イスラエル・プレミアテックが「現在の“イスラエル”としてのアイデンティティから離れ、チーム名とブランドを刷新する」と発表した。チームはブエルタ・ア・エスパーニャでの抗議活動が激化し、バイクブランドのファクターおよび共同スポンサーのプレミアテックから改称の要請を受けていた。

グランプリ・シクリスト・ド・モンレアルでは、イスラエルの文字を削除したジャージで臨んだ photo:CorVos
日本時間の10月7日、イスラエル・プレミアテックは3ページにわたる声明を発表した。そこでは、「自転車競技の伝統のない国から若い才能を育て、プロへの明確な道筋を提供する」というビジョンと、11年間にわたるチームの歩みが示され、イスラエルという名称とブランドから距離を置く方針に加え、チームオーナーでイスラエル系カナダ人のシルヴァン・アダムス氏が退任することが伝えられた。
ガザ情勢の悪化を受け、イスラエル・プレミアテックに対する抗議活動が激化したのは、今年8月23日に開幕したブエルタ・ア・エスパーニャにて。特にスペインに入国した第5ステージ以降は激しく、第15ステージではハビエル・ロモ(スペイン、モビスター)が抗議者のコース侵入で落車し、負傷を理由にリタイア。最終日のマドリッドでは抗議者がフィニッシュ地点を埋め尽くし、レースが途中で打ち切られる事態に発展した。

ブエルタ最終日、フィニッシュ地点では多くのデモ隊がコースに侵入した photo:CorVos
また、直近のジロ・デッレミリア(UCI 1.Pro)では、主催者が「最近の出来事(デモ)、そして最終周回コースの特性を考慮し、選手やチームスタッフ、観客の安全を守るため、今年は同チームの参加を見送らざるを得なかった」との理由でイスラエルを出場チームから除外。ワールドツアーであるイル・ロンバルディアには出場予定だが、イタリアを舞台とする秋のワンデーレースでも同チームの出場が危ぶまれている。
今回の決定の背景には、チームのバイクスポンサーであるファクターが「チーム名と旗(アイデンティティ)を変えないのならば、我々はこれ以上支援しない」と通告し、セカンドタイトルスポンサーであるカナダ企業のプレミアテック社も同様の意向を示していたことがある。一部報道では、ルワンダでのロード世界選手権にて、プロ選手組合(CPA)のアダム・ハンセン会長がアダムス氏に対しチーム名の変更などを進言。UCI(国際自転車競技連合)が定める10月10日のライセンス登録期限を前に、こうした流れを受け、この決断と発表に至った。
新たなチーム名は明らかにされなかったものの、チームのプレスリリースは「まもなく新たな章が始まるが、チームは創設当初の約束である『世界中の才能あるライダーを育てる』という理念に忠実であり続ける」と締めくくられた。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

日本時間の10月7日、イスラエル・プレミアテックは3ページにわたる声明を発表した。そこでは、「自転車競技の伝統のない国から若い才能を育て、プロへの明確な道筋を提供する」というビジョンと、11年間にわたるチームの歩みが示され、イスラエルという名称とブランドから距離を置く方針に加え、チームオーナーでイスラエル系カナダ人のシルヴァン・アダムス氏が退任することが伝えられた。
ガザ情勢の悪化を受け、イスラエル・プレミアテックに対する抗議活動が激化したのは、今年8月23日に開幕したブエルタ・ア・エスパーニャにて。特にスペインに入国した第5ステージ以降は激しく、第15ステージではハビエル・ロモ(スペイン、モビスター)が抗議者のコース侵入で落車し、負傷を理由にリタイア。最終日のマドリッドでは抗議者がフィニッシュ地点を埋め尽くし、レースが途中で打ち切られる事態に発展した。

また、直近のジロ・デッレミリア(UCI 1.Pro)では、主催者が「最近の出来事(デモ)、そして最終周回コースの特性を考慮し、選手やチームスタッフ、観客の安全を守るため、今年は同チームの参加を見送らざるを得なかった」との理由でイスラエルを出場チームから除外。ワールドツアーであるイル・ロンバルディアには出場予定だが、イタリアを舞台とする秋のワンデーレースでも同チームの出場が危ぶまれている。
今回の決定の背景には、チームのバイクスポンサーであるファクターが「チーム名と旗(アイデンティティ)を変えないのならば、我々はこれ以上支援しない」と通告し、セカンドタイトルスポンサーであるカナダ企業のプレミアテック社も同様の意向を示していたことがある。一部報道では、ルワンダでのロード世界選手権にて、プロ選手組合(CPA)のアダム・ハンセン会長がアダムス氏に対しチーム名の変更などを進言。UCI(国際自転車競技連合)が定める10月10日のライセンス登録期限を前に、こうした流れを受け、この決断と発表に至った。
新たなチーム名は明らかにされなかったものの、チームのプレスリリースは「まもなく新たな章が始まるが、チームは創設当初の約束である『世界中の才能あるライダーを育てる』という理念に忠実であり続ける」と締めくくられた。
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photo:CorVos
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