フィジークが誇るハイエンドロードシューズ「VEGA CARBON」をテスト。優れたフィッティングがもたらす快適性とホールド力の高次元なバランスを、イタリアンブランドらしいエレガントなデザインで包み込んだ意欲作だ。

フィジーク VEGA CARBON(White/White) photo:Naoki Yasuoka
いま、ロードシューズ界は再び群雄割拠の時代を迎えている。この10年を振り返れば、プロレースの世界ではシマノのS-PHYREやスペシャライズドのS-WORKSが圧倒的なシェアを誇ってきた。しかし昨今は、新興ブランドの興盛も含め、各社が肩を並べる戦国時代と言っても過言ではない。
その中でも、とりわけイタリアンブランドが元気だ。タデイ・ポガチャルの快進撃を支えるDMT、リブランディングによって黄金期の勢いを取り戻しつつあるシディ、さらにはプロ選手や国内競輪選手からも絶大な支持を得るニンブル……。そんな百花繚乱のブランド群の中でも、常に革新的でスタイリッシュなプロダクトを提示し続けてきたのがフィジークだ。
「機材はライダーにフィットするものであるべき」というモットーを掲げ、サドル専業ブランドとして確固たる地位を築いたフィジークがシューズ界に進出したのは2010年のこと。処女作「R1」は、そのエレガントなデザインで当時のシューズ界に衝撃を与えた。以降、ニット素材の採用や独創的なベルクロ構造「POWERSTRAP」など、新技術を積極的に投入。デーヴィッド・ミラーやゲラント・トーマスといった、実力とスタイルを兼ね備えるトップ選手たちがこぞって愛用したことも、ブランドイメージを確固たるものにしてきた。
2025年5月末にデビューした「VEGA CARBON」は、長くラインナップの主役を担ってきた「Vento Stabilita」の後継となるハイエンドモデルだ。フィジークが信奉する「デザイン、快適性、パフォーマンス」という開発ポリシーのもと、ラスト(足形)から素材、構造に至るまで、文字通り何もかも新設計した意欲作である。

アッパー素材はエアロウィーブ・プロに切り替わった。緻密な織り目のコントロールで機能性を高めている photo:Naoki Yasuoka 
フルカーボン製のアウトソール。中央部分を絞り込んで土踏まずのフィット感を高めている photo:Naoki Yasuoka

テスト担当は、昨年フィジーク本社を訪ねてVEGAについて話を聞いたCW編集部の磯部。ホワイトカラーをチョイスしました photo:Naoki Yasuoka
昨年6月、僕はイタリアのフィジーク本社を訪ね、スタッフから直接開発秘話を聞くことができた。その熱量に触れた経験が、今回のテストへと繋がった。手元に届いた実物は、使って汚すのを躊躇してしまうほどに美しい。太陽に照らすとキラキラ輝く真っ白なアッパーと、緻密にコントロールされた織り目のテクスチャーも実にいい感じ。イタリアらしさ溢れるエレガントな佇まいは、数多あるシューズの中でも間違いなくトップクラスだ。
僕自身、フィジークのシューズを使うのは今回が初めて。これまでスペシャライズドやジロ、ラファのシューズを使ってきたが、それらに求め、気に入っていたのは全てフィット感の一点だった。細幅だけど、甲高で、少し外反母趾の僕の足とってはワイドサイズは要らないものの、凹凸の多い足を包み込む柔軟なフィット感は必要不可欠。その点で言うと、このVEGAは足を通した瞬間にとても良いシューズだということが直感できた。
全く新しい「エアロウィーブ・プロ」素材をベースに、シュータンなし、ミッドソールなしのソックス構造だから、誰がどう考えてもフィット感が高いのは想像付くものの、実際に履いてみるとその快適っぷりは予想以上。アッパーはもちろん、土踏まずのアーチサポートまで足にぴったりと寄り添ってくれるし、BOAダイヤルとワイヤーのルーティングが良く、強く締め込んでみても局所的な痛みが全くないのも二重丸。

