フランスの自転車ブランド「ルック」の日本における販売体制が刷新された。新たに「ルック・ジャパン」として独立した組織を立ち上げ、代表にはルック一筋30年以上のキャリアを持つ岡部氏が就任。ダイアテックが広報・物流面でバックアップする新体制のもと、日本市場でのブランド強化をあらためて目指していく。

ルック・ジャパンを率いる岡部秀克氏(右)と、アジア地域セールスマネージャーのパスカル・ナヴァロ氏(左)
自転車好きであれば、ルックというブランドの名前に聞き覚えがあるはずだ。フランス・ブルゴーニュ地方ヌヴェールに本拠を置くこのブランドは、レースの現場でバイクを鍛え上げアスリートから高い評価を得てきた。現在はコフィディスをサポートし、世界最高峰のレースへと出場している。
このルックの日本展開を長年支えてきた人物が、新組織「ルック・ジャパン」代表に就任した岡部氏だ。岡部氏は1993年よりルックの担当者として国内でのプロモーションや販売に携わってきた。30年以上にわたってルックと歩んできたエキスパートが、今回発足したルック・ジャパンの代表として国内の中心人物としてブランドを率いていく。

ルックに携わり30年以上のエキスパートである岡部氏が新体制も率いる
今回の体制変更で注目したいのは、数多くのブランドを扱う代理店のダイアテックが物流・広報支援という形でバックアップする点だ。ブランドの顔として岡部氏の経験と知見が前面に出つつ、サポート体制が整うことで、これまで以上に盤石の体制で日本での展開を行う。
メディアが集まった体制発表会には、ルックのアジア地域担当セールスマネージャーのパスカル・ナヴァロ氏も来日。改めてルックというブランドの説明を行い、彼らのアイデンティティを主張した。

ナヴァロ氏が歴史と新モデルを改めて紹介した photo:Makoto AYANO
ナヴァロ氏が強調したのは、ルックはエンジニアリングカンパニーで、イノベーションを起こしてきた歴史をもつことだ。その代表例はクリップレスペダルの発明だ。スキービンディングの技術をそのままペダルに応用し、ストラップなしでシューズとペダルを固定するシステムをルックが1984年に初めて市場に投入した。シマノをはじめ多くのメーカーが追随したが、その起点はルックにある。
翌1985年にはベルナール・イノーがそのペダルを使ってツール・ド・フランスを制覇。さらにグレッグ・レモンがルック製カーボンフレーム「KG86」で同大会を制するなど、プロレースの最前線と深く結びついた歴史を歩んできた。その系譜はクリップレスペダルはKEOシリーズ、フレームは795 Blade RSとして現在も息づいている。

ルック 795 Blade RS(KG Edition) (c)LOOK

ルック 795 Blade RS(Ciel du Nord) (c)LOOK
今回の発表では、ブランドの歴史的な勝利を起点にした限定カラーモデルが2種類紹介された。
ひとつは「KG86」オマージュモデルだ。1986年にグレッグ・レモンがツール・ド・フランスを制した際のバイク「KG86」のカラーグラフィックを、現代のフラッグシップ「795 Blade RS」フレームに再現したもの。40年の時を経て、当時のオリジナルと同じ配色を現行モデルで蘇らせるというアプローチは、ルックがそのレースヒストリーをいかに誇りにしているかを体現している。
もうひとつはローラン・ジャラベールの1992年のツールのステージ初勝利を記念したモデルだ。石畳を走るこのステージは、スタート時は青空だったが、フィニッシュ時には荒天に変わっていたという様子をフレームに落とし込まれている。こちらも795 Blade RSをベースとした限定仕様で、フレームセットとしての販売も用意される。

785 Huez RSのモデルチェンジがアナウンスされた
また、今回の発表会では新モデルとなる785 Huez RSの第二世代も登場した。初代はリムブレーキとディスクブレーキが混在する過渡期のモデルであったため、ジオメトリーの変更が限定的だったが、新世代ではディスクブレーキへ完全移行。重心位置を下げ、32Cワイドタイヤやワイドリムにも対応した現代的なスタックへと刷新されている。
コンセプトは一貫して「軽さと下りの安定性の両立」だ。アルプ・デュエズを拠点に開発されたこのバイクは、ツール・ド・フランスのクイーンステージとして知られる激坂と、その後に控える過酷なダウンヒルの両方を想定して設計されている。

