その強さはまさに圧倒的。マチュー・ファンデルプール(オランダ)が歴代最多となる8回目の勝利を挙げたシクロクロス世界選手権男子エリートレースをコメント入りでレポート。

現地15:10に男子エリートレースがスタート。デルフロッソが1番手でコースに入る photo:CorVos
オランダ、ゼーランド州フルストで3日間開催されたシクロクロス世界選手権の大トリを務めたのは、もちろんマチュー・ファンデルプール(オランダ)の優勝に期待がかかる男子エリートレース。窪んだ人口池をぐるりと取り囲む築堤と、その周りの平坦コースを組み合わせた1周3.3kmのスピードコースの全域を、オランダと隣国ベルギーから駆けつけた大群衆がみっちりと埋め尽くした。
今季出場した12レース全てで圧勝し、UCIランキング1位、UCIワールドカップ総合優勝、スヴェン・ネイス(ベルギー)が保有していたワールドカップ最多優勝記録を51勝に更新したファンデルプール。これまで2015年、2019年、2020年、2021年、2023年、2024年、そして2025年と合計7度世界選手権を制し、エリック・デ・フラミンク(ベルギー)が持つ最多優勝記録の更新に期待がかかるオランダチームの絶対エースはスタートを成功させ、普段同じアルペシン・プレミアテックに所属する8歳年下のティボール・デルフロッソ(オランダ)に続く2番手でコースに入った。

大観衆が詰めかけたフルストの特設コース photo:CorVos

圧倒的な力で独走したマチュー・ファンデルプール(オランダ) photo:CorVos
世界選手権でエリート初挑戦となるデルフロッソと、ファンデルプールに続く3番手は、スヴェン・ネイスの息子としてベルギーの期待を背負うティボー・ネイス。ラインが一本しかないキャンバー区間に入ると4番手に付けていたラース・ファンデルハール(オランダ)がミスし、レース開始から僅か2分半で先頭3人が僅かに抜け出す形になった。
レース前半は他選手の動向を窺うことの多いファンデルプールだが、この日はレース開始10分を待たずにチャージをかける。「完璧にマネジメントすることに努めたよ。不運でパーティーを台無しにしたくなかったので、やるべきことをやったんだ」と言うチャンピオンは、ランニングの担ぎ上げ区間をきっかけに独走に持ち込み、ランニングを強いられる激登り区間をただ一人乗車でスムーズにこなしてリードを拡大。2番手につけたネイスも、ライバル国のエースを務めるファンデルプールの走りに遅れをとった。
大歓声を浴びて爆走するファンデルプールは、小さい登り切りで空を飛ぶほどのスピードでリードを積み重ねる。レース後には「先週と比べたら調子のピークは落ちている気がする」と答えたものの、その走りはライバルを引き離すには十分だった。

流れるような走りでリードするティボール・デルフロッソ(オランダ) photo:CorVos

現役最後の世界選は負傷。ラース・ファンデルハール(オランダ)は19位に終わった photo:CorVos 
4番手グループで積極的な走りを続けたフィリッポ・フォンタナ(イタリア) photo:CorVos
ファンデルプールの30〜45秒後ろではデルフロッソとネイスが一対一の2番手グループを作り、その後ろではベルギー勢を中心としたパックにフェリペ・オルツ(スペイン)とフィリッポ・フォンタナ(イタリア)が食い込む展開に。今季限りの引退を表明しているファンデルハールは落車で膝を痛めてペースを上げられず、最終的に19位でキャリア最後の世界選手権を終えることとなる。
最終周回に入って強い雨がコースを濡らしたものの、ウイニングランに入ったファンデルプールの余裕ぶりは変わらない。50秒離れた2番手グループでは「タイヤがウェットコンディションに対応できなかった」とコースのあちこちでスライドに悩まされるネイスをデルフロッソが置き去りに。そんな中完璧な走りを披露したファンデルプールが最後のフライオーバーを越え、フィニッシュストレートに姿を現した。

圧倒的な走りでフィニッシュに飛び込むマチュー・ファンデルプール(オランダ) photo:CorVos

デルフロッソの先行を許したティボー・ネイス(ベルギー)が3番手でフィニッシュ photo:CorVos
まさに圧倒的。完璧な筋書きで父アドリ・ファンデルプールが1996年のフランス大会で優勝してから30年後、息子マチューが歴史上最多となる8度目のシクロクロス世界チャンピオンに輝いた。2位はデルフロッソが入りオランダが母国レースでワンツー。初日のチームリレーも含め、オランダは7カテゴリー中5勝(ベルギーは1勝)を収める大活躍で大会を締め括った。
ウィレム=アレクサンダー国王が駆けつけた表彰台でUCI会長のダヴィ・ラパルティアン氏からアルカンシェルを受け取り、「8」がデザインされた特別アルカンシェルも手渡されたファンデルプールは「これは本当に特別なこと。レースを始めた頃は世界タイトルを1回獲得することを夢見ていたけど、今日シクロクロス史上最多のタイトルを獲得できた。信じられないことさ」とインタビューに答える。

シクロクロス世界選手権2026 男子エリート表彰台 photo:CorVos

ウィレム=アレクサンダー国王とダヴィ・ラパルティアンUCI会長から特別デザインのアルカンシエルを受け取ったファンデルプール photo:CorVos
シクロクロスからの引退を示唆しているファンデルプールだが、MTBのニノ・シューターによる世界選手権10回優勝を目指すつもりがあるかと聞かれても「10勝は素晴らしいけど8勝でも十分満足。将来的にあと何回参加できるかはよく考えないといけない。まだ来年のことは考えていないよ」と明確な引退宣言は避けている。春のクラシックシーズンを目指すファンデルプールは、調子が整えば2月28日に開催されるオムループ・ヘットニュースブラッドでロードシーズンインする予定だ。
3位に終わったネイスは「3位より2位の方がずっと良かったけど、それでも表彰台には上がれた。最後はタイヤがコンディションに耐えられずどうしようもなかった。もっと激しい泥になればまだ何とかできたけど、あのツルツル路面では無理だった」とコメント。これでシクロクロスシーズンを終了し、調整を続けながら4月のスペインでロードシーズンを開始するという。
馬力とスピード、その上にテクニックが問われるレースで31名が完走。僅差のスプリントで4位をもぎ取ったのはニューウェンハイスで、積極果敢な走りでベルギー包囲網を突破したフォンタナが非オランダ/ベルギー勢最上位の5位で、同じパックでレースを進めたオルツが7位。期待されていたニルス・ファンデプッテ(ベルギー)やキャメロン・メイソン(イギリス)は20番台に沈んだ。

オランダ、ゼーランド州フルストで3日間開催されたシクロクロス世界選手権の大トリを務めたのは、もちろんマチュー・ファンデルプール(オランダ)の優勝に期待がかかる男子エリートレース。窪んだ人口池をぐるりと取り囲む築堤と、その周りの平坦コースを組み合わせた1周3.3kmのスピードコースの全域を、オランダと隣国ベルギーから駆けつけた大群衆がみっちりと埋め尽くした。
今季出場した12レース全てで圧勝し、UCIランキング1位、UCIワールドカップ総合優勝、スヴェン・ネイス(ベルギー)が保有していたワールドカップ最多優勝記録を51勝に更新したファンデルプール。これまで2015年、2019年、2020年、2021年、2023年、2024年、そして2025年と合計7度世界選手権を制し、エリック・デ・フラミンク(ベルギー)が持つ最多優勝記録の更新に期待がかかるオランダチームの絶対エースはスタートを成功させ、普段同じアルペシン・プレミアテックに所属する8歳年下のティボール・デルフロッソ(オランダ)に続く2番手でコースに入った。


世界選手権でエリート初挑戦となるデルフロッソと、ファンデルプールに続く3番手は、スヴェン・ネイスの息子としてベルギーの期待を背負うティボー・ネイス。ラインが一本しかないキャンバー区間に入ると4番手に付けていたラース・ファンデルハール(オランダ)がミスし、レース開始から僅か2分半で先頭3人が僅かに抜け出す形になった。
レース前半は他選手の動向を窺うことの多いファンデルプールだが、この日はレース開始10分を待たずにチャージをかける。「完璧にマネジメントすることに努めたよ。不運でパーティーを台無しにしたくなかったので、やるべきことをやったんだ」と言うチャンピオンは、ランニングの担ぎ上げ区間をきっかけに独走に持ち込み、ランニングを強いられる激登り区間をただ一人乗車でスムーズにこなしてリードを拡大。2番手につけたネイスも、ライバル国のエースを務めるファンデルプールの走りに遅れをとった。
大歓声を浴びて爆走するファンデルプールは、小さい登り切りで空を飛ぶほどのスピードでリードを積み重ねる。レース後には「先週と比べたら調子のピークは落ちている気がする」と答えたものの、その走りはライバルを引き離すには十分だった。