ファーストライドから、とにかくフィッティングとホールド感のバランスが素晴らしいことに気づいた。通気性の良さも二重丸。 photo:Naoki Yasuoka

BOAダイヤルとワイヤーの取り回しも良い。局所的な痛みが出ることもなかった photo:Naoki Yasuoka 
タンを廃したソックス構造を採用している。伸びも良く、足入れも全く苦ではない photo:Naoki Yasuoka
フィットが良いことは、そのままペダリングの質の向上にも繋がる。土踏まず部分が細い「8」状のアウトソールも剛性たっぷりだが、指が収まるシューズ先端部分が広く作られているので、ここでストレスを逃せることに気づいた。同じソックス構造を採用するDMTと比較するとアッパーには程よい剛性感があって、特に織り密度の高いヒールカップ周辺のホールド感は、引き足を意識した場面でも極めて頼もしい。
もちろん誰しも足の形が違うから個人の感想に留まるものの、過去にフィッティングが合わず、ファーストライド後に何足か手放した自分に合うのだから、おおよその人が同じ感想を持つはず。
そして何より、実際にペダリングして驚いたのは通気性の良さだ。写真を見てもらえれば分かるとおり、特に前足部分はほぼ全面が編み密度の低いメッシュ構造になっていて、ライド中は、低速度でもシューズ内の熱気がその部分から逃げていくことが手に取るように分かる。温暖なスペイン取材で新品をおろし、4月も平均気温以上の暑い日を中心に乗ってみたところ、この効果は本当に素晴らしいものだった。ロードライドはもちろん、平均速度が低くなる長いヒルクライムでのアドバンテージは計り知れない。

ある程度硬さをもったアッパーだからホールド力も高い。引き足重視のペダリングでも違和感が全くない photo:Naoki Yasuoka
市場には「履けるものなら履いてみろ」と言わんばかりの超剛性主義なハイエンドシューズも存在するが、VEGAが目指す地点はそこではない。かといって、単にフィット感を求めた「足袋」のような柔らかさとも違う。パフォーマンスと、高いフィット感がもたらす快適性が、絶妙にバランスされていることが、このVEGA最大の魅力だ。
フィジーク VEGA CARBON
アッパー:AEROWEAVE PRO
クロージングシステム:Li2 デュアルBOAフィットシステム
ソール:VEGAフルカーボンアウトソール-stiffness index 10(ソールの剛性感 10/10)
サイズ:39-45(39から44はハーフサイズあり)
重量:239g(42サイズ)
カラー:新色Mint Green/Purple、Coal Black/Black、White/White、White/Yellow Fluo
価格:72,000円(税込)
text:So Isobe

いま、ロードシューズ界は再び群雄割拠の時代を迎えている。この10年を振り返れば、プロレースの世界ではシマノのS-PHYREやスペシャライズドのS-WORKSが圧倒的なシェアを誇ってきた。しかし昨今は、新興ブランドの興盛も含め、各社が肩を並べる戦国時代と言っても過言ではない。
その中でも、とりわけイタリアンブランドが元気だ。タデイ・ポガチャルの快進撃を支えるDMT、リブランディングによって黄金期の勢いを取り戻しつつあるシディ、さらにはプロ選手や国内競輪選手からも絶大な支持を得るニンブル……。そんな百花繚乱のブランド群の中でも、常に革新的でスタイリッシュなプロダクトを提示し続けてきたのがフィジークだ。
「機材はライダーにフィットするものであるべき」というモットーを掲げ、サドル専業ブランドとして確固たる地位を築いたフィジークがシューズ界に進出したのは2010年のこと。処女作「R1」は、そのエレガントなデザインで当時のシューズ界に衝撃を与えた。以降、ニット素材の採用や独創的なベルクロ構造「POWERSTRAP」など、新技術を積極的に投入。デーヴィッド・ミラーやゲラント・トーマスといった、実力とスタイルを兼ね備えるトップ選手たちがこぞって愛用したことも、ブランドイメージを確固たるものにしてきた。
2025年5月末にデビューした「VEGA CARBON」は、長くラインナップの主役を担ってきた「Vento Stabilita」の後継となるハイエンドモデルだ。フィジークが信奉する「デザイン、快適性、パフォーマンス」という開発ポリシーのもと、ラスト(足形)から素材、構造に至るまで、文字通り何もかも新設計した意欲作である。



