UCIグラベル世界選手権の女子エリートレースをオランダ勢が席巻。小集団スプリントでロレーナ・ウィーベスが昨年覇者マリアンヌ・フォスを下し、アルカンシエルを手に入れている。



131kmの女子エリートレースがスタート。多くのロードプロ選手が顔を揃えた photo:UCI

オランダ、南リンブルフ州を舞台にUCIグラベル世界選手権が開幕した。初日となる10月11日(土)に行われた131kmの女子エリートレースを席巻したのは、最強布陣で連覇を目指す開催国オランダ勢だった。

ダッチオレンジのナショナルジャージを着るトップ選手は、2連覇が掛かるディフェンディングチャンピオンのマリアンヌ・フォスを筆頭に、最強スプリンターのロレーナ・ウィーベス、前MTB世界女王のプック・ピーテルセとシリン・ファンアンローイ...。他国もカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド)やシルビア・ペルシコ(イタリア)など強いメンバーを揃えてはいるものの、そのほとんどがシクロクロス経験(あるいはトップ選手)を持つオランダ勢の層の厚さには敵わない。「オランダvsその他」になることはスタート前から明らかだった。

レースは終始オランダ勢が席巻。アタックに次ぐアタックで勝負が絞られていった photo:UCI

登坂区間のアタックに反応するロレーナ・ウィーベス(オランダ) photo:UCI

レースを支配し、展開を作ったのはやはりオランダ勢。スタート前に絶好調ではなかったことを明かしたフォスが残り50km区間でセレクションを掛け、ウィーベスを含むオランダ勢3名とロミー・カスパー(ドイツ)だけが抜け出すという展開に。ウィーベスに対してスプリントで分が悪いフォスは何度も抜け出しを試みたものの、一方のウィーベスはこの日一切綻びを見せなかった。

レースはオランダ勢同士がアタックを仕掛け合う展開に。追走グループの合流によって人数が増え、終盤に入ると上手く優勝候補たちの隙を突いてファンアンローイがアタック。あっという間に20秒リードを稼いだ元シクロクロスU23世界女王がアルカンシエルを掴んだかに思えたものの、第2グループ(ウィーベス、フォス、ヤラ・カステリン、ペルシコ、ジュリア・コペッキー)が追走ペースを一気に早めて差を縮めに掛かった。

ウィーベスを勝たせるために、普段SDワークス・プロタイムでともに走るジュリア・コペッキー(チェコ)が捨て身のハイペース牽引を見せ、さらにカステリンもこの動きに同調する。マーストリヒト市内の平坦路で繰り広げられた追走劇の末、スプリントになだれ込む第2グループがファンアンローイを飲み込んだ。

アルカンシエルを手にしたロレーナ・ウィーベス(オランダ) photo:UCI

素早くトップスピードに持ち込んだウィーベスが、食い下がるフォスを従えたままフィニッシュ。昨年はロッタ・コペッキー(ベルギー)を下してアルカンシエルを掴んだフォスだったが、最強スプリンターの名をほしいままにするウィーベスに対してはあまりにも分が悪かった。

「最終盤はかなりタフで、特にマリアンヌはすごく強かったと思う。シリン(ファンアンローイ)のアタックも強力で、引き戻してくれた(ジュリア)コペッキーには感謝しないといけない。彼女は"スプリントで勝てる?"と聞いてきて、勝ちたいと返したら全力でアシスト役を引き受けてくれた」と、アルカンシエルを掴んだウィーベスは言う。2位はフォス、3位はペルシコ。トップ10のうち7名がオランダ勢という、選手層の厚さを見せつける展開になった。
グラベル世界選手権2025 女子エリート結果
1位 ロレーナ・ウィーベス(オランダ) 3h58:17
2位 マリアンヌ・フォス(オランダ)
3位 シルビア・ペルシコ(イタリア) +0:02
4位 ヤラ・カステリン(オランダ) +0:04
5位 シリン・ファンアンローイ(オランダ) +0:10
6位 ジュリア・コペッキー(チェコ) +0:19
7位 フェムケ・マルクス(オランダ) +0:43
8位 フェムケ・デフリース(オランダ)
9位 ラリッサ・ハートグ(オランダ) +1:36
10位 ロミー・カスパー(ドイツ) +1:38