30度を超える暑さのジロ・デ・イタリア第13ステージは、15名の逃げから飛び出したアルベルト・ベッティオル(イタリア、XDSアスタナ)が独走。パートナーの故郷で、また家族の目の前で自身2度目となる区間優勝を手に入れた。



5月22日(金)第13ステージ
アレッサンドリア〜ヴェルバーニア 189km(平坦)


体調不良が伝えられたヴィンゲゴー photo:CorVos
スタート前の準備を進めるプロウライト photo:RCS Sport


故郷であるヴェルバーニアに向かうガンナ photo:RCS Sport

ジロ・デ・イタリア第13ステージ image:RCS Sport
前日にアレック・セガールト(ベルギー、バーレーン・ヴィクトリアス)が劇的なアタックを決め、集団を振り切ったジロ・デ・イタリアは第13ステージを迎えた。この日のレイアウトも集団スプリントが予想される平坦ステージ。しかしアレッサンドリアとヴェルバーニアを結ぶ189kmは、フィニッシュの手前に4級と3級山岳が立ちはだかる。

気温30度を超える夏並みの暑さのなか、終盤の山岳を前にアドバンテージを得たいジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)などがスタート直後から飛び出す。またフィニッシュ地点であるヴェルバーニア出身のフィリッポ・ガンナ(イタリア、ネットカンパニー・イネオス)も逃げを目指し、集団はアタックと吸収を繰り返す。そして逃げ集団を形成できたのは、ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)ら6名だった。

先頭集団からは、チームからの無線で指示を受けたチリ王者ジャージのビセンテ・ロハス(バルディアーニCSF・7サベール)がメイン集団に戻る一方、後方からガンナやヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー、スーダル・クイックステップ)らが逃げ合流を目指してアタックする。ガンナが入り込めなかった一方で、ストゥイヴェンら5名集団は、約20kmをかけて先頭集団に合流。そのため先頭を行く逃げ集団は11名となり、さらに遅れて前日2位のトーン・アールツ(ベルギー、ロット・アンテルマルシェ)ら4名が加わったため、残り137km地点で15名によるエスケープとなった。

ハイスピードで進んだレースで、逃げに乗ることが出来た15名 photo:RCS Sport

プロトンはリーダーチームであるバーレーン・ヴィクトリアスが牽引した photo:CorVos

スタートから2時間が平均時速50kmにも迫るハイスピードで進み、成立した逃げにはグルパマFDJユナイテッドが3名を入れることに成功し、ウノエックス・モビリティとポルティ・ヴィジットマルもそれぞれ2名を送る。プロトンの牽引はバーレーン・ヴィクトリアスやヴィスマ・リースアバイクが担当。翌日が133kmに4,350mの獲得標高が詰め込まれた山岳、かつ山頂フィニッシュということもあってか、プロトンの牽引役が脚に力を込めることはなく、逃げとの差は今大会で最大となる12分差まで拡大した。

ポー平原の平坦路を真北に向かう間に動きは少なく、先頭15名はそのままこの日1つ目の4級山岳に突入する。しかし登坂距離2.4km、平均勾配5.5%の登りで仕掛ける選手は現れず、15名のなかで唯一ジロでのステージ優勝経験のあるアルベルト・ベッティオル(イタリア、XDSアスタナ)らは静かに頂上を通過。そして短い下りと平坦路を挟み、逃げは3級山岳ウンジャスカ(距離4.7km/平均7.1%)に突入した。

マッジョーレ湖に至った逃げ集団 photo:RCS Sport

フィニッシュ前に続く2つの山岳に入った逃げ集団 photo:RCS Sport

今年プロデビューした25歳、ジョシュ・ケンチ(ニュージーランド)で勝負したいグルパマFDJユナイテッドが登坂のペースを作り、逃げの人数は絞られていく。そして頂上まで残り2.5km地点でケンチが加速する。それにはベッティオルとストゥイヴェン、そして第8ステージで2位に入ったアンドレアス・レックネスン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)の3名が反応。その後、今度はレックネスンが仕掛け、ベッティオル以外を振り落とすことに成功した。

ヴェルバーニアはパートナーの故郷であり、トレーニングコースであったため地形を熟知していたとレース後に語ったベッティオルは、一時レックネスンと距離を広げられながらも、マイペース走法で徐々に迫っていく。そして大観衆がコース両端を埋めた最大勾配13%の区間に入ると、ベッティオルは一気に加速してレックネスンをキャッチ。一気に抜き去り、そのまま猛スピードで頂上を駆け抜けた。

