春のクラシックシーズンのハイライトの1つであるパリ〜ルーベ。本日開催される「北の地獄」はファンデルプールが史上初の4連覇を狙い、ポガチャルはモニュメント全制覇が懸かる。30箇所の石畳セクターや有力選手たちをチェックしよう。

今年も30箇所の石畳セクターが選手たちを待ち受ける photo:CorVos
春のクラシックシーズンは大きく「北のクラシック」と「アルデンヌクラシック」の2つに分けられる。そのうち石畳を舞台とする北のクラシックを締めくくるパリ〜ルーベが、本日4月12日に開催される。別名「北の地獄」や「クラシックの女王」とも呼ばれ、かつてレキップ紙やツール・ド・フランスのディレクターを務めたジャック・ゴデ氏は「自転車競技、最後の狂気」と表現した。
その理由は、総距離258.3kmに対し、30セクター、総延長54.8kmに及ぶ石畳区間を進むから。全体の「5分の1」と示すと大したことないように感じるが、そのほとんどがコース後半に集中しており、特に第30から第26セクターまでの4つはほとんど舗装路を挟まず、立て続けに現れる。そこを平均時速47km/h近くの高速で駆け抜けるため、いくら近年著しい機材の進歩があっても、テクニックと正しいライン取りができなければ勝負に絡むことはできない。

パリ〜ルーベ2026 コースマップ image:A.S.O. 
30箇所の石畳(パヴェ)セクター image:A.S.O.
パヴェセクターの難易度は1つ星から5つ星までの星で表され、最高難易度である5つ星は3箇所。最初に登場する「No.19 アランベール(2.3km)」は残り95.3km地点から現れ、この1ヶ月間、ヤギの群れに石の間に生えた草を食べさせるなどして整備済み。2つ目の「No.11 モンサン・ぺヴェル」、そしてフィナーレに近い「No.4 カルフール・ド・ラルブル」という、握りこぶし大の石が不規則に敷き詰められた3区間で、集団の人数は絞り込まれることだろう。
レースにもう1つエッセンスを加える当日の天候は、晴れ時々曇り。雨はもちろん、強い風も吹かない予報で、泥まみれよりも土埃舞うルーベになりそうだ。またレース名は今年から、開催地であるフランス北部の地域圏名が合わさった「パリ〜ルーベ・オー・ド・フランス」が正式名称となる。
ポガチャル、ルーベ制覇でモニュメント完全制覇へ
今大会は自転車ロードレースの歴史に名を刻む可能性がある選手が2名いる。1人は、今年勝てば史上初となる4連覇を達成するマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック)。もう1人は、いままで3名しか成し遂げていない、モニュメント(5大クラシック)の全制覇がかかるタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)だ。

石畳を入念に試走するタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos
2026年シーズン、ここまで世界王者ポガチャルが出場したレースはわずか3つ。そのすべてで優勝しており、昨年のロード世界選手権以降、出場レースでの連勝も継続している。今年は念願のミラノ〜サンレモで初優勝を飾り、1シーズンでモニュメント全制覇という前代未聞の記録もかかっている。
これまで自転車ロードレースのセオリーで言えば、体重の軽いポガチャルにとって、石畳で暴れるバイクを抑え込むルーベは不利。それでも昨年、初出場ながらファンデルプールの加速に反応し、終盤に落車で遅れたものの、堂々の2位で優勝も不可能ではないことを示した。また脇を支える仲間にも、現グラベル世界王者のフロリアン・フェルミールス(ベルギー)を筆頭に、過去2位に入ったニルス・ポリッツ(ドイツ)、ミッケル・ビョーグ(デンマーク)などが揃い、チーム力も世界トップレベルだ。
ファンデルプールは北の地獄で史上初の4連覇に挑む

記者会見に出席したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック) photo:CorVos
一方、3連覇者として世界王者を迎え撃つファンデルプールは、最多タイ記録にも並ぶ4勝目を目指す。石畳を駆ける純粋なバイクコントロール力で言えば、明らかにポガチャルよりは上。またチームには2023年、24年と2位に入っているスプリンターのヤスペル・フィリプセン(ベルギー)もおり、優勝候補の3番手に挙がっても良いほどの存在だ。総合的に見てもファンデルプールが有利と言えるが、ポガチャルとの対戦成績で言えばサンレモと1週間前のロンド・ファン・フラーンデレンで連敗中だ。
そんな2名の記録達成を阻もうとするのが、毎年優勝候補に挙がりながらも、いまだ優勝できていないワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)だ。最高位は2022年の2位で、23年は3位、昨年は4位。今シーズンのモニュメントはミラノ〜サンレモで3位、ロンドで4位。悪路でのテクニックでは当然ポガチャルより上で、単純なスプリント力ではファンデルプールを上回るため、展開が上手くハマれば初優勝も絵空事ではない。

試走の休憩中にハンドルに取り付けられたミルクピッチャーでラテを作るワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:CorVos 
ドワルス・ドール・フラーンデレンで劇的勝利したガンナ photo:CorVos
2年連続3位で表彰台に立つマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)は小集団によるスプリントに持ち込みたい。今年2月の落車で鎖骨と手首を骨折したものの、復帰後はミラノ〜サンレモで4位、ロンドで5位と好調だが、勝つにはそれ以上のコンディションが求められる。似た脚質ではアルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット・アンテルマルシェ)やビニヤム・ギルマイ(エリトリア、NSNサイクリングチーム)も注目すべき選手だろう。
ファンデルプールとポガチャルの他に、独走に持ち込めるとすればフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)がいる。ドワルス・ドール・フラーンデレンでは先行するファンアールトをフィニッシュ手前で追い抜き、劇的勝利を挙げるなど、その勢いをパリ〜ルーベという大舞台に繋げられるか。

