イスラエル・プレミアテックが新たな名前のもと再スタートを切った。その名は「NSNサイクリングチーム」で、国際企業であるNSN(Never Say Never)をメインスポンサーに、スイス籍のチームとして新たな一歩を踏み出す。



チーム名とブランドの刷新が発表されたイスラエル・プレミアテック photo:CorVos

カナダ籍のプロチームであるイスラエル・プレミアテックは現地時刻の11月20日、チーム名を「NSNサイクリングチーム」に改め、スイス籍のチームとして再出発することを発表した。拠点はスペインのバルセロナとジローナとなり、下部チームも「NSNディベロップメントチーム」として活動する。

今年8月のブエルタ・ア・エスパーニャにて、ガザ侵攻への抗議活動が激化。抗議者のコース侵入や最終日のマドリッドでは抗議者がフィニッシュ地点を埋め尽くし、レースが途中で打ち切られる事態に発展した。そのため10月にチームはイスラエルという名称とブランドから距離を置く方針を示し、チームオーナーでイスラエル系カナダ人であるシルヴァン・アダムス氏の退任を併せて発表した。

一方で11月に入り、カナダ企業のプレミアテックがタイトルスポンサーからの撤退を発表。また公式発表はされていないものの、バイクブランドであるファクターもチームからの離脱が濃厚と報じられている。Q36.5プロサイクリングを離れたスイスのスコットが、新たなバイクサプライヤーになるとの報道もある。

そんなチームに救いの手を差し伸べたのが、国際的なスポーツ&エンターテインメント企業であるNSN(Never Say Never)と、2023年からスポンサードしているスイス・ジュネーブを拠点とする国際投資企業ストーンウェグだ。NSNは創立7年の企業で、サッカーの親善試合の主催やサッカーのデンマーク2部リーグに所属するFCヘルシンゲルを所有。さらにグラベルバイクブランド「GUAVA」の筆頭株主でもあり、スポーツ分野との結び付きが強い企業だ。

同チームは、2023〜25年の3年間に獲得したUCIポイントで争われるワールドチーム降格・昇格争いで13位となり、2026年からの3年間のワールドチームライセンス獲得が濃厚だ。UCI(国際自転車競技連合)を含め協議中であるデレク・ジー(カナダ)を除き、チームには25名の選手が2026年シーズンの契約を結んでいる。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos