40歳のレジェンド・山本幸平が世界最高峰のMTBステージレース、ケープエピックに挑戦した。チームメイトのリアッド・ハキムとペアで、南アフリカの大地を駆ける8日間の過酷なレースに挑んだ。

ステージ2はスタート直後から約30kmに及ぶ登りが続く非常に厳しいコース ©RainedUpon Media
Absa Cape Epic 2026は、総走行距離707km・獲得標高15,900mにおよぶ8日間のステージレースだ。
過去に全日本選手権で12度の優勝、アジア選手権では10度優勝した経験を持つ山本幸平は、自身が代表を務めるAsia Union TCS Racing Teamの選手として育ったリアッド・ハキム(シンガポール)とペアでTeam Titan FXを結成、世界のトッププロが競うエリートクラスに次ぐOpen Menクラスでケープエピックに参戦した。

山本幸平(右)とリアッド・ハキム(シンガポール) ©RainedUpon Media
以下、現地でレースに帯同したスタッフの高畠和明氏によるレポートでお届けする。
開幕前日、山本は抱負をこう語った。「 今大会における目標は非常に明確。まず何よりも完走すること。そしてその上で、トップ10入りを目指すこと。言葉にするとシンプルですが、ケープエピックは世界でも屈指の過酷さを誇るレース。8日間にわたり、距離、登り、テクニカルなコース、疲労、そしてプレッシャーとの戦いが続きます」。
Prologue プロローグで見事2位発進

プロローグに臨む山本幸平とリアッド・ハキム(Team Titan FX) ©RainedUpon Media
Meerendalで行われたこの日はプロローグ。昼には気温が36度まで上昇。時間が遅くなるほど厳しいコンディションとなり、比較的早いスタートの選手に有利な状況だった。
この日、山本幸平とリアッド・ハキムによるTeam Titan FXは、出走チームの中でもかなり後半のスタートだったが、20km・獲得標高650m のコースを高いレベルでまとめ上げ、一時はトップに立つ走りを見せた。実際にその後もしばらく首位の座を守り続けたが、最後はASAP Cycling が 0:47:25.2という圧巻のタイムを叩き出し、最終的に2位となった。

プロローグを走る山本幸平とリアッド・ハキム(Team Titan FX) ©RainedUpon Media
今大会の目標は、まず完走すること、そして トップ10入りを狙うこと。その中で開幕ステージから表彰台圏内に入る形でスタートできたことは今後に向けて大きな自信につながった。レース後、2人は次のようにレースを振り返った。

2位のタイムでフィニッシュするプロローグを走る山本幸平とリアッド・ハキム(Team Titan FX) ©RainedUpon Media
山本「とてもスムーズに走れた。すごく楽しめたライドでした」
ハキム「幸平さんとはペースが非常によく合っていた。今日はほぼ最初から最後までフルガスでした」
Stage1 ステージ5位&総合4位につける好走

第1ステージ前夜はテントでの宿泊となり、十分な睡眠が取れないなかで迎えた朝6時30分スタート ©RainedUpon Media
プロローグに続くStage 1は、今大会で初めて本格的に脚力と持久力、そしてレースマネジメント力が問われる一日となった。90km・獲得標高2,150mという厳しい設定に加え、前夜はテントでの宿泊となり、十分な睡眠が取れないなかで迎えた朝6時30分スタート。決して理想的なコンディションではなかった。

Stage1をリードするリアッド・ハキム「最初から最後までフルガスだった」 ©RainedUpon Media
それでも山本とハキムはスタート直後から先頭集団でレースを進め、世界トップクラスのチーム相手に堂々と渡り合った。ステージを通して高い強度で走り続け、苦しい終盤までしっかり粘り切った。結果は5位。それでも十分に価値のある内容だった。そして総合は4位に。
山本「少なくとも4位には入ったと思っていたので、5位と聞いて少し驚いた。でも十分満足できる一日」
ハキム「最初から最後までフルガスでした。最後の10kmはかなりきつかった」
Stage2 トラブルを乗り越え総合5位、トップ10を維持

stage2 好位置でレースを進める山本幸平とリアッド・ハキム(Team Titan FX) ©RainedUpon Media
この日のコースはスタート直後から約30kmに及ぶ登りが続く非常に厳しいコースで、序盤から選手たちの脚力とペース配分が試されるステージとなった。
山本とハキムは厳しい登りにも対応しながら前半をしっかりとまとめ、好位置でレースを進めていた。しかし下り区間でハキムに前輪のパンクが発生。ここで約6〜7分を失うこととなり、レースは一転して厳しい展開となった。

