ピンク色の総合リーダージャージ、マリアローザが争われるジロ・デ・イタリア。42kmの個人タイムトライアルがヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)の優位を高めるなか、イェーツやベルナル、ペリツァーリが7つの山岳フィニッシュでどこまで対抗できるか。



総合優勝者に与えられるトロフェオ・センツァフィーネ photo:CorVos

東ヨーロッパ、バルカン半島に位置するブルガリアで5月8日に開幕する第109回ジロ・デ・イタリア。全21ステージ、3週間にわたって争われる大会の頂点にあるのが、ピンク色の総合リーダージャージ「マリアローザ」と、天に向かい螺旋を描く優勝トロフィー「トロフェオ・センツァフィーネ」だ。

主催者であるスポーツ新聞「ガゼッタ・デッロ・スポルト」の紙面の色が採用され、1931年大会にまで遡るバラ色のジャージ。各ステージ終了時点での累積タイムが最も少ない選手に、翌日のステージでマリアローザを着用する栄誉が与えられ、全日程を終えた最終日にこのジャージを保持している選手こそが、ジロ・デ・イタリアの総合優勝者となる。

昨年大逆転の末、マリアローザを獲得したサイモン・イェーツ(イギリス) photo:RCS Sport

また各ステージには、総合首位争いにスパイスを加える「ボーナスタイム」が存在する。個人タイムトライアルを除く各ステージのフィニッシュでトップ3に入った選手に与えられ(1位10秒、2位6秒、3位4秒)、さらに昨年導入されたレッドブルKM(1位6秒、2位4秒、3位2秒)は今年も健在だ。

総合順位が動くであろう山頂フィニッシュは7つ。今大会の最難関、クイーンステージはドロミテ山脈の難関山岳が6つも詰め込まれた第19ステージで、また第10ステージに設定された個人TTは42kmと比較的長いため、ここでも総合順位がシャッフルされる可能性がある。



ジロ初出場のヴィンゲゴーが総合最有力

初出場のジロでグランツール全制覇を狙うヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

今年出場する選手のなかで、過去にジロ総合優勝経験のある選手はエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)とジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)の2名。しかし最有力候補に挙げられるのは、ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)だ。

2022年と23年のツール・ド・フランス総合優勝者で、昨年はブエルタ・ア・エスパーニャを初制覇したヴィンゲゴー。ジロは初出場となり、マリアローザを獲得すれば、歴代8人目となるグランツール全制覇者となる。その脇を固めるのはセップ・クス(アメリカ)やウィルコ・ケルデルマン(オランダ)、ヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー)といった百戦錬磨の仲間たち。コンディションも3月のパリ〜ニースとボルタ・ア・カタルーニャで共に総合優勝と、死角はない。

イェーツ、ペリツァーリ、ベルナルが山岳で対抗

昨年、サイモンの総合優勝を祝ったアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

ヴィンゲゴー最大のライバルと目されたジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG)は体調不良のため欠場。代わってUAEの総合エースを務めるのはアダム・イェーツ(イギリス)で、鍵は個人TTでヴィンゲゴーとのタイム差を最小限に抑えられるか。チームにはジョナタン・ナルバエス(エクアドル)やジェイ・ヴァイン(オーストラリア)、マルク・ソレル(スペイン)と強力なメンバーが揃う。また仮に総合優勝すれば、前年覇者で引退したサイモンと兄弟によるジロ連覇となる。

若手では昨年のブエルタで区間優勝(総合6位)し、ツアー・オブ・ジ・アルプスで総合優勝したジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)に注目。22歳ながら既に3週間を戦い抜ける力は示しており、ヒンドレーとのダブルエース体制はヴィンゲゴーの脅威となるはず。

22歳のジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

かつてのツール覇者にダークホースという言葉はふさわしくないかもしれないが、下馬評が高いのが今大会からチーム名が変更されたネットカンパニー・イネオスのエース、ベルナルだ。前回総合優勝したのは5年前の2021年。そこから大怪我を乗り越え、昨年はブエルタ・ア・エスパーニャで区間優勝。今年は2月のコロンビア選手権で連覇を達成し、ツアー・オブ・ジ・アルプスでは総合2位、リエージュ~バストーニュ~リエージュでは5位と好調だ。

他にはベン・オコーナー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)やフェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM)、エンリク・マス(スペイン、モビスター)、デレク・ジーウェスト(カナダ、リドル・トレック)などに注目。しかしいずれも登りが得意なクライマータイプゆえ、個人TTでヴィンゲゴーからのタイムロスをどれだけ最小限にできるかが、3週目の山岳決戦に向かう肝となる。
歴代マリアローザ獲得選手
2025年 サイモン・イェーツ(イギリス)
2024年 タデイ・ポガチャル(スロベニア)
2023年 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア)
2022年 ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)
2021年 エガン・ベルナル(コロンビア)
2020年 テイオ・ゲイガンハート(イギリス)
2019年 リチャル・カラパス(エクアドル )
2018年 クリストファー・フルーム(イギリス)
2017年 トム・デュムラン(オランダ)
2016年 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)
2015年 アルベルト・コンタドール(スペイン)
2014年 ナイロ・キンタナ(コロンビア)
2013年 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)
2012年 ライダー・ヘシェダル(カナダ)
2011年 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア)
2010年 イヴァン・バッソ(イタリア)
2009年 デニス・メンショフ(ロシア)
2008年 アルベルト・コンタドール(スペイン)
2007年 ダニーロ・ディルーカ(イタリア)
2006年 イヴァン・バッソ(イタリア)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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