ポガチャルの「ジロとブエルタの開催時期を逆にすべき」という意見に対し、選手会の会長であるアダム・ハンセンが賛同。「彼らは氷雨や雪の中でのジロも、灼熱のブエルタも走ったことがない」と、極端な気象条件を理由に挙げた。



2023年からCPAの会長を務めるアダム・ハンセン photo:Makoto AYANO

事の発端はタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)がスペインメディアのASに語った「ジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャ(の開催時期)を入れ替えれば、気象条件の面でも、参加できる選手の数という点でも、ずっと良くなる」という意見だった。

それに対し、プロ選手組合(CPA)の会長であるアダム・ハンセン(オーストラリア)が反応。「ここ数年、PCC*や様々な会議の場で同じことを言い続けてきた。皆に笑われたけれど、明らかに彼らは氷雨や雪の中でのジロも、灼熱のブエルタも走ったことがない。これこそが自転車界の最大の問題で、伝統がこのスポーツの発展を妨げている」と、自身のSNSに綴った。

*Professional Cycling Council:レースカレンダーやルールを決定するUCI(国際自転車競技連合)の下部機関である評議会。

ブエルタでアイスベストを着てスタートを待つ選手たち photo:CorVos

例年、グランツールであるジロは5月のイタリア、ブエルタは8月のスペインで開催されている。しかし5月頃の山岳では雪が残っていることも多く、また連日の悪天候に襲われることも少なくない。一方、ブエルタは暑さが厳しく、それによって体調を崩す選手も少なくない。その問題が、この2つを入れ替えれば一つの解決策になりうるとハンセンは語る。

直近の例で言えば、ポガチャルが区間優勝した2024年ジロの第16ステージでは、雪崩の危険性などからチーマコッピ(大会最高地点)に設定されていたパッソ・デッロ・ステルヴィオがコースから除外。200km超のコースが約120kmに短縮された。またブエルタでは連日の猛暑により、毎年のように暑さ対策が注目を集めている。

そもそもブエルタは1994年まで5月開催で、ジロは2003年まで6月に行われていた。しかしブエルタがジロとの重複を避け、グランツールとして双方の価値を高めるべく、それぞれが開催時期を現在の形へ移したという経緯がある。ハンセンは現実的な案として、「僕個人の意見としては、ヨーロッパのレースカレンダー全体を2週間後ろ倒しにした方がメリットが大きいと思う」と自説を語っている。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos