み、追走に大きな意欲のないヴィスマが牽引する集団との差を一気に広げていく。それにファビオ・ファンデンボッセ(ベルギー、スーダル・クイックステップ)も反応して集団を飛び出し、この動きに危機感を覚えたモビスターがすぐに追走を開始する。ウノエックス・モビリティに変わった牽引はファンデンボッセを引き戻したものの、タイムトライアルスペシャリストであるセガールトとの差はなかなか縮まらない。


セガールトはフラムルージュ(残り1km)を越え、残り100mで後ろとの差を確認すると、右手の拳を振り回し、ガッツポーズと共にフィニッシュラインを通過。キャリアハイとなる勝利を手に入れた。
「信じられないよ。各ステージの前に、どこかにチャンスがないか探しながら計画を立てている。そして今日はチームからチャンスを与えられ、プラン通りに進み大きな勝利を手に入れた。2日前の個人TTは満足のいく出来ではなく(区間16位)、その悔しさをバネに勝つことができた」と語ったセガールト。
ロット・デスティニ(現ロット・アンテルマルシェ)の育成チームから2023年トップチームに昇格した23歳で、今年3年契約でバーレーンに移籍。過去にTTヨーロッパ選手権のU23で3連覇(2022〜24年)したTTスペシャリストで、初出場となったジロで掴んだプロ4勝目が、キャリアハイの結果となった。
3秒遅れでやってきた集団スプリントによる2位争いは、シクロクロスの強豪選手でグランツール初出場のトーン・アールツ(ベルギー、ロット・アンテルマルシェ)が先着。フィニッシュ後にチームメイトであるセガールトの勝利を祝福したアフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス)はトップ集団でフィニッシュし、この日もマリアローザの保持に成功している。


ジロ・デ・イタリア2026第12ステージ結果
| 1位 | アレック・セガールト(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス) | 3:53:00 |
| 2位 | トーン・アールツ(ベルギー、ロット・アンテルマルシェ) | +0:03 |
| 3位 | ギリェルモ・シルバ(ウルグアイ、XDSアスタナ) | |
| 4位 | イーサン・ヴァーノン(イギリス、NSNサイクリングチーム) | |
| 5位 | ヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | |
| 6位 | オールイス・アウラール(ベネズエラ、モビスター) | |
| 7位 | マディス・ミケルス(エストニア、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
| 8位 | ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG) | |
| 9位 | エドアルド・ザンバニーニ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
| 10位 | サカリアスコレー・ローランド(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) |
マリアローザ(個人総合成績)
| 1位 | アフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス) | 48:10:38 |
| 2位 | ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:33 |
| 3位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、ネットカンパニー・イネオス) | +2:03 |
| 4位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM) | +2:30 |
| 5位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) | +2:50 |
| 6位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +3:12 |
| 7位 | マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダープロサイクリング) | +3:34 |
| 8位 | デレク・ジーウェスト(カナダ、リドル・トレック) | +3:40 |
| 9位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +3:42 |
| 10位 | クリス・ハーパー(オーストラリア、ピナレロQ36.5プロサイクリング) | +4:15 |
マリアチクラミーノ(ポイント賞)
| 1位 | ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ) | 130pts |
| 2位 | ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG) | 119pts |
| 3位 | ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) | 76pts |
マリアアッズーラ(山岳賞)
| 1位 | ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | 111pts |
| 2位 | ディエゴ・セビーリャ(スペイン、ポルティ・ヴィジットマルタ) | 60pts |
| 3位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM) | 48pts |
マリアビアンカ(ヤングライダー賞)
| 1位 | アフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス) | 48:10:38 |
| 2位 | ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +3:42 |
| 3位 | マルケル・ベロキ(スペイン、EFエデュケーション・イージーポスト) | +4:20 |
チーム総合成績
| 1位 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | 144:45:50 |
| 2位 | ヴィスマ・リースアバイク | +1:33 |
| 3位 | XDSアスタナ | +8:11 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, RCS Sport
photo:CorVos, RCS Sport
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