昨年6月、僕はイタリアのフィジーク本社を訪ね、スタッフから直接開発秘話を聞くことができた。その熱量に触れた経験が、今回のテストへと繋がった。手元に届いた実物は、使って汚すのを躊躇してしまうほどに美しい。太陽に照らすとキラキラ輝く真っ白なアッパーと、緻密にコントロールされた織り目のテクスチャーも実にいい感じ。イタリアらしさ溢れるエレガントな佇まいは、数多あるシューズの中でも間違いなくトップクラスだ。
僕自身、フィジークのシューズを使うのは今回が初めて。これまでスペシャライズドやジロ、ラファのシューズを使ってきたが、それらに求め、気に入っていたのは全てフィット感の一点だった。細幅だけど、甲高で、少し外反母趾の僕の足とってはワイドサイズは要らないものの、凹凸の多い足を包み込む柔軟なフィット感は必要不可欠。その点で言うと、このVEGAは足を通した瞬間にとても良いシューズだということが直感できた。
全く新しい「エアロウィーブ・プロ」素材をベースに、シュータンなし、ミッドソールなしのソックス構造だから、誰がどう考えてもフィット感が高いのは想像付くものの、実際に履いてみるとその快適っぷりは予想以上。アッパーはもちろん、土踏まずのアーチサポートまで足にぴったりと寄り添ってくれるし、BOAダイヤルとワイヤーのルーティングが良く、強く締め込んでみても局所的な痛みが全くないのも二重丸。



フィットが良いことは、そのままペダリングの質の向上にも繋がる。土踏まず部分が細い「8」状のアウトソールも剛性たっぷりだが、指が収まるシューズ先端部分が広く作られているので、ここでストレスを逃せることに気づいた。同じソックス構造を採用するDMTと比較するとアッパーには程よい剛性感があって、特に織り密度の高いヒールカップ周辺のホールド感は、引き足を意識した場面でも極めて頼もしい。
もちろん誰しも足の形が違うから個人の感想に留まるものの、過去にフィッティングが合わず、ファーストライド後に何足か手放した自分に合うのだから、おおよその人が同じ感想を持つはず。
そして何より、実際にペダリングして驚いたのは通気性の良さだ。写真を見てもらえれば分かるとおり、特に前足部分はほぼ全面が編み密度の低いメッシュ構造になっていて、ライド中は、低速度でもシューズ内の熱気がその部分から逃げていくことが手に取るように分かる。温暖なスペイン取材で新品をおろし、4月も平均気温以上の暑い日を中心に乗ってみたところ、この効果は本当に素晴らしいものだった。ロードライドはもちろん、平均速度が低くなる長いヒルクライムでのアドバンテージは計り知れない。

市場には「履けるものなら履いてみろ」と言わんばかりの超剛性主義なハイエンドシューズも存在するが、VEGAが目指す地点はそこではない。かといって、単にフィット感を求めた「足袋」のような柔らかさとも違う。パフォーマンスと、高いフィット感がもたらす快適性が、絶妙にバランスされていることが、このVEGA最大の魅力だ。
フィジーク VEGA CARBON
アッパー:AEROWEAVE PRO
クロージングシステム:Li2 デュアルBOAフィットシステム
ソール:VEGAフルカーボンアウトソール-stiffness index 10(ソールの剛性感 10/10)
サイズ:39-45(39から44はハーフサイズあり)
重量:239g(42サイズ)
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text:So Isobe
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