本日、4月5日に行われる「クラシックの王様」ことロンド・ファン・フラーンデレン。連覇を狙うポガチャルとファンデルプールの戦いに、急遽出場を表明した母国ベルギーのエヴェネプールが挑む。急坂オウデ・クワレモントなど、コースと共に有力選手たちを紹介する。



2025年大会で、パテルベルグで加速したマチュー・ファンデルプール(オランダ) photo:CorVos

ロンド・ファン・フラーンデレンの舞台であるベルギーが、いま例年以上にこのレースに注目している。それは、このクラシックの王様で2017年以来となるベルギー人優勝者が誕生するかもしれないからだ。そんな母国の期待を一身に背負うのは、パリ五輪2冠かつ現TT世界王者のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)。地元の熱狂とともに、レース展開も熱戦必至の一日が本日4月5日にやってくる。

ロンド・ファン・フラーンデレンは、モニュメントと呼ばれる世界5大クラシックのなかでもひときわ大きな存在感を放つワンデーレース。初開催は1913年と5大モニュメントのなかでは最も新しいが、今年で110回を数える歴史ある一戦だ。

“王様”たる所以は、そのコースの難易度にある。今年は昨年よりも距離が約10km伸びた278.2kmで、獲得標高差も約200m増えた約2,200m。登坂距離そのものは長くないものの、今年はベルギー第2の都市アントワープを出発し、フィニッシュ地点のオーデナールデまで、16の急坂と6つの平坦石畳区間が待ち受ける。

ロンド・ファン・フラーンデレン2026コースマップ&プロフィール image:Ronde van Vlaanderen

レースが動くと予想されるのは、2度登場するパテルベルグと3度登坂するオウデ・クワレモント。また、最大勾配20.8%の激坂コッペンベルグも依然として重要なポイントとなる。昨年はタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)が3度目のオウデ・クワレモントで仕掛け、単独先頭のままパテルベルグをクリアし、独走フィニッシュを決めている。

当日の天気は、午前中を中心ににわか雨がぱらつく不安定な空模様。しかし、レース後半からフィニッシュにかけては天候が回復し、晴れ間がのぞく見込みだ。



盤石のポガチャルに挑むファンデルプールたち

連覇狙うタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

優勝した2023年、25年ともに最後のオウデ・クワレモントで仕掛け、いずれも独走勝利を飾っているポガチャルが優勝候補の筆頭に挙がる。なぜならポガチャルは今年、初戦のストラーデビアンケで79kmの独走勝利を飾り、ミラノ〜サンレモでも悲願の初優勝を達成。これ以上ないコンディションで、3度目の優勝を狙うからだ。

不安要素をあえて挙げるのであれば、重要なアシストであるティム・ウェレンス(ベルギー)とジョナタン・ナルバエス(エクアドル)が共に怪我でいないこと。その影響で例年よりも早い段階で援護を失い、最後のオウデ・クワレモントを待たずに仕掛ける展開も考えられる。

一足先に3度目の優勝を果たし、対抗馬となるのがマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック)だ。ミラノ〜サンレモでは落車して8位だったが、手の怪我を抱えながら臨んだ直後のE3サクソ・クラシックでは42kmの独走勝利。万全とは言い切れないものの、その状態がどこまで仕上がっているかは注目点となる。ただ、丘で繰り出されるポガチャルの鋭いアタックに対応するだけでは勝てないことは、本人もわかっているはずだ。

E3サクソ・クラシックを制し、好調のマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック) photo:CorVos

ロンド初参戦となるレムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

3人目の有力選手にワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)を挙げたいところだが、より注目度が高いのはエヴェネプールだ。これまで数年間にわたり出場を否定しつづけ、スーダル・クイックステップ時代は元代表のパトリック・ルフェーブル氏の出場要請も「時期尚早」と断り続けていたと言われている。しかし4月1日に動画と共に出場を表明し、実は100日以上前(昨年の12月末)から極秘に準備を進めてきた。

初挑戦で勝てるほど、ロンド特有の荒れた石畳の急坂は容易ではない。それは初参戦で4位に入ったポガチャルが証明済み。しかし機材の進化なども相まって、石畳クラシックがもはや重量級クラシックレーサーだけのものではなくなっているのも明らか。パリ五輪でロードとタイムトライアルを制したベルギーのスーパースターが、初のロンドでどんな走りを見せるのだろうか。

今大会で勝負できる手札が一番多いのはヴィスマ・リースアバイクだろう。2020年に2位に入ったエースのファンアールトはもちろん、長期離脱から復帰したクリストフ・ラポルト(フランス)はイン・フランドルフィールズで3位と好調。可能性は高くないものの、集団スプリントになれば、若手随一のスピードを誇るマシュー・ブレナン(イギリス)の存在も大きくなる。

ここ2年は4位に甘んじているワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

昨年2位のマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)は、2月の骨折から復帰してミラノ〜サンレモ4位と復調しているが、体調不良明けのためコンディションは不明。そのほかでは、アルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット・アンテルマルシェ)やポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)といったスプリント力のある選手たちも揃い、2021年覇者カスパー・アスグリーン(デンマーク)はEFエデュケーション・イージーポストのエースを務める。



女子はコペッキーにフェランプレヴォやフォレリングが挑む

ミラノ〜サンレモを制したロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム) photo:CorVos

2025年はロッテ・コペッキー(ベルギー、SDワークス・プロタイム)がアルカンシエルを着て自身3度目の制覇を達成した女子。注目はコペッキーはもちろん、2024年覇者エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、UAEチームADQ)と、ポーリーヌ・フェランプレヴォ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク)だ。チームメイトのマリアンヌ・フォス(オランダ)は不出場だが、元マウンテンバイクの絶対王者フェランプレヴォは有力候補の1人。もちろん、初優勝を狙うデミ・フォレリング(オランダ、FDJユナイテッド・スエズ)も注目される。
ロンド・ファン・フラーンデレン歴代優勝者
2025年 タデイ・ポガチャル(スロベニア)
2024年 マチュー・ファンデルプール(オランダ)
2023年 タデイ・ポガチャル(スロベニア)
2022年 マチュー・ファンデルプール(オランダ)
2021年 カスパー・アスグリーン(デンマーク)
2020年 マチュー・ファンデルプール(オランダ)
2019年 アルベルト・ベッティオル(イタリア)
2018年 ニキ・テルプストラ(オランダ)
2017年 フィリップ・ジルベール(ベルギー)
2016年 ペテル・サガン(スロバキア)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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