パンクからのリカバリーを試みる山本幸平とリアッド・ハキム(Team Titan FX) ©RainedUpon Media
それでも後半にかけて強いリカバリーを見せ、失った時間を少しでも取り戻すべく粘り強く走り切った。この日は前日までと比べると気温はやや落ち着いていたものの、コースの厳しさは変わらずタフな一日となった。

厳しかったステージを終えて安堵のフィニッシュ ©RainedUpon Media
山本「日に日に調子が上がってきていると感じています。最後もまだ余力がありました」
ハキム「パンクでタイムは失いましたが、幸平さんが引っ張ってくれて本当に助かりました。これから数日で取り返していきたい」
Stage 3 トラブルに見舞われるも逆襲へ

Stage3はフラット区間が多くハイスピードな展開に ©RainedUpon Media
大きな試練の一日となった。モンタギューからグレイトンへ向かう 140km のこのステージは、これまでより登りは少ないものの、フラット区間が多くハイスピードな展開となった。
山本とハキムは序盤から先頭集団でレースを進め、非常に良い流れを作っていた。レース中盤には総合順位を4位まで押し上げる場面もあり、上位争いにしっかりと絡んでいた。
しかし、その流れは思わぬ形で断たれる。

リムに亀裂が入りチューブを交換してもすぐに破れてしまう深刻なトラブル ©RainedUpon Media
中盤付近でハキムが高速走行中に見えにくい岩にヒットし、再びパンク。リムに亀裂が入っており、チューブを交換してもすぐに破れてしまう深刻なトラブルとなった。
限られた状況の中、二人はジェルのパッケージを使った応急処置で何とか走行を続け、約 8km先の給水ポイントまでたどり着く。そこでようやくホイール交換が可能となったが、この対応により大きなタイムロスを余儀なくされた。

連日のトラブルで順位を落としたTeam Titan FXだが、まだ希望は捨てていない ©RainedUpon Media
最終的に5:47:12.6 でフィニッシュし、ステージ72位。総合順位は 19位 となり、トップ10までは約20分差、トップまでは 1時間13分差 となってしまった。結果だけを見ると厳しい一日となったが、両選手とも前向きな姿勢を崩していない。
山本「総合を充分狙えるところまでも来ていたので、連日のトラブルは残念です。ここから状況を見直して、残り4ステージでどう戦うか考えていきます」
ハキム「昨日と今日のトラブルでもリタイアにならなかったのは大きい。まだレースには残れているし、ここから巻き返すチャンスはあります。まずはトップ10との差20分を取り返し、再び前線で戦える位置に戻したい。そして可能であれば、もう一度表彰台を狙いたい」
序盤こそ順調に見えた滑り出しだったが、連日のトラブルで順位を落としたTeam Titan FX。レースは4日間を終え、後編戦へと向かう。トップと20分差は大きいが、諦めるわけにはいかない。
第4ステージから第7ステージの模様は次回レポートに続きます。
text:Kazuaki Takabatake
photo:RainedUpon Media

Absa Cape Epic 2026は、総走行距離707km・獲得標高15,900mにおよぶ8日間のステージレースだ。
過去に全日本選手権で12度の優勝、アジア選手権では10度優勝した経験を持つ山本幸平は、自身が代表を務めるAsia Union TCS Racing Teamの選手として育ったリアッド・ハキム(シンガポール)とペアでTeam Titan FXを結成、世界のトッププロが競うエリートクラスに次ぐOpen Menクラスでケープエピックに参戦した。

以下、現地でレースに帯同したスタッフの高畠和明氏によるレポートでお届けする。
開幕前日、山本は抱負をこう語った。「 今大会における目標は非常に明確。まず何よりも完走すること。そしてその上で、トップ10入りを目指すこと。言葉にするとシンプルですが、ケープエピックは世界でも屈指の過酷さを誇るレース。8日間にわたり、距離、登り、テクニカルなコース、疲労、そしてプレッシャーとの戦いが続きます」。
Prologue プロローグで見事2位発進

Meerendalで行われたこの日はプロローグ。昼には気温が36度まで上昇。時間が遅くなるほど厳しいコンディションとなり、比較的早いスタートの選手に有利な状況だった。
この日、山本幸平とリアッド・ハキムによるTeam Titan FXは、出走チームの中でもかなり後半のスタートだったが、20km・獲得標高650m のコースを高いレベルでまとめ上げ、一時はトップに立つ走りを見せた。実際にその後もしばらく首位の座を守り続けたが、最後はASAP Cycling が 0:47:25.2という圧巻のタイムを叩き出し、最終的に2位となった。