春のクラシックシーズンは大きく「北のクラシック」と「アルデンヌクラシック」の2つに分けられる。そのうち石畳を舞台とする北のクラシックを締めくくるパリ〜ルーベが、本日4月12日に開催される。別名「北の地獄」や「クラシックの女王」とも呼ばれ、かつてレキップ紙やツール・ド・フランスのディレクターを務めたジャック・ゴデ氏は「自転車競技、最後の狂気」と表現した。
その理由は、総距離258.3kmに対し、30セクター、総延長54.8kmに及ぶ石畳区間を進むから。全体の「5分の1」と示すと大したことないように感じるが、そのほとんどがコース後半に集中しており、特に第30から第26セクターまでの4つはほとんど舗装路を挟まず、立て続けに現れる。そこを平均時速47km/h近くの高速で駆け抜けるため、いくら近年著しい機材の進歩があっても、テクニックと正しいライン取りができなければ勝負に絡むことはできない。


パヴェセクターの難易度は1つ星から5つ星までの星で表され、最高難易度である5つ星は3箇所。最初に登場する「No.19 アランベール(2.3km)」は残り95.3km地点から現れ、この1ヶ月間、ヤギの群れに石の間に生えた草を食べさせるなどして整備済み。2つ目の「No.11 モンサン・ぺヴェル」、そしてフィナーレに近い「No.4 カルフール・ド・ラルブル」という、握りこぶし大の石が不規則に敷き詰められた3区間で、集団の人数は絞り込まれることだろう。
レースにもう1つエッセンスを加える当日の天候は、晴れ時々曇り。雨はもちろん、強い風も吹かない予報で、泥まみれよりも土埃舞うルーベになりそうだ。またレース名は今年から、開催地であるフランス北部の地域圏名が合わさった「パリ〜ルーベ・オー・ド・フランス」が正式名称となる。
ポガチャル、ルーベ制覇でモニュメント完全制覇へ
今大会は自転車ロードレースの歴史に名を刻む可能性がある選手が2名いる。1人は、今年勝てば史上初となる4連覇を達成するマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック)。もう1人は、いままで3名しか成し遂げていない、モニュメント(5大クラシック)の全制覇がかかるタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)だ。

2026年シーズン、ここまで世界王者ポガチャルが出場したレースはわずか3つ。そのすべてで優勝しており、昨年のロード世界選手権以降、出場レースでの連勝も継続している。今年は念願のミラノ〜サンレモで初優勝を飾り、1シーズンでモニュメント全制覇という前代未聞の記録もかかっている。
これまで自転車ロードレースのセオリーで言えば、体重の軽いポガチャルにとって、石畳で暴れるバイクを抑え込むルーベは不利。それでも昨年、初出場ながらファンデルプールの加速に反応し、終盤に落車で遅れたものの、堂々の2位で優勝も不可能ではないことを示した。また脇を支える仲間にも、現グラベル世界王者のフロリアン・フェルミールス(ベルギー)を筆頭に、過去2位に入ったニルス・ポリッツ(ドイツ)、ミッケル・ビョーグ(デンマーク)などが揃い、チーム力も世界トップレベルだ。
ファンデルプールは北の地獄で史上初の4連覇に挑む

一方、3連覇者として世界王者を迎え撃つファンデルプールは、最多タイ記録にも並ぶ4勝目を目指す。石畳を駆ける純粋なバイクコントロール力で言えば、明らかにポガチャルよりは上。またチームには2023年、24年と2位に入っているスプリンターのヤスペル・フィリプセン(ベルギー)もおり、優勝候補の3番手に挙がっても良いほどの存在だ。総合的に見てもファンデルプールが有利と言えるが、ポガチャルとの対戦成績で言えばサンレモと1週間前のロンド・ファン・フラーンデレンで連敗中だ。
そんな2名の記録達成を阻もうとするのが、毎年優勝候補に挙がりながらも、いまだ優勝できていないワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)だ。最高位は2022年の2位で、23年は3位、昨年は4位。今シーズンのモニュメントはミラノ〜サンレモで3位、ロンドで4位。悪路でのテクニックでは当然ポガチャルより上で、単純なスプリント力ではファンデルプールを上回るため、展開が上手くハマれば初優勝も絵空事ではない。



2年連続3位で表彰台に立つマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)は小集団によるスプリントに持ち込みたい。今年2月の落車で鎖骨と手首を骨折したものの、復帰後はミラノ〜サンレモで4位、ロンドで5位と好調だが、勝つにはそれ以上のコンディションが求められる。似た脚質ではアルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット・アンテルマルシェ)やビニヤム・ギルマイ(エリトリア、NSNサイクリングチーム)も注目すべき選手だろう。
ファンデルプールとポガチャルの他に、独走に持ち込めるとすればフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)がいる。ドワルス・ドール・フラーンデレンでは先行するファンアールトをフィニッシュ手前で追い抜き、劇的勝利を挙げるなど、その勢いをパリ〜ルーベという大舞台に繋げられるか。
パリ〜ルーベ歴代優勝者
| 2025年 | マチュー・ファンデルプール(オランダ) |
| 2024年 | マチュー・ファンデルプール(オランダ) |
| 2023年 | マチュー・ファンデルプール(オランダ) |
| 2022年 | ディラン・ファンバーレ(オランダ) |
| 2021年 | ソンニ・コルブレッリ(イタリア) |
| 2020年 | 中止 |
| 2019年 | フィリップ・ジルベール(ベルギー) |
| 2018年 | ペテル・サガン(スロバキア) |
| 2017年 | グレッグ・ファンアーヴェルマート(ベルギー) |
| 2016年 | マシュー・ヘイマン(オーストラリア) |
| 2015年 | ジョン・デゲンコルプ(ドイツ) |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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