自然な色味で彩られたMist Verdeカラー 
カーボン地も活かされた塗装が行われていた
岡部氏が「上りがあれば必ず下りがある」と表現した通り、軽くするためにフォークブレードを必要以上に細くして剛性を落とすという手法は取らず、走りの質を損なわない範囲で1グラムを削るという姿勢が貫かれている。フレーム重量はSサイズでカタログ値830g、フロントフォークが360g。
ヘッドシステムはフラッグシップ「795 Blade RS」と共通の構造を採用し、LOOKの純正コンボシステムへの換装でフル内装仕様にも対応できるなど、拡張性の高さも特徴だ。カラーラインアップは「Mist Verde」と「Raw Carbon / Chrome」の2種類。サイクルモード東京に試乗車を準備中とのことだ。
そんなルックが大切にするのは「自国生産へのこだわり」「研究開発(R&D)」「パフォーマンス」の3つだ。特にペダルは今でもフランスで製造しており、現行のペダルラインナップの中核をなす「KEOシリーズ」もフランスから日本に届けられている。

「膝に優しい」ペダルとKEOシリーズを評価する佐野淳哉さん

素材を一新し、音なりなどを抑制した新しいGRIP COMPOUNDクリートが登場
ダイアテックのアンバサダーとして発表会に参加した佐野淳哉氏も全日本選手権で優勝した時はルックのペダルを使用していたという。「ルックのペダルは、踏み込んだ時に体のストレスになる感覚が少なく、ふわっとした踏み心地が膝に優しかった」と使用感を語った。
ペダル関連では新しいクリートが注目を集めた。クリート素材を全体的に見直し、シューズのソールに対して滑りをよくするとともに、柔軟性を持たせることでペダリング時の異音を抑制している。ソフト素材の剥離耐性も向上しており、長期使用でのコンディション維持にも寄与するという。
パスカル氏はプレゼンテーションの締めくくりに、日本は大事な存在と主張した。「ルックはフランスの小さな技術系企業で、コミュニケーションにもっと力を入れる必要があった」とも率直に語った。技術力と製品への自信は揺るぎないが、それを世界に伝える発信力を強化しているという。そのブランドの姿勢と新たな体制によって、ルックと日本のライダーの距離はさらに近づくことになるだろう。

国旗モチーフの限定モデルで、世界で二番目に販売されたという日の丸エディション

ルック・ジャパンの岡部代表の個人コレクションから展示が行われた 
ルックの名車が並べられた

ルックの歴史を感じるジャージも展示された 
ツール・ド・フランス公式のペダルもラインアップされていた
Report:Gakuto Fujiwara

自転車好きであれば、ルックというブランドの名前に聞き覚えがあるはずだ。フランス・ブルゴーニュ地方ヌヴェールに本拠を置くこのブランドは、レースの現場でバイクを鍛え上げアスリートから高い評価を得てきた。現在はコフィディスをサポートし、世界最高峰のレースへと出場している。
このルックの日本展開を長年支えてきた人物が、新組織「ルック・ジャパン」代表に就任した岡部氏だ。岡部氏は1993年よりルックの担当者として国内でのプロモーションや販売に携わってきた。30年以上にわたってルックと歩んできたエキスパートが、今回発足したルック・ジャパンの代表として国内の中心人物としてブランドを率いていく。

今回の体制変更で注目したいのは、数多くのブランドを扱う代理店のダイアテックが物流・広報支援という形でバックアップする点だ。ブランドの顔として岡部氏の経験と知見が前面に出つつ、サポート体制が整うことで、これまで以上に盤石の体制で日本での展開を行う。
メディアが集まった体制発表会には、ルックのアジア地域担当セールスマネージャーのパスカル・ナヴァロ氏も来日。改めてルックというブランドの説明を行い、彼らのアイデンティティを主張した。

