ロード世界選手権の男子U23ロードレースは、6名の精鋭集団からロレンツォ・フィン(イタリア)がアタック。終盤にヤン・フーバー(スイス)を振り切った18歳のフィンが、昨年の男子ジュニアに続く2年連続世界一に輝いた。

ロード世界選手権初出場となった橋川丈 photo:CorVos
2025年のロード世界選手権は6日目を迎え、9月26日は男子U23ロードレースが行われた。ルワンダの首都キガリを走るコースは石畳のミュール・ド・キミハーウラ(距離1.3km/平均6.3%)とキガリ・ゴルフ峠(距離0.8km/平均8.1%)を含む約15km×11周の164.6km。前日の女子U23と同じようにサバイバルな展開が予想された。
56ヶ国から集った118名が出場し、1チームの最大はスペインの6名。ワールドチームの下部団体に所属する強豪選手が多数出場するのなか、日本からは愛三工業レーシングに所属する22歳の橋川丈が参戦。序盤は逃げを目指した動きがあったものの、優勝候補筆頭のヤルノ・ウィダールを擁するベルギーがタイトなコントロールを見せた。

レースは長時間にわたり、ベルギーがプロトン先頭でハイペースを刻んだ photo:UCI

118名で争われた男子U23ロードレース photo:UCI
獲得標高は約3,350mという過酷なレイアウトのレースで、ベルギーは約2時間にわたり逃げを許さないペースを作った。特に来年ヴィスマ・リースアバイクでプロデビューが決まっているティム・レックス(ベルギー)が積極的に牽引し、時折ポーランドも力を貸す。逃げの生まれない膠着状態から、残り60kmでようやくレースが動いた。
力強いアタックで飛び出したのは、スペインのエクトル・アルバレス。リドル・トレックの下部チーム所属の18歳は一気にリードを得ると、そこにハルヴォール・ドルヴェン(ノルウェー)が合流。ベルギーの牽引が弱まると、次々に有力選手たちが集団を飛び出し、残り45kmで6名(フィン、アルバレス、シュレットル、ガイジュレヴィチ、ドルヴェン、フーバー)による逃げが形成された。
単騎で粘った橋川が残り36km付近でリタイアとなる一方、プロトンの主導権はベルギーからフランスに移り、先頭も協調が取れなくなっていく。そのため、キガリ・ゴルフ峠で昨年の男子ジュニアロード王者ロレンツォ・フィン(イタリア)が加速し、続くミュール・ド・キミハーウラでアタック。それに唯一スイスのヤン・フーバー(スイス)が反応し、2名はローテーションを回しながらラスト2周に突入した。

6名の精鋭集団から飛び出したロレンツォ・フィン(イタリア)とヤン・フーバー(スイス) photo:CorVos
その約20秒後方では、フィンの動きに遅れたアルバレスとマルコ・シュレットル(オーストリア)、マテウシュ・ガイジュレヴィチ(ポーランド)の3名が追走。さらに後方のプロトンは勢いを欠き、勝負は先頭5名に絞られる。先頭2名は最終周回に入り、キガリ・ゴルフ峠(距離0.8km/平均8.1%)で出場選手のなかで最年少18歳のフィンが再加速した。
何度も後ろを確認しながら速度を上げるフィンに、フーバーは徐々に遅れ始める。フィンはフィニッシュ前のミュール・ド・キミハーウラで一瞬脚が緩む場面があったものの、十分なリードを保ったままフィニッシュへ。そして練習仲間と約束していたという「矢を射る」ジェスチャーを披露し、U23男子ロードレースの勝者に輝いた。

6.5kmの独走決め、優勝したロレンツォ・フィン(イタリア) photo:CorVos

ロード世界選手権2025男子U23ロードレース表彰台:2位フーバー、1位フィン、3位シュレットル photo:UCI
表彰式で2年連続となるアルカンシエルに袖を通したフィンは、「昨年、男子ジュニアのロードを制してから1年後に、まさかU23世界王者になれるなんてクレイジーな結果だ。来年もU23にいるので1年間このアルカンシエルを着続けられる。精鋭集団にヤルノ(ウィダール)がいないと気付き、その集団で自分が最も強いと思い、結果でそれを証明した」と、イタリア人の母とイングランド出身の父を持つフィンは流暢な英語で語った。
2位にはフーバー、3位にはシュレットルが入り、ウィダールは34位だった。橋川のコメントは届き次第お伝えします。

イタリアのチームメイトたちと喜ぶロレンツォ・フィン(イタリア) photo:UCI

2025年のロード世界選手権は6日目を迎え、9月26日は男子U23ロードレースが行われた。ルワンダの首都キガリを走るコースは石畳のミュール・ド・キミハーウラ(距離1.3km/平均6.3%)とキガリ・ゴルフ峠(距離0.8km/平均8.1%)を含む約15km×11周の164.6km。前日の女子U23と同じようにサバイバルな展開が予想された。
56ヶ国から集った118名が出場し、1チームの最大はスペインの6名。ワールドチームの下部団体に所属する強豪選手が多数出場するのなか、日本からは愛三工業レーシングに所属する22歳の橋川丈が参戦。序盤は逃げを目指した動きがあったものの、優勝候補筆頭のヤルノ・ウィダールを擁するベルギーがタイトなコントロールを見せた。


獲得標高は約3,350mという過酷なレイアウトのレースで、ベルギーは約2時間にわたり逃げを許さないペースを作った。特に来年ヴィスマ・リースアバイクでプロデビューが決まっているティム・レックス(ベルギー)が積極的に牽引し、時折ポーランドも力を貸す。逃げの生まれない膠着状態から、残り60kmでようやくレースが動いた。
力強いアタックで飛び出したのは、スペインのエクトル・アルバレス。リドル・トレックの下部チーム所属の18歳は一気にリードを得ると、そこにハルヴォール・ドルヴェン(ノルウェー)が合流。ベルギーの牽引が弱まると、次々に有力選手たちが集団を飛び出し、残り45kmで6名(フィン、アルバレス、シュレットル、ガイジュレヴィチ、ドルヴェン、フーバー)による逃げが形成された。
単騎で粘った橋川が残り36km付近でリタイアとなる一方、プロトンの主導権はベルギーからフランスに移り、先頭も協調が取れなくなっていく。そのため、キガリ・ゴルフ峠で昨年の男子ジュニアロード王者ロレンツォ・フィン(イタリア)が加速し、続くミュール・ド・キミハーウラでアタック。それに唯一スイスのヤン・フーバー(スイス)が反応し、2名はローテーションを回しながらラスト2周に突入した。

その約20秒後方では、フィンの動きに遅れたアルバレスとマルコ・シュレットル(オーストリア)、マテウシュ・ガイジュレヴィチ(ポーランド)の3名が追走。さらに後方のプロトンは勢いを欠き、勝負は先頭5名に絞られる。先頭2名は最終周回に入り、キガリ・ゴルフ峠(距離0.8km/平均8.1%)で出場選手のなかで最年少18歳のフィンが再加速した。
何度も後ろを確認しながら速度を上げるフィンに、フーバーは徐々に遅れ始める。フィンはフィニッシュ前のミュール・ド・キミハーウラで一瞬脚が緩む場面があったものの、十分なリードを保ったままフィニッシュへ。そして練習仲間と約束していたという「矢を射る」ジェスチャーを披露し、U23男子ロードレースの勝者に輝いた。


表彰式で2年連続となるアルカンシエルに袖を通したフィンは、「昨年、男子ジュニアのロードを制してから1年後に、まさかU23世界王者になれるなんてクレイジーな結果だ。来年もU23にいるので1年間このアルカンシエルを着続けられる。精鋭集団にヤルノ(ウィダール)がいないと気付き、その集団で自分が最も強いと思い、結果でそれを証明した」と、イタリア人の母とイングランド出身の父を持つフィンは流暢な英語で語った。
2位にはフーバー、3位にはシュレットルが入り、ウィダールは34位だった。橋川のコメントは届き次第お伝えします。

ロード世界選手権2025 男子U23ロードレース結果
1位 | ロレンツォ・フィン(イタリア) | 3:57:27 |
2位 | ヤン・フーバー(スイス) | +0:31 |
3位 | マルコ・シュレットル(オーストリア) | +1:13 |
4位 | エクトル・アルバレス(スペイン) | +1:38 |
5位 | マテウシュ・ガイジュレヴィチ(ポーランド) | +1:42 |
6位 | パウ・マルティ(スペイン) | +2:22 |
7位 | ヴィクトール・ルレルグ(フランス) | +2:22 |
8位 | ロバン・ドンゼ(スイス) | +2:24 |
9位 | アドリア・ペリカス(スペイン) | +2:24 |
10位 | マテオ・ラミレス(エクアドル) | +2:24 |
DNF | 橋川丈 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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