3級山岳で仕掛け、単独先頭に立ったアンドレアス・レックネスン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) photo:CorVos

頂上手前でレックネスンを追い抜くアルベルト・ベッティオル(イタリア、XDSアスタナ) photo:CorVos

家族の前で自身2度目の区間優勝を飾ったアルベルト・ベッティオル(イタリア、XDSアスタナ) photo:CorVos

何度も走ったことのある下りコーナーを華麗にクリアしたベッティオルは、レックネスンとのタイム差を広げていく。そして危なげない走りでヴェルバーニアに引かれたフィニッシュラインを通過。胸の前で十字を切り、天を仰ぎ、両手を挙げて勝利を決めた。

「ラスト50kmの登り、そしてヴェルバーニアへの下りは何度も走ってきた僕のトレーニングコース。ここでどうしても勝ちたかった。ヴェルバーニアはガールフレンドとその家族が住んでいる、僕にとっての第二の故郷のような場所だからだ。今日は両親と兄弟もフィニッシュ地点に駆けつけてくれた。ジロがこの街にフィニッシュし、僕がここを走り、そして家族が来てくれるだけで特別なことだった。そんな中、勝利まで掴むことができたなんて信じられない」と語ったベッティオル。2021年大会に続くジロ通算2勝目は、2024年の途中から加入したXDSアスタナとしての初勝利となった。

今大会2度目の2位となったレックネスンは26秒遅れでフィニッシュ。3位はストゥイヴェンだった。

一方、マリアローザのアフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス)や、スタート前に体調不良が伝えられたヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)は13分6秒遅れでレースを終えた。そのため総合上位に変動はなく、実質休息日のような一日を経て、総合勢はフレッシュな状態で翌日の1級山岳ピラ(距離16.5km/平均7.1%)を駆け上がる山頂フィニッシュに臨む。

ヴェルバーニアが故郷のパートナーと勝利を喜ぶアルベルト・ベッティオル(イタリア、XDSアスタナ) photo:CorVos

チームに今大会2勝目をもたらしたアルベルト・ベッティオル(イタリア、XDSアスタナ) photo:CorVos

翌日の山岳ステージにマリアローザで臨むアフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos
ジロ・デ・イタリア2026第13ステージ結果
1位 アルベルト・ベッティオル(イタリア、XDSアスタナ) 3:51:33
2位 アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) +0:26
3位 ヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー、スーダル・クイックステップ) +0:44
4位 ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)
5位 マーク・ドノヴァン(イギリス、ピナレロQ36.5プロサイクリング)
6位 ジョシュ・ケンチ(ニュージーランド、グルパマFDJユナイテッド)
7位 ミッケル・ビョーグ(デンマーク、UAEチームエミレーツXRG) +1:33
8位 フランチェスコ・ブザット(イタリア、アルペシン・プレミアテック) +1:35
9位 マルクス・フールゴー(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)
10位 ディエゴ・セビーリャ(スペイン、ポルティ・ヴィジットマルタ)
マリアローザ(個人総合成績)
1位 アフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス) 52:15:17
2位 ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) +0:33
3位 テイメン・アレンスマン(オランダ、ネットカンパニー・イネオス) +2:03
4位 フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM) +2:30
5位 ベン・オコーナー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) +2:50
6位 ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +3:12
7位 マイケル・ストーラー(オーストラリア、チューダープロサイクリング) +3:34
8位 デレク・ジーウェスト(カナダ、リドル・トレック) +3:40
9位 ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +3:42
10位 クリス・ハーパー(オーストラリア、ピナレロQ36.5プロサイクリング) +4:15
マリアチクラミーノ(ポイント賞)
1位 ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ) 130pts
2位 ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、UAEチームエミレーツXRG) 119pts
3位 ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) 76pts
マリアアッズーラ(山岳賞)
1位 ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) 111pts
2位 ディエゴ・セビーリャ(スペイン、ポルティ・ヴィジットマルタ) 60pts
3位 フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンCMA CGM) 48pts
マリアビアンカ(ヤングライダー賞)
1位 アフォンソ・エウラリオ(ポルトガル、バーレーン・ヴィクトリアス) 52:15:17
2位 ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +3:42
3位 マルケル・ベロキ(スペイン、EFエデュケーション・イージーポスト) +4:20
チーム総合成績
1位 XDSアスタナ 156:58:38
2位 レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ +1:09
3位 ヴィスマ・リースアバイク +2:42
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, RCS Sport