今大会の目標は、まず完走すること、そして トップ10入りを狙うこと。その中で開幕ステージから表彰台圏内に入る形でスタートできたことは今後に向けて大きな自信につながった。レース後、2人は次のようにレースを振り返った。

山本「とてもスムーズに走れた。すごく楽しめたライドでした」
ハキム「幸平さんとはペースが非常によく合っていた。今日はほぼ最初から最後までフルガスでした」
Stage1 ステージ5位&総合4位につける好走

プロローグに続くStage 1は、今大会で初めて本格的に脚力と持久力、そしてレースマネジメント力が問われる一日となった。90km・獲得標高2,150mという厳しい設定に加え、前夜はテントでの宿泊となり、十分な睡眠が取れないなかで迎えた朝6時30分スタート。決して理想的なコンディションではなかった。

それでも山本とハキムはスタート直後から先頭集団でレースを進め、世界トップクラスのチーム相手に堂々と渡り合った。ステージを通して高い強度で走り続け、苦しい終盤までしっかり粘り切った。結果は5位。それでも十分に価値のある内容だった。そして総合は4位に。
山本「少なくとも4位には入ったと思っていたので、5位と聞いて少し驚いた。でも十分満足できる一日」
ハキム「最初から最後までフルガスでした。最後の10kmはかなりきつかった」
Stage2 トラブルを乗り越え総合5位、トップ10を維持

この日のコースはスタート直後から約30kmに及ぶ登りが続く非常に厳しいコースで、序盤から選手たちの脚力とペース配分が試されるステージとなった。
山本とハキムは厳しい登りにも対応しながら前半をしっかりとまとめ、好位置でレースを進めていた。しかし下り区間でハキムに前輪のパンクが発生。ここで約6〜7分を失うこととなり、レースは一転して厳しい展開となった。

それでも後半にかけて強いリカバリーを見せ、失った時間を少しでも取り戻すべく粘り強く走り切った。この日は前日までと比べると気温はやや落ち着いていたものの、コースの厳しさは変わらずタフな一日となった。

山本「日に日に調子が上がってきていると感じています。最後もまだ余力がありました」
ハキム「パンクでタイムは失いましたが、幸平さんが引っ張ってくれて本当に助かりました。これから数日で取り返していきたい」
Stage 3 トラブルに見舞われるも逆襲へ

大きな試練の一日となった。モンタギューからグレイトンへ向かう 140km のこのステージは、これまでより登りは少ないものの、フラット区間が多くハイスピードな展開となった。
山本とハキムは序盤から先頭集団でレースを進め、非常に良い流れを作っていた。レース中盤には総合順位を4位まで押し上げる場面もあり、上位争いにしっかりと絡んでいた。
しかし、その流れは思わぬ形で断たれる。

中盤付近でハキムが高速走行中に見えにくい岩にヒットし、再びパンク。リムに亀裂が入っており、チューブを交換してもすぐに破れてしまう深刻なトラブルとなった。
限られた状況の中、二人はジェルのパッケージを使った応急処置で何とか走行を続け、約 8km先の給水ポイントまでたどり着く。そこでようやくホイール交換が可能となったが、この対応により大きなタイムロスを余儀なくされた。

最終的に5:47:12.6 でフィニッシュし、ステージ72位。総合順位は 19位 となり、トップ10までは約20分差、トップまでは 1時間13分差 となってしまった。結果だけを見ると厳しい一日となったが、両選手とも前向きな姿勢を崩していない。
山本「総合を充分狙えるところまでも来ていたので、連日のトラブルは残念です。ここから状況を見直して、残り4ステージでどう戦うか考えていきます」
ハキム「昨日と今日のトラブルでもリタイアにならなかったのは大きい。まだレースには残れているし、ここから巻き返すチャンスはあります。まずはトップ10との差20分を取り返し、再び前線で戦える位置に戻したい。そして可能であれば、もう一度表彰台を狙いたい」
序盤こそ順調に見えた滑り出しだったが、連日のトラブルで順位を落としたTeam Titan FX。レースは4日間を終え、後編戦へと向かう。トップと20分差は大きいが、諦めるわけにはいかない。
第4ステージから第7ステージの模様は次回レポートに続きます。
text:Kazuaki Takabatake
photo:RainedUpon Media