ナヴァロ氏が強調したのは、ルックはエンジニアリングカンパニーで、イノベーションを起こしてきた歴史をもつことだ。その代表例はクリップレスペダルの発明だ。スキービンディングの技術をそのままペダルに応用し、ストラップなしでシューズとペダルを固定するシステムをルックが1984年に初めて市場に投入した。シマノをはじめ多くのメーカーが追随したが、その起点はルックにある。
翌1985年にはベルナール・イノーがそのペダルを使ってツール・ド・フランスを制覇。さらにグレッグ・レモンがルック製カーボンフレーム「KG86」で同大会を制するなど、プロレースの最前線と深く結びついた歴史を歩んできた。その系譜はクリップレスペダルはKEOシリーズ、フレームは795 Blade RSとして現在も息づいている。


今回の発表では、ブランドの歴史的な勝利を起点にした限定カラーモデルが2種類紹介された。
ひとつは「KG86」オマージュモデルだ。1986年にグレッグ・レモンがツール・ド・フランスを制した際のバイク「KG86」のカラーグラフィックを、現代のフラッグシップ「795 Blade RS」フレームに再現したもの。40年の時を経て、当時のオリジナルと同じ配色を現行モデルで蘇らせるというアプローチは、ルックがそのレースヒストリーをいかに誇りにしているかを体現している。
もうひとつはローラン・ジャラベールの1992年のツールのステージ初勝利を記念したモデルだ。石畳を走るこのステージは、スタート時は青空だったが、フィニッシュ時には荒天に変わっていたという様子をフレームに落とし込まれている。こちらも795 Blade RSをベースとした限定仕様で、フレームセットとしての販売も用意される。

また、今回の発表会では新モデルとなる785 Huez RSの第二世代も登場した。初代はリムブレーキとディスクブレーキが混在する過渡期のモデルであったため、ジオメトリーの変更が限定的だったが、新世代ではディスクブレーキへ完全移行。重心位置を下げ、32Cワイドタイヤやワイドリムにも対応した現代的なスタックへと刷新されている。
コンセプトは一貫して「軽さと下りの安定性の両立」だ。アルプ・デュエズを拠点に開発されたこのバイクは、ツール・ド・フランスのクイーンステージとして知られる激坂と、その後に控える過酷なダウンヒルの両方を想定して設計されている。


岡部氏が「上りがあれば必ず下りがある」と表現した通り、軽くするためにフォークブレードを必要以上に細くして剛性を落とすという手法は取らず、走りの質を損なわない範囲で1グラムを削るという姿勢が貫かれている。フレーム重量はSサイズでカタログ値830g、フロントフォークが360g。
ヘッドシステムはフラッグシップ「795 Blade RS」と共通の構造を採用し、LOOKの純正コンボシステムへの換装でフル内装仕様にも対応できるなど、拡張性の高さも特徴だ。カラーラインアップは「Mist Verde」と「Raw Carbon / Chrome」の2種類。サイクルモード東京に試乗車を準備中とのことだ。
そんなルックが大切にするのは「自国生産へのこだわり」「研究開発(R&D)」「パフォーマンス」の3つだ。特にペダルは今でもフランスで製造しており、現行のペダルラインナップの中核をなす「KEOシリーズ」もフランスから日本に届けられている。


ダイアテックのアンバサダーとして発表会に参加した佐野淳哉氏も全日本選手権で優勝した時はルックのペダルを使用していたという。「ルックのペダルは、踏み込んだ時に体のストレスになる感覚が少なく、ふわっとした踏み心地が膝に優しかった」と使用感を語った。
ペダル関連では新しいクリートが注目を集めた。クリート素材を全体的に見直し、シューズのソールに対して滑りをよくするとともに、柔軟性を持たせることでペダリング時の異音を抑制している。ソフト素材の剥離耐性も向上しており、長期使用でのコンディション維持にも寄与するという。
パスカル氏はプレゼンテーションの締めくくりに、日本は大事な存在と主張した。「ルックはフランスの小さな技術系企業で、コミュニケーションにもっと力を入れる必要があった」とも率直に語った。技術力と製品への自信は揺るぎないが、それを世界に伝える発信力を強化しているという。そのブランドの姿勢と新たな体制によって、ルックと日本のライダーの距離はさらに近づくことになるだろう。





Report:Gakuto Fujiwara
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