ファンデルプールの30〜45秒後ろではデルフロッソとネイスが一対一の2番手グループを作り、その後ろではベルギー勢を中心としたパックにフェリペ・オルツ(スペイン)とフィリッポ・フォンタナ(イタリア)が食い込む展開に。今季限りの引退を表明しているファンデルハールは落車で膝を痛めてペースを上げられず、最終的に19位でキャリア最後の世界選手権を終えることとなる。
最終周回に入って強い雨がコースを濡らしたものの、ウイニングランに入ったファンデルプールの余裕ぶりは変わらない。50秒離れた2番手グループでは「タイヤがウェットコンディションに対応できなかった」とコースのあちこちでスライドに悩まされるネイスをデルフロッソが置き去りに。そんな中完璧な走りを披露したファンデルプールが最後のフライオーバーを越え、フィニッシュストレートに姿を現した。


まさに圧倒的。完璧な筋書きで父アドリ・ファンデルプールが1996年のフランス大会で優勝してから30年後、息子マチューが歴史上最多となる8度目のシクロクロス世界チャンピオンに輝いた。2位はデルフロッソが入りオランダが母国レースでワンツー。初日のチームリレーも含め、オランダは7カテゴリー中5勝(ベルギーは1勝)を収める大活躍で大会を締め括った。
ウィレム=アレクサンダー国王が駆けつけた表彰台でUCI会長のダヴィ・ラパルティアン氏からアルカンシェルを受け取り、「8」がデザインされた特別アルカンシェルも手渡されたファンデルプールは「これは本当に特別なこと。レースを始めた頃は世界タイトルを1回獲得することを夢見ていたけど、今日シクロクロス史上最多のタイトルを獲得できた。信じられないことさ」とインタビューに答える。


シクロクロスからの引退を示唆しているファンデルプールだが、MTBのニノ・シューターによる世界選手権10回優勝を目指すつもりがあるかと聞かれても「10勝は素晴らしいけど8勝でも十分満足。将来的にあと何回参加できるかはよく考えないといけない。まだ来年のことは考えていないよ」と明確な引退宣言は避けている。春のクラシックシーズンを目指すファンデルプールは、調子が整えば2月28日に開催されるオムループ・ヘットニュースブラッドでロードシーズンインする予定だ。
3位に終わったネイスは「3位より2位の方がずっと良かったけど、それでも表彰台には上がれた。最後はタイヤがコンディションに耐えられずどうしようもなかった。もっと激しい泥になればまだ何とかできたけど、あのツルツル路面では無理だった」とコメント。これでシクロクロスシーズンを終了し、調整を続けながら4月のスペインでロードシーズンを開始するという。
馬力とスピード、その上にテクニックが問われるレースで31名が完走。僅差のスプリントで4位をもぎ取ったのはニューウェンハイスで、積極果敢な走りでベルギー包囲網を突破したフォンタナが非オランダ/ベルギー勢最上位の5位で、同じパックでレースを進めたオルツが7位。期待されていたニルス・ファンデプッテ(ベルギー)やキャメロン・メイソン(イギリス)は20番台に沈んだ。
シクロクロス世界選手権2026 男子エリート結果
| 1位 | マチュー・ファンデルプール(オランダ) | 1:00:25 |
| 2位 | ティボール・デルフロッソ(オランダ) | +0:35 |
| 3位 | ティボー・ネイス(ベルギー) | +0:46 |
| 4位 | ヨリス・ニューウェンハイス(オランダ) | +0:55 |
| 5位 | フィリッポ・フォンタナ(イタリア) | |
| 6位 | ヘルベン・クイペルス(ベルギー) | +0:58 |
| 7位 | フェリペ・オルツ(スペイン) | +1:04 |
| 8位 | トーン・アールツ(ベルギー) | |
| 9位 | イェンテ・マイケルズ(ベルギー) | |
| 10位 | マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー) | +1:35 |
text:So Isobe
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