ピクニック・ポストNLがマッティア・ガッフーリ(イタリア)の獲得を発表した。ガッフーリは2024年にグランフォンド世界選手権を制し、ズイフトアカデミーでもファイナリストに残った遅咲きのクライマーだ。



ピクニック・ポストNLと2年契約を結んだマッティア・ガッフーリ(イタリア) photo:Team Picnic PostNL

陸上競技の長距離選手だったガッフーリが怪我を理由に、自転車競技へ転向したのは20歳の時。プロ契約を目指したものの至らず、コーチングを学び、自身のコーチング会社を設立しながら選手としても走り続けた。転機となったのは2024年。アマチュア向け長距離ロードイベントであるグランフォンドの世界選手権にて、ガッフーリは世界王者に輝いた。

また、バーチャルサイクリングプラットフォーム「Zwift(ズイフト)」が主催する才能発掘プログラム「ズイフトアカデミー」でファイナリストに選ばれた。ここでもプロ契約は得られなかったものの、2025年のイタリア選手権ではチームメイトであるフィリッポ・コンカ(スワット・クラブ)をアシストし、優勝へと導くと共に、自身も5位入賞を果たした。

同年ガッフーリはグラベルレースにも出場し、イタリアのナショナル王者に輝く。そして8月からはポルティ・ビジットマルタのトレーニー(研修生)としてトップチームに合流。ヴェネト・クラシック(UCI1.Pro)では逃げに乗るなど、存在感を示した。

そしてこの度、その動向を追っていたピクニック・ポストNLが2年契約でガッフーリを獲得した。

ガッフーリは悲願のプロデビューについて「ピクニック・ポストNLは細部へのこだわりと、長期的な選手育成への意識が強いチーム。コーチとして活動していた視点から見ても、トレーニングから機材に至るまで、科学的なアプローチを重視している点がとても魅力的だった」とコメント。「自分は典型的なクライマーで、“ディーゼル型”の持久力タイプ。レース勘の部分ではまだ成長の余地があるが、目標は小規模なステージレースで結果を狙える選手になると同時に、山岳でエースを支えられる信頼できるアシストになることだ」と抱負を語った。

ルディ・ケムナ監督はガッフーリについて、「マッティアは遅咲きタイプで、実際にデータを確認したところ、プロ相手に見せる力強い走りの裏付けが取れた。イタリア選手権でのアシストも完璧で、我々は彼が数年後、アルデンヌクラシックの終盤で勝負できる選手になると見ている。またグランツールではエースのアシストする欠かせない存在になるとも」と、大きな期待を語った。

またチームはアンリフランソワ・ルナールアカン(フランス、ワグナー・バザンWB)の獲得も発表。リエージュ〜バストーニュ〜リエージュでは逃げに乗り、ツール・ド・ワロニー(UCI2.Pro)では山岳賞を獲得した22歳のクライマーだ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos